こんにちは、こびと株(kobito_kabu)です。
現在、
- 高配当株投資
- インデックス投資(つみたてNISAやiDeCoのみ)
の両刀で資産運用をやっています。
毎月恒例企画ということで、7月の投資トピックスについて「この2つの投資にどのような影響があるか」という観点で、まとめていきます。
本記事の構成はこの通り。
- 日本株の投資トピックス
- 外国株の投資トピックス
- まとめ:高配当株投資のポジションについて
目次
日本株の投資トピックス
日本株については、以下の順番で解説します。
- 株価指数の推移
- その他指数の推移
- 7月のトピックス
①株価指数の推移(日経平均・TOPIX・J-REIT・マザーズ)
7月29日時点の株価は、この通り。
- REIT指数:2,022pt(-2.84%)
- TOPIX:1,940pt(-4.43%)
- 日経平均株価:27,802円(-5.12%)
- マザーズ指数:719pt(-26.43%)
※端数は四捨五入。カッコ内は、いずれも「年初来」。
この4つの指数の、年初来の値動きを見てみるとこんな感じです。
7月単月の動きを見ると、この通り。
- マザーズ指数 +8.61%
- 日経平均株価 +5.34%
- TOPIX +3.71%
- REIT指数 +2.80%
- 日本株が強かったというよりは
- 米国株に引っ張られた
という印象の方が強いですね。
S&P500の成績は、月間+9.11%。
これは2020年11月以来の高い伸び率です。
岡三証券によると、7月28日までに発表を終えたTOPIX採用企業(2月、3月決算)の業績は次の通り。
- 第1四半期の営業利益は前年同期比7.4%増
- 利益サプライズはポジティブが78社
- ネガティブが58社
ポジティブ企業がやや優勢となっており、全体的に見ると経済状況は悪くありません。
とはいえ、自動車関連の企業で「下方修正」が相次いでおり、楽観ムードとも程遠いです。
②その他指数の推移
この2つをチェックしておきます。
- 景気動向指数
- その他の指数(物価、失業率・求人倍率など)
まず、①景気動向指数(先行指数)について。
5月の数値(7月27日公表)は、101.2となりました。
(出典:景気動向指数 速報からの改訂状況)
景気動向指数は、
- 景気全体の現状を知ったり
- 将来の動向を予測したりするときに
使われる経済指標です。産業、金融、労働など、経済に重要かつ景気に敏感な30項目の景気指標をもとに指数が算出されています。
色々な指標をミキサーに入れてスイッチをいれると、1つの「景気動向指数」ができるというイメージです。
景気動向指数を見る上で大切なのは、この2つ。
- この数カ月、プラストレンドか?マイナストレンドか?
- プラス幅(又はマイナス幅)はどれぐらいか?
ココ1年の推移を見てみると、この通り。
- 6月 104.7(前月比+2.2ポイント)
- 7月 104.0(前月比-0.7ポイント)
- 8月 101.6(前月比−2.4ポイント)
- 9月 99.9(前月比-1.7ポイント)
- 10月 100.6(前月比+0.7ポイント)
- 11月 102.0(前月比+1.4ポイント)
- 12月 102.9(前月比+0.9ポイント)
- 1月 101.3(前月比-1.6ポイント)
- 2月 100.3(前月比-1.0ポイント)
- 3月 100.8(前月比+0.5ポイント)
- 4月 102.9(前月比+2.1ポイント)
- 5月 101.2(前月比-1.7ポイント)←New!!
ここしばらく、
- 景気が悪い(悪くなりそう)、という状況ではないけれど
- 景気が勢いよく伸びていく、という状況でもない
という感じが続いています。
ところで、日本政府は毎月「月例経済報告」という報告書を公表しています。
これは景気に対する「政府の公式見解」と言えるものです。
政府は26日発表した7月の月例経済報告で
- 国内景気の基調を「緩やかに持ち直している」とし
- 今年4月以来、3カ月ぶりに上方修正しました
- 「緩やかに持ち直している」という表現は、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」により景気が上向き始めた平成25年5月以来の判断です
景気は、腰折れすることなくしっかりと回復していくのか?
