【10分で分かる】株式投資に役立つ6月の投資トピック総まとめ【インデックス・高配当】

※本サイトで紹介している商品・サービス等の外部リンクには、アフィリエイト広告を利用しているものがあります

こんにちは、こびと株(kobito_kabu)です。

現在、

  1. 高配当株投資
  2. インデックス投資(つみたてNISAやiDeCoのみ)

の両刀で資産運用をやっています。

毎月恒例企画ということで、6月の投資トピックスについて「この2つの投資にどのような影響があるか」という観点で、まとめていきます。

 

本記事の構成はこの通り。

3本立て
  1. 日本株の投資トピックス
  2. 外国株の投資トピックス
  3. まとめ:高配当株投資のポジションについて
こびと株
それでは、本題に入りましょう~

 

日本株の投資トピックス

日本株については、以下の順番で解説します。

ポイント3つ
  1. 株価指数の推移
  2. その他指数の推移
  3. 6月のトピックス

 

①株価指数の推移(日経平均・TOPIX・J-REIT・マザーズ)

6月30日時点の株価は、この通り。

  1. REIT指数:1,967pt(-5.48%)
  2. TOPIX:1,871pt(-7.85%)
  3. 日経平均株価:26,393円(-9.93%)
  4. マザーズ指数:662pt(-32.27%)

※端数は四捨五入。カッコ内は、いずれも「年初来」。

 

この4つの指数の、年初来の値動きを見てみるとこんな感じです。

 

6月単月の動きを見ると、この通り。

  • マザーズ指数 -2.04%
  • REIT指数    -2.05%
  • TOPIX    -3.50%
  • 日経平均株価 -3.88%
こびと株
先月は月間でプラスでしたが、今月はマイナスです

 

個人的な相場観は、次のとおり。

  1. 指数全体としては、割高感はない
  2. 個別株では、明らかに割安に見える銘柄もある

※参考
日経平均株価PER:12.75倍(標準は14倍~16倍)
日経平均株価PBR:1.15倍(1.0倍を割るとだいぶ割安)

日本の高配当株を仕込むのに、それほど悪いタイミングではないかなという感じ。

 

しこたまカネを貯め込んでいる日本企業は多く、最近は株主還元に積極的です。

  1. 自社株買い:2022年度の買い入れ枠は計4.2兆円となり、前年同期の約2倍
  2. 配当総額:2年連続で過去最高


(出典:自社株買い枠、倍の4.2兆円 日立は8年ぶり2000億円配当総額2%増、最高に 23年3月期

こびと株
好財務・高収益の高配当株が落ちていたら、ぼちぼち拾っていきます

 

②その他指数の推移

この3つをチェックしておきます。

3つの参考材料
  1. 日銀短観
  2. 景気動向指数
  3. その他の指数(物価、失業率・求人倍率など)

 

最初に、①日銀短観について。

(出典:NHK NEWS WEB「日銀短観 大企業製造業 2期連続で悪化 原材料価格の高騰重荷に」)

 

業況判断DIは、景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」の割合を引いた値です。

  • 大企業製造業:プラス9(前回から-5ポイント)
  • 大企業製造業:プラス13(前回から+4ポイント)

 

製造業は、ウクライナ情勢や中国での外出制限の影響などもあって、2期連続悪化

3カ月後の見通しも、1ポイント程度の改善にとどまります。

 

一方、サービス業は、まん防解除等にともない、飲食・宿泊・遊園地などが改善して持ち直し

とはいえ3か月後の見通しは「横這い」です。

こびと株
あまり、「強さ」を感じられない結果ですね

 

 

次に、景気動向指数(先行指数)について。

4月の数値(6月27日公表)は、102.9となりました。

(出典:景気動向指数 速報からの改訂状況

補足:景気動向指数とは

景気動向指数は、

  • 景気全体の現状を知ったり
  • 将来の動向を予測したりするときに

使われる経済指標です。産業、金融、労働など、経済に重要かつ景気に敏感な30項目の景気指標をもとに指数が算出されています。

色々な指標をミキサーに入れてスイッチをいれると、1つの「景気動向指数」ができるというイメージです。

 

景気動向指数を見る上で大切なのは、この2つ。

ココを見よう
  • この数カ月、プラストレンドか?マイナストレンドか?
  • プラス幅(又はマイナス幅)はどれぐらいか?

