こびと株.com(@kobito_kabu)がお送りする、毎月更新の定例記事です。
※データが多すぎて記事が重いです。すみませんm(_ _”m)
抽出時期 :各月末
対象市場 :東証一部、東証二部、東証JASDAQ
配当利回り:税引き前3.75%以上(税引き後3%)※復興特別所得税は無視
目次
サマリー
2019年11月29日時点
全体指標
- 日経平均:23,293.91円(前月比+366.87円)
- 日経高配当株50配当利回り:4.26%(前月比-0.19%)
- 円/ドル:1$=109.51円
配当利回りが3.75%(税引き後3%)以上の企業数
全部で294社。先月より27社減少しました。
- 一部上場 :216社(前月比-17社)
- 二部上場 : 34社(前月比- 4社)
- JASDAQ上場 : 44社(前月比- 6社)
高配当株の銘柄数推移は、以下の通り。3ヵ月連続で減少です。
4月~9月が買い場で、今は比較的買いにくくなってることが分かりますね。
全体感
11月の全体感としては、以下の感じです。
- 日本株は、先月とあまり変わらない(若干上昇)
- 米国株は引き続き好調で史上最高値更新中
- Twitterの雰囲気は明るい!
順番に見ていきましょう。
▼▼日本株
2019年11月の日経平均株価の動きはこの通り。
ほとんど動きがないですね。
ボラティリティ(値動きの大きさ)が、だいぶ低くなっているのが見てとれます。現状、株価にもっとも大きな影響を与えている問題は「米中の経済対立」です。
※ちなみに、2020年の最大の注目イベントは米国の大統領選挙。
米中通商協議が
- うまくいって合意に至るのか?
- どこかでズっこけるのか?
楽観派と懸念派、どちらも存在していて先が読みにくい展開になっているということですね。
▼▼米国株
米国株は、相変わらず好調で史上最高値を更新し続けています。
2019年のチャートをご覧ください。
キレイな右肩上がり。
- 年初:2,500ポイント
- 現在:3,150ポイント
年初来リターンは約25%を記録しており、「抱かれたい指数No.1」の名にふさわしい結果を残していますね。
ここ最近の好調の背景は次のとおり。
- 個人消費が伸びた
- 失業率が低下した
- GDPの速報値が1.9%→2.1%に上方修正された
- 企業の設備投資のマイナス幅が予想より小さくなった
- S&P 500銘柄に含まれる484社のうち、75%の企業で業績が予想を上回った
いずれも重要指標です。米国経済は強いですね。
当面のリセッション入りは回避されたという見方が強まっています。2020年も米国株の上昇が続くという楽観的な見方もあるようです。
▼▼Twitterの雰囲気は明るい!
日本株も堅調で、米国株に関しては史上最高値を更新し続けている状況です。
ですから、Twitter上でもハッピーなコメントが多く見受けられますね。
- 資産運用やってて良かった!
- 年初来リターンは+〇〇%!
- 保有資産がYH(Year High=年初来高値)を更新!
- やはりこれからの時代は投資は必須!
- 投資をやっていない人は金融リテラシーが低い
- 貯金はもったいない…etc
こびと株メンバーの総資産も過去最高を記録しています。
ものすごーくシンプルな相場格言として「総悲観は買い」という言葉があります。現状、それとは反対の状況ですね。
上昇相場で一緒に踊れるのは楽しいことです。けれどもそれは、潮目が変われば「みんな一緒に泣く」ということでもあります。相場は上下するものなので、いつか必ず下がるタイミングがきます。
泣く日が来るまでフルベットし続けたら、いつか泣くだけです。こういう時こそ、あらためてリスク管理を徹底したいところですね。
※まぁ、高配当株投資は毎年4~5%を「配当金」というかたちでこまめに利益確定し続けているので、そういう意味では気楽です。株価が下がっても、現金は取り返していってますからね。
配当利回りランキング(東証一部上場)
- ※エクセルオンラインのデータが表示されます
- 証券コードをクリックすると、Yahooファイナンスのページに飛びます
※1 「-」は、前月ランク外であった銘柄
※2 2017年1月以降で、月末の配当利回りが3.75%を超えていた月の数
上記のリストから私たちが「投資しても良さそうだと感じているもの」をピックアップしてみます。
下記の通り。
- JT 6.17%
- インターワークス 5.76%
- キヤノン 5.25%
- 住友商事 4.85%
- 三菱商事 4.61%
- 三井住友フィナンシャルグループ 4.51%
- 丸紅 4.33%
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 4.32%
- オリックス 4.24%
- 蔵王産業 4.19%
- 三井物産 4.12%
- NTTドコモ 4.00%
- アマダホールディングス 3.93%
- 兼松エレクトロニクス 3.83%
- アビスト 3.80%
以下は、もっと値下がりして「配当利回りが上昇すれば買っても良いかな」というものです。
以下、利回り不足だが優良銘柄。
- ブリヂストン 3.62%
- 日本エス・エイチ・エル 3.57%
- 三菱UFJリース 3.54%
- 伊藤忠商事 3.50%
- KDDI 3.48%
- 第一生命 3.57%
- NTT(日本電信電話) 3.40%
- CDS 3.20%
- 旭化成 2.92%
- 芙蓉総合リース 2.78%
- クニミネ工業 2.52%
- 東京センチュリー 2.25%
先月とほとんど変わり映えしない銘柄たちです。
「配当利回りが低くて何も買えない!」というレベルではないですが、割安感は少しずつ薄れてきています。
