こびと株.com(@kobito_kabu)がお送りする、毎月更新の定例記事です。
※データが多すぎて記事が重いです。すみませんm(_ _”m)
抽出時期 :各月末
対象市場 :東証一部、東証二部、東証JASDAQ
配当利回り:税引き前3.75%以上(税引き後3%)※復興特別所得税は無視
目次
サマリー
2021年4月30日時点
全体指標
- 日経平均:28,812.63円(前月比-366.17円)
- 日経平均PBR:1.27倍
- 日経高配当株50配当利回り:3.96%(前月比+0.07%)
- 円/ドル:1$=109.26円
配当利回りが3.75%(税引き後3%)以上の企業数
全部で275社。先月より53社増加しました。
- 一部上場 :215社(前月比+ 43社)
- 二部上場 : 30社(前月比+ 7社)
- JASDAQ上場 : 30社(前月比+ 3社)
全体感
4月の投資トピックスについては、こちらの記事で解説しています。
まとめると
- 直近1年で、J-REITのリターンがTOPIXを逆転(不動産市場も割安感なくなった)
- 日本の景況感は回復トレンドを維持するも、ペースは鈍化
- 日経平均、TOPIX、上値が重い展開続く
- ゴールドの価格下落はいったん底打ち
- 米国株絶好調(ダウ、S&P500、ナスダック、どれも強い)
- 目下の株価下落要因は「長期金利上昇」「増税」
- 世界中の中央銀行が「金融緩和継続」を明言
という感じ。
配当利回りランキング(東証一部上場)
- ※エクセルオンラインのデータが表示されます
- 証券コードをクリックすると、Yahooファイナンスのページに飛びます
※1 「-」は、前月ランク外であった銘柄
※2 2017年1月以降で、月末の配当利回りが3.75%を超えていた月の数
まず最初に、ランキング初登場銘柄を確認しておきましょう。
この5つです。
※三菱HCキャピタルは、三菱UFJリース(連続増配22年の優良高配当株)が社名変更したもので、過去から紹介している銘柄です。
三菱HCキャピタル以外は、
- 超長期的なスパンで
- ポートフォリオ全体として元本を守りながら(成長させながら)
- 高配当を貰い続ける
という目的には合わない銘柄です。
魅力的な高配当株が見つからないなか、どんな戦略をとるべきか?
今月の記事では
- 配当金は再投資すべきか?
- 分配金利回り5.4%~6.3%のインフラファンドの活用はアリか?
- これから高配当になりそうな株=「低利回り増配株」を買うのはアリか?
この3つのテーマについて語りたいと思います。
「買いたい高配当株」が見当たらなくなった時
- 利回りが足りないのに、無理して買っちゃう
- やたら利回りが高い(高く見える)”株以外の商品”に、興味を持ち始めたり
- 今までの銘柄選定ルールを”変えて”、新しいルールを作って株を買っちゃう
というのは、高配当株投資家あるあるな気がします(笑)
はたして、それで良いのか、悪いのか?
順番に見て行きましょう。
テーマ①:配当金は再投資すべきか?
どんな相場だろうと、配当金は振り込まれ続けます。
これを使って
- 再投資すべきか?
- それとも、将来のタネ銭としてとっておくべきか?
- それとも、使っちゃう?