ココ1年の推移を見てみると、この通り。

  • 5月 102.5(前月比−1.0ポイント)
  • 6月 104.7(前月比+2.2ポイント)
  • 7月 104.0(前月比-0.7ポイント)
  • 8月 101.6(前月比−2.4ポイント)
  • 9月 99.9(前月比-1.7ポイント)
  • 10月 100.6(前月比+0.7ポイント)
  • 11月 102.0(前月比+1.4ポイント)
  • 12月 102.9(前月比+0.9ポイント)
  • 1月   101.3(前月比-1.6ポイント)
  • 2月   100.3(前月比-1.0ポイント)
  • 3月   100.8(前月比+0.5ポイント)
  • 4月   102.9(前月比+2.1ポイント)←New!!
こびと株
グダグダ下がり続けるかと思ったら、踏ん張った

先ほどの「短観」と合わせて見るに

  • 景気が悪い(どんどん悪くなりそう)、という状況ではないけれど
  • 景気が勢いよく伸びていく、という状況でもない

という感じです。

 

最後に、③その他の指数について。

まず、消費者物価指数(6月24日発表)。

こちらは、前年同月比+2.1%となりました。


(出典:日本経済新聞「消費者物価2.1%上昇 5月、エネルギー・食料品高騰」)

こびと株
先月に引き続き、日銀が目標とする「2%」越え!
  • 電気代やガソリン代、食料品の価格が上昇
  • 4月の消費者物価指数が7年1ヵ月ぶりに2%超えを記録してから、2ヵ月連続の2.0%越え
  • 米国の8.6%、ユーロ圏の8.1%、英国の9.1%と比べると、だいぶおとなしい水準

という感じ。

ようやく、長年のデフレから脱却! 2%の「ちょうど良いインフレ」万歳!

といきたいところですが、日銀はそう感じていないようです。

この点、後述の「トピックス」のところで解説します。

 

最後に、雇用関係(失業率、求人倍率)の指標です。

  • 5月の完全失業率…2.6%(前回は2.5%)
  • 5月の有効求人倍率…1.24倍(前回は1.23倍)

※完全失業率が2.2%ぐらいまで戻ればほぼ完全雇用=ゴール。

(出典:日経新聞「有効求人倍率5カ月連続上昇 5月、失業率は悪化」)

特に大きな動きはなく、安定している状況です。

こびと株
次に、国内トピックスにうつりましょう

 

③6月の国内トピックス

日本株について、今月のトピックはこの3つです。

3つ
  • 1ドル=137円台を記録、24年ぶり円安
  • 日銀指値オペ継続中
  • 参議院選挙に向けた選挙動向

 

1ドル=137円台を記録、24年ぶり円安

29日に、一時1ドル=137円台まで円安・ドル高が進みました。

こびと株
まさに、円のバーゲンセール!

 

どれぐらい安いかというと、1998年以来、約24年ぶりの安さです。

ドル円の長期チャートはご覧の通り。


(出典:日経新聞「円安、98年危機以来の水準 一時135円台前半に 産業競争力の課題映す」)

1995年~現在の間でみると、1998年8月につけた147円64銭が「最安」です。

※当時の日本では、大手証券会社や銀行が相次いで破綻。1991年のバブル崩壊以来、ずーっと「金融危機」が続いていました。

 

今の日本は、当時のように「金融危機下」にあるワケではありません。

しかし、円安要因は盛りだくさん。

あれもこれも揃っており、ストレートフラッシュ状態です。

円安要因
  1. 世界中の中央銀行が利上げするなか、日本だけ利上げしない(お金は金利の高いところに集まるので、金利の低い日本からはお金が逃げていく=円安になる。)
  2. 世界各国で旅行者の受け入れが拡大するなか、日本だけ実質鎖国状態(外国人旅行者がたくさんいれば、円をたくさん買ってもらえる=円高になる。)
  3. 貿易収支の赤字が拡大

