こんにちは、こびと株(kobito_kabu)です。
毎月やっている高配当株ランキング、いつもは下記の記事構成で書いていました。
- 前半部分:その月の経済トピックス
- 後半部分:高配当株の紹介
でも、最近はあまりにも長くなりすぎていたので、今月以降は記事を2分割したいと思います。この記事は、従来記事の前半部分にあたる「経済トピックス」に関する記事です。
私は
- 高配当株投資
- インデックス投資(つみたてNISAやiDeCoのみ)
をやっているので、経済トピックスについては、この2つの投資にどのような影響があるかという視点で書いていきます。
ワシは、自分のゼニになりそうな情報にしか興味がないんじゃ。
というわけで、本記事の構成はこの通り。
- 日本株の投資トピックス
- 外国株の投資トピックス
- まとめ:高配当株投資のポジションについて
目次
日本株の投資トピックス
日本株については、以下の順番で解説します。
- 株価指数の推移
- その他指数の推移
- 8月のトピックス(GDP壊滅、日本企業の決算壊滅)
①株価指数の推移(日経平均・TOPIX・J-REIT)
8月26日時点の終値は、この通り。
- 日経平均株価:23,290 円(年初来安値16,358 円)
- TOPIX:1,624 pt(年初来安値1,199 pt)
- J-REIT指数:1,739 pt(年初来安値1,138 pt)
この3つの1年チャートを見てみると、こんな感じです。
日経平均とTOPIXに関しては、コロナショック前の水準に回復しようかという動きです。
実態経済が底打ちしたから~、みたいな話が出ていますが、私の見立てでは単に「緩和マネーが市場に流入しているから」です。で、株価が上がるので、皆買ってます。
実態経済はかなり悪いです。
そういう意味では、実態経済と株価が乖離したインチキ株高と言えるでしょう。
※とはいえ、後述しますが、これが新時代の「株式投資の常識」なのかもしれません。政府は、株価の暴落を放置しない時代だということです。
J-REITに関しては、まだ全然戻りが弱いですね。
- ホテル系REIT
- オフィス系REIT
など、コロナによって強い逆風にさらされている物件があるからですね。
実際、ホテル系REITは90%以上も分配金がカットされているケースが出てきており、かなり厳しい状況です。
また、オフィスの空室率は
- 渋谷駅周辺オフィス:0.86%→1.50%
- 六本木駅周辺オフィス:0.50%→1.06%
この通り、すでに上昇傾向にあります。東京・港区の賃料は20%超下落するという試算も出てきています。
②その他指数の推移
この2つをチェックしときます。
- 景気動向指数
- 景気ウォッチャー指数
ざっくりとした景気の雰囲気を掴むのに大事だからです。見慣れないかもしれないですが、どれもメジャーなものばかり。かわいがってあげてください。
①景気動向指数は、この通り。
4月に底を打ってから、回復傾向です。とはいえ、100が基準値なのでまだまだ全然弱いです。
(出典:景気動向指数8/26公表分)
景気動向指数は、
- 景気全体の現状を知ったり
- 将来の動向を予測したりするときに
使われる経済指標です。産業、金融、労働など、経済に重要かつ景気に敏感な28項目の景気指標をもとに指数が算出されています。
色々な指標をミキサーに入れてスイッチをいれると、1つの「景気動向指数」ができるというイメージです。
②景気ウォッチャー指数はこの通り。
7月は36ポイント(前月比▲8ポイント)となっており、50を下回っています。銀座のママさんやタクシーの運転手さんが「景気が悪い」と判断しているということです。
(出典:景気ウォッチャー指数8月11日公表)
百貨店・スーパーマーケット・コンビニなどの小売店やレジャー業界で働く人、タクシー運転手など、景気に敏感な職種の約2000人にインタビューし、調査結果を集計・分析して発表するもの。
ロックダウン・強力な外出自粛要請といったことがなければ、3~4月のような経済状況にはならなさそうな雰囲気です。そういう意味では、底は打ってます。
逆に言えば、もっかいアレがきたらヤバイです。
③8月のトピックス
8月のトピックスは、この2つ。
- GDP、戦後最大の落ち込み
- 東証一部上場企業の3割が赤字
まず、①GDPについて。
8月17日に、2020年4月~6月のGDPが公表されました。前期比年率で▲27.8%と、壊滅的な数字です。
2020年4-6月期の実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率で27.8%減と、新型コロナウイルス感染拡大の影響で国内外の経済活動が停滞する中、GDP統計をさかのぼれる1955年以降で最大の落ち込みとなった。
マイナス成長は3四半期連続。内閣府が17日発表した。
(出典:ブルームバーグ「4-6月GDPは年率27.8%減、戦後最悪- 3期連続マイナス」)
※赤字は筆者
一般に、2四半期連続でマイナス成長になると「景気後退入り=リセッション」とみなされます。日本は、すでに3四半期連続でマイナス成長になっています。
- 個人消費も
- 設備投資も
- 輸出も
全部ダメ。今後の見立ては、エコノミストによってさまざまですが「経済が正常化するのには時間がかかりそう」というのが主流派かなという感じ。
②企業業績について。
多くの日本企業にとって、2020年4月~6月はコロナの影響をダイレクトに受けた期間になりました。この期間の決算が8月に出揃ったのですが…ボロボロです。
SMBC日興証券が8月14日までに決算を発表した東証1部上場企業1313社(金融を除く、全体の98・9%)を集計したところ、最終利益が赤字の企業は431社と約3分の1に上った。
減益となった企業も481社となり、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が色濃く表れた。
(出典:読売新聞「東証1部企業決算、3分の1が最終赤字…最終利益8割減の業種も」)
※赤字は筆者
失業率も上昇しているし、どこをどう見ても実体経済は「悪い」です。
それでも株価=指数全体が上がっているのは
- 政府の緩和マネーが入っていること
- 政府の買い支えを信じて、投資家のリスクオン姿勢が強まっていること
です。踊らにゃ損というわけ。
外国株の投資トピックス
外国株については、この3つの順番で見ていきます。
- 株価指数の推移
- インカム系ETFの値動き
- 8月のトピックス(弱気相場終了)
①株価指数の推移
日本を除くG7の主要株価指数の推移は、この通り。
直近1年のパフォーマンスは、こんな感じです。アメリカ最強。USA!USA!