この「山より高く」「海より深い」悩みに答えるために、配当再投資のメリット・デメリットを整理します。
配当金を再投資する、唯一にして最大のメリットは
こと。
資産運用の目的が「お金を増やすこと」だとすれば、これ以上の理由はありません。
こちらの図をご覧下さい。
(日経電子版 マネーコラム Money&Investmentより抜粋)
当然と言えば当然ながら、
- 配当を再投資する場合
- 配当を再投資しない場合
を比べると、①配当は再投資する場合の方が、おカネの増え方は順調です。
日経平均株価にせよ、S&P500にせよ、配当金は再投資した方がトータルリターンは高くなります。
- 配当金再投資が有効なのは
- 高配当株投資に限った話ではない
んですね。
しいて言うなら
- 配当金額の大きい高配当株の方が
- 投資期間が長くなればなるほど
再投資するかどうかによる差はさらに広がる、という感じです。
- 10年で2.5倍になる
- 10年で3倍になる
「どっちがいい?」と聞かれれば、多くの人が「もちろん②10年で3倍!」と答えることでしょう。
効率良くお金を増やしていきたいなら、配当金は再投資一択です。
次に、配当再投資のデメリットを見ていきましょう。
こちらは
- 「今」を楽しむことを忘れがち
- せっかくの高配当株のメリットを活かせない
の2本立てです。
まず1つめ「「今」を楽しむことを忘れがち」について。
「配当金を再投資して将来のお金を増やす」という選択は、おカネを使う機会を将来に先送りすることになります。
みたいな感じですね。
けれども、私たちは、自分の寿命を知ることができません。
- 老後まで生きて、タイムカプセルからおカネを取り出せるかもしれないけど
- おカネを使うことなく、来年とか明日とかに死んでしまうかもしれない
これを考えると、「将来のためだけに頑張る」「今はひたすらガマンする」という選択は、あまり魅力的とは言えないですよね。
さらに、
- 30歳で使う100万円
- 80歳で使う100万円
この2つの価値は同じではない、という考え方もあります。
30歳で100万円を使えるのなら
- 世界中を旅したい
- カッコよく、可愛く着飾りたい
- オシャレなお店でディナーコースを…
など、楽しいコトを色々思いつくでしょう。
けれども、80歳になった頃には
- 旅行する体力はない
- もうオシャレに興味はない
- 胃腸が弱って食事を楽しめない
なんて人も少なくないはず。
60歳を過ぎたウチのそれはそれは美しい母も「歳とると、ほんと物欲減るで」と真顔で申しておりました。
というワケですね。
※若いうちにお金を使うことの重要性を知るには、この書籍がおすすめです。
とはいえ、手元にあるお金を全て使い切る生活をしていたら、老後資金に困るのは明らかです。
この点、
- 倹約して、おカネは資産運用にまわす
- でも、資産運用で得られた配当金は使う
という選択は、「「今」を楽しむ」コトと「将来へのタイムカプセルを作る」コトの、バランスが取れたやり方なのかもしれません。
次、2つめ。せっかくの高配当株のメリットを活かせないについて。
高配当株投資をするのは、配当金が欲しいからです。
配当金を受け取って、自由に使える。ここに魅力があるワケです。
もし、この配当を再投資することが確定しているのであれば
という話が出てきます。
配当金には、税金がかかるからです。
配当の原資が100万円あったとして
- 企業が企業内で再投資→100万円を再投資できる
- 一旦配当されてから、個人が再投資にまわす→80万円しか再投資できない
ということになります。
一旦配当されてしまうと、ざっくり20%程度の税金がかかるからです。
というワケですね。
バフェットも「配当金出すと税金分がムダ。配当金なんて出さなくて良い」といった趣旨の発言をしていますよね。
※その一方、「市場平均」や「無配株」と比較して
- 配当利回りが高い「有配株」の方が、トータルリターンが高い
- 「連続増配株」の方がトータルリターンが高い
なんてデータもあったりしますが…将来どうなるかは、分かりません。
以上、まとめます。
配当再投資のメリットは、お金がよく増える=複利の力を最大限活かせること。
デメリットは、
- 「今」を楽しむことを忘れがちになること
- せっかくの高配当株のメリットを活かせないこと
個人的な方針としては
という感じ。これは、昔から変わりません。
そして、今はというと
- (あまりおトクに見えない)高配当株を買うよりも
- 家族と楽しむためのお金にした方が満足度が高い
感じなので、遊興費として使っていきます。
30年後の総資産は「最高効率」では増えませんが、それでいいです。
※他人と「資産額」や「トータルリターン」を競うスポーツをやってるなら、全力で再投資するけどね!
というか、そういうスポーツで優勝狙うなら、高配当株投資はやりません。
テーマ②:分配金利回り5.4%~6.3%のインフラファンドの活用はアリか?
という時に、急に気に始めるのが
- やたら高利回りな
- 他の金融商品
犬が、逃げる人を見ると追いかけるのと一緒です。本能です。
今回、読者さんから質問を受けたのは
というもの。
さて、インフラファンドって、どうなんでしょう?
インフラファンドというのは
- 「投資法人」が、投資家からお金を集めて
- 太陽光発電設備などのインフラに投資をして
- その収益を投資家に分配する
という仕組みのファンドです。REITと似たようなもの。
(出典:朝日新聞「インフラファンドとはどんなもの? 「太陽光」4銘柄に注目」)
※2018年1月の記事。2021年5月現在、全部で7本のインフラファンドが上場しています。
今、日本で上場しているインフラファンドはこの7本。
(出典:J-REIT.com)
あらやだ!超高利回り!抱いて!
100万投資すれば、毎年5万円の分配金!毎年ディズニーランド行ってホテル泊まれちゃう!
