こんにちは、こびと株(kobito_kabu)です。
現在、
- 高配当株投資
- インデックス投資(つみたてNISAやiDeCoのみ)
の両刀で資産運用をやっています。
毎月恒例企画ということで、12月の投資トピックスについて「この2つの投資にどのような影響があるか」という観点で、まとめていきます。
本記事の構成はこの通り。
- 日本株の投資トピックス
- 外国株の投資トピックス
- まとめ:高配当株投資のポジションについて
目次
日本株の投資トピックス
日本株については、以下の順番で解説します。
- 株価指数の推移
- その他指数の推移
- 12月のトピックス
①株価指数の推移(日経平均・TOPIX・J-REIT・マザーズ)
12月30日時点の株価は、この通り。
- TOPIX:1,892pt(-6.82%)
- REIT連動ETF:2,036円(-9.53%)
- 日経平均株価:26,095円(-10.95%)
- マザーズ連動ETF:564円(-24.97%)
※端数は四捨五入。カッコ内は、いずれも「年初来」。
※J-REITとマザーズ指数がグーグルファイナンスから消えてしまったようなので、それらの指数に連動している「ETF」のデータを表示しています。そのため、実際の指数の動きとは誤差があります。
この4つの株価、年初来の値動きを見てみるとこんな感じです。
年間を通して、プラスに浮上するタイミングはほとんどありませんでしたね。
日本株全体としては冴えませんでしたが、高配当株は好調でした。
たとえば、日経225構成銘柄のうち、高配当の50銘柄に投資するファンドは約16%のプラスです。
私個人としても、資産額・配当金ともに過去最高を更新しています。
12月単月の動きは、この通り。
- REIT連動 -2.42%
- TOPIX -4.77%
- 日経平均株価 -7.55%
- マザーズ連動 -9.72%
株安の背景にあるのは、「日銀の緩和修正=事実上の利上げ(詳しくは国内トピックスで解説)」です。
2022年は、アメリカで利上げ→株安のスパイラルが話題でしたね。
日本は「うちは利上げしない」というスタンスでしたが、ここに来て変化が見られます。
金利が動くと
- 株価
- 為替
- 物価…etc
あらゆる経済指標が動きます。
②その他指数の推移
この3つをチェックしておきます。
- 日銀短観
- 景気動向指数
- その他の指数(物価、失業率・求人倍率など)
最初に、①日銀短観について。
(出典:日経新聞「大企業製造業が4期連続悪化、非製造業は改善 日銀短観」)
業況判断指数(DI)は、景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」の割合を引いた値です。
※その数値がゼロより上なら景気拡大、ゼロより小さければ景気縮小
最新の結果はこの通り。
- 大企業製造業:プラス7(前回からー1ポイント。4半期連続の悪化↓)
- 大企業非製造業:プラス19(前回から+5ポイント。3四半期連続の改善↑)
ご覧のとおり、現在の景況観は悪くはありません。
しかし、製造業は、仕入れ価格の高騰がキツいようで、今後は「悪化」が見込まれています。
サービス業は
- コロナの行動制限緩和
- 政府の旅行支援
などで元気を取り戻しているように見えますが、「コロナ感染再拡大」「原材料価格の高騰」などの懸念があり、今後は「悪化」が見込まれています。
オマケですが、まだ時々聞かれるので、この質問について答えておきます。
回答:見ておいた方が良い。
理由はこの通り。
- 調査対象企業が約9千社と、サンプル数が多い
- 速報性がある
- 短観の結果は、日銀の政策に影響を与える
- 景気の山・谷をわりとピタリと当てられる
世界はアメリカを中心に動いているので、日本の経済指標の多くは、世界の投資家にとって「見る必要がない」ものです。
そのなかにあって、日銀短観は「珍しく重要性がある」ということで、「TANKAN」として知られています。
- SUKIYAKI(すき焼き)
- SOBA(蕎麦)
- KAROUSHI(過労死)
- HENTAI(変態)
などは、「海外でそのまま使える日本語たち」として有名ですが、投資家にとってはそれが「TANKAN」だということ。
次に、②景気動向指数(先行指数)について。
10月の数値(12月22日公表)は、98.6となりました。
(出典:景気動向指数 速報からの改訂状況)
景気動向指数は、
- 景気全体の現状を知ったり
- 将来の動向を予測したりするときに
使われる経済指標です。産業、金融、労働など、経済に重要かつ景気に敏感な30項目の景気指標をもとに指数が算出されています。
色々な指標をミキサーに入れてスイッチをいれると、1つの「景気動向指数」ができるというイメージです。
景気動向指数を見る上で大切なのは、この2つ。
- この数カ月、プラストレンドか?マイナストレンドか?
