証券アナリスト試験に関するまとめ記事です。
1次試験・2次試験ともに
- 試験の概要・受験コスト
- 難易度・合格率
- 勉強方法や勉強時間(独学)
- おすすめテキストや過去問
- 予備校利用の効果
などを完全に網羅しています。
かなりボリュームがあるので、目次を利用して興味のあるところだけ読んで頂ければと思います。
- 高倍率の経理/財務専門職試験を通過して就職
- 一部上場企業で10年超の経理/財務経験アリ
- 運用資産は4桁万円
- 証券アナリストをはじめ、日商簿記1級やTOEIC800点など各種資格保有
- 後輩や他部署の社員に対する会計教育経験もアリ
目次
証券アナリスト試験の概要
証券アナリストとは
金融関係では、国内トップレベルの資格です。
この通り、大手資格スクールTACのホームページでも、金融関係資格の最上位で紹介されています。
金融を体系的に学びたいと思ったら、証券アナリストは最適な資格です。
証券アナリストとは、証券投資の分野において、高度の専門知識と分析技術を応用し、各種情報の分析と投資価値の評価を行い、投資助言や投資管理サービスを提供するプロフェッショナルです。
金融業界における知名度は抜群で、現在、約28,000人もの証券アナリスト資格保有者がいます。
毎年、
- 1次試験:10,000人超
- 2次試験:2,500人前後
の受験者がいる人気資格です(最終合格者は毎年1,000人強)。
主催団体
公益社団法人日本証券アナリスト協会です。
1962年(昭和37年)に発足して以来、日本における証券アナリストの育成と社会的地位の向上のために幅広い活動を続けている団体です。
※証券アナリスト資格は、国家試験に基づく国家資格ではありません。
試験日程
証券アナリスト試験(1次試験)は、年2回行われています。
- 春試験(4月下旬に実施)
- 秋試験(9月下旬~10月上旬に実施)
証券アナリスト試験(2次試験)は、年1回行われています。
- 2次試験(6月上旬に実施)
証券アナリストになるためには、1次試験と2次試験を突破すればOKです。…ということであれば非常にシンプルなのですが、そううまくいかないのがこの試験。
まず、1次試験を受けるためには協会の通信講座を受講しなければなりません。
全部で6分野3科目あります。受講料は6分野3科目あわせて60,000円(税込)です。
講座の内容は証券アナリスト試験の試験科目・試験範囲そのものです。
つまりこれらの学習が済んでから受験してね、ということです。1次試験は1科目ずつ受験可能です。
通信講座の受講料は、テキスト代・セミナー代などではなく、事実上の「受験料」です。
1次試験を受けるために通信講座の受講が必須だから、しょうがなく受講するだけです。
テキストの質は決して高いとは言えず、試験対策上はかなり重要度が低いです。
実施の学習には市販のテキスト・問題集を使うのが一般的。通信講座のテキストは全く使用しなくて構いません。
通信講座のテキストを読み込んでしっかり勉強する人はかなりの少数派だということは理解しておくべきだと思います(試験会場でも、通信講座のテキストを持参している受験生は皆無)
同様に、2次試験を受けるためにも通信講座の受講が必要です。こちらの講座を受講するには、1次試験に合格する必要があります。
受講料は57,000円(税込)です。
- 1次試験はマークシートなので、知っているかどうかが問われます
- 2次試験は筆記試験なので、書けるかどうかが問われます
問われ方が変わるだけで、本質的なところは1次試験も2次試験も同じというわけです。
通信講座を修了し、2次試験を受験・合格すれば証券アナリスト試験はおしまいです。
実務経験があれば、証券アナリスト(CMA)を名乗れるようになります。
1次試験の時と同様、通信テキストは試験対策上の重要性がかなり低いです。つまり、使いません。
受講料57,000円は、2次試験の受験料の一部だと思って諦めましょう。
試験の流れをまとめておきます。
- 1次試験の通信講座を受講する(3科目:60,000円)
- 1次試験を受験する(全3科目。試験は春・秋の年2回。1科目ずつ受験可能)
