ソーシャルレンディングの本質は”お金を借りたい人への貸付”ではなく”高利貸し業者に対する出資”である

こんにちは、シーウィード@こびとが見える経理マンです。

あまりにも株価が高すぎて、欲しい株が全く手の届く範囲にありません

不動産を手に入れようにも、バブルっぽいので手を出す気になれません。

ぼくの…おかねが…死に金…。そんなこんなで、ソーシャルレンディングに手を出すことにしてみたのですね。かわいい子には旅をさせよと言いますしね。獅子は子を谷に突き落とす。ぼくのおかねには頑張ってきてもらおうと思います。

で、ここからが本題です。このソーシャルレンディングについてですが、この投資によって発生した収益はなんと利子じゃないそうです。なんで貸した金から貰える利益が利子じゃねぇんだよこのすっとこどっこい

雑所得だそうですよ、奥さん。

「はァ?」と思ったので色々と調べてみました。このあたりがピンとくるようになったら、是非ソーシャルレンディングにチャレンジしてみましょう。

図を交えて出来る限り分かりやすく説明するので、お付き合いくださいませ!

 

※ソーシャルレンディングの仕組みなど全く知らぬ!という方は先にこちら(ソーシャルレンディングの仕組み)をお読みください。

 

ソーシャルレンディング各社HPに雑所得と明記されている

maneo

(ソーシャルレンディング最大手maneoのHPより)

 

(利子じゃなくて)雑所得と明記されていますね。

もう1つ、他社HPを確認してみます。

 

クラウドクレジット

(海外案件特化のソーシャルレンディング会社のHPクラウドクレジットより)

 

やっぱり雑所得です。

雑所得に該当することは分かったので、HPにちらほらと出てくる「匿名組合」とやらについて少し見てみます。

 

みんなのクレジット

(会員伸び率No.1のソーシャルレンディング会社みんなのクレジットより)

こんなややこしいテキスト、多分だれもちゃんと読まないと思うので、図を入れて解説します。ものすごく重要なところです!

 

ソーシャルレンディングの仕組みに対するありがちな勘違い

お金を借りたい人がいます。そして、貸したい人がいます。

ソーシャルレンディングの仕組み

 

しかし、このままでは2人が出会うことはありません。

なぜなら、出会う場所がないからです。

 

そこでソーシャルレンディング会社(業界最大手のmaneoを例にとります)が登場しました。出会い系サイトプラットフォームを用意したのです。2人の出会いの場をネット上に作り上げたわけですね。

ソーシャルレンディングの仕組み3

と、もしこういう仕組みであれば、金銭のやりとりをする契約当事者は「借りたい人」と「貸したい人」になります。上の図のおっさんとおねーさんが「お金の貸し借りをする契約」を結ぶはずです。

そして、仲介のお礼(出会わせてくれたお礼)として、サイト利用料なりなんなりをmaneoにお金を払うと。

この場合、おねーさんが貰える利益は「貸付金の利子」に他なりません。

それなのに、各種HPでの取り扱いを見た通り、ソーシャルレンディングの利益は雑所得という扱いなのです。つまり、上の図には本質的な誤解があるということになります。

 

正しい仕組みはこうです。

ソーシャルレンディングの仕組み4

借りたい人とmaneoの間で、「お金の貸し借りをする契約」が結ばれます。ここがとても重要です。お金の貸し借りの当事者になっているのは借りたい人とソーシャルレンディング会社で、そこに私たち投資家の存在はありません。

つまり、貸付金に対する利子を得られるのはmaneoです。

一方、maneoと貸したい人との間では、「匿名組合契約」が結ばれます。ややこしい名前の契約ですが、個人投資家は、maneoの金貸し事業の出資者として匿名でお金を出しているだけ、とお考え下さい。

ここで、maneoのHPに記載されている匿名組合契約の説明を見てみます。

匿名組合契約

「出資者(=私たち、投資家)が、営業者(=ソーシャルレンディング会社)の事業のために出資し、営業者が事業より生ずる利益を出資者に分配することを約束する契約のことをいいます。」と書かれていますね。

そう、仕組み上は、私たち投資家は「maneoの事業のために出資し、maneoの事業から生じた利益」を受ける契約になっているのです。

つまり、お金を借りたい人と貸したい人との関係性は、ここでは見出すことができません。2人は出会ってなどいないのです。

 

なぜ、投資家とお金を借りたい人との関係性が希薄なのか?