- プラス幅(又はマイナス幅)はどれぐらいか?
ココ1年の推移を見てみると、この通り。
- 11月 102.0(前月比+1.4ポイント)
- 12月 102.9(前月比+0.9ポイント)
- 1月 101.3(前月比-1.6ポイント)
- 2月 100.2(前月比-1.1ポイント)
- 3月 100.7(前月比+0.5ポイント)
- 4月 102.3(前月比+1.6ポイント)
- 5月 100.8(前月比-1.5ポイント)
- 6月 100.5(前月比-0.3ポイント)
- 7月 99.3(前月比-1.2ポイント)
- 8月 101.6(前月比+2.3ポイント)
- 9月 98.2(前月比-3.4ポイント)
- 10月 98.6(前月比+0.4ポイント)←New!!
若干持ち直しましたが、下落トレンドにあることは変わりません。
業績の良い、株価上昇中の高配当株。いつまでも業績が良いとは限らないですね。
最後に、③その他の指数について。
まず、消費者物価指数(12月23日発表)。
こちらは、前年同月比+3.7%となりました。
(出典:NHK NEWS WEB「11月の消費者物価指数 前年比3.7%上昇 40年11か月ぶりの水準」)
食品、エネルギー、家具など、幅広い品目で値上がりしていますね。
- 食用油 +35%(前年同月比。以下同じ)
- 食パン +14.5%
- 牛乳 +9.5%
- 電気代 +20.1%
- ガス代 +21%
- 家具・家事用品 +7.3%
このレベルの物価高が続くと、政府としても対応をとらざるをえないでしょう。
中・短期的には、日本においても「インフレ」が大きなテーマになりそうです。
最後に、雇用関係(失業率、求人倍率)の指標です。
- 11月の完全失業率…2.5%(前回は2.6%)
- 11月の有効求人倍率…1.35倍(前回は1.35倍)
※完全失業率が2.2%ぐらいまで戻ればほぼ完全雇用=ゴール。
(出典:日経新聞「求人倍率横ばい1.35倍、11月 失業率は2.5%に低下」)
引き続き、失業率は比較的低い水準で安定しており、有効求人倍率は上昇トレンドにあります。
日本における雇用環境は「悪くない」と言えそうです。
③12月の国内トピックス
日本株について、今月のトピックはこの2つです。
- 日銀の緩和修正
- 岸田政権支持率 さらに下落
日銀の緩和修正
12月における、国内最大の投資トピックスがこちら。
日銀による、金融緩和の縮小です。
日銀は19~20日に開いた金融政策決定会合で、大規模緩和を修正する方針を決めた。
従来0.25%程度としてきた長期金利の変動許容幅を0.5%に拡大する。
20日から適用する。
長期金利は足元で変動幅の上限近くで推移しており、事実上の利上げとなる。
(出典:日経新聞「日銀が緩和縮小、長期金利の上限0.5%に 事実上の利上げ」※赤字は筆者)
なんのこっちゃよく分からん!