- 2次試験の通信講座を受講する(57,000円)
- 2次試験を受験する(試験は春に1回。全科目同時受験)
- 2次試験合格後、証券アナリスト協会に入会申請を出すことで証券アナリスト(CMA)を名乗れるようになる(実務経験が必要)
※1次試験、2次試験ともに、通信講座を修了してから3年間の受験チャンスがある。
受験料・出題範囲・試験時間
1次試験の受験料は6分野3科目合計で13,000円(税込)です。
※「原則として講座テキストから出題されます」という言葉に惑わされないようにしてください。確かにその通りなのですが、通信講座のテキストはかなり分かりにくいです。
そして、市販のテキストはキッチリ試験範囲を網羅しています。市販テキストの方がはるかに効率的に学習を進められるわけです
2次試験の受験料は、15,000円(税込)です。
試験時間が2023年から変更になるみたいです。午前180分+午後180分の計360分(6時間)になる予定だそうです。
私が受験した時は恐怖の420分(7時間)でした。マジで腕が攣ります。
私は午後試験の最中に腕が攣って天に召されそうになりましたが、なんとか合格しました。
協会に支払う費用は総額で145,000円(税込)です。
- 1次試験通信講座 60,000円
- 1次試験受験料 13,000円
- 2次試験通信講座 57,000円
- 2次試験受験料 15,000円
これに入会金の10,000円と年会費18,000円、独学のテキスト代または予備校代を加算した金額が、総コストになります。
この受験コストを高いと見るか安いと見るか、意見が分かれるところだと思います。
しかし、個人的には「余裕で回収できる」と断言します。
- 投資パフォーマンスの向上に役立つ
- 人的資本の向上(昇格・昇給・異動・転職等)に役立つ
証券アナリスト試験を通じて学習した知識は今まさに投資で生きていますし、転職で証券アナリスト資格が高く評価されることもあります(当サイトの運営メンバーの一人は、実際に高評価を得ていました)
他分野の資格と異なり「お金」に関する資格なので、知識の修得が早ければ早いほど今後の資産形成に大きな影響を与えます。
是非チャレンジしてみて下さいv
証券アナリスト1次試験・2次試験の難易度(合格率)
特徴をざっくり述べておくと
- 試験範囲は広大で、難しい問題も出題されるため「見かけの難易度は高い」
- 一方で、合格率は安定して40~50%前後で「ただ合格するだけならそこまで難易度は高くない」
このイメージを持ちながら、1次試験・2次試験の難易度・合格率を順番に見ていきましょう。
証券アナリスト1次試験の難易度(合格率)
(参考リンク:日本証券アナリスト協会 受験データ(1次))
紫の線が合格率です。5年間の合格率が50%から±5%以内におさまっています。
つまり、証券アナリストは事実上の「相対試験」なのです。
受験者のうち50%前後の人が合格するように調整されています。
「何点以上の得点を取らなければならない」という試験ではないので、難問・奇問の有無に合否が影響されません。
受験者としては、安心して勉強に取り組むことが出来ます。
証券アナリスト1次試験の受験科目は前述したように6分野3科目です。
概ね、6割ほどの正答率で合格できると言われています。
4択のマークシート式試験ですから、何も知らなくても25%の正答率を確保できるわけです。
- 半分の問題を確実に得点する→50%×100%=50%
- 半分の問題を適当に回答する→50%×25%=12.5%
①+②で正答率62.5%ですから、これでもう合格ラインです。ほぼ確実に合格を勝ち取れるでしょう。
この感覚は、学習を行ううえで非常に重要です。
よくある失敗例は、
- 市販のテキストや過去問を見て「ゲッ、なんだこの試験!めちゃくちゃ難しそうじゃん…」と諦めてしまうパターン
- マジメな性格が災いし、なんでもかんでもキッチリ理解しようと深く入り込みすぎて泥沼にハマるパターン
です。
広く浅く、理解できるところだけつまんでいって、半分の問題に対して手を打てるようにするというのが大正解の学習スタンスです。
証券アナリスト2次試験の難易度(合格率)