貸金業法に違反してしまうからです。

ここでは、弁護士さんの個人ブログを引用させて頂きます。

日本の貸金業法においては、金銭の貸付を②「業として」行う場合には、貸金業者の登録を行うことが必要とされています。

反復・継続して(すなわち繰り返し、一定期間続けて)行う意思をもっている場合には、②「業として」にあたると考えられています。貸金業者として登録されるためには、以下を含む一定の要件を満たすことが必要となります。
・登録を受けようとする者(法人の場合は常勤の役員)に、貸付の業務に3年以上従事した経験者がいること。
・純資産額が5,000万円以上あること。
・営業所・事業所を設置し、固定電話を設定していること。

(出典:https://jp-sv-startuplawyer.blogspot.jp/2016/01/fintech.html)

私たち投資家が、複数のボロワー(お金を借りたい人)に複数回お金を貸そうとすると、貸金業者として登録する必要が出てきてしまうわけです。

ソーシャルレンディングにおいてレンダー(筆者注:お金を貸す人)となり、資産運用したいと考える人は、一件の貸付だけではなく、複数のボロワーに対して複数の貸付を行いたいと考えるのが通常でしょう。

そうすると、アメリカやイギリスのように、レンダーがボロワー又はプラットフォームに対して貸付債権を持つという仕組みにした場合、レンダーは①金銭の貸付を②「業として」行っていることとなり、貸金業者の登録が必要となってしまうのです。
上記のとおり、貸金業者の登録の要件はかなり厳しいものとなっており、資産運用したい個人が貸金業者の登録をするのは現実的には難しいといえます。

(出典:同上)

このような背景があるため、あくまで「お金を借りたい人」にお金を貸すのは貸金業者として登録されたソーシャルレンディング会社であって、私たち投資家ではないということになります。

こういった事情があるため、私たち投資家は、ソーシャルレンディングを行うにあたり「誰にお金を貸すのか、貸出先の事業者名を知ることができません」し、「返済が滞ったときに取り立てを行うこともできません」。

借りたい人と貸したい人の関係性が強くなればなるほど、「maneoが個人投資家に名義貸しをしているだけ」とみられる可能性が出てくるからです。ソーシャルレンディングは、よく「情報開示が不足ぎみ」「案件の中身が不透明」と言われますが、そうならざるをえない背景があるのですね。

仕組みとしては(実態がどうかは別として)、ソーシャルレンディング会社の金貸し事業に出資していると考えるのが整合的なのです。(※海外のソーシャルレンディングの仕組みは、日本のそれとは異なっているようです。)

日本のソーシャルレンディングって、高利貸しに高利貸ししてるってこと!?

これが私の率直な感想です。

 

ソーシャルレンディング会社の役割が「仲介」だと思えない

家を借りたことがある人なら分かると思いますが、「賃貸契約」は、大家さんとあなたとの間で結びますよね。不動産会社(仲介)は、2人を出会わせてくれるだけです。

転職活動をしたことのある人なら分かると思いますが、「雇用契約」は会社とあなたとの間で結びますよね。転職支援会社(仲介)は、2人を出会わせてくれるだけです。

そういう意味では、日本のソーシャルレンディングの仕組みは仲介ではありません。契約は、

  • ①お金を借りたい人とソーシャルレンディング会社
  • ②ソーシャルレンディング会社とお金を貸したい人

のそれぞれで結ばれているからです。

お金を借りたい人と貸したい人は、直接的には何の契約関係もないです。

やっぱり、仕組み上は、高利貸しに対する高利貸しじゃん…

 

ソーシャルレンディング会社が金貸業をするために必要なお金をどう集めるか?

