【10分で分かる】株式投資に役立つ8月の投資トピック総まとめ【インデックス・高配当】

※本サイトで紹介している商品・サービス等の外部リンクには、アフィリエイト広告を利用しているものがあります

こんにちは、こびと株(kobito_kabu)です。

現在、

  1. 高配当株投資
  2. インデックス投資(つみたてNISAやiDeCoのみ)

の両刀で資産運用をやっています。

毎月恒例企画ということで、8月の投資トピックスについて「この2つの投資にどのような影響があるか」という観点で、まとめていきます。

 

本記事の構成はこの通り。

3本立て
  1. 日本株の投資トピックス
  2. 外国株の投資トピックス
  3. まとめ:高配当株投資のポジションについて
こびと株
それでは、本題に入りましょう~

 

日本株の投資トピックス

日本株については、以下の順番で解説します。

ポイント3つ
  1. 株価指数の推移
  2. その他指数の推移
  3. 8月のトピックス

 

①株価指数の推移(日経平均・TOPIX・J-REIT・マザーズ)

8月31日時点の株価は、この通り。

  1. REIT指数:2,034pt(-2.27%)
  2. TOPIX:1,963pt(-3.30%)
  3. 日経平均株価:28,092円(-4.13%)
  4. マザーズ指数:742pt(-24.02%)

※端数は四捨五入。カッコ内は、いずれも「年初来」。

 

この4つの指数の、年初来の値動きを見てみるとこんな感じです。

こびと株
S&P500は年初来マイナス約17.5%なので、TOPIXのマイナス3.3%は上出来ですね

 

8月単月の動きを見ると、この通り。

  • マザーズ指数 +2.42%
  • 日経平均株価 +0.35%
  • TOPIX    +0.16%
  • REIT指数   -0.10%
こびと株
米国、イギリス、フランス、カナダ、ドイツなど他の先進国は軒並みマイナス。プラスで終わった日本株は「健闘した」と言えますね

 

詳しくは後で解説しますが、日本の上場企業の業績は

  • 2四半期連続で前年同期比減
  • ただし、4社に1社は過去最高益で、業界により明暗の差が激しい
  • 本業の業績はイマイチも、円安が業績にプラス

という感じ。

今の日本株は、世界経済が減速するなか「円安に助けられている」という感じでしょうか。

 

②その他指数の推移

この3つをチェックしておきます。

3つの参考材料
  1. GDP
  2. 景気動向指数
  3. その他の指数(物価、失業率・求人倍率など)

 

最初に、①GDPについて。

2022年4月~6月期のGDPが発表されました。

GDP(対前期増減率)の推移はこの通り。


(出典:「4~6月のGDP 年率プラス2.2% 3期連続のプラス成長」)

  • 前期比0.5%増(年率換算で2.2%増)
  • 3四半期連続のプラス成長

という結果です。

 

悪くはない…と言いたいところですが、まだまだGDP回復の余地はあります。

こちらの棒グラフをご覧ください。

コロナ前の時期も含めた、GDPの推移です。


(出典:「4~6月のGDP 年率プラス2.2% 3期連続のプラス成長」)

内閣府は、

  • 2022年4月~6月のGDPは542兆円
  • これは、2019年10月~12月のコロナ前GDP(540兆円)を上回る水準
  • コロナショック前のGDP水準に回復しました!

こう発表しています。

とはいえ、もともと2019年10月~12月のGDPは「消費税増税」の影響で消費が冷え込んだ時期のものです。

ここと比べるのではなく、そののGDP水準と比べて「回復」までもっていきたいところ。

こびと株
本当のGDP回復」まで、あと数パーセント…がんばれ日本経済~

 

次に、景気動向指数(先行指数)について。

6月の数値(8月29日公表)は、100.9となりました。

(出典:景気動向指数 速報からの改訂状況

補足:景気動向指数とは

景気動向指数は、

  • 景気全体の現状を知ったり
  • 将来の動向を予測したりするときに

使われる経済指標です。産業、金融、労働など、経済に重要かつ景気に敏感な30項目の景気指標をもとに指数が算出されています。

色々な指標をミキサーに入れてスイッチをいれると、1つの「景気動向指数」ができるというイメージです。

 

景気動向指数を見る上で大切なのは、この2つ。

ココを見よう
  • この数カ月、プラストレンドか?マイナストレンドか?
  • プラス幅(又はマイナス幅)はどれぐらいか?