とはいえ、①や②の流れは永遠に続くものではありません。

 

株価にせよ、為替にせよ、相場というのは時にいきすぎます

こういう時は「永遠に円安が続く」と錯覚しがちですが、いずれ円高に振れることも踏まえて「資産配分」を考えた方が良いかなと。

要は、外貨建て資産100%みたいなトガった資産バランスにすると、あとで声出して泣くことになるかもしれないよということですね。

こびと株
ちなみに、私の株式ポートフォリオは「円建て資産50%:ドル建て資産50%」です。

 

日銀指値オペ継続中

国民
これだけ円安になってるんだから、日本も利上げしようよ!

こんな声も聞こえてきますが、日銀様にその気はまったくありません

 

日銀は、「短期金利」と「長期金利」を次のようにコントロールしようとしています。

  • 短期金利…マイナス0.1%
  • 長期金利…0%(※0%±0.25%の幅は、0%とみなす)

米国やドイツと比べると、日本の長期金利が「アタマ(0.25%)をおさえられている」のが良く分かりますね。


(出典:日経新聞「イールドカーブ・コントロールとは 長短金利を誘導」)

どこをどう見ても低金利ですね。

 

さて、「金利」と「債券価格」は、シーソーのような関係にあります。

日本の10年国債について

  • たとえば、金利が0%→0.25%に「上がる」ということは
  • 債券価格は「下がる」ということになります

 

10年物国債の金利が上昇している時というのは

投資家
日本国債なんて、もういらない。持ってる国債、売ってしまいましょう。
投資家
日本国債なんて、いらない。買わない。

こういう時なんですね。

売り手が多くて、買い手が少なければ、通常、資産価格は下落(暴落)します。

 

ところが、日本国債は暴落しません。

なぜかと言うと、日銀が「金利が0.25%のラインにきたら、無制限に買い入れる」からです(これを指値オペと言います。)

自然な流れ
  1. 日本国債を「いらない」と思う人が増える
  2. 日本国債の売り手が増えて、買い手が減る
  3. 日本国債の価格が下がる(=金利が上昇する)

これが自然な流れですが、今はこうなっています。

今の流れ
  1. 日本国債を「いらない」と思う人が増える
  2. 日本国債の売り手が増えるけど、日銀が全部買う
  3. 日本国債の価格は下がらない(金利も上昇しない

 

日銀が債券を買ってくれるということは、債券の売り手には「現金=円」が渡されるということ。

つまり、世の中に「現金」がジャブジャブ出回ることになります。

日銀は、こうやって、市場に大量のお金を流通させてインフレを起こしたいんですね。

 

今、日本のインフレ率はようやく2.0%を超えてきました。

しかし、これは「ウクライナ危機」によって引き起こされた、天然資源や食料品の高騰によるところが大きいです。

原材料価格の上昇に伴い「値上げせざるを得なくなっている」というのが実情であって、

  • 国民の需要が強くなって(「モノやサービスを買いたい!」という人が増えて)
  • 企業の売上が増えて
  • 業績が良くなった企業が、従業員の給料を増やして
  • 給料が増えた人々が、ますますモノやサービスを買うようになって
  • 物価が上昇していく…

というカタチで、「良いインフレ」が起きているワケではありません。

そのため、日銀は「今のインフレは、思てたんと違う」ということで、金融緩和をやめる気配がありません。

 

整理すると

  • 日本の金利は、まだ上がりそうにないし
  • 他国との金利差は広がりそうだし
  • 円安は、しばらく続きそうだなぁ

こんな雰囲気です。

 

参議院選挙に向けた選挙動向

政府は通常国会の閉会を受けて、15日午後に臨時閣議を開催。

  • 6月22日公示
  • 7月10日投票

の日程で、「参議院選挙」を行うことを決めました。

 