引き続き、要観察ですね。
次に、②その他の指数について。
まず、消費者物価指数(7月22日発表)。
こちらは、前年同月比+2.2%となりました。
(出典:日本経済新聞「6月の消費者物価2.2%上昇 エネルギー・食品高騰」)
- 物価の上昇は、10ヵ月連続
- 4月の消費者物価指数が7年1ヵ月ぶりに2%超えを記録してから、3ヵ月連続の2.0%超え
- 電気代などエネルギーの上昇率は16.5%、生鮮食品が+6.5%、生鮮食品を除く食品も+3.2%
という感じ。
電気、ガソリン、食料品の大幅値上がり。
まさに生活直撃ですね。
最後に、雇用関係(失業率、求人倍率)の指標です。
- 6月の完全失業率…2.6%(前回は2.6%)
- 6月の有効求人倍率…1.27倍(前回は1.24倍)
※完全失業率が2.2%ぐらいまで戻ればほぼ完全雇用=ゴール。
(出典:日経新聞「有効求人倍率6カ月連続上昇 6月1.27倍、失業率は横ばい」)
特に大きな動きはなく、安定している状況です(少しず~つ、良くなっています)。
ここまでの話をまとめます。
- 7月の日経平均株価は+5.34%
- 日本企業の業績は悪くない(TOPIX採用企業の営業利益は前年同期比+7.4%。利益はポジティブサプライズの企業の方が多い)
- 政府の公式見解としては、景気は「緩やかに持ち直している」状況
- 物価上昇率は日銀目標の2.0%超え(3ヵ月連続)
- 失業率は低水準で、雇用環境は悪くない
③7月の国内トピックス
日本株について、今月のトピックはこの2つです。
- 参議院選挙 自民党大勝
- 1ドル=139円台を記録、24年ぶり円安
参議院選挙 自民党大勝
7月10日、参議院選挙が行われました。
- 参議院の定員は、全248名
- 任期は6年
- 3年ごとに半数が改選されます
今回は、124名+欠員1名の、全125席を巡る争いです。
(出典:NHK政治マガジン「参議院選挙は7月10日投票 選挙の仕組み&9党党首らコメント」)
結果はこの通り。
(出典:NHK政治マガジン)
自民党の大勝です。
自民党の獲得議席は63議席なので、単独で「争われた議席の過半数」を制したことになります。
「非改選」も含めた参議院全体の勢力図は、こうなりました。
(出典:日経新聞)
Before・Afterでは
- 与党は議席数を増やし
- 野党は議席数を減らした
というカタチです。
おおざっぱに言いって、国民は岸田政権を支持したということです。
衆議院選挙を解散しない限り、次の3年間は大型の国政選挙がありません。
選挙を意識せずやりたいことがやれる、「黄金の3年間」というワケ。
とはいえ、現実は甘くはありません。
重い課題が山積しているからです。
- 新型コロナウイルス対応
- 急激な物価高/円安対応
- 外交・安全保障問題
- 改憲の議論
- 金融政策・日銀総裁の後任人事(黒田さんの任期は2023年4月までです)
- 新しい資本主義の具体化(結局何をやるのか、いまだに誰も分かってません(笑))etc…
株式市場の目線では、政権安定(長期政権)は株高要因です。
しかし、岸田政権の場合はどうなるか分かりませんね。
選挙での圧勝により、「増税しやすくなった」のは事実でしょう。
1ドル=139円台を記録、24年ぶり円安
14日、1ドル=139円台まで円安・ドル高が進みました。
(出典: 「1ドル139円台 約24年ぶり円安…1日で約2円値下がり)
※なお、1995年~現在の間では、1998年8月につけた147円64銭が「最安」
約24年ぶりの円安水準になっている背景は、この通りですね。
- 世界中の中央銀行が利上げするなか、日本だけ利上げしない(お金は金利の高いところに集まるので、金利の低い日本からはお金が逃げていく=円安になる。)
- 世界各国で旅行者の受け入れが拡大するなか、日本だけ実質鎖国状態(外国人旅行者がたくさんいれば、円をたくさん買ってもらえる=円高になる。)
- 貿易収支の赤字が拡大
実際、これだけの円安になっているにもかかわらず、7月20日/21日の日銀の金融政策決定会合では
ということになりました。
要は、円安容認です。
「日本円、オワコンになるじゃん!」
と言いたくなるかもしれませんが、現状「円だけが弱い」というワケでもありません。
今、外国為替市場で注目を集めているのは、ユーロの急落です。
13日、ユーロは20年ぶりに「1ユーロ=1ドル」という等価(パリティ)を割り込みました。