- S&P500(米国):+21.25%(コロナ前の水準を回復し、連日最高値更新)
- DAX30(ドイツ):+12.45%
- S&P TSX(カナダ):+3.75%
- FTSE MIB(イタリア):▲4.07%
- CAC40種(フランス):▲6.29%
- FTSE100(イギリス):▲14.73%
※ちなみに、同期間において、日経平均(日本)は+13.35%で第2位です。なぜかやたらとオワコン扱いされがちな日本株ですが、世界的にみると健闘してますね。新興国株ETFのVWOも、日本株と同じぐらいの成績です。
2008年~2009年のリーマンショック時、110円台だったドル円レートは、あっというまに80円台に到達し超円高になりました。しかし、現在の為替レートは100円~110円ぐらいのレンジで安定しています。
これは、米国が金融緩和で大量のドルを刷るなかで、日本も負けずに円を刷っているからです。米国の金融緩和に協調しないと、リーマンショック時のように、超円高→株安で株式市場がクラッシュしてしまいます。
紙幣を刷りまくって、株式市場を買い支えられる経済力がある国(の株価指数)が勝つ。そんな印象です。
「実態経済」と「株式市場」の連動を注視していくという伝統的な投資スタイル自体がもはやオワコンなのかもしれません。現状、業績や景気よりも、明らかに「マネーの供給量」のほうが重要です。
※あのウォーレン・バフェット氏ですら相場を読み誤っているのは、そういうことでしょう。現在の異常な金融相場で、投資のチャンスを見出すことができないまま15兆円以上のキャッシュを抱え込んでしまっています。
さて、世界中の政府・中央銀行が狂ったように紙幣を刷りまくるので、ゴールドの価値が相対的に上昇しています。
こちらは、ゴールドに投資できるGLDというファンドのチャートです。
一時、史上最高値を更新しています。
投資の教科書的には、ゴールドは安全資産の一種であり、株式と逆相関があります。不景気や戦争などで株価が暴落したときに、安全資産であるゴールドが買われる、みたいな感じですね。
でも、今は株高・ゴールド高です。
なぜこんなことになるかというと、くどいようですが紙幣を刷りまくってるからです。
ちなみに、債券高でもあります(笑)
米国総合債券に投資するAGGというファンドのチャートはこの通り。現在の分配金利回りは2.4%ほどです。ここ数年は、安定して3%ぐらいの利回りがありました。
米国優良社債に投資するLQDというファンドのチャートはこの通り。分配金利回りは2.9%ほど。こちらも、ここ数年は3.5%ぐらいは利回りがとれていました。
AGGやLQDは、格付けがトリプルB以上の投資適格債に投資するファンドです。一方、格付けの低い債券をジャンク債(ゴミの債券)と呼びますが、今はそれに投資するファンドすら値上がりしている状況です。
なぜかというと、米政府がジャンク債も買い支えると表明しているからです。
やったね!これなら安心して買えるね!