という人は、重要なところだけおさえましょう。
今、世界中の国が
- コロナウイルスの蔓延
- ロシア・ウクライナ危機
を発端とした「インフレ(物価高)」に悩まされています。
インフレ率はざっくり6~12%程度。
去年は100円で買えたパンが、今年は106~112円出さないと買えない。そんなイメージです。
そして、世界各国の政府・中央銀行は、インフレをやっつけるために「利上げ」を行っています。
インフレが起きるのは、世の中にお金がありすぎるからです。
金利が上がれば
- 銀行にお金を預ける人が増えて、世の中に出回るお金の量が減る
- お金を借りて、新たな事業を起こしたり、設備投資をする経営者も減る
- 多額のローンを組んで、住宅を購入する人も減る
こういうことが起きて、少しずつインフレがおさまっていくワケですね。
ところが、日本では他の国と違って「利上げ」を行っていませんでした。
日本は、デフレに悩まされてきた経緯があり、むしろインフレを起こしたい国だからです。
実際、日銀はこういうスタンスを貫き続けてきました。
- 金融緩和する→世の中にジャブジャブお金をバラまく
- 金融引き締めはしない→利上げなんかしない
あまりに円安が進み、国内のインフレが「想定以上に進行してしまったため」です。
- 日銀が目標とするインフレ率は2.0%ですが
- 先ほどお伝えしたように、12月に公表された最新のインフレ率は3.7%です
物価高が国民生活を直撃しており、国民の不満の声を無視できなくなってきたというワケ。
さて、日銀の方針転換は、今後何をもたらすのか?
参考になるのは、アメリカです。
昨年は、アメリカの利上げが大きな話題でしたね。
アメリカの政策金利は、年初の0.25%から、今や4.5%にまで上昇しています。
この結果何が起きたかというと、「株安」と「ドル高」です。
- S&P500は、年初来で約20%下落
- ナスダック総合指数は、年初来で約35%下落
- 高金利通貨であるドルを買う人が増えて、ドル高が進行
こちらの「世界各国の通貨 対 アメリカドル」のチャートをご覧下さい。
(出典:Googleファイナンス)
ご覧の通り、日本円、ユーロ、イギリスポンド、スイスフラン、中国人民元。
様々な通貨が、ドルに対して価値を下げている=ドル高になっていることが分かります。
「そろそろ米国のインフレもピークじゃない?利上げも、そろそろこのあたりで終わりでしょ」
そんなことが囁かれ始めた11月あたりからトレンドが変わっていますが、それまでちょっとしたドルバブルが起きていたワケです。
アメリカで起きたことが日本でも起きると考えるなら、日銀の緩和修正がもたらすものは「円高」と「株安」です。
実際、日銀の「事実上の利上げ」というサプライズが起きた後、一気に「円高」「株安」が進みました。
- 為替:1ドル137円から、1ドル133円に(一気に4円も円高に!)