(参考リンク:日本証券アナリスト協会 受験データ(2次))
紫の線が合格率です。
5年間の合格率が45%から55%の以内におさまっており、1次試験同様素晴らしい安定感を誇っている試験です。
証券アナリスト2次試験の受験科目は、2022年は旧来の4分野構成、2023年からは1次試験同様の6分野になります。
2次試験は1日で全分野の試験が行われます。科目合格などはありません。
ポイントとしては
- 各分野の出題量・難易度・得点配分にかなり差があり、得点戦略が超重要
- 難問・奇問が出題され、かなり知識のある人でも解けないような問題も出る
- 半分も解けなかったという人でも合格しており、おおよそ50%の正答率が合格ライン
といったところです。
つまり、
ということ。旧カリキュラムの場合、優先順位はこんな感じです。
- 職業倫理・行為基準(60点/420点)超簡単な得点源
- コーポレート・ファイナンスと企業分析(90点/420点)公式だけで解ける素直な問題多い
- 証券分析とポートフォリオ・マネジメント(210点~230点/420点)難問奇問が入り混じる難科目
- 市場と経済の分析(40点~60点/420点)試験範囲が広すぎて対策不可能
①で満点、②で8割、③で4割とれれば216点です。
420点の半分を超えていますから、これでもう合格ラインです。
証券アナリスト1次試験・2次試験の難易度まとめ
- 合格率は安定して50%前後
- 1次試験・2次試験に共通して重要なのは、広く浅く、基礎的な問題を確実に解けるようにすること
- 合格率が高いため、難問奇問の類は捨てても十分合格できる。深入りしすぎてドツボにはまらないようにアッサリと勉強する
- 得点戦略を間違えない
このあたりのことを意識できるなら、証券アナリスト合格の難易度は簿記2級ぐらいだと思います。
「難関試験かもしれない!」と身構える必要はまったくありません。
証券アナリスト1次試験・2次試験合格のメリット
学生にとってのメリット
- 就職活動時(金融業界)のアピール材料になる
試験の概要で説明した通り、証券アナリスト試験は受けようと思ってすぐに受けられる試験ではありません。
2次試験に進むためには、必ず通信講座(1次レベル)を受講して1次試験を突破しておかなくてはなりません。
だからこそ、他の学生たちに大きく差をつけることができます。
入社後に、彼らが1次試験の勉強を頑張っているうちに2次試験にチャレンジできるのは大きなアドバンテージです。
証券アナリストは、学生や、年次の浅い若い社員が持っていてこそ評価される資格です。
若いうちから自分のキャリアを描いて、金融業界に進むための資格の勉強をしていることは必ず評価されます。
- 希望企業の財務状況をチェックできる
世の中、名前が知られていなくても財務優良な企業はありますし、一方で誰もが知る大企業にもかかわらず財務状況は火の車という会社もあります。
ネームバリューだけで就職した友人たちは、軒並み痛い目に遭っています(給与減、賞与カット、残業代カット、退職金減額、福利厚生廃止など)。
しっかりとしたビジネスを持っていて、十分なお金を持っている会社を選びたいと思うのであれば会計やファイナンスの知識は必須です。
証券アナリストで学ぶ「財務分析」という分野は、希望企業の財務状況をチェックするのに大きく役立つでしょう。
社会人にとってのメリット
財務分析の知識は、営業マン・研究者・内勤スタッフ、職種を問わず必要なまさに社会人としての基礎知識です。
自分の業務が会社経営に与える影響を、数字で捉えることが出来るようになります。
- 昇格/異動のアピール材料になる
金融業界(銀行や証券会社、保険会社)などで勤務している場合、
逆に言えば、20代で取得できないなら、昇格/異動のアピールには使いにくいので、注意しましょう。
また一般事業会社でも、企画部門では、予算の立案・管理などを効果的に行うために会計・ファイナンスの知識が必須です。
経理/財務部門に限らず、企画部門への異動に際しても、証券アナリスト資格は効果を発揮するでしょう。
- 家計管理や投資に活きる
投資関係の専門用語を一通りマスターすることができますから、