参議院の定員は、全248名。任期は6年で、3年ごとに半数が改選されます。

今回は、124名+欠員1名で、全125席を巡る争いになります。


(出典:NHK政治マガジン「参議院選挙は7月10日投票 選挙の仕組み&9党党首らコメント」)

 

世の中にはたくさんの「リスク」がありますが、投資家にとって重要なリスクの1つが「岸田リスク」でしょう。

3つの岸田リスク
  1. 金融所得課税の強化(配当金などへの増税)
  2. 新しい資本主義の迷走
  3. 金融緩和の方針転換(アベノミクス路線からの修正。金融引き締めへ。ちなみに、日銀黒田総裁の任期は2023年4月8日までです。)

いずれも、基本的には株価にマイナスです。

参議院選挙で納得のゆく結果を出せば、「検討使」と揶揄されている岸田総理もいよいよ本格的に動き始める可能性があります。

 

現状、自民党ほど支持を集めている政党はありません。


(出典:NHK政治マガジン「各党の支持率と岸田内閣の支持率 NHK世論調査」)

 

令和3年10月の発足以来、岸田内閣の支持率は「堅調」に推移していましたが、足元では支持率下落の動きも見られます。


(出典:NHK政治マガジン「各党の支持率と岸田内閣の支持率 NHK世論調査」)

こびと株
参議院選挙の行方、要注目ですね

 

外国株の投資トピックス

お次は、外国株の話題です。

外国株については、この4つの順番で見ていきます。

4つ
  1. 株価指数の推移
  2. ゴールド・債券ETF等の値動き
  3. 高配当ファンドの値動き
  4. 6月のトピックス

 

①株価指数の推移

G7(主要先進7ヵ国)の、主な株価指数の推移(年初来)はこの通り。

※グーグルファイナンスでは、チャートを5つまでしか同時比較できないので、泣く泣く「FTSE MIB(イタリア)」を抜いています。

 

こびと株
2022年G7パフォーマンス駅伝、「6月中継所」通過時点の順位はこの通り。
2022年G7パフォーマンス駅伝、6月時点の着順
  1. FTSE100(イギリス) -4.48%
  2. S&P TSX(カナダ)   −11.18%
  3. CAC40種(フランス) −17.93%
  4. DAX30(ドイツ)   −20.20%
  5. S&P500(米国)    −21.08%
  6. FTSE MIB(イタリア) −23.21%

TOPIX(日本)は−7.85%。

先月時点では、イギリスは唯一のプラス圏でしたが、今月は沈みましたね。

日本は、-7.85%ながら2位を走っており「悪くない位置」にいます。

アメリカは先月に引き続き大きくマイナス。-21.08%という成績です。

上半期の下落率としては、1970年以来約50年ぶりの大幅安になっています。

 

6月単月の動きを見ると、この通り。

こびと株
どこも激しく失速してますねぇ~

株価にマイナスの影響を与える可能性が高い

  • 利上げ
  • バランスシートの縮小(QT)

これらは、まだ始まったばかりです。

もしナンピンするつもりでいるなら、慎重にやった方が良いですね。

※ナンピンのコツについては、こちらの動画が参考になります。

 

②ゴールド・債券ETF等の値動き

有名なゴールドETFである、「GLD」の値動きはこの通り。


(出典:グーグルファイナンス SPDRゴールド・シェアーズ(GLD)

先進国株の多くが、いまだ年初来でマイナスになっている中で、年初来+0.077%となんとかプラスを維持しています。

金価格は、

  • 3月にピークを打った後
  • 6月にかけてグダグダと値が下がり続けています

背景にあるのは、米国の利上げです。

 

今後、金利が1%、2%と上がっていくのなら、

  • 利息が一切もらえないゴールドより
  • 利息がもらえる債券の方が

投資家に好まれるようになる、というワケです。

 

ゴールドというのは、

  • 戦争
  • 大災害
  • 金融危機
  • ハイパーインフレ

といった非常事態に強い一方で、

  • 合理的な期待リターンは、予測不可能
  • リスクが高い(ときに、株式よりも価格変動が大きい)