ココ1年の推移を見てみると、この通り。

  • 7月 104.0(前月比-0.7ポイント)
  • 8月 101.6(前月比−2.4ポイント)
  • 9月 99.9(前月比-1.7ポイント)
  • 10月 100.6(前月比+0.7ポイント)
  • 11月 102.0(前月比+1.4ポイント)
  • 12月 102.9(前月比+0.9ポイント)
  • 1月   101.3(前月比-1.6ポイント)
  • 2月   100.3(前月比-1.0ポイント)
  • 3月   100.8(前月比+0.5ポイント)
  • 4月   102.9(前月比+2.1ポイント)
  • 5月   101.2(前月比-1.7ポイント)
  • 6月   100.9(前月比-0.3ポイント)←New!!

 

ここしばらく、

  • 景気が悪い(悪くなりそう)、という状況ではないけれど
  • 景気が勢いよく伸びていく、という状況でもない

という感じが続いています。

こびと株
企業業績がどんどん伸びる=株価も配当金もどんどん伸びる、という雰囲気ではありません。

 

最後に、③その他の指数について。

まず、消費者物価指数(8月19日発表)。

こちらは、前年同月比+2.4%となりました。


(出典:日本経済新聞「消費者物価7月2.4%上昇 4カ月連続2%超」)

こびと株
先月に引き続き、日銀が目標とする「2%」超えを継続中。

 

最後に、雇用関係(失業率、求人倍率)の指標です。

  • 7月の完全失業率…2.6%(前回は2.6%)
  • 7月の有効求人倍率…1.29倍(前回は1.27倍)

※完全失業率が2.2%ぐらいまで戻ればほぼ完全雇用=ゴール。

(出典:日経新聞「有効求人倍率7カ月連続で上昇、7月1.29倍 失業率横ばい」)

特に大きな動きはなく、安定している状況です(少しず~つ、良くなっています)。

 

こびと株
次に、国内トピックスにうつりましょう

 

③8月の国内トピックス

日本株について、今月のトピックはこの2つです。

国内トピックス2つ
  1. インフレと日銀動向
  2. 上場企業の決算状況

 

インフレと日銀動向

インフレが続いています。

CPI(消費者物価指数)は、先ほども触れたとおり前年同月比+2.4%

(出典:日本経済新聞「消費者物価7月2.4%上昇 4カ月連続2%超」)

  • 物価の上昇は、11ヵ月連続
  • 消費増税の影響があった14年12月(2.5%)以来、7年7カ月ぶりの上昇率で、4ヵ月連続の2.0%超え
  • 電気代などエネルギーの上昇率は16.2%、生鮮食品が+8.3%、生鮮食品を除く食品も+3.7%

となりました。

こびと株
このインフレ…庶民の食卓を直撃しております

 

実際、低所得者ほど「体感物価」が高いというデータも出てきていますね。

(出典:日本経済新聞「低所得層ほど物価高体感、7月2.7%上昇 高所得層は2.2%」)

 

低所得者世帯と高所得者世帯では、「何にどれくらいのお金を使うか?」が違うからですね。

(出典:日本経済新聞「低所得層ほど物価高体感、7月2.7%上昇 高所得層は2.2%」)

最近の物価上昇は、

  • 食料:4.4%
  • エネルギー(光熱費など):16.2%
  • 旅行や映画鑑賞:0%台

という感じで、

  • 「低所得者世帯の方が支出の比重が大きい品目」の価格が、特に上昇している
  • 「高所得者世帯の方が支出の比重が大きい品目」の価格は、それほど上昇していない

というワケ。

こびと株
生活が苦しい人が増えれば、景気悪化の要因にもなりうるので、悪循環が心配されています

 

ちなみに、このインフレ率を受けて、日銀様はこうおっしゃっています。

日銀
まだまだ金融緩和を続けまっせ(金利は上げないよ)
  • 年内は2~3%くらいのインフレになるかもだけど
  • 来年は1.5%に向けて減速すると思うんだよね
  • つまり、「賃金と物価が安定的かつ持続的な形で上昇」しているとは言えないので
  • まだまだ金融緩和です!