海外旅行好きの人は、ざっくりこんなイメージを持っているんじゃないでしょうか。
- 1ドルは100円~110円ぐらい
- 1ユーロは、120円~140円ぐらい
「円換算すると、ユーロのほうがドルより高い」
これが「通常の感覚」ですよね。
ところが、13日にはこの関係が逆転したワケです
今、市場関係者は
- ユーロ圏のリセッション(景気後退)の方が、米国よりも深刻そう
- 金利が高いぶん、ユーロよりドルの方が魅力がある
こう考えています。
結局、円がどうのこうの以前に、ドルが強いということです。
とはいえ、米国の金利上昇ペースにも一服感が出てきました(外国株のトピックスで解説します)。
となると、今度は為替の「逆回転」が起きると考えるのが自然でしょう。
実際、29日には1ドル=132円台を記録。
1週間で6円の円高というのはなかなかの乱高下ですね。
もちろん、米国でインフレがおさまらず、ゴリゴリ利上げが続くならその限りではないですけどね。
外国株の投資トピックス
お次は、外国株の話題です。
外国株については、この4つの順番で見ていきます。
- 株価指数の推移
- ゴールド・債券ETF等の値動き
- 高配当ファンドの値動き
- 7月のトピックス
①株価指数の推移
G7(主要先進7ヵ国)の、主な株価指数の推移(年初来)はこの通り。
※グーグルファイナンスでは、チャートを5つまでしか同時比較できないので、泣く泣く「FTSE MIB(イタリア)」を抜いています。
- FTSE100(イギリス) −1.09%
- S&P TSX(カナダ) −7.27%
- CAC40種(フランス) −10.65%
- S&P 500(米国) −13.89%
- DAX30(ドイツ) −15.83%
- FTSE MIB(イタリア) −19.20%
TOPIX(日本)は−4.43%。
いずれも年初来でマイナス圏に沈んでいます。
日本株は、相対的に見るとかなり健闘してますね。
7月単月の動きを見ると、この通り。
米国株の1月~6月の成績は、約-21%。
上半期としては1970年以来約50年ぶりの大幅安でした。
7月は、打って変わって+9%と好調なスタート。
主な要因は
- 思ったより早く金利上昇が抑制されそうなこと(後ほど、トピックスで詳しく解説)
- AppleやAmazonなど、主要企業の業績が良かったこと
などですね。
- 株価は底打ちし、反転上昇するのか?
- ただのトラップで、2番底を目指してまた下落するのか?
なかなか難しい雰囲気になっていますね。
個人的には、まだまだ懐疑的です。
米国の
- 利上げ
- QT※
※QT:米国の中央銀行にあたる「FRB」が、保有する資産の量を減らすこと。
これらが、今後どうなっていくかまだ分かりません。
FRBの総資産額とS&P500の間には極めて高い相関性があります。
- FRBが資産を減らすと
- S&P500の株価は下がる
そうなりやすい関係にあるんですね。
②ゴールド・債券ETF等の値動き
有名なゴールドETFである、「GLD」の値動きはこの通り。
(出典:グーグルファイナンス SPDRゴールド・シェアーズ(GLD))
年初来でプラスの成績を維持してきたゴールドですが、年初来-2.51%とマイナス圏に沈みました。
金価格は、
- 3月にピークを打った後
- 7月にかけてグダグダと値が下がり続けています
背景にあるのは、米国の利上げです。
今後、金利が1%、2%と上がっていくのなら、
- 利息が一切もらえないゴールドより
- 利息がもらえる債券の方が
投資家に好まれるようになる、というワケです。
ゴールドというのは、
- 戦争
- 大災害
- 金融危機
- ハイパーインフレ
といった非常事態に強い一方で、
- 合理的な期待リターンは、予測不可能
- リスクが高い(ときに、株式よりも価格変動が大きい)
という特徴があります。
したがって
- チャートを読んで華麗にトレードを決める(売却益をゲットする)、というよりは
- 幅広い分散投資の一角として、資産の数%~10%程度を「有事に対する備え」として持つ
という姿勢が良いのかなと。
インフレ、ウクライナ・ロシアの問題、米中対立など、懸念はいくらでもありますからね。
※でも、私は買いません。インカムのない資産は、私の投資方針と合わないからです。
お次は、債券です。