とはいえ、昨年の12月は、日経平均が23,000円弱から20,000円を割り込むところまで行ったんですよね。たった1ヵ月で。
相場の雰囲気は一瞬で変わります。
いつ絶好の買い場が訪れるかは分からないので「その気になればいつでも買える」ようにはしておきたいところです。
さて、こうやって「配当利回りが高い銘柄」の数が減ってくると、ついつい現状の配当利回りがめちゃくちゃ高い銘柄が気になってくるもの。
今回は、いつもと趣向を変えて、なぜこびと株メンバーがそういう銘柄に投資しないかをご紹介します。
- 配当利回り19.44% マクセルホールディングス
- 配当利回り9.18% 明和産業
- 配当利回り6.00% 新明和工業
いずれも、罠銘柄です。
配当利回り19.44%:マクセルホールディングス
こういう異常な配当利回りを示している企業の配当金には「特別配当」が含まれているケースが多いです。
というわけで、IR資料を調べてみると、この通り。
特別配当が250円も含まれていましたね。普通配当は年間36円です。
マクセルホールディングスが、過去支払ってきた配当金の推移を見てみましょう。
(出典:IRBANKより)
配当金をたくさん払ったり、あまり払わなかったり、ブレすぎですね。業績を確認するまでもなく、これだけ見ても高配当株投資に向かない銘柄だと分かります。
高配当株投資に向く銘柄は、配当金支払額が安定して膨らんでいきます。
例えば、NTTドコモの場合はこんな感じ。
うーん、美しい。しっかりと株主への還元額を増やしていっていますね。マクセルホールディングスとは大違い。
配当利回り9.18%:明和産業
この会社は、
- 前期10円だった配当金を、
- 当期は56円に
アップさせようとしています。IRを見る限り「特別配当」を出そうとしているわけでないようです。
さて、企業がこういったかたちで増配をしようとしている時、どこから配当金の原資を持ってこようとしているかに注意しなくてはいけません。
〇 ビジネスの本業の利益から、配当金を出す
× 一時的な利益から、配当金を出す
明和産業は、後者のケースです。昔から保有していた株式を売却することで「一時的に得た利益」を使って、配当として還元しようとしているようです。
実質的には特別配当みたいなものですね。
つまり、棚からぼたもち的な利益をもとに配当金を払うので、来年以降は同じ水準で配当金を出せないだろうということです。
配当利回り6.00%:新明和工業
この会社の配当金の支払い推移を見てみます。
地味ですが、安定配当であることは分かります。
※高難度:2017年、2018年に配当金支払額が減少しているのは、自己株式を取得したことで「株主に支払わなければいけない配当金総額が減ったから」です。減配したわけではないので、無問題です。難しいと感じる人は無視してください(*ノωノ)
安定配当であるにもかかわらず、なぜ配当利回りが6.00%になるほど高配当化したのか?
答えは簡単で「記念配当」が含まれているからです。創業100周年だそうです。おめでとうございます。
つまり、来年はこんなに配当金が貰えないということです。記念配当の影響を除くと、実質的な配当利回りは2.8%ほど。いたって普通の株です。
という感じで、3社ほど見てみました。
このように、高配当株ランキングの上位にいる銘柄は「なんちゃって高配当株」が結構あります。
- 特別配当の影響
- 記念配当の影響
詳細な財務分析をするまでもなく、こういった要因で高配当化している銘柄は、長期的な高配当株投資に向くものではありません。
目先の配当利回りに惑わされず、長期的な視点から「配当を得続けられる銘柄」を選んでいきたいですね。
配当利回りランキング(東証二部上場)
- ※エクセルオンラインのデータが表示されます
- 証券コードをクリックすると、Yahooファイナンスのページに飛びます
※1 「-」は、前月ランク外であった銘柄
※2 2017年1月以降で、月末の配当利回りが3.75%を超えていた月の数
- 配当利回り5.63%でトップの[1451]KHCは、最近まで連続減配していた会社です
- 配当利回り5.49%で2位の[9904]ベリテは、2016年まで
無敗無配を貫いていた会社です
やはり、このランキングの上位にいる銘柄には、それなりにヤバイ理由があるのです。
時々、上から順に配当利回りの高い銘柄を買いまくろうとする人がいますが、日本株でそれをやると「投資必敗法」みたいな感じになるので気をつけてください。
相変わらず、[3597]自重堂ぐらいしかめぼしい株はありません。
配当利回りランキング(東証JASDAQ上場)
- ※エクセルオンラインのデータが表示されます
- 証券コードをクリックすると、Yahooファイナンスのページに飛びます
※1 「-」は、前月ランク外であった銘柄
※2 2017年1月以降で、月末の配当利回りが3.75%を超えていた月の数
- 配当利回り6.72%でトップの[3242]アーバネットコーポレーションは、第1四半期の決算で前期比▲55.2%のズッコケ決算をやりました
- 配当利回り6.00%の[2411]ゲンダイエージェンシーは、10月に下方修正をしています(利益が当初予想比▲48.3%)
上から順に、配当利回りの高い銘柄を買っていくという方法はやめましょう(2回目)。
今回、ランキングに新登場した銘柄はありません。
投資しても良いかな~と思えるのは、いつもの銘柄だけですね。
- オーデリック 4.34% ★無借金
- センチュリー21・ジャパン 4.02% ★無借金
以下、利回り不足だが優良銘柄。
- 沖縄セルラー 3.70%
- 日本エス・エイチ・エル 3.58% ★無借金
いずれの企業も、高収益・好財務の優良企業です。
まとめ:もしこびと株メンバーが今月から高配当株投資を始めるとしたら?
