海外機関投資家から見ると「日本企業の現金100円の価値は50円くらい」のようです。

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こんにちは、シーウィード@こびとが見える経理マンです。

経営財務」という週刊情報誌があるのをご存知でしょうか。

会計を生業にしている人達が読む超マニアックな雑誌です。業界最前線の情報を最速で入手できる、知る人ぞ知る優良誌です。

時々この雑誌の中に、投資家にとっても有用かつ面白い情報があるので、それを紹介させて頂ければと思います。

 

日本企業の現金100円の価値は50円?

「経営財務3304号 2017年4月3日」の記事からのご紹介です。

本記事の著者である柳良平氏(東洋大学客員教授・エーザイ常務執行役CFO)は、海外投資家にこのようなことを頻繁に言われるそうです。

「日本企業の保有現金は50%で評価する。100円は50円とみなす」

これは驚きの発言です。

10年近く経理業務に携わっている私からすると、100円はまさに額面通り100円であり、銀行預金の残高証明書などで確認できるリアルな数字です。当たり前ですが、100円払えば100円のものを購入できます。

それが、投資家目線ではディスカウントされている。なぜこのようなことが起きてしまっているのでしょうか?

 

エージェンシーコストが発生している

多額の現金保有している企業は、次のような行動をとるおそれがあります。

  • 資本コストを下回り価値破壊するような、利益率の低いプロジェクトに投資する
  • 経営陣の保身でひたすら現金を抱え込む

コーポレートガバナンス(企業統治)が脆弱な企業は、保有現金を有効活用できない可能性があるのです。これは、エージェンシーコストと呼ばれています。

米国企業はコーポレートガバナンスが優れていて、日本企業はコーポレートガバナンスが脆弱。このようなことを聞いたことがないでしょうか。まず、米国企業の状況を見てみましょう。

ミシガン大学で行われた先行研究によると、米国企業が保有する現金の現在価値は次のようになっているそうです。

  • コーポレートガバナンスが優良な企業・・・1ドルあたり1.27-1.62ドル
  • コーポレートガバナンスが劣後している企業・・・1ドルあたり0.42-0.88ドル

ずいぶんと大きな差がありますね!

 

でも、よく考えてみると当然です。

例えば、すばらしい投資手腕を持っている投資家が保有している現金と、私が保有している現金とでは、たとえ同じ額面であったとしても実質的には同じ価値ではないでしょう。私が持っている現金は、浪費や消費、大して有望ではない投資先に向かってしまう可能性がありますからね。

コーポレートガバナンスの優劣は、間違いなく現金の実質的価値に影響を与えるのです。

 

一方、日本企業はどうでしょうか?広島経済大学と甲南大学の教授が行った調査によると、平均的な日本企業が保有するバランスシート上の現金1円は、0.55円ー0.74円になっているそうです。日本企業全体の平均が、米国のガバナンスの悪い会社の平均と同じレベルなのです。

 

実際に、海外の投資家は日本企業の現金の価値をどのようにとらえているのか?

柳氏が大手機関投資家に対して個人的に行ったアンケートによると、日本企業の保有現金を額面通り100%で評価している海外の機関投資家はたったの35%しかいませんでした。半数を大きく上回る、65%の投資家が一定のディスカウントを行ったうえで評価しているのです。

なぜこのようなディスカウントをするのか?という問いに対する答えは

  • コーポレート・ガバナンスが脆弱・・・42%
  • 投資の意思決定に対する懸念(ROEが資本コストを下回っている)・・・58%

となっています。

 

はい。

 

要するに、企業統治がガバガバで、投資がヘタくそだからってことですね。

グウの音も出ません(自らを省みて)

 

現金の定義を少し広めて、現金+有価証券を範囲とすると、ディスカウント率はさらに高まります。たいした利益を産んでいない持ち合い株に対する否定的な評価です。7割を超える海外投資家が、50%近いディスカウントをしているようです。

ちなみに、このような厳しい視点を持った海外機関投資家から見ても、今後日本企業がコーポレートガバナンスを改善し、財務のリテラシーを高めるのであれば、日本企業の現金の価値評価を高め日本株をオーバーウエイトしたいと思っているようです。

 

まとめ

B/Sに記載されている現金を見た目のまま100%評価をするのは甘い、ということですね。

大変恥ずかしながら、企業の保有現金を、企業のコーポレートガバナンスのレベルに応じてディスカウントするという視点を持ち合わせておりませんでした。よくよく考えると当たり前のことなのですが、目からウロコの思いでした。

特に、こびと株は次の投資先が定まらず多額の余剰金を抱えている企業が多いですから、もう少し企業価値をディスカウントして考えるべきなのかも知れませんね。

 

というわけで、本日のご紹介はここまで。

それではまたっ!

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ABOUTこの記事をかいた人

シーウィード

こびと株.comのボス(役割:投資対象の選定)。「お金の話」と「健康」をこよなく愛するアラサーリーマン。一部上場企業の経理/財務部で財務諸表を作成している会計職人。40歳時点で、給与以外の収入(配当/不動産/サイト運営)を月額20万円にすることを目標に活動中。187cmの大男。