というお話ですね。

(参考:Bloomberg「黒田総裁、日銀は金融緩和策を維持する以外ない-ジャクソンホール」)

 

実際のところ、海外と比べれば、日本のインフレ率はまだまだ低く抑えられています。

こびと株
後で詳しく触れますが、諸外国のインフレ率は、米国で8.5%、欧州で9.1%といったレベルになっています

 

結果として、円安傾向は続いています。

こびと株
金利の安い「円」より、金利の高い「ドル」が好まれているわけですね。

(出典:Bloomberg「円が年初来安値を更新、日米金融政策の格差で24年ぶり円安」)

8月末には、1ドル=140円に迫る円安を記録。さらに、9/1には1ドル=140円半ばまで下落しています。

これは、1998年以来24年ぶりの水準です。

  • アメリカ:インフレがひどいので、金利を上げたい
  • 日本:たいしたインフレじゃないので、金利は上げない

このスタンスの違いが続く限り、円安傾向は止まらないでしょう。

逆に言えば、この差が縮まれば、円高方向に振れ始めます。

こびと株
両国のスタンスの差には、引き続き要注意です。

 

上場企業の決算状況

上場企業の2022年4~6月期の決算状況は、次の通り。

純利益は、前年同期比26%減と2四半期連続で減益となりました。


(出典:日経新聞「上場企業の4~6月、26%減益 ソフトバンクGの影響大」)

利益の動きとしては、

  • 2年前=2020年4月~6月にドカっと減って
  • 1年前=2021年4月~6月以降に急回復して
  • =2022年4月~6月でまた落ち込んでいる

という感じですね。

なお、SBGが3兆1627億円の赤字(日本企業の4~6月期としては過去最大)を計上しており、その影響で「日本企業全体の成績」がことさら悪く見えています。

 

業種別に見ると、こんな感じです。


(出典:日経新聞「上場企業の4~6月、26%減益 ソフトバンクGの影響大」)

自動車、食品、電気機器の弱さが目立ちます。

  • 円安が業績にプラスに働く一方で
  • 原材料費の高騰半導体不足需要停滞などがマイナスに働き

トータルで見ると、業績が伸び悩んでいます。

「ただ配当利回りが高いだけ」だった高配当株の中には、無配・減配転落している会社も少なくありません。

 

一方で、4社に1社は「過去最高益を更新」しているという現実もあります。

最高益を更新する上場企業が相次いでいる。

2022年4~6月期に純利益が同期間として過去最高となったのは542社と、全体の4社に1社にのぼった。

(出典:日経新聞「4社に1社が最高益 4~6月、商社や石油など資源高で」)※赤字は筆者

こびと株
業種/企業により、「明暗」がクッキリ分かれていると言えますね。

 

私の高配当株ポートフォリオは、

  • 評価額は、過去最高を更新
  • 配当金は、過去最高を更新
  • 今後の業績見通しも悪くない

という状況。

  • ただ配当利回りが高いだけの高配当株ではなく
  • 好財務・高収益で地味な成長を期待できる高配当株を選んで
  • 丁寧にセクター分散していく

この投資スタイルの「安定性」を再認識しています。

 

為替だけ”で見ると、今外国株を買うのは高値掴みになるというのが私見です。

そういう意味で

  • 今のような状況でも「いつもと変わらず稼げている」日本の優良高配当株は
  • 相対的に、引き続き買い目線

ですね。

 

外国株の投資トピックス

お次は、外国株の話題です。

外国株については、この4つの順番で見ていきます。

4つ
  1. 株価指数の推移
  2. ゴールド・債券ETF等の値動き
  3. 高配当ファンドの値動き
  4. 8月のトピックス

 

①株価指数の推移

G7(主要先進7ヵ国)の、主な株価指数の推移(年初来)はこの通り。

※グーグルファイナンスでは、チャートを5つまでしか同時比較できないので、泣く泣く「FTSE MIB(イタリア)」を抜いています。

 

