【国民年金】無職の専業主婦というトンデモワードを使って対立を煽るたった1つの理由

 

こんにちは、シーウィード@こびとが見える経理マン(@kobito_kabu)です。

こんな記事がYahooニュースに掲載され、大きな話題を呼びました。

  • 政府は、「無職の専業主婦」の国民年金を半額にしようとしている

無職の専業主婦」というとんでもなく失礼なワードを使ったため、炎上ともいえる騒ぎになりましたね。

 

私の理解では、この話の本質はこんな感じです。

「無職の専業主婦」という言葉を使った理由
  • お金がないから専業主婦の年金減らします」と言ってしまったら年金制度不安が起こるので
  • 働く女性と専業主婦の間の「不公平感の解消」という見せ方を強調した

順に、説明していきたいと思います。

 

絶対に理解しておくべき国民年金の仕組み

年金制度は弱体化していきます。

その理由が分かるように、国民年金の仕組みを簡単に説明しておきます。

 

国民年金の被保険者【3種類】

国民年金には3種類の加入者がいます。

  • 1号被保険者
  • 2号被保険者
  • 3号被保険者

難しい言葉に聞こえますが、イメージ的にはこんな感じです。※厳密な定義とは異なります

  1. 自営業者
  2. 会社員・公務員
  3. 会社員・公務員の妻(専業主婦)


(出典:政府広報オンライン

現在、国民年金の保険料は月額16,000円ほど。

第3号被保険者は、これを負担することなくまるまる年金をもらうことができます。65歳以降、満額で月6,5000円ほど受給できるということです。85歳まで生きるならば、1,560万円もの金額になります。

 

これについて、不公平だという声があるわけです。

第3号については共稼ぎの妻働く独身女性などから「保険料を負担せずに年金受給は不公平」という不満が根強くあり、

政府は男女共同参画基本計画で〈第3号被保険者を縮小していく〉と閣議決定し、国策として妻たちからなんとかして保険料を徴収する作戦を進めている。

(出典:働く女性の声を受け「無職の専業主婦」の年金半額案も検討される

あたかも、女性間の対立を仲裁するために政府が検討してみるみたいな書きっぷりですね。

 

国民年金の財源【3つ】

年金初心者
ちょっと待ってよ。そもそも、なんでお金払ってないのに年金もらえるの?そのお金はどこから出てるの?

こう感じた人は、あらためて年金の仕組みを確認しておきましょう。

 

国民年金の財源は3つです。

国民年金の3つの財源
  1. 現役世代が負担する保険料
  2. 税金
  3. 積立金

 

国民年金は仕送り方式です。①あなた(現役世代)が今支払った保険料は、そのまま高齢者世代へとわたっていきます。

自分が将来受け取る年金を、自分で積み立てているわけではないということです。

②消費税などの税金も、年金へと姿をかえて高齢者へ支払われます。

残りは、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用している③積立金から、高齢者へ支払われます。

 

少しでもイメージを持ちやすいように、グラフで見てみましょう。

内訳はこんな感じです。


(出典:年金財政における積立金の役割

たとえば、2060年に月10万円の年金を受け取っている人がいたら

  • 20%は積立金から
  • 60%は現役世代が支払った保険料から
  • 20%は税金から

賄われているということですね。

 

× 自分が支払った保険料が、将来自分が受け取る年金になる

〇 ①現役世代が支払った保険料、②税金、③積立金が、自分が受け取る年金の原資になる

ということですから、専業主婦が過去に年金保険料を負担してきたかどうかと、将来自分が受け取れるかどうかには関係がありません。

制度設計上、受け取れる仕組みになっているというだけです。

 

ここまでのまとめ

国民年金には、3種類の加入者がいます。

3種類の加入者
  1. 自営業者等
  2. 会社員・公務員等
  3. ②の配偶者

 

世代間扶養の仕組みになっているため、自分が受け取る年金の内訳はこのようになっています。

国民年金の3つの財源
  1. 現役世代が負担する保険料
  2. 税金
  3. 積立金

 

専業主婦が年金を受給できる理由は、

  • 政府が(時代が)そういう家族の在り方(外で働く男性+専業主婦+子供)を推奨し
  • そういう年金制度設計にしたから

です。

 

国民年金は破綻しない。ひたすらに規模が縮小するのみ

国民年金が破綻する条件

この制度設計から分かることは、国民年金は破綻しないということです。

理論的には、破綻するケースはこれしかありません。どれか1つではありません。3つのすべてが起きるケースです。

国民年金が破綻するケース
  1. 現役世代が誰も保険料を払わなくなる
  2. 誰も税金を納めなくなる
  3. 積立金が枯渇する

現在で4,000万人以上いる会社員・公務員から、強制的に保険料を徴収するシステムが出来上がっていますから、保険料の負担者がゼロになることは考えにくいです。※年金一揆でも起これば別ですが

