こびと株.com(@kobito_kabu)がお送りする、毎月更新の定例記事です。
※データが多すぎて記事が重いです。すみませんm(_ _”m)
抽出時期 :各月末
対象市場 :東証一部、東証二部、東証JASDAQ
配当利回り:税引き前3.75%以上(税引き後3%)※復興特別所得税は無視
目次
サマリー
2019年12月30日時点
全体指標
- 日経平均:23,656.62円(前月比+362.71円)
- 日経平均PBR:1.16倍
- 日経高配当株50配当利回り:4.25%(前月比-0.01%)
- 円/ドル:1$=108.86円
配当利回りが3.75%(税引き後3%)以上の企業数
全部で254社。先月より40社減少しました。
- 一部上場 :188社(前月比-28社)
- 二部上場 : 28社(前月比- 6社)
- JASDAQ上場 : 38社(前月比- 6社)
2019年8月以降、4ヵ月連続で高配当株は減少しています。
振り返ってみると、2019年8月が買い場でした。
こびと株メンバーが、日本株をたくさん買ったのは2019年8月だけです。結果論ですが、いいタイミングで買い付けることができました。
さてさて、2020年はどうなることやら…
全体感
12月の全体感としては、以下の感じです。
- 日本株は、引き続き株価が堅調
- ところが、業績はそれほど良くない
- 米国株は、引き続き好調で史上最高値更新中
順番に見ていきましょう。
▼▼①日本株は、引き続き株価が堅調
2019年12月の値動きはこの通り。
年末の終値(23,656円)としては、29年ぶりの高値だそうです。景気が良いですねぇ~
日経平均株価は30日、年末終値としては1990年以来、29年ぶりの高値
(出典:日本経済新聞「利下げ追い風に世界で資産高 日経平均は29年ぶり高値」)
昨年末時点と比較すると、株価は18%も伸びました。
なぜこんなに伸びたのかというと、
- 世界的な利下げ
- 米中貿易交渉の進展
この2つが背景にあります。日本が「独自の事情」で絶好調!というわけではなく、世界の流れに乗っかっているだけとみるべきでしょう。
▼▼②日本企業の業績はそれほど良くない
上場企業の業績は、3年ぶりのマイナスになっています。
東京証券取引所1部上場企業の2019年9月中間決算の業績は、最終利益が前年同期比7.6%減と3年ぶりのマイナスとなった(SMBC日興証券調べ)
特に、製造業の最終利益は17.8%減となっています。
業界的には、下記のようなところが厳しい感じです。
- 石油・石炭製品と鉄鋼は約8割減
- 非鉄金属は約5割減
- ゴム製品は約4割減
この他、電機や機械、自動車など、いわゆる「景気敏感」な業種の利益の落ち込みが目立っています。
※高配当株に投資する人は、上記のような業種の割合が増えすぎないように十分に気をつけましょう。
最新の四季報によると
- 製造業のうち9業種/16業種は、今期の売上予想が前期比マイナス
- 非製造業のうち1業種(海運業)/13業種は、今期の売上予想が前期比マイナス
という感じで、やはり製造業の苦戦が目立っています。
海運業の業績が悪化していることにも着目したいところ。
- 貿易が活発になると、海運業の業績は良くなります
- 貿易がおとなしくなると、海運業の業績は悪くなります
海運業の業績は、経済全体の状況を測るうえで重要な指標になると言われています。
見ての通り「バルチック海運指数※」も右肩下がりです。
バルチック海運指数は、不定期船の運賃を指数化したもの。
ロンドンのバルチック海運取引所が1日に1回算出し、発表しています。世界中の海運会社、商社などから石炭・鉄鉱石・穀物などの貨物を運搬する船の運賃の情報を集め、算出される。
世界経済の先行指標になると言われている(あくまで”参考指標”)。
- 外部リンク:世界経済の先行指標となるバルチック海運指数とは?
※とはいえ、株式投資は美人投票。仮に業績が悪かろうが、みんなが株を欲しいと思えば株価は上がります。まだまだ株価は上がり続けるという見方をする人も多いですね。
▼▼③米国株は、引き続き好調で史上最高値更新中
- S&P500種株価指数は年間で29%上昇し、2013年の30%高以来の大幅高
- ナスダック100指数は年間で38%高と、2009年の54%高以来の大幅上昇
米国最強ッ!