って思いますよね。
冷静になって、メリット・デメリットを考えてみるとこの通り。
- 不景気に強い(不景気で贅沢品を買わなくなっても、電気は買う)
- 分配金の安定性が非常に高い(2012年に始まった「固定価格買取制度」のおかげで、20年間
バイデン売電価格が固定されているため) - 利回りが高い(5~6%)
- 「地球にやさしい持続可能な社会を!」という、ESG投資の流行に乗ってる感がある
- 借入や増資により効果的に規模を拡大できない限り、元本は右肩下がりになる可能性(土地は二束三文。インフラ設備は老朽化していくため)
- 金利上昇やインフレに弱い(売電価格が固定されているのに、利息などのコストだけが増えてしまい収益が悪化する)
- 「固定価格買取制度」が終わった後にどうなるかが不透明
- 時価総額が小さく、機関投資家の投資対象に入っていない
というワケで、東証インフラファンド指数(先ほどの7本のファンドをまとめた指数)の直近1年の推移を見てみると、この通り。
直近1年で+11%です。やるじゃん。
ちなみに
- J-REITはコロナショック時に大暴落しました(約50%下落)
- インフラファンドはJ-REITほどは下落しませんでした(約20%下落)
なかなか、独特な値動きをしましたね。
とはいえ、指数が誕生してから歴史が浅く、これだけでは何とも言えないというのも事実。
現状、個人的にはインフラファンドに投資していないですし、する気もありません(デメリット面を重視)。
もし投資するとしたら
- もし今後、東証インフラファンド指数に連動するETFが誕生した時に
- そのETFのコスト面・分配利回りに納得がいった場合
- ポートフォリオ全体の分散性・利回りを高めるために
- ポートフォリオの3%ぐらいを上限に組み入れるか検討する
という感じでしょうか。
ファンド7本の時価総額合計が約1,600億円ですから、インフラファンドETFを買う=ソコソコの大きさの会社の株を1つ買うぐらいのイメージです。
テーマ③:これから高配当になりそうな株=「低利回り増配株」を買うのはアリか?
という時に、急に気に始めるのが
これから高配当になりそうな株=今は低利回りだけど連続増配している株
です。
猫が、逃げるネズミを見ると追いかけるのと一緒です。本能です。
結論、これはスジが悪い選択肢ではありません。
- 高利回りなバリュー株に限ってしまうと、セクターや収益構造が偏った株が集まってしまい
- 結果的に、分散が足りない(みんな一緒に暴落、みんな一緒に減配)
という事態になりかねないからです。
こうならないために、高PER・高PBRの「グロース感のある」配当株を組み入れるのは、分散効果を高めるのには有効です。
たとえば、こういう会社です(※いずれも2021年4月30日時点)
トイレタリーの国内首位メーカーです。
泣く子(こびと)も黙る、日本トップの連続増配企業。
- 連続増配年数:32年
- 10年間での配当金成長:2.4倍
- 現在の配当利回り:2.06%(過去と同じペースで増配すると、10年後配当利回りは4.94%)
- PER:26.54倍
- PBR:3.65倍
PC周辺機器のファブレスメーカーです。
- 連続増配年数:11年
- 10年間での配当金成長:6.9倍
- 現在の配当利回り:1.50%(過去と同じペースで増配すると、10年後配当利回りは10.35%)
- PER:19.63倍
- PBR:2.90倍
中小企業向けの経営コンサル大手です。
- 連続増配年数:11年
- 10年間での配当金成長:3.5倍
- 現在の配当利回り:2.37%(過去と同じペースで増配すると、10年後配当利回りは8.30%)
- PER:23.98倍
- PBR:4.16倍
※年初来安値更新中。
過去10年の増配率を、今後10年も維持するはずだ
こういう想定で投資をすると「アタマがお花畑状態」とバカにされかねませんが、上記の銘柄は
- 枯れていく衰退産業の会社ではなく
- 需要の根強い・またはトレンドに乗る成長産業の会社で
現時点で高配当化している銘柄と比べると、成長力に魅力があります。
とはいえ、このような低利回りの銘柄を買ったら、「今、配当金が欲しい」という投資目的と逆行します。
- 高配当株ランキング上位に欲しい株がない場合
- ポートフォリオ全体で「〇%」という配当利回りをキープできるなら
- このような増配株を一定程度組み入れるのはアリ
という感じでしょうか。
高利回りの銘柄と低利回りの銘柄をバランス良く組み入れたら、できあがるのは「市場平均」です(笑)
そんなことをするなら、最初から「日経平均」や「TOPIX」を買えばいいだけ。
高配当株というトガった運用をするなら、こちらの「増配成長株」はあくまでもトッピング扱いということですね。
※こういう増配成長株と、インフラファンドみたいな「高利回りだけど海のものとも山のものとも分からないモノ」は、混ぜると結構相性が良かったりします(笑)
現時点で、ある程度の高配当株ポートフォリオが組めている人は、上記銘柄の他、下記銘柄を調べてみると面白いかもしれません。
- 大塚商会 配当利回り2.18%(連続増配12年、過去10年で配当金4.6倍)
- 伊藤忠テクノ 配当利回り1.85%(連続増配12年、過去10年で配当金2.8倍)
- ショーボンドHD 配当利回り2.08%(連続増配13年、過去10年で配当金4.2倍)
10年後に、配当金が2倍以上になる余地があるか?