「お金を借りたくても借りられない中小事業者や新興国の事業者にお金を貸したい!」

「ソーシャルレンディングは金融経済の発展を支える新たな手法だ!」

というソーシャルレンディングのロマンチック?の面のお話は少し忘れて、

ソーシャルレンディングって、実は高利貸しに対する高利貸しじゃないの?という視点で話を進めます。

ソーシャルレンディング会社が金貸し事業を行おうとした際、その資金をどうやって調達するか?という話ですが、一般には銀行から借入を行うか、株式等を発行して投資家から出資を募るかですよね。

少し専門的な話になりますが、ここでソーシャルレンディング会社は匿名組合から出資を募るという方法を選択したのです。

資金調達方法

上の図は資金調達の方法として3つの選択肢があることを示しています。

  • 銀行からの借り入れ
  • 匿名組合からの出資
  • 株式の発行

です。

「返済順位」というのはソーシャルレンディング会社が倒産した場合の返済順位です。例えばmaneoが倒産してしまった場合、まずは残っている資産から銀行に借入金を返します。まだお金が残っていれば、次に匿名組合の出資者に返済します。そして、最後に株式の保有者に返済します。

会社が倒産したときに「株券がゴミになる」というのは、返済順位が最後で通常その段階では資産がもう残っていないからです。(そのリスクを背負っている代わりに、株の保有者には銀行などの債者より高い配当利回り・リターンが約束されているのですね。)

匿名組合出資金というのは、「その中間にある性格」のものです。

  • 貸出金・・・ローリスク、ローリターン(倒産した時にお金が真っ先に返ってくるが利回りが低い)
  • 株式・・・ハイリスク、ハイリターン(倒産した時にお金が返ってくる確率が低いが利回りが高い)
  • 匿名組合出資金・・・ミドルリスク、ミドルリターン(倒産した時にお金が返ってくるかもしれないし、返ってこないかもしれないが、利回りは真ん中くらい)

 

ソーシャルレンディングがミドルリスク・ミドルリターンと言われるゆえんでしょうか。

投資というのはリスクとリターンをどこまで許容できるかで決まるものですから、その選択肢が広がることは投資家にとっては確かにメリットです。

 

ここで、maneoの財務諸表を見てみましょう

貸借対照表1

総資産150億のうち、営業貸付金が120億円あります。

maneoは、この120億円を貸し付けて利子を得るというビジネスをしています。

この資金はどこから用意したのでしょうか?

財務諸表

借入金でも資本金でもなく、匿名組合出資金によって賄っていることが分かりますね。

これらを見てお分かりの通り、maneoは金貸し事業の元手を集めるのに、「銀行からの融資」でもなく「株式の発行」でもなく、「匿名組合契約」によって個人投資家からお金を集めているということが分かります。

 

ソーシャルレンディング会社がただの仲介会社なら、営業貸付金も匿名組合出資金もないはずです。だって、自分たちは、「借りたい人」と「貸したい人」を引き合わせているだけなのですから。基本的には、資産も負債もいらないはずです。

そうなっていない(個人投資家からお金を集めて他の人に高利で貸している)ということは、

やはり個人投資家は「高利貸し(ソーシャルレンディング会社)に高利貸ししている」だけなのではないか

トラストレンディング

貸付先から、時に13%もの利息をとって、2%の手数料を引いて11%の利益を個人投資家に渡す

(※貸倒のリスクは、投資家が負っています。ノーリスクで手数料とれる運営会社最強?)

うん。

やっぱり…高利貸しに対する高利貸し…

私は、そう感じてしまうのです。

 

なんで匿名組合分配益は雑所得なの?

所得税法基本通達というルールに記載があります。

厳密には違いますが、法律みたいなものだと思ってください。

匿名組合契約の利益は雑所得

赤字だけ抜粋します。

匿名組合契約に基づく営業者から受ける利益の分配は雑所得とする

(出典:国税庁HP)

 

もう逃げ場なく、間違いなくソーシャルレンディングの収益は雑所得です。国税庁様がそうおっしゃっているので。その性質は、利子でも配当金でもないのです。

補足説明:雑所得って?