- 株価:日経平均先物が一時900円安に
もし、今後も金融緩和の縮小が続くならば、日本の株式市場にとっては逆風になりうるでしょう(上値が重くなる)。
※とはいえ、為替は金利だけで説明がつくものではありません。円高想定は、とりあえずの”短期目線”に限った話です。
日銀は、こう言っています。
- 今回の措置は、「事実上の利上げ」ではなく、金融緩和の出口戦略の一歩ではない
- 目的は、債券市場を健全にし金融緩和の持続性を高めること
- さらなる措置はいまのところ考えていない
要は
「ぼくたちは、今までと同じだよ!これからも金融緩和を続けるよ!」
こう言っている言い張っているワケですね。
ちなみに、来年は日銀総裁の交代時期です。
日銀のスタンスが変われば、経済は大きく動きます。
日本国民にとって、資産形成戦略を考え直す一つの転機になるかもしれません。
岸田政権支持率 さらに下落
先月もお伝えした岸田内閣の支持率下落、今月はさらに拍車がかかる形になりました。
支持率は、過去最高だった5月以降、きれいな右肩下がり。
今月も、政権発足以来最低の数字を更新しています。
(出典:FNNプライムオンライン「【解説】岸田内閣の支持率37%最低更新 “防衛増税”7割が評価しない FNN世論調査(2022年12月)」)
12月の他メディアの世論調査は、こんな感じ。
調査期間と11月比増減率に着目すると、
- 12月前半には、回復傾向だった
- 12月中旬以降、再び低下に転じた
ようにも思えます。
日経新聞では、
岸田文雄内閣の支持率は防衛費増の財源とする増税を決めた中旬以降に低下傾向が出てきた
(出典:日本経済新聞「支持率、増税決定後に低下 各社世論調査」※太字は筆者)
としています。
閣僚の辞任も、とうとう4人目。
- 山際大志郎(やまぎわ だいしろう)経済再生相…旧統一教会との深い関係
- 葉梨康弘(はなし やすひろ)法相…「死刑のハンコ」発言
- 寺田稔(てらだ みのる)総務相…政治資金問題
- 秋葉賢也(あきば けんや)復興相…政治資金問題 ←New
かなり苦しい政権運営を迫られているようです。
こうなってくると、関心はやはり
という点。
岸田首相自身は、
- 内閣改造:少なくとも年末年始にはやらない
- 解散・総選挙:増税前にはやるかも。来年(2023年)は考えていない
とコメントしています。
「増税」はどうなる?
→増税して、国民の理解が得られなければ、政権揺らぐ。政局不安で株価にマイナス
→増税して、法人の利益が圧迫されれば、株価にマイナス
日銀総裁人事・金融政策はどうなる?
→金融緩和縮小に舵を切れば、株価にマイナス
ただでさえ、世界経済は減速しつつあります。
内外トータルで見て、日本株は上値が重い展開になりそうです。
日本の高配当株銘柄は約700社と、コロナショック直後ぐらい豊作です。
- 十分に割安で、値下がり不安が小さく
- 業績は堅く、減配懸念もない
- だけど配当利回りは4~5%以上ある
こういう銘柄なら、キャピタルゲインがとれなくても中長期的にトータルリターン4~5%が狙えるワケです(しかも、為替リスクなし)。
日本株は、安定したインカム資産の候補として十分選択肢になる水準です。
外国株の投資トピックス
お次は、外国株の話題です。
外国株については、この4つの順番で見ていきます。
- 株価指数の推移
- ゴールド・債券ETF等の値動き
- 高配当ファンドの値動き
- 12月のトピックス
①株価指数の推移
G7(主要先進7ヵ国)の、主な株価指数の推移(年初来)はこの通り。
※グーグルファイナンスでは、チャートを5つまでしか同時比較できないので、泣く泣く「FTSE MIB(イタリア)」を抜いています。
- FTSE100(イギリス) -0.71%
- S&P TSX(カナダ) −8.72%
- CAC 40種(フランス) −10.30%
- DAX30(ドイツ) −13.09%
- FTSE MIB(イタリア) −14.51%
- S&P 500(米国) −19.95%