ランキングの解説は以上です。
最後に、2019年7月からシリーズ化を開始した「もしこびと株メンバーが今月から高配当株ポートフォリオを作るとしたら」というモデルを出して終わりにします。
※「私たちならこうする」という事例であって、下記銘柄への投資を推奨するものではありません。株式投資には元本割れのリスクがありますので、くれぐれも自己責任でお願い致します。
30万円で今月スタートならこんな感じにします。
これだけ財務優良銘柄に分散して利回り4%弱ですから、高配当株を始めるならギリギリの水準かなと思います。税引後で3.0%を切る水準になったら、私なら買いません。
このポートフォリオでスタートして、
- 毎月少しずつ割安な銘柄を買い増したり、
- 割安になった新規銘柄を入れたりして
- 各セクター、各銘柄への投資割合を下げつつ分散を徹底させる
という方向でやっていきます。少なくとも50銘柄ぐらいまでは増やします。
※ETF(ファンド)を使えばもっとお手軽に投資することができますが、日本株の高配当ETFは微妙なのしかありません。
ちなみに、上記のような買い方をするには、低コストで単元未満株投資ができるSBIネオモバイル証券がおすすめです。
100株ずつ購入したら、500万円以上かかります。
SBIネオモバイル証券には、大手ネット証券(楽天証券やSBI証券)にはない圧倒的なメリットがあります。
- 1株から購入できる(NTTドコモやKDDIなどの注目している企業を3,000円前後から買える)
- 月額50万円までの投資なら、サービス利用料が固定で220円(税込)かかるが、毎月ネオモバ限定Tポイントが200pt貰える
- Tポイントを使って株が買える
※大手ネット証券を使って少額分散投資をすると、手数料負けします。
※SBIネオモバイル証券を使った高配当株投資の始め方はこちらの記事をどうぞ。
日本株の優良高配当株に数百円から分散投資したいなら、SBIネオモバイル証券は良い選択肢になります。
今年の8月のような「買い場」が来た時に、口座やキャッシュが準備できていなくて買いそびれるというのはもったいないので、高配当株投資に興味がある方はちゃんと準備しておきましょう。
2022年9月26日、
株式会社SBIネオモバイル証券は、株式会社SBI証券と経営統合することが発表されました。
これに伴い、SBIネオモバイル証券の新規口座開設は2022年10月7日をもって受付が停止されています。
- 最大手・国内株式個人取引シェアNo.1
- 口座開設・口座維持手数料無料
- 1株から購入可能(単元未満株の買付手数料無料)
一方で、米国株であればHDVやSPYDといった優れたETFがあるので、これらを活用すれば個別株への投資は不要ですね。
- 日米の高配当株を中心に、よく分散された高配当株ポートフォリオを作る
- ①追加投資、②配当金再投資、③増配でひたすら配当金を増やし続ける
こうすることで、誰でも月10万円ぐらいの配当金は作れるんじゃないかなと思っています。
月10万円あれば、
- 水道光熱費が払える
- 家賃が払える
- 通信費(スマホ代など)が払える
- 保険料が払える
といった感じで、独身なら固定費のほとんどを賄えるでしょう。ちょっと働けば生きていける水準ですから、セミリタイアも視野に入ると思います。
サラリーマンのお小遣いの平均は3~4万円ぐらいですから、月10万円の配当金を趣味に使えば相当遊び倒せるでしょう。全部使っても老後は安泰ってのは良いですよね。
いずれにせよ、配当金は人生の選択肢を増やしてくれます。コツコツと配当金を増やして、生活を豊かにしていきたいですね。
それではまたっ!
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