・読める投資本の種類が増える
・機関投資家向けレポートなどが読めるようになる
・企業のIR資料で分からない用語が一気に減る
など様々なメリットがあります。
特に、若いうちの学習はメリットが大きいです。学習には複利効果が効くからです。
若くして証券アナリストの知識を学び、それを入り口に、どんどんと金融リテラシーを高めていくことができれば、将来の資産形成に大きなアドバンテージが得られます。
このようなことを学べる試験は、他にはありません。
証券アナリスト1次試験の勉強方法・勉強時間(独学)
- 証券分析とポートフォリオ・マネジメント
- 財務分析、コーポレートファイナンス
- 市場と経済の分析、数量分析と確率・統計、職業倫理・行為基準
※カリキュラム変更前(2021年まで)の試験内容に沿って解説しています。
合格に必要な勉強時間の目安(1次試験)
各科目のボリュームを考慮すると、
- 証券分析とポートフォリオ・マネジメントが100時間
- 財務分析が50時間
- 経済が50時間
が目安といったところでしょうか。
TACの講座が1次試験で全60コマぐらいです。1コマ2.5時間なので、150時間ですね。
自習等を含めると250~300時間ぐらいでしょうか。スクールでガッツリやる人でこれぐらいの勉強時間です。
独学に使用する教材(1次試験)
- テキスト3冊(合計約9,800円)が必要最小限の教材
- そこに過去問3冊(合計約13,000円)をプラスすれば対策は万全
教材は、TAC出版のものを使いましょう。
私たち自身も全く使ってないですし、ネット上の情報でも「協会のテキストだけで勉強した」という人は全く見つけられません。
受験会場でも、試験直前に受験生達が確認していたのはTACの総まとめテキストばかりです。
また、協会の推奨図書も必要ありません。
新・証券投資論や証券アナリストの数学再入門など、買うだけムダです。
私は文系で数学が大の苦手でしたが、試験的には全く問題なく合格することができました。
TACの総まとめテキストが、事実上の公式テキスト状態です。
このテキストをキッチリやって問題演習をこなせば、必ず合格レベルに達することができます。
①証券分析 3,520円
②財務分析 3,190円
③経済 3,080円
しかし、「過去、どんな試験でも要領良く受かってきた」という実績のある人以外は、ちゃんと過去問をやって演習することをオススメします。
過去問は、協会からも送られてきますが、TACのものとは使い勝手が全く異なります。
協会の過去問集は、まさに過去問と解答事例を集めているだけで、要するに雑なつくりをしています。
いくら問題を解いても、丁寧・詳細な解説を読んで理解を深めなければ意味がありません。
問題が論点別に整理されていて、受験者の頭の整理に役立つということも重要なポイントです。論点別の重要度も明示されていますしね。
少しでも合格の確率を高めたいなら、TACの過去問集を利用する必要があるということです。
証券分析 4,730円
財務分析 4,290円
経済 3,960円
いきなり6冊全部そろえるのはちょっと…という人は、財務分析からの勉強をおすすめします。
比較的独学のハードルが低く、テキストも問題集も取り組みやすいものが多いからです。
さらに、学んだ内容が証券分析などにも生きてきます。
財務分析を学習することで、TACテキストの質の高さを実感できたら、次の科目に進むと良いでしょう。
というわけで、各科目2冊(テキスト+問題集)ずつ使って、試験対策をしていきます。各科目の対策ポイントについてまとめていきます。
証券分析の対策ポイント
証券アナリスト試験のメイン科目です。次の論点から構成されます。
- 現代ポートフォリオ
- 債券分析
- ファンダメンタルズ分析
- 株式分析
- デリバティブ分析
- 証券市場の機能と仕組み ※相対的に重要度低め
※カリキュラム変更前(2021年まで)の試験内容に沿って解説しています。
試験対策上のポイントは次の3つです。
- 上記論点から広く浅く満遍なく出題されるので、苦手分野・捨て論点を作らない
- とはいえ、満点を狙えるような試験でもないので各論点に深入りしない
