【雑談】1株当たり純資産は本当に「解散価値」なのか?

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しーうぃーど@こびとが見える経理マンです。こんにちは。

今日は、会計の世界における常識にツッコミを入れたいと思います。話題は「1株当たり純資産」です。

1株当たり純資産って何ですか?

企業の純資産を発行済株式数で割ることで算出できる指標です。イメージはこんな感じ。

bps

発行済株式数が10株なら、300÷10株=30が1株当たり純資産になります。

結局、その30は何を表しているの?

あなたがこの会社の株式を1株持っていたと仮定すると、この会社が清算されたら「あなたは30もらえる」ということです。どういうことか、順を追って説明します。

この会社には500の資産があります。会社をたたむのであれば、真っ先に債権者にお金を返さないといけません。上図では200の負債がありますから、まずはこれを返済します。

負債を返したら、手元に300の資産が残りました。これは、株主に返さないといけません。どうやって株主に返すのがフェアかというと、持ち株数に応じて分配するのがフェアですよね。

この会社は全部で10株を発行しているので、1株あたり30の分け前を払えばいいことになるわけです。5株持ってる人には150渡せばいいことになります。

このような考え方に基づいて「純資産は解散価値を表している」と言われています。なるほど!確かに解散価値だ!

本当に解散価値なのか?

と、ここまでが「常識的」な話。ここからがツッコミ。つまり「実際は、解散価値としての意味がないじゃん」というツッコミです。

起業から倒産に至るでの1株当たり純資産の増減イメージを見てみます。

1株当たり純資産の一生

青い曲線は1株当たり純資産の金額水準を表しています。

ぐらふ

1株当たり純資産は②成長に伴いどんどん高まってゆき、成長が頭打ちとなり事業環境が悪化・赤字化すると③~⑤の過程で減り続けます。

この会社、株主目線ではどのタイミングで解散すればよいと思いますか?

もちろん③ですよね。なぜなら、株主にとっての「解散価値」が一番高いところが③だからです。極論ですが、株主にとって一番合理的な選択肢は「解散価値がピークの時に解散してくれること」なのです。成長が頭打ちになり事業が厳しくなると③から⑤に向かう途中にどんどん解散価値が減っていってしまいますからね。そんな状況では、解散価値はもちろんのこと、時価=株価もどんどん下がっていくでしょう。まさに沈みゆく泥船。

そうならないためには、

社長「株主の皆さま!当社はもはや成長が見込めません!これ以上の操業は純資産を食いつぶすだけです!そこで、当社は現時点を以て解散致します!分け前にご期待下さい!」

株主「賛成!賛成!うおおおおおおおおお!」

こうする必要があるのですね。なんだかすごくアホみたいに見えますけど、理屈ではこれが正解なのです。「この企業はもうダメだ」と市場に判断されると、株価はあっという間に下落します。もし何とか売り抜けられたとしても、後の投資家が損するだけです(その投資家は業績が持ち直すと思って買うのでしょうが、ここでの前提は「沈みゆくことが確定」)。トータルで見れば、これではただのババ抜きです。

ここまでくると、他の投資家にリスクを押し付けるのではなく、事業を清算して利益確定(損失確定)させた方がよくなってしまうのですね。

上場会社、特に大企業が途中解散できない5つの理由

でも、実際は解散価値がピークのところで解散なんて出来ません。しません。その理由がコチラ

  1. そもそも、いつが解散価値のピークか分からない
  2. 往生際の悪い、良く言えば最後まで諦めないスピリッツを持った経営陣が、解散しようとしない
  3. 巻き返しを信じる株主が解散に賛成しない
  4. 従業員の生活がかかっているので解散できない
  5. 取引先に迷惑をかけるので解散できない

④と⑤は、リーマンショックの時などに話題になった「大きすぎて潰せない」というやつですね。

要するに、理論上は「企業は株主のもの」だけど、実際は「企業は社会の公器」なので、株主の利益が最大(損失が最小)の時点で解散するなんてけしからん!未来はどうなるか分からない、最後まで頑張ろう!これが実態なんですね。見たことあります?こういう理由で途中解散した企業。私は知らないです。

実際は解散”できない”なら解散価値の意味って…

このように、(1株当たり)純資産は「解散価値である」という言われ方をしますが、実際は解散できないんですよ。できないし、しない。今回は言及しませんでしたが、財務諸表上の純資産と、全ての資産負債を清算したあとの手残りは一致しませんしね。

じゃあ、「(1株当たり)純資産は解散価値である」って説明する意味、理解しようとする意味ってどこにあるんだろう…そんなことを思ったしーうぃーどなのでした。オチはありません。

むしろ、どなたか何かご教授頂けばと、そんな気持ちでございます。

それでは!

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ABOUTこの記事をかいた人

シーウィード

こびと株.comのボス(役割:投資対象の選定)。「お金の話」と「健康」をこよなく愛するアラサーリーマン。一部上場企業の経理部で財務諸表を作成している会計職人。40歳時点で、給与以外の収入(配当/不動産/サイト運営)を月額20万円にすることを目標に活動中。187cmの大男。