こびと株
2022年G7パフォーマンス駅伝、「8月中継所」通過時点の順位はこの通り。
2022年G7パフォーマンス駅伝、8月時点の着順
  1. FTSE100(イギリス) −2.94%
  2. S&P TSX(カナダ)    −8.97%
  3. CAC40種(フランス) −15.13%
  4. S&P 500(米国)    −17.55%
  5. DAX30(ドイツ)   −19.89
  6. FTSE MIB(イタリア)  −22.25%

TOPIX(日本)は−3.30%。

いずれも年初来でマイナス圏に沈んでいます。

日本株は、相対的に見るとかなり健闘してますね。

 

8月単月の動きを見ると、この通り。

こびと株
調子の良かった7月の反動か、いずれもマイナスです

 

S&P500指数は、8月12日に「半値戻し」を達成しました。


(出典:S&P500指数は「半値戻し」 ベアマーケット脱出宣言はまだ早い?

「半値戻し」というのは

  • 1月3日の高値:4796.56ptから
  • 6月16日の安値:3666.77ptまでの下落幅を

50%ぶん取り戻したということです。

株式相場には、「半値戻しは全値戻し」という相場格言があります。

要するに、半値戻しは「強気シグナルの点灯だ」ということです。

 

1950年以降、S&P500は弱気相場において「半値戻し」を達成した場合、その後最安値を下回った事は一度もありません

過去の経験則に従うならば、6月16日が「底値」であり、「2番底はない」ことになります。

 

一方で、投資の世界に絶対はありません。

実際、8月末から9月にかけて、S&P500は再度下落しています。

  • インフレ抑制のための利上げ(金利の上昇は、一般に株価にマイナス)
  • QTの本格化(中央銀行が保有資産を減らすこと。一般に株価にマイナス)
  • 将来の景気後退を示唆する逆イールド(景気後退=企業業績の悪化。株価にマイナス)
  • 1株あたり予想EPSの減少…

ウクライナ紛争、中国・台湾関係など、地政学的なリスクもあり、ネガティブな要因もたくさんあります。

こびと株
強気派・弱気派のせめぎ合いが続いており、転換点にあると言えますね。

 

②ゴールド・債券ETF等の値動き

有名なゴールドETFである、「GLD」の値動きはこの通り。


(出典:グーグルファイナンス SPDRゴールド・シェアーズ(GLD)

年初来でプラスの成績を維持してきたゴールドですが、年初来-5.38%とマイナス圏に沈みました。

金価格は、

  • 3月にピークを打った後
  • 8月にかけてグダグダと値が下がり続けています

背景にあるのは、米国の利上げです。

 

今後、金利が1%、2%と上がっていくのなら、

  • 利息が一切もらえないゴールドより
  • 利息がもらえる債券の方が

投資家に好まれるようになる、というワケです。

金利の上昇が続くなか、魅力が乏しくなっているのが現状です。

 

お次は、債券です。

投資額に対して2%~5%ほどのインカム(利息)が欲しければ、米国債券が有望な投資候補になります。

米国の優良債券ファンドを3つチェックしてみましょう。

3つの債券ファンド
  1. AGG:ローリスク・ローリターンな債券(格付け高く、利回り低い)
  2. LQD:ミドルリスク・ミドルリターンな債券(格付け普通、利回り普通)
  3. HYG:ハイリスク・ハイリターンな債券(格付け低く、利回り高い)

 

米国総合債券に投資する【AGG】というファンドのチャートはこの通り。

  • 年初来−11.11%
  • 現在の分配金利回りは2.02%
  • 投資対象の約7割は、格付けがAAA(トリプルエー)の債券です

 

値下がりの理由は、金利上昇です。

「債券」と「金利」は、シーソーの関係にあり、逆の動きをします。

その証拠に、金利のチャートを見てみましょう。

こちらは「米国の長期金利(10年国債)」の推移です(現在の金利は約3.26%)。


(出典:三井住友銀行「マーケット情報チャート」)

6~7月にかけて下がったかに見えた長期金利ですが、8月にまた上昇していることが分かりますね。

 

米国優良社債に投資する【LQD】というファンドのチャートはこの通り。

  • 年初来−16.66%
  • 分配金利回りは2.80%ほど
  • 投資対象の約8割は、格付けがBBB(トリプルビー)~Aの債券です
  • ギャンブル性の低い「投資適格」な債券であるものの、AGGよりは安全性が低いです