- 公式を覚えているだけで解ける基礎的な問題を拾えれば合格ラインに達する
TACの講師が言っていました。落ちる人は捨て論点を作ってしまう人です。
デリバティブ分析などは、苦手意識を持っていて捨てる気満々の受験生がかなり多いそうです。
複雑な数式、難解な専門用語が多用されるため、ついつい難しく見えて敬遠しちゃうんですよね。
しかし、証券アナリスト1次試験はヤマを張るような試験ではありません。
一方で、この試験は公式を覚えて問題演習をちょっとこなしておけば解けるような問題ばかりが出題されます。
大正解の勉強スタイルは「とりあえず公式を覚えて問題をたくさん解く」というスタイルです。理解もそのうちついてきます。
間違っても、完璧に理解してから問題を解くという順序で取り組んではいけません。
- TACのテキストに載っている公式を覚えましょう
- 過去問演習をたくさんこなしましょう(公式を覚えていれば解ける問題だけでOK)
- 得点力がついてきたら、テキストを丁寧に通読しなおして理解を深める(深入りしないこと)
こんな感じで!
1次試験では6割は過去問と同じような問題がでますから、安心して学習をすすめて下さい。
財務分析の対策ポイント
証券分析と比較するとはるかに楽なのが財務分析です。
次の論点から構成されます。
- 財務会計総論
- 資産会計
- 負債会計
- 純資産会計
- 損益会計
- 企業結合会計
- 財務諸表分析 ※重要度高め
- 株式価値評価 ※重要度高め
※カリキュラム変更前(2021年まで)の試験内容に沿って解説しています。
簿記2級レベルの知識がある人は、あまり時間をかけなくても得点源にできるでしょう。
簿記の知識がなかったとしても、用語と算式を覚えてしまえば解ける問題ばかりです。
証券分析と比べると、かなり簡単に見えると思います。
なお、重要度高めと書いた論点は、証券分析と試験範囲が被っています。
基礎知識がない人は、証券分析より先にこちらを学習しておくと効率が良いと思います。
基本的な学習スタイル・順序は次の通りです。
- 会計用語を覚える(資産、負債、純資産などなど)
- 財務指標を覚える(TACのテキストに一覧があります)
- 公式を覚える(配当割引モデルなど)
- 問題演習をこなす
これだけで合格できます。証券アナリスト試験のなかではサービス科目と言えるでしょう。
経済の対策ポイント
証券アナリスト試験のなかで一番とっつきにくいのが経済です。
難しくて全く理解できないというわけではなく、いくら勉強しても「分かったような、分からないような…」という感じ。
手ごたえのない科目です。
TACの講師も「一番、落ち続けやすい科目だ」と言っていました。
論点は次の4つから構成されています。
- ミクロ経済 ※配点高め(全体の4割ほど)
- マクロ経済 ※配点高め(全体の3割ほど)
- 金融
- 国際金融
経済学部などの出身で、ミクロ経済・マクロ経済になじみがある人はかなり有利です。
※カリキュラム変更前(2021年まで)の試験内容に沿って解説しています。
ちなみに、こびと株.comのメンバーは経済にはなじみがなく、TACのテキストだけでは理解できませんでした。
そのためミクロ経済、マクロ経済の基本書を探して読み漁るハメになりました(それにもかかわらず、本質的な理解が進んだかというとそんなこともなく、得点力にもほとんど影響がないという状態に…)。
- 過去問3年分(全6回)をすべて解けるようにしておきましょう
ということです。
2次試験の経済と違って、1次試験の経済は試験傾向が安定しています。
過去問を3年分こなせば、重要度の高い論点・公式は網羅できます。
結局、他の科目とやることは一緒です。公式を覚えて問題演習をこなしましょうということですね。
合格したいなら、これがもっとも合理的な学習方法です。
補足:1次試験の対策が暗記・演習中心でOKな理由
以上、3科目に共通する効果的な試験対策は
- 理解はほどほどに(時に後回しにして)
- 専門用語・公式を丸暗記して
- 過去問で演習をこなす
ということでした。
こういうことを言うと
せっかく証券アナリスト試験の勉強するんだから、理解を深めたい!