所得税法で定められた10の所得のうちの1つ。「その他」みたいな感じの定義。

  • 総合課税
  • 損益通算できない
  • 損失を翌年以降に繰り越せない

税金計算の上ではデメリットが多い所得、と考えてもらって差し支えないです。

 

まとめ

  • 個人投資家は、ソーシャルレンディング会社の事業のために出資し、契約をしている。
  • ソーシャルレンディング会社は、高利貸しをして高い利息を得ることで投資家に匿名組合分配益を出している
  • 投資家はお金借りた人から直接利息をもらっているわけではないので、ソーシャルレンディングで得た利益は利子ではなく雑所得

ほんまに雑所得やねんなぁ。レンディング(貸付)なんだから、貸付金から発生する利息・分配金は利子所得なんだと思ってたんですけれど。大きな勘違いでございました。

実際、ソーシャルレンディング会社のウェブサイト内で利子とか分配金とかいう言葉も使われていますし、なかなか誤解を与えるような表現のような気がします。全部、匿名組合分配益っていう言葉を正確に使ってくれないとな~と思います。

ソーシャルレンディングというオシャレな言葉に隠された何かを垣間見た気がしますね…

 

さて、歴史的に見て、「高利貸しは儲かるビジネス」です(利息制限法の範囲内でお願いします。)

高利貸しは必ずしも悪とは言えず、maneoの社長が言っているように「ファイナンスの隙間(銀行で借りられない人達の資金調達ニーズ)」を埋めて経済を活性化させる可能性もあります。高いリスクに対して、相応のリターンを要求するのは当然のことですからね。

そして、高利貸しのリスクコントロールのその神髄は「少額」を「たくさんの人に貸す」ことにあります。

小口でたくさんの人に貸すのが最もリスクを抑えて高い収益を上げる方法なのです。

というわけで、私は色々な会社で口座を開設して、最小口数で案件に投資して利回り5~10%を狙ってみようと思います。総資産の10%くらいの水準でしか投資しないとは思いますけどね。

ソーシャルレンディングは、社債や株式とも違う新しい「リスク・リターン」の性質を持った金融商品です。

お金に「綺麗な金」も「汚い金」もない!高利貸しでも良いから資産運用してみたい!という方は、分散投資の一角として、是非ご検討下さいませ。今後、ますます流行が期待される分野でございます。クラウドクレジットなんかは面白いですね。

クラウドクレジットの評判&リスクについて語る【完全解説版】

2017.02.02

それではまたっ!

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2 件のコメント

  • 日本国内では、高利貸しとされる利率でも海外では低い利率である。という事実がぬけています。
    その通りなんでしょうけど、例えばタイでは、事業資金を銀行から借りた場合、月で7%の利息がとられます。
    調べてみたら面白いですよ。
    例えば現地では融資金利90%の国で日本では法的に禁止な80%で融資したら、日本の方々は暴利だ。とかいうんでしょうけど、現地の人にとっては、めちゃくちゃうれしい低金利のサービスになりますよね?
    分かります?
    ちなみに https://tradingeconomics.com/country-list/bank-lending-rate
    で確認すると年間50%などの利息を銀行がとっている国も多くあることが分かります。
    ちなみに”上限金利”自体を法律で定めている国も地球規模でみると少ないというのも事実です。

    自己責任の国では、利息が高いなら’借りなきゃいい。安いところを探して借りる。
    当たり前ですよね?

    日本国内で言う高利貸し。という点においてはあってますし、スキームもその通りですが、相手先の現地にとってはそれでも十分なメリットが出ることもありますのでコメしてみました。

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    シーウィード

    こびと株.comの管理人(役割:投資対象の選定)。お金の話と健康をこよなく愛するアラサーリーマン。一部上場企業の経理/財務部で財務諸表を作成している会計の専門家(日商1級・証券アナリスト)。40歳時点で給与以外の収入(配当/不動産/サイト運営)を月額20万円にすることを目標に活動中。187cmの大男。