TOPIX(日本)は−6.82%。
イギリスがトップ、我らが日本は2位。
ビリは、まさかのアメリカです。
- S&P500は、年間で約-20%
- ナスダック100指数は、年間で約-35%
この下落率は、2008年の金融危機以来とのこと。
テスラ、メタ、アマゾン、ネットフリックス、エヌビディアなど、名だたるハイテク企業が軒並み50~70%のマイナス。
2022年は、ハイテクバブルが弾けた年だったということです。
12月単月の動きはこの通り。
2023年は、円高・株安のタイミングが来たら買い増しのチャンスと見ています。
②ゴールド・債券ETF等の値動き
有名なゴールドETFである、「GLD」の値動きはこの通り。
(出典:グーグルファイナンス SPDRゴールド・シェアーズ(GLD))
2022年は、ほぼ一貫して「下げ」が続いていました。
しかし、
「米国の利上げが鈍化する(=ドル安になる)のでは?」
という予測から、ゴールドが買われ始めています。
ドルとゴールドは基本的に「逆相関」の関係にあり、ドルが弱くなるタイミングでは、ゴールドが強くなります。
ゴールドを買うならば、悪いタイミングではないと思います。
※個人的には、ゴールドは値動きが激しくインカムもないので、買いません。保有するとしたら、現物一択です。イザという時に、握りしめて移動できるからです。
お次は、債券です。
投資額に対して2%~5%ほどのインカム(利息)が欲しければ、米国債券が有望な投資候補になります。
米国の優良債券ファンドを3つチェックしてみましょう。
- AGG:ローリスク・ローリターンな債券(格付け高く、利回り低い)
- LQD:ミドルリスク・ミドルリターンな債券(格付け普通、利回り普通)
- HYG:ハイリスク・ハイリターンな債券(格付け低く、利回り高い)
米国総合債券に投資する【AGG】というファンドのチャートはこの通り。
- 年初来−14.40%
- 現在の分配金利回りは2.39%
- 投資対象の約7割は、格付けがAAA(トリプルエー)の債券です
値下がりの理由は、金利上昇です。
「債券」と「金利」は、シーソーの関係にあり、逆の動きをします。
その証拠に、金利のチャートを見てみましょう。
こちらは「米国の長期金利(10年国債)」の推移です(現在の金利は約3.89%)。
(出典:三井住友銀行「マーケット情報チャート」)
長期金利は、そろそろ天井感があります。
これ以上長期金利が上がらないと思うのならば、ここから先は比較的「下値不安」が小さい状態で債券を買えますね。
米国優良社債に投資する【LQD】というファンドのチャートはこの通り。
- 年初来−19.59%
- 分配金利回りは3.30%ほど
- 投資対象の約8割は、格付けがBBB(トリプルビー)~Aの債券です
- ギャンブル性の低い「投資適格」な債券であるものの、AGGよりは安全性が低いです
こちらも、金利上昇を背景に、若干価格が下落しています。
最後は【HYG】です。
「ジャンク」「ゴミ」と言った呼ばれ方をする「投資不適格の債券」を集めた、ハイリスクな債券ファンドです。
- 年初来−15.34%
- 現在の利回りは5.33%ほど
- 投資対象のほぼすべてが、格付けCCC(トリプルシー)~BBの債券です(リスクが高いぶん、長期的なトータルリターンは大きい傾向)
こちらも、AGGやLQDと同様に、長期金利の上昇を受けて価格は下落しています。
2022年の1年間をまとめると、
- AGG(総合債券)…−14.40%
- LQD(優良社債)…−19.59%
- HYG(ジャンク債)…−15.34%
いずれも年初来で大きなマイナスリターンです。
2022年は、債券投資家にとって「史上最悪レベル」の年になりました。
こちらをご覧ください。
伝統的な「米国株60%:米国債券40%」のポートフォリオの年間成績は、-17.5%
これは、史上3番目に悪い成績です。
1980年以降の42年間で、このポートフォリオがマイナスを記録したのはたったの6回。