という人がいると思います。
それはもう完全に同意します。せっかく面白い分野を勉強するのに、ただ暗記するだけでは意味がありません。どうせ忘れてしまいますからね。
なぜなら、2次試験という「理解度が問われるステージ」がすぐに来るからです。
1次試験はマークシート式ですが、2次試験は筆記試験です。分かっていないと書けません。
正確な答案を作るためには、用語や公式の暗記は前提です。覚えていることを論理的につなぎ合わせて解答を記述していくわけです。
このため、1次試験で暗記中心の学習をしておくことには大きな意味があるということですね。
証券アナリスト試験全体を見通して、1次試験は暗記・過去問演習中心でいきましょう!
※ここまでカリキュラム変更前(2021年まで)の試験内容に沿って解説しました。
証券アナリスト2次試験の勉強方法・勉強時間(独学)
- 証券分析とポートフォリオ・マネジメント
- 財務分析、コーポレートファイナンス
- 市場と経済の分析、数量分析と確率・統計、職業倫理・行為基準
1次試験と科目内容は同じです。
※以下はカリキュラム変更前(2022年まで)の試験内容に沿って解説します。
合格に必要な勉強時間の目安(2次試験)
400時間やる人も2割ぐらいいるようですが、少数派ですね。
TACの講座が2次試験で全55コマぐらいです。1コマ3時間なので、165時間ですね。
自習を含めると250~300時間ぐらいでしょうか。1次試験と同様、スクールでガッツリやる人でこれぐらいの勉強時間です。
独学に使用する教材(2次試験)
- テキスト3冊(合計約9,900円)+過去問1冊(約4,600円)が必要最小限の教材
- 職業倫理は協会から送られてきたテキストで学習する
1次試験同様、TACのテキストが事実上の公式テキストです。
やはり、試験会場ではTACのテキスト・過去問を持っている受験生だらけです。
①証券分析 3,520円
②市場と経済 3,080円
③財務分析 3,300円
2次試験の場合、過去問は1冊にまとまっているのでこれだけ買えばOKです。
過去問題集 4,620円
この4冊をやりこめば高い確率で受かります。
なぜなら、他のほとんどの受験生もこれらのテキストしか使っていないからです。
そのうえ証券アナリスト試験は相対評価の試験で、毎回合格率は50%前後が安定的にキープされています。
2次試験の得点戦略と主要ポイント
2次試験で最も重要なポイントは「取捨選択」です。もうこれに尽きます。
1次試験と比較して、(それこそプロでも解けないような)ワケの分からない難問・奇問がたくさん出ます。
いかに、そういった問題を捨て、得点しやすい問題を確実にゲットするかが重要になります。
- 職業倫理・行為基準(60点/420点)超簡単な得点源
- コーポレート・ファイナンスと企業分析(90点/420点)公式だけで解ける素直な問題多い
- 証券分析とポートフォリオ・マネジメント(210点~230点/420点)難問奇問が入り混じる難科目
- 市場と経済の分析(40点~60点/420点)試験範囲が広すぎて対策不可能
TACが推奨していた得点配分は
- 職業倫理で9割(54点)
- 企業分析で7割(63点)
- 証券分析で4割(100点)
- 経済で5割(20点)
です。
※カリキュラム変更前(2022年まで)の試験内容に沿って解説しています。
というわけで、真っ先に手をつけるべきは職業倫理と企業分析です。
職業倫理は3日もあれば満点がとれるようになるサービス科目です。だからこそ、絶対に手を抜いてはいけません。