投資額に対して2%~5%ほどのインカム(利息)が欲しければ、米国債券が有望な投資候補になります。
米国の優良債券ファンドを3つチェックしてみましょう。
- AGG:ローリスク・ローリターンな債券(格付け高く、利回り低い)
- LQD:ミドルリスク・ミドルリターンな債券(格付け普通、利回り普通)
- HYG:ハイリスク・ハイリターンな債券(格付け低く、利回り高い)
米国総合債券に投資する【AGG】というファンドのチャートはこの通り。
- 年初来−8.15%
- 現在の分配金利回りは1.95%
- 投資対象の約7割は、格付けがAAA(トリプルエー)の債券です
価格推移はイマイチで右肩下がりが続いていますが、「底値付近」にある感じも出てきています。
値下がりの理由は、金利上昇です。
「債券」と「金利」は、シーソーの関係にあり、逆の動きをします。
その証拠に、金利のチャートを見てみましょう。
こちらは「米国の長期金利(10年国債)」の推移です(現在の金利は約2.65%)。
(出典:三井住友銀行「マーケット情報チャート」)
米国における2023年・2024年の金利水準(予測)は、ぼちぼち落ち着きつつあります。
長期金利の水準がせいぜい3.5%ぐらいだろうと考えるなら、買いのチャンスは近いかもしれません。
米国優良社債に投資する【LQD】というファンドのチャートはこの通り。
- 年初来−12.58%
- 分配金利回りは2.72%ほど
- 投資対象の約8割は、格付けがBBB(トリプルビー)~Aの債券です
- ギャンブル性の低い「投資適格」な債券であるものの、AGGよりは安全性が低いです
こちらも、金利上昇を背景に、価格推移はイマイチです。
最後は【HYG】です。
「ジャンク」「ゴミ」と言った呼ばれ方をする「投資不適格の債券」を集めた、ハイリスクな債券ファンドです。
- 年初来−10.10%
- 現在の利回りは4.68%ほど
- 投資対象のほぼすべてが、格付けCCC(トリプルシー)~BBの債券です(リスクが高いぶん、長期的なトータルリターンは大きい傾向)
こちらも、AGGやLQDと同様に、長期金利の下落を受けて価格は上昇しています。
まとめると、
- AGG(総合債券)…−8.15%
- LQD(優良社債)…−12.58%
- HYG(ジャンク債)…−10.10%
いずれも年初来で大きなマイナスリターンです。
ウォールストリートジャーナルによると、今の債券相場は「1842年以来最悪」レベルのものだそうです。
2022年はこれまでに、インフレが加速する中で米国債市場は10%下落した。米史上最悪のリターンに入る水準だ
(出典:WSJ「1842年以来最悪の米債券相場、なぜ朗報なのか」)※赤字は筆者
米国債は、
- 1976年以降、4年を除いて全ての年でプラスのリターン
- FRBが6回の利上げで計2.5%も金利を引き上げた1994年でさえ、全体としてわずか3%の下げにとどまった
ということなので、2022年の米国債券市場はまさに「総悲観」と言える状況ですね。
世界的に見ても、利上げの影響で債券価値は急激に減っています。
世界の債券の価値は、半年で2300兆円も減少したとのこと。
(出典:日経新聞「世界の債券価値、半年で2300兆円減 債務依存の成長転機」)
「総悲観は買い」ということで、日に日に投資妙味が増している債券。
しかし、日本人投資家ならではの注意点もあります。
それは、為替リスクです。
外国債券のリターンに占める「為替の影響」は非常に大きいです。
たとえば、
- 年3%の利息を7年間もらう(合計21%の利益)
- 為替が130円→100円と円高になれば、投資元本に約23%の為替差損が生じる
- せっかくの「利息」が「為替」で台無しになる
そんなイメージですね。
株式であれば、10年20年の間に株価が1.5倍2倍と成長する可能性があります。
そうなれば、20~30%の為替影響も十分に吸収できるでしょう。
一方、債券は株式のようには価格が伸びません(債券のリターンの大半は、利息が生み出します)。
だから、為替影響を吸収するのが難しくなるんですね。
結局、米国債の狙い時は
- 利回りが高い時(しかも、それ以上金利が上がらなさそうな時)
- 円高の時(少なくとも”円安”ではない時)
というワケ。
今は、①の面で魅力的になりつつありますが、②がダメですね。
③インカム系ETFの値動き
私の愛する高配当株ETFについて。