世界の株式時価総額は86兆ドル(約9,400兆円)と過去最大です。世界中で億万長者は増加しており、セミリタイアする人も増えているみたいですね。
配当利回りランキング(東証一部上場)
- ※エクセルオンラインのデータが表示されます
- 証券コードをクリックすると、Yahooファイナンスのページに飛びます
※1 「-」は、前月ランク外であった銘柄
※2 2017年1月以降で、月末の配当利回りが3.75%を超えていた月の数
上記のうち、私たちが投資しても良さそうだと思う銘柄はこれです。
- JT 6.33%
- インターワークス 5.58%
- キヤノン 5.36%
- 住友商事 4.93%
- 三菱商事 4.55%
- 三井住友フィナンシャルグループ 4.46%
- 丸紅 4.32%
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ 4.21%
- オリックス 4.20%
- 三井物産 4.11%
- 蔵王産業 4.08%
- NTTドコモ 3.95%
- ブリヂストン 3.93%
- アビスト 3.88%
- アマダホールディングス 3.84%
以下は、もっと値下がりして「配当利回りが上昇すれば買っても良いかな」というものです。
- 兼松エレクトロニクス 3.56%
- 三菱UFJリース 3.54%
- NTT(日本電信電話) 3.45%
- KDDI 3.38%
- 伊藤忠商事 3.35%
4ヵ月連続で高配当株が減るなか、はじめてこのランキングに登場した銘柄がたった1つだけあります。
その名は[3254]プレサンスコーポレーション。
関西中心に投資用ワンルーム・ファミリーマンションを開発・販売している不動産会社です。
マンションディベロッパーとしては、住友不動産に次いで全国2位のポジション。野村不動産や、三菱地所レジデンスより上です。
次の3STEPでチェックします。
- 配当金の推移を見る
- 収益力・財務の安定性を見る
- 不況時の業績を見る
STEP①配当金の推移を見る
プレサンスコーポレーションの配当金は、この10年で6.5倍になりました。
- 2010年3月期 6.25円
- 2019年3月期 40.5円
2020年3月期は52円の配当金が予定されており、現在の配当利回りは3.89%ほど。
株主への配当総額は、キレイな右肩上がりです。
安定的に増配しているにもかかわらず、配当性向はたったの15%しかありません。
2023年までに配当性向20%まで引き上げる計画があり、まだまだ増配が期待できます。
STEP②収益力・財務の安定性を見る
次に、収益力・財務の安定性をチェックします。
- 2020年3月期の予想売上高は2,100億円
- 営業利益率は15.8%
- ROEは20.2%
といった感じで、収益性は抜群です。
数値が良いのは、2020年3月期だけではありません。2008年以降、売上を拡大しながら安定した利益率を保っています。
前期比+20%レベルの売上成長を続けており、かなり優れた成長性を持つ企業だということが分かります。
どうやって、この成長を実現したかというと、借金です。
- 金借りまくる
- ワンルーム・ファミリーマンション作りまくる
- ワンルーム・ファミリーマンション売りまくる
こういうことです。その証拠に、有利子負債の金額は右肩上がり。
※ちなみに、これらの借入金の利率は0.5~0.8%ほど。サラリーマンが2%とか3%とかで借金してワンルーム投資してるのとは大違いですね…
借入を増やしまくっているため、自己資本比率は下がり続けています。
自己資本比率30%というのは、財務の安定性という点ではボチボチといったところ。
個人的には、だいぶ「攻めた経営」をやっているなという印象です。
ちなみに、同社の40歳推定年収は1,150万円ほど。近畿地方では4位の水準で、就職市場では超高給取りで知られているそうな。
STEP3:不況時の業績を見る
ザっと見てきた感じ
- 配当金の推移に問題がなくて
- 収益力・安定性にも大きな問題はなさそう
ですが、問題は不況時にどんな業績になるかです。
好況時に業績が良いのは当たり前。大事なのは、不況時に大崩れしないビジネスモデルを有しているかどうか。
この点、同社は
- リーマンショック前後でも黒字を確保しており
- 営業利益率も15%~20%を維持しています
2008年当時の売上は250億円ほどしかなかったので、今とはだいぶ規模感が違いますが、簡単に赤字転落・減配したわけではないというだけで安心感があります。
STEP①~③のチェックを乗り越えた銘柄はどうなる?
過去~現在までの数字はざっくり問題なさそうです。
次は、未来の数字です。
今後5年、10年、(緩やかでも良いから)売上成長が続きそうかどうかを予想することになります。
税引後の配当利回りを3%とすると、
- 10年で、配当金だけで投資額の30%(3%×10年)を回収できます
- もし増配が続けばさらに回収率は高まります
- 投資元本が成長してくれれば、トータルリターンはさらに高まります
10年先をイメージしたときに、どれだけ「負けないシナリオ」が考えられるか…
現状のバリュエーションはというと、
- PER 3.86倍
- PBR 0.78倍
と、この銘柄はまったく市場に評価されていません。市場の皆様は、この会社の将来性に期待してないってことなのかな?
ここまで見て、あれ?業績に対していくら何でも割安すぎない?と思ってようやく株価をチェックしたところ
2019年12月に株価が垂直落下!大暴落!
何があったのかしら?とググってみると
現社長が横領事件で逮捕されたそうです。
(参照:当社社長の逮捕について)
すかさず、会社HPの「トップメッセージ」を覗きにいく。
というわけで、オチがつきましたね。
- これだけ日経平均全体の株価が上昇するなかで
- なぜ、プレサンスコーポレーションだけがはじめてランキングに顔を見せたのか?