しかも、2桁のマイナスは今回を含め2回しかありません(前回は2008年の金融危機時)。
- 株もダメ
- 債券もダメ
そんなヒドい年になりましたが、裏を返せばそれだけ「割高感が薄れた」ということでもあります。
個人的には、金利上昇に一服感が見られることから、債券は「買い場」になりつつあるという認識です。
「ポートフォリオに債券を入れたい」と考えている投資家は、投資を検討する価値があるタイミングと言えるでしょう。
※当然、為替リスクには十分な配慮が必要です。
③インカム系ETFの値動き
私の愛する高配当株ETFについて。
- キャピタル(売却益)も
- インカム(分配金)も
両方狙えるポテンシャルのあるファンドたちです。
HDV、VYM、SPYDの年初来のチャートは、この通り。
分配金を無視して価格だけ見ると、順位はこの通り。
- 1位がHDV…+3.01%
- 2位がVYM…−3.93%
- 3位がSPYD…−6.63%
高配当ETFは3~5%近いインカムがあり、ここも含めるとかなり健闘していると言えるでしょう。
HDVは、「不況時・景気後退時に(相対的に)強い」という、事前の期待通りの働きをしてくれましたね。
ちなみに、上記3つのETFは年間通してそろって増配です。
保有している高配当ETFの増配率が固まりました。1ドルあたり分配金の2021年→2022年の推移は次の通り。
VYM 3.10→3.25 (+5.03%)
HDV 3.51→3.72 (+5.92%)
SPYD 1.55→1.98 (+28.02%)まっったく何もしていないのにキャッシュフローが増えていくうううう。増配率5%なら約14年で2倍に…
— こびと株.com (@kobito_kabu) December 17, 2022
日本株と同じく、こういった「相場の雰囲気が悪い時期」でも
- 株価は大して下がらず(HDVは逆行高。為替込みなら全部大幅プラス。)
- 配当は底堅く、なんなら増配
という感じで、資産を守り、増やすことに貢献してくれました。
- ガンガン増えまくる(でも、時に大暴落する)グロース株よりも
- ガンガン増えまくるわけではないけれど、底堅い高配当株の方が
やはり、私は好きです。
心穏やかに投資を続けられますからね。
現在の利回りはというと
- SPYD:約5.06%(過去平均は約4.7%)
- VYM:約3.03%(過去平均は約3.1%)
- HDV:約3.56%(過去平均は約3.5%)
という感じ。
一見、「過去と同水準の利回りならまぁ買っても良いか」という感じですが、景気後退入りの可能性は忘れずに。
景気が悪化して企業業績が落ち込めば、減配もありえます。
- 今の分配金利回りが3.0%でも
- 1割減配すれば、分配金利回りは2.7%に低下します
- 2割減配すれば、2.4%です
先月に続き、
「悪い水準ではないけれどバーゲン価格だとは思わない」
これが個人的な感覚です。
④12月の海外トピックス
海外について、今月の投資トピックはこの2つです。
- アメリカFOMC・インフレ状況
- 中国ゼロコロナ政策修正
アメリカFOMC・インフレ状況
アメリカで、0.5%の利上げが実施されました。
これにより、アメリカの政策金利は4.25~4.5%となっています。
米連邦準備制度理事会(FRB)は14日まで開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0.5ポイント引き上げ4.25~4.5%とすることを決めた。
(出典:ウォールストリートジャーナル「FRBが50bp利上げ、来年5%超え見込む」)※赤字は筆者
今後のポイントをQ&A形式でまとめると、次の通り。
Q:金利は、どこまで上がりそう?
A:5.00%~5.25%
Q:「利下げ」は、いつやりそう?
A:FOMCとしては、明言なし。ただ、時期尚早な利下げには慎重な姿勢を示している。
Q:金利がピークになるなら、もうこれからは株価が上がる?