- キャピタル(売却益)も
- インカム(分配金)も
両方狙えるポテンシャルのあるファンドたちです。
HDV、VYM、SPYDの年初来のチャートは、この通り。
分配金を無視して価格だけ見ると
- 1位がHDV…+2.66%
- 2位がSPYD…−2.31%
- 3位がVYM…−5.56%
という順位になりました。
年初来で
- S&P500が−約14%
- NASDAQが−約22%
と沈んでいることを考えると、健闘していると言えます。
※ただし、7月単月で見るとグロース株ファンド(+11.95%)に大きく負けており、トレンドが変化しつつある感じもあります。
今後の景気後退に備え、高配当株を推奨するプロも増えてきていますね。
ゴールドマン・サックスのデービッド・コスティン氏は過去の不況期の経験を踏まえ、配当の利回りや伸び率の高い銘柄を顧客に推奨している。
S&P500種株価指数の採用銘柄は第2次大戦後に生じた景気後退局面でも中央値で1%しか配当を減らさず、トータルリターンで底堅さを期待できるとみる
(出典:日経新聞「不況到来に備える市場、高配当銘柄に関心」)※赤字は筆者
推奨タイミングの是非はさておき、「景気後退局面でも減配しにくい」というデータは知っておいても良いでしょう。
米国企業は、日本企業と違い意地でも配当金を減らさない企業が多く、安心感があります。
現在の分配金利回りは
- SPYD:約3.9%(過去平均は約4.1%)
- VYM:約3.1%(過去平均は約3.1%)
- HDV:約3.1%(過去平均は約3.4%)
という状況。
低すぎる!というほどではないですが、特に旨味を感じる水準ではありません。
個人的には、この状態では買い増ししません。
④7月の海外トピックス
最後に、外国株のトピックスです。
この2つを順番に見ていきます。
- FOMCで再び0.75%利上げ決定
- 欧米でPMIが悪化中
FOMCで再び0.75%利上げ決定
海外トピックスの常連、FOMCです。
「またその話!?」と思うかもしれませんが、毎回超重要なので致し方ありません。
- 日本では春夏秋冬と四季が巡りますが
- その間に何度も割り込んでくるのがFOMC(全8回)の話題です
「春はあけぼの、夏は夜」なのが普通の日本人。
春はFOMC、夏もFOMC、秋もFOMC、冬もFOMCなのが投資家です。
四季の移ろいより、金利の移ろいの方が風情がありますからね(ありません)。
注目ポイントは、相変わらず利上げ動向。
今回(7月26日・27日)も0.75%の引き上げが決定されました。
前回6月に引き続き、通常の3倍の大きさ(0.25%ずつ引き上げるのが通常)の大幅利上げ。
政策金利の誘導目標は、2.25~2.5%になります。
(出典:時事ドットコムニュース)
とはいえ、0.75%の利上げはすでに織り込み済み。
ぶっちゃけノーサプライズでした。
注目を集めたのは「実際の利上げ幅」ではなく、パウエル議長のこの発言。
(参考:Yahoo!ニュース「FRBの金融引き締めは次のステージへ」)
これを聞いた投資家たちは、ビックリ。
と考えたワケですね。
この発言の直後、株価は大きく上昇しました。
利上げペースを緩めるということは
- 株価には優しい一方(一般に、金利が下がれば株価は上がります)
- 本当にインフレを退治できるかどうか微妙になります
うまくいけば「インフレ退治」と「好景気」の両取りができますが、ヘタすると「インフレの長期化」を招くリスクがあります。
パウエル議長は
- 今後の利上げ幅は、経済指標しだい
- これまで示してきたような明確なガイダンス(事前に「こんな金融政策でいくよ~」という方針を明らかにすること)は提供しない
- 「会合ごとに」判断していく
といった話をしていますから、利上げペースの減速は確定事項ではありません。(参考:WSJ)
しかし、今までとはちょっと雰囲気が変わった会見であったことは間違いないですね。
ちなみに、利上げは米国に限った話ではありません。
世界的な動向になっています。
といった感じですね。
欧米でPMIが悪化中
欧米で、PMIが悪化しています。
景気の方向性を示す経済指標で速報性の高さから金融市場で注目される。正式名称はPurchasing Managers’ Index(購買担当者景気指数)。
企業の購買担当者に新規受注や生産、雇用の状況などを聞き取り、景況感についてアンケート調査した結果を指数化したもの。