10年以上の増配トレンドのなかで、社長が逮捕されて株価が暴落(▲22%)したからですぅ~
数字的には良い会社だと思っただけに、残念です。
数字だけ見ると、かなり魅力的な会社なんですけどね。
高配当株クオリティチェックの3STEPを紹介する題材としては、参考になったかなと。
配当利回りランキング(東証二部上場)
- ※エクセルオンラインのデータが表示されます
- 証券コードをクリックすると、Yahooファイナンスのページに飛びます
※1 「-」は、前月ランク外であった銘柄
※2 2017年1月以降で、月末の配当利回りが3.75%を超えていた月の数
ランキングに新登場した銘柄はありません。
投資しても良さそうな銘柄は、3597 自重堂 4.13%だけですね。
配当利回りランキング(東証JASDAQ上場)
- ※エクセルオンラインのデータが表示されます
- 証券コードをクリックすると、Yahooファイナンスのページに飛びます
※1 「-」は、前月ランク外であった銘柄
※2 2017年1月以降で、月末の配当利回りが3.75%を超えていた月の数
ランキングに新登場した銘柄はありません。
投資しても良さそうな銘柄は
- 6889 オーデリック 4.11%
- 8898 センチュリー21・ジャパン 3.91%
この2つだけです。
他にも良い銘柄はあるのですが、現在は利回り不足です。
まとめ:もしこびと株メンバーが今月から高配当株投資を始めるとしたら?
ランキングの解説は以上です。
最後に、2019年7月からシリーズ化を開始した「もしこびと株メンバーが今月から高配当株ポートフォリオを作るとしたら」というモデルを出して終わりにします。
※「私たちならこうする」という事例であって、下記銘柄への投資を推奨するものではありません。株式投資には元本割れのリスクがありますので、くれぐれも自己責任でお願い致します。
30万円で今月スタートならこんな感じにします。
ポートフォリオの配当利回りは4.34%です。かなりの高配当ですね。
先月のポートフォリオと比較して、若干リスクを高めました。ディフェンシブに固めすぎると、税引後3%の利回りを確保できなくなるからです。
今の市況なら『買わない』という選択肢もアリだと思いますが、もし今月からスタートするならこんなイメージで。
ちなみに、上記のような買い方をするには、低コストで単元未満株投資ができるSBIネオモバイル証券がおすすめです。
100株ずつ購入したら、数百万円はかかります。
SBIネオモバイル証券には、大手ネット証券(楽天証券やSBI証券)にはない圧倒的なメリットがあります。
- 1株から購入できる(NTTドコモやKDDIなどの注目している企業を3,000円前後から買える)
- 月額50万円までの投資なら、サービス利用料が固定で220円(税込)かかるが、毎月ネオモバ限定Tポイントが200pt貰える
- Tポイントを使って株が買える
※大手ネット証券を使って少額分散投資をすると、手数料負けします。
※SBIネオモバイル証券を使った高配当株投資の始め方はこちらの記事をどうぞ。
日本株の優良高配当株に数百円から分散投資したいなら、SBIネオモバイル証券は良い選択肢になります。
2019年8月のような「買い場」が来た時に、口座やキャッシュが準備できていなくて買いそびれるというのはもったいないので、高配当株投資に興味がある方はちゃんと準備しておきましょう。
2022年9月26日、
株式会社SBIネオモバイル証券は、株式会社SBI証券と経営統合することが発表されました。
これに伴い、SBIネオモバイル証券の新規口座開設は2022年10月7日をもって受付が停止されています。
- 最大手・国内株式個人取引シェアNo.1
- 口座開設・口座維持手数料無料
- 1株から購入可能(単元未満株の買付手数料無料)
一方で、米国株であればHDVやSPYDといった優れたETFがあるので、これらを活用すれば個別株への投資は不要です。ただ、今は株高でこのようなETFも若干買いにくいですね。
- 日米の高配当株を中心に、よく分散された高配当株ポートフォリオを作る
- ①追加投資、②配当金再投資、③増配でひたすら配当金を増やし続ける
こうすることで、誰でも月10万円ぐらいの配当金は作れる可能性があるんじゃないかなと思っています。
月10万円あれば、
- 水道光熱費が払える
- 家賃が払える
- 通信費(スマホ代など)が払える
- 保険料が払える
といった感じで、独身なら固定費のほとんどを賄えるでしょう。
ちょっと働けば生きていける水準ですから、セミリタイアも視野に入ると思います。
サラリーマンのお小遣いの平均は3~4万円ぐらいですから、月10万円の配当金を趣味に使えば相当遊び倒せるでしょう。全部使っても老後は安泰ってのは良いですよね。
いずれにせよ、配当金は人生の選択肢を増やしてくれます。コツコツと配当金を増やして、生活を豊かにしていきたいですね。
それではまたっ!
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