という特徴があります。

 

したがって

  • チャートを読んで華麗にトレードを決める(売却益をゲットする)、というよりは
  • 幅広い分散投資の一角として、資産の数%~10%程度を「有事に対する備え」として持つ

という姿勢が良いのかなと。

インフレ、ウクライナ・ロシアの問題、米中対立など、懸念はいくらでもありますからね。

こびと株
引き続き「非常事態に対する資産防衛のためのツール」として、一定の役割はあると思います。

※でも、私は買いません。インカムのない資産は、私の投資方針と合わないからです。

 

お次は、債券です。

投資額に対して2%~5%ほどのインカム(利息)が欲しければ、米国債券が有望な投資候補になります。

米国の優良債券ファンドを3つチェックしてみましょう。

3つの債券ファンド
  1. AGG:ローリスク・ローリターンな債券(格付け高く、利回り低い)
  2. LQD:ミドルリスク・ミドルリターンな債券(格付け普通、利回り普通)
  3. HYG:ハイリスク・ハイリターンな債券(格付け低く、利回り高い)

 

米国総合債券に投資する【AGG】というファンドのチャートはこの通り。

  • 年初来−10.26%
  • 現在の分配金利回りは1.96%
  • 投資対象の約7割は、格付けがAAA(トリプルエー)の債券です

価格推移はイマイチで右肩下がりが続いていますが、「底値付近」にある感じも出てきましたね。

 

値下がりの理由は、金利上昇です。

「債券」と「金利」は、シーソーの関係にあり、逆の動きをします。

その証拠に、金利のチャートを見てみましょう。

こちらは「米国の長期金利(10年国債)」の推移です(現在の金利は約3.0%)。


(出典:三井住友銀行「マーケット情報チャート」)

米国における2023年・2024年の金利水準(予測)は、ぼちぼち落ち着きつつあります。

長期金利の水準がせいぜい3.5%~4.0%ぐらいだろうと考えるなら、買いのチャンスは近いかもしれません。

 

米国優良社債に投資する【LQD】というファンドのチャートはこの通り。

  • 年初来−16.08%
  • 分配金利回りは2.77%ほど
  • 投資対象の約8割は、格付けがBBB(トリプルビー)~Aの債券です
  • ギャンブル性の低い「投資適格」な債券であるものの、AGGよりは安全性が低いです

こちらも、金利上昇を背景に、価格推移はイマイチです。

 

最後は【HYG】です。

「ジャンク」「ゴミ」と言った呼ばれ方をする「投資不適格の債券」を集めた、ハイリスクな債券ファンドです。

  • 年初来−15.36%
  • 現在の利回りは4.80%ほど
  • 投資対象のほぼすべてが、格付けCCC(トリプルシー)~BBの債券です(リスクが高いぶん、長期的なトータルリターンは大きい傾向)

ハイイールド債は、「炭鉱のカナリア」と呼ばれることがあります。

相場の変調(先行き不安)を知らせる先行指標にもなるので、これが下げている時は要注意ですね。

 

まとめると、

  • AGG(総合債券)…−10.26%
  • LQD(優良社債)…−16.08%
  • HYG(ジャンク債)…−15.36%

いずれも年初来で大きなマイナスリターンです。

 

ウォールストリートジャーナルによると、今の債券相場は「1842年以来最悪」レベルのものだそうです。

2022年はこれまでに、インフレが加速する中で米国債市場は10%下落した。米史上最悪のリターンに入る水準だ

(出典:WSJ「1842年以来最悪の米債券相場、なぜ朗報なのか」)※赤字は筆者

 

米国債は、

  • 1976年以降、4年を除いて全ての年でプラスのリターン
  • FRBが6回の利上げで計2.5%も金利を引き上げた1994年でさえ、全体としてわずか3%の下げにとどまった

ということなので、2022年の米国債券市場はまさに「総悲観」と言える状況ですね。

 