50を判断の分かれ目としてこの水準を上回る状態が続くと景気拡大、逆に50を下回る状態が継続すると景気減速を示す
(出典:野村証券「証券用語解説集」)
米国の、サービス業・製造業を合わせた総合PMIは47.5(先月は52.3)。
好不況の分かれ目である50を割り込み、2020年5月以来の低水準となりました。
(出典:米企業活動が約2年ぶりに縮小、総合PMIは2020年5月以来の低水準)
製造業PMIに関しては52.3と「50」を上回っていますが、こちらも約2年ぶりの低水準です。
明らかに、景気減速の兆候が見て取れますね。
なお、28日にはアメリカのGDPが発表されています。
- 前回(1月~3月):マイナス1.6%
- 今回(4月~6月):マイナス0.9%
※いずれも年率換算
2四半期連続マイナスですね。
一般に、GDPが2四半期連続でマイナスになることを「テクニカル・リセッション」と呼びます。
GDPだけでざっくり判定するなら、「2四半期連続で経済成長がマイナスになってたら不景気認定だよ」ということです。
ただ、バイデン政権はこれを「本物のリセッション(景気後退)ではない」と判断しています。その根拠の1つは、3.6%という歴史的低水準の失業率。
本当に不景気なら、これほど雇用環境は良くないはずですからね。
ヨーロッパでも、PMIは悪化しています(カッコ内は前回数値)。
- スペイン:53.6(55.7)
- イギリス:52.8(53.7)
- イタリア:51.3(52.4)
- フランス:50.6(52.5)
- ユーロ圏:49.4(52)
- ドイツ:48(51.3)
節目である50付近にあるものの、直近トレンドとしては下落方向です。
なお、中国の数字は55.3(前回42.2)と強めですが、住宅ローンの返済を拒む人が急増しているなど不動産市況がますます怪しい感じになっており、楽観はできません。
まとめ:高配当株投資のポジションについて
以上をまとめると、この通り。
- 7月の日本株は、米株に引っ張られて堅調
- 営業利益は前年同期比7.4%増で、ポジティブサプライズの企業が優勢。経済状況は悪くはない
- 参院選は自民党大勝、長期政権が吉と出るか凶と出るか
- 相変わらずの円安だが、日米金利差縮小予測から直近は円高に振れた
- アメリカを始め、世界中でインフレ・利上げ・景気後退の懸念が続く
- ゴールドは米利上げの影響で下がり気味、債券相場は1842年以来最悪レベル。半年で債券価値2300兆円消失
- 高配当株は健闘中も、直近では勢い弱まる(グロース優勢に)
- いよいよ不景気突入なのか、どうなのか?曖昧な経済状況が続く…
という感じです。
- S&P500やナスダックなど、米国株一強だった昨年とはうって変わって
- 米国以外の先進国株、バリュー株、コモディティなどが相対的に強くなったものの
- バリュー株、コモディティなども不調になりつつあり
非常に難しい相場になっています。
直近ではグロース株が持ち直しましたが、インフレがおさまらずまた金利が大きく上昇するようなことがあれば、厳しい値動きになるでしょう。
米国の金融政策にばかり目がいきがちですが
- ウクライナ情勢
- 世界各国のインフレ進行
- 中国の不動産市況
など、不安要素は盛りだくさん。
改善しつつあるとはいえ、投資家心理はまだまだ不安定です。
個人的には、
- インデックス運用(iDeCoやつみたてNISA)は、淡々と継続
- アクティブ運用(高配当株投資)は、日本株については「割安」なものがあればピンポイントでちょっと買う(米国株は静観)
というスタンスです。
- 現金のままにしておくと、インフレでやられる
- 債券を買うと、金利上昇で価格が下落する
- 株を買うと、下落相場に巻き込まれる可能性がある
- コモディティは、意外と価格変動が大きく短期の守りには向いていない…
どのように資産を守り、そして増やしていくか、難しいフェーズですね。
個人的には
- インフレで多少削られることを承知で
- キャッシュを積み上げて守りを厚くしておいた方が
長い目でみればトータルで良いポジションを作れるんじゃないかなと思っています。
そういう温度感です。
上手に対応して、生き残っていきましょう!
それではまたっ!
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