こちらも、金利上昇を背景に、価格推移はイマイチです。

 

最後は【HYG】です。

「ジャンク」「ゴミ」と言った呼ばれ方をする「投資不適格の債券」を集めた、ハイリスクな債券ファンドです。

  • 年初来−14.30%
  • 現在の利回りは4.77%ほど
  • 投資対象のほぼすべてが、格付けCCC(トリプルシー)~BBの債券です(リスクが高いぶん、長期的なトータルリターンは大きい傾向)

こちらも、AGGやLQDと同様に、長期金利の上昇を受けて価格は下落しています。

 

まとめると、

  • AGG(総合債券)…−11.11%
  • LQD(優良社債)…−16.66%
  • HYG(ジャンク債)…−14.30%

いずれも年初来で大きなマイナスリターンです。

 

今の債券相場は「1842年以来最悪」レベルです。

米国債は

  • 1976年以降、4年を除いて全ての年でプラスのリターン
  • FRBが6回の利上げで計2.5%も金利を引き上げた1994年でさえ、全体としてわずか3%の下げにとどまった

ということなので、2022年の米国債券市場はまさに「総悲観」と言える状況です。

 

「総悲観は買い」ということで、日に日に投資妙味が増している米国債券。

しかし、日本から投資するには、特有の注意点もあります。

それは、為替リスクです。

外国債券のリターンに占める「為替の影響」は非常に大きいです。

たとえば、

  • 年3%の利息を7年間もらう(合計21%の利益
  • 為替が130円→100円と円高になれば、投資元本に約23%の為替差損が生じる
  • せっかくの「利息」が「為替」で台無しになる

そんなイメージですね。

 

株式であれば、10年20年の間に株価が1.5倍2倍と成長する可能性があります。

そうなれば、20~30%の為替影響も十分に吸収できるでしょう。

一方、債券は株式のようには価格が伸びません(債券のリターンの大半は、利息が生み出します)。

だから、為替影響を吸収するのが難しくなるんですね。

 

結局、米国債の狙い時は

  1. 利回りが高い時(しかも、それ以上金利が上がらなさそうな時)
  2. 円高の時(少なくとも”円安”ではない時)

というワケ。

今は、①の面で魅力的になりつつありますが、②がダメですね。

こびと株
割に合う条件が揃う時まで、監視し続けましょう

 

③インカム系ETFの値動き

私の愛する高配当株ETFについて。

  • キャピタル(売却益)も
  • インカム(分配金)も

両方狙えるポテンシャルのあるファンドたちです。

HDVVYMSPYDの年初来のチャートは、この通り。

分配金を無視して価格だけ見ると

  1. 1位がHDV…-0.30%
  2. 2位がSPYD…−5.12
  3. 3位がVYM…−7.87%

という順位になりました。

年初来で

  • S&P500が−約17%
  • NASDAQが−約25%

と沈んでいることを考えると、健闘していると言えます。

 

VYMは、ほどよく分散が効いており(約400銘柄に投資)、比較的S&P500に近い値動きをします。

一方、HDVは分散が小さめです(約70~80銘柄に投資)、S&P500との連動は弱いものの、不況時に強いという特徴があります。

HDVは、

  • 上昇相場でゴリゴリ儲けたいというより
  • 下落相場でダメージを抑えたい

という保守的な投資家に好まれるタイプのファンドです。

年初来でほぼトントンという成績は、現状「事前の期待通り」の働きをしていると言えますね。

 

現在の分配金利回りは

  • SPYD:約3.8%(過去平均は約4.1%)
  • VYM:約3.0%(過去平均は約3.1%)
  • HDV:約3.1%(過去平均は約3.4%)

という状況。

低すぎる!というほどではないですが、特に旨味を感じる水準ではありません。

個人的には、この状態では買い増ししません。

2番底をつけにいくようなら、いったんそのあたりで検討するという感じでしょうか。

こびと株
「円安」と「日本株の割安さ」を考えると、引き続き日本の高配当株の方が魅力的だと判断します。

 

④8月の海外トピックス

最後に、外国株のトピックスです。

この2つを順番に見ていきます。

海外トピックス2つ
  1. ジャクソンホール会議と株価急落
  2. インフレと世界経済動向

 