「総悲観は買い」ということで、日に日に投資妙味が増している債券。

しかし、日本人投資家ならではの注意点もあります。

それは、為替リスクです。

外国債券のリターンに占める「為替の影響」は非常に大きいです。

たとえば、

  • 年3%の利息を7年間もらう(合計21%の利益
  • 為替が130円→100円と円高になれば、投資元本に約23%の為替差損が生じる
  • せっかくの「利息」が「為替」で台無しになる

そんなイメージですね。

 

株式であれば、10年20年の間に株価が1.5倍2倍と成長する可能性があります。

そうなれば、20~30%の為替影響も十分に吸収できるでしょう。

一方、債券は株式のようには価格が伸びません(債券のリターンの大半は、利息が生み出します)。

だから、為替影響を吸収するのが難しくなるんですね。

 

結局、米国債の狙い時は

  1. 利回りが高い時(しかも、それ以上金利が上がらなさそうな時)
  2. 円高の時(少なくとも”円安”ではない時)

というワケ。

今は、①の面で魅力的になりつつありますが、②がダメですね。

こびと株
割に合う条件が揃う時まで、監視し続けましょう

 

③インカム系ETFの値動き

私の愛する高配当株ETFについて。

  • キャピタル(売却益)も
  • インカム(分配金)も

両方狙えるポテンシャルのあるファンドたちです。

HDVVYMSPYDの年初来のチャートは、この通り。

分配金を無視して価格だけ見ると

  1. 1位がHDV…0.75
  2. 2位がSPYD…5.85%
  3. 3位がVYM…−9.71%

という順位になりました。

年初来で

  • S&P500が−約21%
  • NASDAQが−約30%

と沈んでいることを考えると、健闘していると言えます。

 

ただ、今月はバリュー株にこれまでのような強さがなく、不安を残す結果になったことも事実ですね。

  • グロースもダメ
  • バリューもダメ
  • ゴールドもダメ
  • 債券もダメ
  • 現金もダメ(インフレでどんどん減価するので)

という感じで、まさに「逃げ場なし」という感じでした。

 

現在の分配金利回りは

  • SPYD:約3.8%(過去平均は約4.1%)
  • VYM:約3.1%(過去平均は約3.1%)
  • HDV:約3.1%(過去平均は約3.4%)

という状況。

低すぎる!というほどではないですが、特に旨味を感じる水準ではありません。

個人的には、この状態では買い増ししません。

こびと株
「円安」と「日本株の割安さ」を考えると、引き続き日本の高配当株の方が魅力的だと判断します。

 

④6月の海外トピックス

最後に、外国株のトピックスです。

この3つを順番に見ていきます。

3つ
  1. 世界成長率鈍化
  2. S&P500 弱気相場入り
  3. FOMCで0.75%利上げ決定

 

世界成長率鈍化

今月7日、世界銀行は最新の世界経済見通しを発表しました。

世界銀行
2022年の世界全体の実質成長率は2.9%と予測します!

この2.9%という数字は

  • 2021年(5.7%)より2.8ポイント低い
  • 前回予測(1月時点。4.1%)より1.2ポイント低い

ということで、大幅下方修正です。

 

原因は、色々あります。

  • ウクライナの戦争
  • 中国のロックダウン
  • サプライチェーン(供給網)の混乱
  • スタグフレーション(景気後退とインフレの同時進行のこと)のリスク

などですね。

(参考:世界経済見通し

 

  • 北京のゼロコロナ政策は今後5年間続くのでは?
  • 景気悪化のシグナルと言われる「逆イールド」が、世界中の債券市場(アメリカ、カナダ、韓国…)で発生中

といったニュースなど、景気後退(リセッション)を意識させられる話題は後を絶ちません。

(参考:北京のゼロコロナ政策、「あと5年」の党幹部発言が波紋呼ぶ」、世界で長短金利逆転 景気先行き懸念映す

 

ちなみに、アーク・インベストメント・マネジメントを率いる、著名投資家のキャシー・ウッド氏は

米経済は、すでにリセッション(景気後退)に陥っている

とコメントしています。

こびと株
世界経済や米国経済は、リセッション入りするのか?しないのか?実は、もうすでに不景気なのか?引き続き、注目です。

 