誰一人として消費税等の税金を納めなくなれば、年金の原資が枯渇することになりますが、これもありえない想定でしょう。誰も1円も税金を納めなくなっているとしたら、日本はすでに破綻しています。

積立金については、厳格な規律のもと運用されています(現在の運用残高は150兆円)。仮にこれが枯渇したとしても、年金原資に占める影響はそもそも20%ほど。結局、全く年金がもらえなくなるということはあり得ないのです。


(出典:政府広報オンライン

支えられる側と、支える側。

このバランスがいびつになり、制度が弱くなっていくだけです。

 

専業主婦をやり玉にあげた理由

超少子高齢化が進む日本の社会では、現役世代と高齢者世代のバランスがいびつなものになります。

国民年金が縮小するケース
  1. 現役世代の人数が減る(保険料の納付者が減る)
  2. 税収が減る
  3. 積立金が減少していく

 

国民年金の原資が少なくなっていく以上、受け手を減らすしかありません。ない袖は振れないのです。こうやって出てきた話題が、第3号被保険者の廃止論というわけです。

厚労省や社会保険審議会では、無職の主婦から保険料を取る方法も検討してきた。

「第3号を廃止して妻に国民年金保険料を払ってもらう案、妻には基礎年金を半額だけ支給する案、夫の厚生年金保険料に妻の保険料を加算して徴収する案などがあがっている」(厚労省関係者)

(出典:同上)

 

実のところ、実態はこれだけの話です。

× 働く女性から不満が出てるから、年金を減額するよ

〇 この国はお金が足りなくなっていくんです。今までは出せてたけどもう無理です

後者を言ってしまうと、年金制度そのものに不安を感じる人が増えてしまうでしょう。こんなことを言ってしまったら、年金の未納率が上がってしまいかねません。

 

それならば表向きは「不公平を解消するため」と言うほうがきれいですよね。なんとなく、理屈が立つような気もします。

とはいえ、専業主婦への年金給付を不公平だと認めてしまえば「今までなんだったんだ?」という議論になりかねません。まったく理由のない給付をしていたとでも言うのでしょうか?

専業主婦に対して、給付した年金の返還訴訟でも起こすつもりでしょうか?そんなこと、ありえませんよね。

今までの給付に理屈があるとしたら、これを否定する理由はないはずなのです。国は、専業主婦に対して年金給付に見合うだけの経済的価値を認めてきたのですから。

 

年金制度の縮小というのは、何も第3号被保険者の廃止論だけにとどまるものではありません。

年金制度の縮小
  • 支給水準の減額
  • 支給開始年齢の繰り下げ

超少子高齢化社会で生きていくというのは、要するに「誰も得しない」状態になっていく(今との比較で)ということです。第3号被保険者を廃止したところで、他の人の年金が増えるわけではありません

広く薄く、できるだけ多くの納得感が得られやすそうなところから、少しずつ削っていく。

これが悲しき現実です。

 

まとめ:こうやって、年金制度の縮小は進んでいく【これが現実】

  • 支給水準の減額
  • 年金支給開始年齢の繰り下げ
  • 第3号被保険者の廃止

この手の話題のねっこはすべて一緒です。

年金制度は破綻しないけれど、規模は縮小していく。そういうことです(規模の縮小を破綻と定義するのなら、すでに破綻は始まっています)。

 

人口動態・経済状況を考えると、年金制度の規模が拡大していく可能性は低いです。

  1. 年金が縮小するのなら、生活水準を下げれば良い
  2. 生活水準を下げたくないのなら、現役世代のうちに蓄えを増やせばいい

どうせ年金はもらえない、そういう極端な議論でごまかすのではなく、この状況を受け止めながらどのように対策をしていくかが大切ですね。私個人としての年金戦略はこんな感じです。

【年金対策】若い世代のリアルな戦略をご紹介。夢の鉄骨5階建て【20代~30代】

2019.06.23

いつ、どんなかたちで、誰の年金が削られていくかは分かりません。年金制度の現状を正しく把握し、自分にできることをやっていきましょう。

それではまたっ!

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ABOUTこの記事をかいた人

シーウィード

こびと株.comの管理人(役割:投資対象の選定)。お金の話と健康をこよなく愛するアラサーリーマン。一部上場企業の経理/財務部で財務諸表を作成している会計の専門家(日商1級・証券アナリスト)。40歳時点で給与以外の収入(配当/不動産/サイト運営)を月額20万円にすることを目標に活動中。187cmの大男。