②インカム系ETFの値動き
私の愛する高配当株ETFの値動きは、この通り。
HDV、VYM、SPYDの直近1年のチャートはこんな感じです。
コロナ前の水準には程遠く、特にSPYDは出遅れが目立ちます。
とはいえ、以前から言っていたように
- 高配当株投資はアクティブ投資であり(タイミングも重要)
- 広く市場に分散されたインデックスファンドのように”コツコツ積み立てる”類のものではありません
高値掴みをしていない人・暴落時に一気に買えた人は、たいして傷口は深くない(というか、含み損ですらない)と思いますが、どうでしょうか。
ちなみに、仮に含み損が出ていたとしても、長期で見れば全然ペイすると思います。私は、こいつらは長期投資に耐えうるファンドだと思っています。
ご参考までに、下記は
- VUG:米国株(成長株=グロース)のETF
- VTV:米国株(割安株=バリュー)のETF
の2つを比較したチャートです。
たった1年で、グロース株はバリュー株に45%以上もの差をつけています。コロナショック以後の開きがすごいですね。この株価を牽引しているのは、GAFAMを中心としたハイテク企業です。
高配当株がオワコンというか、バリュー株全体がオワコンという感じですね。
とはいえ、グロース優位・バリュー優位は定期的に入れ替わります。私は、永遠にグロース優位が続くとは思っていません。
③8月のトピックス
8月のトピックスは、この2つ。
- 米国株式市場、史上最短で弱気相場終了
- 膨れ上がるGAFAM
米国市場は、史上最短で「弱気相場」が終了しました。
S&P総合500種.SPXは18日、小幅上昇して最高値を更新。史上最短の弱気相場が幕を下ろしたことを確認した。
(出典:「焦点:今なぜ米国株は高いのか、S&P最高値で史上最短の弱気相場に幕」)
※赤字は筆者
2020年の3月23日が底で、8月18日には株価を戻しました。
(出典:CNBC)
株式市場には「半値戻しは全戻し」という相場格言がありますが、今回もその通りでしたね。二番底を懸念する声も多くありましたが、フタを空けてみれば史上最速での弱気相場終了です。
暴落というより、短期的な「調整」が入ったぐらいの感覚のほうが合っているかもしれません。
この回復を牽引したのは、GAFAMを中心とするハイテク企業です。
- Appleの時価総額212兆円>日本企業の時価総額上位32社
- GAFAMの時価総額742兆円>東証全上場企業638兆円
- テスラの時価総額37.1兆円>自動車メーカー9社35.4兆円
GAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)の5社だけで、東証全上場企業の時価総額を超えてしまいました。
テスラの株価は期待先行で、実態を反映しているとは言い難い水準にあると思いますが、GAFAMの決算数値は、良好です。
コロナ禍の世界において
- 誰よりも稼ぐ力があって
- 誰よりも成長力があって
- 誰よりもブランド力がある
そんな企業に資金が集中するのは当然のことなのかもしれません。これだけお金が刷られていると、インフレに弱い債券に資金を寄せるのも微妙ですしね。
ハイテク株に投資するQQQというファンドの1年チャートはこの通り。どこまでいくんや~!
株価を見る限り、
- 勝ち組にはよりお金が集まり
- 負け組はさらに負けていき
二極化が続くだろうと見ている投資家は多そうです。
この流れに「末端の個人投資家(私たちです)」が乗っかって
- GAFAMの成長性に陰りがみえたところ
- これ以上買える人がいなくなったところ
でお祭りは終了です。
※NY株回復の背景に「個人投資家の存在」というニュースより
— うしっクマ❌ (@bullbear48) August 26, 2020
まとめ:高配当株投資のポジションについて
以上をまとめると、この通り。
- 日経平均とTOPIXは回復傾向(J-REITは出遅れ)
- 景気動向指数や景気ウォッチャー指数はまだまだ弱い
- GDPは戦後最大の落ち込み、一部上場企業の3割は赤字
- G7のうち、コロナ前の株価水準に戻ったのは米国だけ(日本も健闘中)
- 債券高・ゴールド高・グロース株優位(ハイテク企業が牽引)
- 米国は史上最速で弱気相場から脱却、GAFAM5社の時価総額は日本の全上場企業を超える水準に
現状は不景気・株高であり、「実態経済」と「株式市場」には大きな乖離があります(私個人の認識です)。
乖離の理由は、政府・中央銀行による金融緩和。現状、伝統的なファンダメンタルズ分析・PERやPBRといった指標は、あまり機能していません。
- 昔ながらの投資の教科書は捨てて
- 政府が金融緩和を続ける限りにおいて、勢いのあるものに乗る
というスタンスの人が、今儲けている人です。
私はインデックス投資(つみたてNISA、iDeCo)については、市場経済でどんなことがあろうと、そのスタンスを崩すつもりはありません。
政府が市場介入しているせいで「プチバブル」と「大きな調整」に振り回される投資スタイルになりそうな感じがしていますけどね。引き続き、積み立て続けます。
問題は、インカムを増やすための高配当株のポジションです。
- 本来は、不景気・株安のなかで、実力以上に売られている会社を買いたいのに
- 現状は、不景気・株高で、実力以上に売られている会社を見つけづらい状況にあります
個別株を見ると「買える株がない」というほどではありませんが、とはいえ積極的に買いたいと思える価格水準でもありません。
もっと言えば、私はこの秋口~年末年始ぐらいで、また暴落(大きな調整)があるんじゃないかと思っています。
というわけで
- すでに持っているものは、そのまま(いったん買った株は売る気がない。暴落こないかもだし。)
- 今後は、キャッシュポジションを高めることを優先する(暴落時の買い増し余力UPのため)
- よさげな個別株があれば、キャッシュポジションを維持しつつ少量買い
という感じでいこうと思います。
この相場で「踊らないことを決めた」ということです。私、シャイなので、踊れないんです。
金融相場で、相対的に価値の下がるキャッシュを増やすのもナンセンスなのですが、まぁ、短期での話なので。
この温度感で、来月以降の高配当株ランキングで個別株を物色していこうと思います。
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