S&P500 弱気相場入り

今月13日、S&P500は3.9%安と急落、弱気相場入りしました。

「弱気相場」は

  • 直近高値から20%以上下落した相場で
  • ほとんどの投資家が相場の先行きを悲観する状況

です。

こびと株
6月13日の下落によって、1月3日の過去最高値からの下落率が21.8%に到達したことで、「弱気相場入り」となったわけですね。

 

歴史を復習しておくと、弱気相場というのはこんなイメージ。

ざっくり言えば

  • 数カ月~2年超の間に
  • 高値から20~50%程度まで下落する

感じですね。

※参考までに、底値をつけてから高値を回復するまでの期間は、3ヵ月~69ヵ月(平均は2年)です。歴史を振り返ると、悪い時は「5年ぐらい」高値更新しないということです。

 

株式市場の値動きはさておき、米国全体の景気についても「リセッション入りの確率上昇中!」みたいな話が聞こえてきています。

  • 企業幹部の60%超が、1年~1年半以内にリセッション入りを予想
    (15%は「すでにリセッション入りした」と考えている)
  • エコノミストたちは、1年以内にリセッション入りする確率は44%と考えている

(出典:企業幹部、大半がリセッション入りを予想=調査米経済、リセッション入り確率44%に急上昇=WSJ調査

 

皆が皆、口をそろえて

  • 不景気になる
  • もう不景気だ
  • 今度の不景気は長くなるぞ

などと総悲観の雰囲気になってきたら、個人的には積極的に買っていくつもりです。

こびと株
高配当株の仕込み時として、絶好のチャンスですからね。

 

オマケ

「弱気相場入り」しているのはS&P500だけではありません。

全世界の株式で構成するMSCIの代表的な指数で4割にあたる19の国・地域の株価が直近ピークから2割以上下げている。

(出典:世界株、4割「弱気相場」入り 急速利上げで景気懸念

ドイツ(24%安)、スイス(20%安)、中国(35%安)、ブラジル(28%安)、ハンガリー(40%安)、ポーランド(33%安)…

急速な利上げからの景気後退懸念に、世界中の株式市場で投資家心理が悪化しています。

 

FOMCで0.75%利上げ決定

6月15日、FOMCが開かれました。

繰り返しトピックスにあがるFOMC。

要するに、「アメリカの金融政策を決める、エラい人たちの会議」です。

超・重要会議なので、毎回非常~に注目されています。

こびと株
投資家にとっては、毎月オリンピックが開催されているぐらいの注目度(笑)

 

今回注目されたポイントは、「利上げ幅」。

パウエル議長
0.75%引き上げます!

0.75%の引き上げというのは

  • 通常の3倍の大きさ(0.25%ずつ引き上げるのが通常)
  • 先月時点の想定を上回る大きさ(0.5%引き上げが想定されていた)

ということで、パウエル議長自身も「異例の大きさ」と発言するような、大幅利上げです。

 

利上げが株式市場にとってビッグニュースなのはどうして?

利上げは、株価の下落を招く可能性があるからです。

※「金利」と「株価」の関係は、かなり複雑です。ここでは「そういうもんなのか」というぐらいで読み進めて下さい。

それでも急ピッチで利上げが続けられているのは、インフレを抑えるため

金利が上がれば

  • 個人も企業も、借金がしにくくなって
  • 個人も企業も、「使えるお金」が減って
  • 物価が下がっていくはず!(買い手が減ると、売り手はモノの値段を下げて売ろうとするので)

という狙いですね。

 

現在、アメリカは、インフレにかなり苦しめられています。

6月上旬に発表された5月の消費者物価指数は

  • 前年同月比+8.6%
  • 40年半ぶりの記録的な高水準
  • 市場が予想していた以上の高さ

ということで、0.75%大幅利上げの要因のひとつとみられています。

 

このインフレをやっつけるためなら

  • 株価がさがろうと
  • リセッションに陥ろうと
  • 金利を!!上げるぞ!!