ジャクソンホール会議と株価急落

8月25~27日に、米国でジャクソンホール会議が行われました。

補足:ジャクソンホール会議とは

米国のカンザスシティー連邦準備銀行が、ワイオミング州のジャクソンホールで毎年夏に開く金融・経済シンポジウム。

米連邦準備制度理事会(FRB)議長など各国中央銀行の要人や経済学者などが出席する。

(出典:大和証券「金融・証券用語解説」)

 

こびと株
カンタンに言うと、世界経済を引っ張る各国の超エリートが集まる会議です。

ジャクソンホール、大自然豊かな超イイ感じのところですね。


(出典:ブルームバーグ「ジャクソンホールの米欧中銀当局者、痛み覚悟しつつ利上げ推進で一致」)

 

この会議のなかで、米国のパウエルFRB議長は次のように述べました。

パウエル議長
インフレ対策の強化は、家計や企業に痛みをもたらすだろう

カンタンに言うと

  • インフレ退治が最優先
  • その過程で、景気が悪くなっても構わない(企業業績が悪化したり家計が苦しくなったりしても構わない)

ということです。

「インフレは、絶対に抑制する」

パウエル議長の強い決意表明を受けて、株式市場はNYダウが1008ドル安となるなど急落しました。

 

ジャクソンホールの前後で、いったい何が変わったのか?

来年以降の金利の見通し」が変わりました。

ざっくり、次のグラフイメージですね。


(出典:Twitter @buffett_taro

見方としては、

  • 縦軸:米国の政策金利
  • 横軸:年月
  • 中にある「パーセント」:その金利になるであろう確率

です。

 

上が、ジャクソンホール前です。

株式市場は、「金利がだんだんと下がっていくストーリー」を期待していました。

ところが、ジャクソンホール後は下のグラフのようになりました。

要は、金利は「高止まりするかもしれない」ということです。

 

一般に、「金利」と「株価」はシーソーのような関係にあります。

  • 金利が上がる↑ 株価は下がる↓
  • 金利が下がる↓ 株価は上がる↑

といった感じです。

株式市場は「金利は来年には下がり始めるだろう」と楽観視していたのに、ジャクソンホールのパウエル議長の発言でその期待を裏切られたんですね。

「インフレがちゃんと収まるまで、金利はそう簡単には下げませんよ」

パウエル議長の発言は、そういう決意表明に他なりません。

結果、株価の急落が起きたというワケです。

 

個人的には

  • 中途半端な金利コントロールで高インフレが続くより
  • 痛みを伴ってもガッツリ金利を上げてインフレを抑制したほうが

トータル、経済にプラスかなと思っています。

金利の高止まりが続けば、短期的には株式市場にとっては厳しい展開になるでしょう。

とはいえ、早くインフレを収めればそれだけ早く経済も回復します。

こびと株
ガッツリ金利を上げることで「2番底」が来るなら、そこは買いのチャンスかなと思います

 

インフレと世界経済動向

今、世界中で激しいインフレが起きています。

(出典:Bloomberg「FRBなど利上げ継続へ-世界的なインフレ高進「解熱」の方向でも」)

  • 英国:10.1%
  • ユーロ圏:8.9%
  • アメリカ:8.5%
  • カナダ:7.6%

参考:日本は2.6%

こびと株
諸外国の物価高は日本の比じゃないですね。

 

これを受けて各国は、利上げに踏み切っています。

(出典:日本経済新聞「長短金利、主要5カ国で逆転 世界景気に後退の兆し」)

  • 金利を上げる
  • →お金を借りにくくさせる
  • →経済活動が抑えられる
  • →インフレは収まるかもだけど、景気悪化

この流れが、段々と現実的になってきています。

 

例えば、PMI(購買担当者景気指数)。

  • 50を上回ると景気拡大
  • 50を下回ると景気減速

と言われている指標です。

(出典:THE WALL STREET JOURNAL「世界経済に広がる警戒感、成長の落ち込み鮮明に」)

8月の数値は、アメリカもユーロ圏も日本も、仲良く50未満の低水準

景気悪化を示しています。

 