そういう目線で見て、アリかどうかという感じですね。それだけ増配していれば、株価も美味しく頂けるでしょう。
配当利回りランキング(東証二部上場)
- ※エクセルオンラインのデータが表示されます
- 証券コードをクリックすると、Yahooファイナンスのページに飛びます
※1 「-」は、前月ランク外であった銘柄
※2 2017年1月以降で、月末の配当利回りが3.75%を超えていた月の数
ランキング初登場銘柄
配当利回りランキング(東証JASDAQ上場)
- ※エクセルオンラインのデータが表示されます
- 証券コードをクリックすると、Yahooファイナンスのページに飛びます
※1 「-」は、前月ランク外であった銘柄
※2 2017年1月以降で、月末の配当利回りが3.75%を超えていた月の数
新規登場銘柄や気になる銘柄はありません。
まとめ:もしこびと株メンバーが今月から高配当株投資を始めるとしたら?
ランキングの解説は以上です。
最後に、2019年7月からシリーズ化を開始した「もしこびと株メンバーが今月から高配当株ポートフォリオを作るとしたら」というモデルを出して終わりにします。
※「私たちならこうする」という事例であって、下記銘柄への投資を推奨するものではありません。株式投資には元本割れのリスクがありますので、くれぐれも自己責任でお願い致します。
30万円で今月スタートならこんな感じにします。
※1:ピンクマーカーは、景気敏感株。
※2:待機資金は、高利回りの「中・小型株(※ディフェンシブな業種)」が出てきたら買うお金です。宝印刷やエックスネットなどのような会社ですね。
待機枠の資金で配当利回り4.0%ほどの株を買えれば、トータルで3.83%の利回りになります。
- TOPIXの平均利回りが約1.9%
- 日本国債(10年)の利回りが約0.1%
であることを考えると、それなりの利回りです。
セクターの割合は、この通り。
個人的には、今は「キャッシュを厚くしていく時期」かなという認識です。
※どこまで上がるか分からないので、機会損失を避けるため毎月ちょいちょい買っていく必要はあります。
日本株の高配当株投資戦略をとっている人は、つかの間の「休憩時間」かなと。
なお、過去何度もおすすめしているとおり、高配当株ポートフォリオを自作するなら、SBIネオモバイル証券が優秀です。
低コストで、少額からの分散投資が可能だからです。
日本株は、投資総額1,000万円ぐらいまでの規模なら、この証券口座の方が小回りが利くと思います。
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※大手ネット証券を使って少額分散投資をすると、手数料負けします。
※SBIネオモバイル証券を使った高配当株投資の始め方はこちらの記事をどうぞ。
2022年9月26日、
株式会社SBIネオモバイル証券は、株式会社SBI証券と経営統合することが発表されました。
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ちなみに、米国株であればHDVやSPYDといった優れたETFがあるので、これらを活用すれば個別株への投資は不要です。圧倒的にラク!
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- ①追加投資、②配当金再投資、③増配でひたすら配当金を増やし続ける
こうすることで、誰でも月10万円ぐらいの配当金は作れる可能性があるんじゃないかなと思っています。
※日米高配当戦略は、外国株100%と比較して
- 為替影響を低減できるし
- 働いていて収入が高いうちは「外国税額控除」で、海外の税金を取り返す
- 仕事をやめて収入が低くなったら「配当控除」で、日本の税金を取り返す
といった感じで、税金コントロールの面でもバランスが良いです。
月10万円あれば、
- 水道光熱費が払える
- 家賃が払える
- 通信費(スマホ代など)が払える
- 保険料が払える
といった感じで、独身なら固定費のほとんどを賄えるでしょう。
ちょっと働けば生きていける水準ですから、セミリタイアも視野に入ると思います。
あるいは、月10万円の配当金を趣味に使えば、相当遊び倒せるでしょう。サラリーマンのお小遣いの平均は3~4万円ぐらいですからね。
全部使い切っても「老後は安泰」ってのは良いですよね。
いずれにせよ、配当金は人生の選択肢を増やしてくれます。コツコツと配当金を増やして、生活を豊かにしていきたいですね。
それではまたっ!
※関連記事です
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