というワケですね。

 

アメリカにおける政策金利の見通しは、この通り。

  • 2022年末:3.4%
  • 2023年末:3.8%
  • 2024年末:3.4%

※現状は、1.5%~1.75%

(参考:米FRB、政策金利を0.75ポイント引き上げ、2022年末までに3.4%まで引き上げの見通し

景気を刺激も抑制もしない水準とされる「長期均衡金利2.5%」を上回る水準が続くことが見込まれています。

これほど頑張らないと、インフレは退治できないんですね。

 

ちなみにこの状況、アメリカ以外の国でも似たようなことになっています。

まさに、「世界同時利上げ」といった様相です。

2022年1~6月の利上げは世界全体で80回(前年同期の約7倍)。

  • 欧州中央銀行は11年ぶり利上げ
  • スイス国立銀行も15年ぶり利上げ
  • 英イングランド銀行は5会合連続利上げ

 

この他、新興国では、

アメリカの利上げ→通貨安(金利の安い他国通貨より、金利の高いドルの方が欲しがられる)→通貨防衛のための利上げ…

といった循環もあって、過去最速ペースの利上げが進んでいます。

(参考:世界の利上げ最多80回 1~6月、新興国は通貨防衛

こびと株
そら、円安にもなるわ!円だけが超低金利通貨なんだから…

 

しばらくは、「インフレ率」と「利上げペース」から目を離せない状況が続きますね。

金利と株価には、非常~に密接な関係があります。

金利動向を無視してポジションとったら大やけどします。

このことは、肝に銘じて投資戦略を考えていきましょう。

 

まとめ:高配当株投資のポジションについて

以上をまとめると、この通り。

本記事のまとめ
  • 6月の日本株は、グダグダな展開
  • 指数全体としては「割高ではない」、個別には「割安な銘柄もある」
  • 相変わらずの円安、続く低金利政策
  • 「岸田リスク」の今後を占う参議院選は要注目
  • S&P500が弱気相場入り、その他世界の株式指数も続々弱気相場入り
  • 世界中でインフレ・利上げ・景気後退の懸念
  • ゴールドは年初来でトントン、債券相場は1842年以来最悪レベル
  • 高配当株は健闘中も、6月の動きは弱い
  • 今後各国は、インフレ抑制と景気悪化不安の間で、利上げペースの難しいかじ取りを迫られる

という感じです。

  • S&P500やナスダックなど、米国株一強だった昨年とはうって変わって
  • 米国以外の先進国株バリュー株コモディティなどが相対的に強くなったものの
  • バリュー株、コモディティなども不調になりつつあり

非常に難しい相場になっています。

 

米国の金融政策にばかり目がいきがちですが

  • ウクライナ情勢
  • 世界各国のインフレ進行
  • コロナ感染拡大に伴う、中国のロックダウン

など、不安要素は盛りだくさん。

投資家心理は不安定です。

 

個人的には、

  • インデックス運用(iDeCoやつみたてNISA)は、淡々と継続
  • アクティブ運用(高配当株投資)は、日本株については「割安」なものがあればピンポイントでちょっと買う(米国株は静観)

というスタンスです。

  • 現金のままにしておくと、インフレでやられる
  • 債券を買うと、金利上昇で価格が下落する
  • 株を買うと、下落相場に巻き込まれる可能性がある
  • コモディティは、意外と価格変動が大きく短期の守りには向いていない…

どのように資産を守り、そして増やしていくか、難しいフェーズですね。

 

個人的には

  • インフレで多少削られることを承知で
  • キャッシュを積み上げて守りを厚くしておいた方が

長い目でみればトータルで良いポジションを作れるんじゃないかなと思っています。

そういう温度感です。

上手に対応して、生き残っていきましょう!

それではまたっ!

 

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こびと株.comの管理人。一部上場企業での経理/財務の実務経験10年超、日商簿記1級、証券アナリスト、FP資格を有する「企業と個人のお金の専門家」。4つの財布(給与/配当/不動産/事業収入)を駆使して経済的自由を達成することを目標に奮闘中。