A:そんなに単純ではない。今後重要になるのは、①利上げの終着点がどこで、②いつまで金融引き締めが続くか。ピークレートが予想より高く、想定より長く金融引き締めが続くなら株価は上がらない。
こちらのグラフをご覧下さい。
2022年~2025年の米国の金利予想です。
(出典:ロイター「図表で見る米連邦公開市場委員会(FOMC)」)
これによると、金利予想の中間値は
- 2023年 5.125%
- 2024年 4.125%
- 2025年 3.125%
- それより長期 2.50%
ということになっています。
米国の最新のインフレ率(CPI:消費者物価指数)を見てみると、この通り。
(出典:Twitter@goto_finance)
前年同月比のインフレ率は、
- 総合:市場予想7.3%に対して、結果は7.1%
- コア:市場予想6.1%に対して、結果は6.0%
グラフを見るに、すでにピークアウトしているように見えますね。
- このまま順調に下がっていってくれるのか(株価のプラス要因)
- どこかで下げ止まり、高水準で高止まってしまうのか(株価のマイナス要因)
引き続き、注意が必要です。
中国ゼロコロナ政策修正
12月6日、中国は「ゼロコロナ」政策修正の方針を発表しました。
7日以降、
- 行動制限に用いるアプリを停止
- 流行地域での全市民の検査取りやめ
- 高リスク地域以外での過剰対応(人の移動制限、工場や企業の操業停止)禁止
といった感じで、緩和策がとられています。
中国のゼロコロナ政策は、限界を迎えていました。
- 経済の成長率鈍化
世界銀行の予想では2022年の中国経済の成長率は3%程度
(政府目標は5.5%前後) - 国民の不満の高まり
11月には異例の抗議デモ発生
(参考:REUTERS「中国、2021年GDP伸び率を8.1%から8.4%に修正)
さて、ゼロコロナ政策が修正されたことで、中国のコロナはどうなったか。
(出典:日本経済新聞「ゼロコロナ転換の中国、感染急拡大 息を潜める北京」)
死者数についても
- 1日5000人超(英エアフィニティ)
- 累計100万人超(米保険指標評価研究所)
といった、推計が発表されています。
この状況に関する、アメリカの見解はこんな感じ。
米国務省のプライス報道官は20日の定例記者会見で、新型コロナウイルスの感染が拡大している中国を支援する用意があると述べるとともに、同国でのコロナ流行が世界経済に影響を与える可能性があると警告した。
(出典:REUTERS「中国のコロナ流行、世界経済に影響も 支援の用意ある=米国務省」※太字は筆者)
- コロナが感染爆発すれば、また経済が停滞しかねません
- 一方、中国の経済が回り始めることで原油の需要が急増し原油高になるなど、またインフレが進行する恐れもあります
中国の経済が回っても、経済が回らなくても、どう転んでも、わたし達投資家にも何らかの影響があるワケです。
今、世界経済は、景気後退(リセッション)の懸念を抱えています。
まとめ:高配当株投資のポジションについて
以上をまとめると、この通り。
- 12月の日本株は、TOPIX-4.77%
- 日本株は、年初来で見ても主要指数はすべてマイナスの残念な年。但し高配当株は大きくプラス
- 景況感は悪くはないが、今後の悪化が見込まれるため警戒が必要
- 日銀の緩和修正で円高・株安懸念アリ
- 岸田内閣の支持率低下に拍車
- FOMCでは0.5%の利上げ。今後もインフレ動向に要注目
- 中国でゼロコロナ政策の修正あり。経済再開と感染爆発が、リセッション懸念のある世界経済に与える影響に要注意
- ゴールドはドル安予測から買われ始めている
- 米国の株や債券は割高感が薄れたか。米高配当株も悪くはない水準だが、バーゲン価格とは言えない
という感じです。
個人的には、
- インデックス運用(iDeCoやつみたてNISA)は、淡々と継続
- アクティブ運用(高配当株投資)は、日本株については「割安」なものがあればピンポイントで買う。米国株は、「急落場面」があればぼちぼち拾う
というスタンスです。
去年は、なんだかんだ
- 過去最高益
- 過去最高の配当金
を記録することとなり、うまく乗り切れた感があります。
2023年は、どうなるでしょうか。
- 2022年に記録したマイナスの反動で、大きくプラスに転じると予測する人
- 蟻地獄のように、ジリジリと下げ続けると予測する人
様々な見方がありますね。
いずれにせよ、「何が起きても大丈夫」なポジションをとるのみです。
こういう保守的なやり方は、大儲けはできませんが、退場もしません。
「長く投資を続けること」こそが、複利を活かし資産を増やすキモですから、焦らずやることが大切ですね。
それではまたっ!
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