企業分析は、1次試験の学習内容にコーポレートファイナンスの分野が加わりますが、公式だけで解ける素直な問題が多いです。
職業倫理で9割、企業分析で7割取れるようになれば、合格ライン210点のうち117点はとれてしまっているわけです。
残る証券分析と経済合わせて270点のうち、93点とれれば合格です。
つまり、この2科目は34%の正答率で問題ないということです。
繰り返します。
ここが得点源にならない人は、短期合格できません。
証券分析が最難関科目です。
過去問のうち、5割無視するぐらいでちょうどいいです。
まったく手が付けられないような問題も多々出ますが、証券アナリストの受験生達はほとんどTACのテキストを使っています。
あなたが解けない問題は、他の人にも解けません。
経済は出題範囲が広い割に配点が低く、2次試験で最も重要性の低い科目です。
時事問題も出るため、効率的な試験対策がなかなかできません。
証券分析で5割取れるようになってはじめて、この科目に手をつけるのが◎です。
※ここまではカリキュラム変更前(2022年まで)の試験内容に沿って解説しました。
最強の試験対策:TACに通う
私たちは、1次試験・2次試験ともにTACを利用しました。
TACは証券アナリスト講座を開講している唯一の大手スクールです。
証券アナリスト試験は、ただでさえアナリスト協会へのお布施の負担がつらい試験です。
これに加えてさらにスクール代を支払うというのはなかなか厳しいものがあります。
しかし、金銭面さえクリアできるならその効果は圧倒的。
独学で一番キツいのは、解けなくてはならない基礎的な問題と、解けなくても合否に影響しない難問の区別が、自分ではつけられないということでしょう。
TACでは、重要性が高く、合否に直結する論点・問題しかやりません。
ただ言われたことをやっているだけで、いつの間にか合格ラインに達するのです。
これほど楽な試験対策はないですねw
1次試験・2次試験ともに、試験終了時には合格を確信していました。
自己採点ではいずれの科目も7~8割程度の得点率でしたから、TACを使うというのは試験対策上は”やりすぎ”かもしれません。
TACのホームページを見ているだけでは分からないのですが、実は科目ごとの受講が可能です。
- 1次試験では、初学者の独学が難しく、2次試験でも深い理解が求められる「証券分析」だけを受講する
- 2次試験では、合否を分ける「職業倫理」と「企業分析」だけを受講する
こんなやり方もできるということです。
かなり効率良く合格率をアップさせられる方法だと思います(実際、私たちも2次試験では配点の低い経済は受講しませんでした)
各科目の授業回数・受講料など、興味のある方はぜひ資料請求してみて下さい。
証券アナリスト1次試験・2次試験のまとめ
- 証券アナリストは、国内最高峰の金融系資格!
- 1次試験・2次試験ともに合格率は平均50%!見た目は難しいですが、難易度は低めです
- 試験の肝は「取捨選択」。基礎的な問題を確実に解ければ必ず受かります
- 勉強時間の目安は1次試験で200時間、2次試験も200時間ほど
- アナリスト協会に支払う通信講座の受講料+受験費用は合計131,100円(これにTACのテキスト代2~3万円をプラスしたものが総学習コスト)
- TACを使うと合格率が劇的にアップ。科目別受講も可能
それではまたっ!
※お金に関する資格について解説した記事です。証券アナリスト以外にも、良い資格がイロイロあります。
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