次に、GDP(国内総生産)。

そのまま、各国の経済活動状況を示すといわれる指標ですね。

2022年4-6月期、アメリカと中国の実質GDP成長率はマイナスを記録しています。

(出典:NHK NEWS WEB「4~6月の各国・地域のGDP インフレの影響で減速懸念も」)

こびと株
トップ2が減速しているわけですから、世界景気に懸念が生まれるのは当然ですよね。

 

現在、G10と呼ばれる主要10カ国のうち5カ国で逆イールドが発生しています。

逆イールドは、景気後退のサインとされます。

(出典:日本経済新聞「長短金利、主要5カ国で逆転 世界景気に後退の兆し」)

通常、長期金利は短期金利より高いです。

※1ヵ月ものの預金と、10年満期の預金では、10年満期の預金の方が高金利ですよね。そうじゃないなら、誰も長期間お金を預けません。

なぜ、その逆転が起きているのかというと

  • 政府は、激しいインフレをやっつけるために急激に短期金利を上げている(短期金利↑
  • 市場は、そのせいで将来不景気になると見ている。そして、時間が経てば、政府は景気を良くするために今度は利下げすると思っている(長期金利↓

からです。

逆イールドが続いている状況を見るに、「不景気になんて絶対ならない」と言い切るのは難しそうですね。

 

ちなみに、低所得国では、株・債券・通貨のトリプル安が発生しています。

  • トルコ
  • カザフスタン
  • コロンビア

など、15か国で長期金利が10%超え。

IMF(国際通貨基金)の支援残高は、リーマン・ショック後の金融危機時以上になっています。

(参考:日本経済新聞「低所得国に広がる危機 株・債券・通貨のトリプル安」)

こびと株
将来、不景気になるのか?それとも、不景気は回避できるのか?…実は、もう不景気なのか?

非常に、判断の難しい時期ですね。

 

まとめ:高配当株投資のポジションについて

以上をまとめると、この通り。

本記事のまとめ
  • 8月の日本株は、若干のプラス。軒並みマイナスの各国に比して相対的に堅調
  • 諸外国ほどではないがインフレは続く。低所得層ほど体感物価が高い状況
  • それでも日銀は金融緩和を継続。結果的に「24年ぶり水準の円安」も継続中
  • 4~6月の上場企業は2四半期連続の減益。一方4社に1社は過去最高益。業種/企業によって明暗が分かれた
  • ジャクソンホール会議後に株価急落。FRBは景気よりインフレ対策優先を強調
  • アメリカを始め、世界中でインフレ・利上げ・景気後退が始まったか…
  • ゴールドは米利上げの影響で相変わらず下がり気味、債券相場は1842年以来最悪レベル。
  • 高配当株は健闘中。円安等を背景に、米国高配当株以上に日本の高配当株に魅力アリか

という感じです。

米国株一強だったここ数年と比較して、非常に難しい相場になっています。

7月にはグロース株が持ち直しましたが、ジャクソンホール後にまた大きく下落していますね。

 

米国の金融政策にばかり目がいきがちですが

  • ウクライナ情勢
  • 世界各国のインフレ進行
  • 中国の不動産市況

など、不安要素は盛りだくさん。

改善しつつあるとはいえ、投資家心理はまだまだ不安定です。

 

個人的には、

  • インデックス運用(iDeCoやつみたてNISA)は、淡々と継続
  • アクティブ運用(高配当株投資)は、日本株については「割安」なものがあればピンポイントでちょっと買う(米国株は静観)

というスタンスです。

  • 現金のままにしておくと、インフレでやられる
  • 債券を買うと、金利上昇で価格が下落する
  • 株を買うと、下落相場に巻き込まれる可能性がある
  • コモディティは、意外と価格変動が大きく短期の守りには向いていない…

どのように資産を守り、そして増やしていくか、難しいフェーズです。

 

米国株に関しては、

  • 2番底が来ると思っているのか?
  • 2番底は来ないのか?

ひとまずは、これをどう考えるかというところですね。

上手に対応して、生き残っていきましょう!

それではまたっ!

 

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こびと株.comの管理人。一部上場企業での経理/財務の実務経験10年超、日商簿記1級、証券アナリスト、FP資格を有する「企業と個人のお金の専門家」。4つの財布(給与/配当/不動産/事業収入)を駆使して経済的自由を達成することを目標に奮闘中。