こびと株.com(@kobito_kabu)がお送りする、毎月更新の定例記事です。
※データが多すぎて記事が重いです。すみませんm(_ _”m)
抽出時期 :各月末
対象市場 :東証一部、東証二部、東証JASDAQ
配当利回り:税引き前3.75%以上(税引き後3%)※復興特別所得税は無視
目次
サマリー
2020年5月29日時点
全体指標
- 日経平均:21,877.89円(前月比+1,684.2円)
- 日経平均PBR:1.07倍
- 日経高配当株50配当利回り:3.98%(前月比-1.27%)
- 円/ドル:1$=107.77円
配当利回りが3.75%(税引き後3%)以上の企業数
全部で257社。先月より388社減少しました。
- 一部上場 :180社(前月比-277社)
- 二部上場 : 33社(前月比- 60社)
- JASDAQ上場 : 44社(前月比- 51社)
そんな雰囲気になりつつありますね。
こびと株メンバーが、3月半ばにやたらハイテンションで「バーゲンセールだ!」と騒いでいた時は、780銘柄ほどの高配当株がありました。それが、今や260銘柄です。
「待ち構えていないと買えない」
ということを、改めて実感できましたね。
全体感
5月のトピックは、この3つです。
- 史上最大規模の財政出動継続
- 感染者数が逓減(ていげん)傾向
- 経済活動再開の動き
上記に伴い、株式市場は落ち着きを取り戻しています。
順番に、ざっくり見ていきましょう。
トピック①:史上最大規模の財政出動
欧米諸国を筆頭に、過去に類を見ないレベルの財政出動が続いています。財政出動とは、景気を良くしたり、安定させたりするために政府が行う各種政策のことですね。
IMF(国際通貨基金)は、「新型コロナウイルス対策として各国が打ち出した財政出動の規模は合計で約9兆ドル(約970兆円)に達した」と説明。
※日本の株式市場の時価総額が570兆円(世界第2位)ぐらいなので、日本の上場企業を全部買ってもまだまだおつりがくるぐらいの金額です。
「カネがない、カネがない、もっと税金おさめてください~~」
「国民の皆様、国のためにしこたま納税してください~~~」
って言ってる国ばかりなのに、どこにそんなカネあんねん!
という話ですが、今は、各国政府が
- 国債をバンバン発行して
- 実質的に中央銀行(←お金を刷れる唯一の銀行)に買わせる
という「無限にお金を生み出す」仕組みを作っているので、大丈夫です(大丈夫なの?)。
お金は湧き出てきます。
この影響で
- インフレがくる!って言ってる人たち
- インフレなんかこないよ!って言っている人たち
の2派に分かれていますが、どうなることやら。
トピック②:感染者が逓減(ていげん)傾向
こちら、新規感染者数の推移です。
※グラフの「縦軸=感染者数」に注意。等間隔ではありません。
アジア圏については、韓国が増加トレンドになってしまいましたが、日本や中国は逓減傾向です。長い目で見ると、だんだん減っていることが分かりますね。
お次は、ヨーロッパの主要先進国。
長期的のトレンドとしては、フランス・スペイン・イタリア・ドイツと、段々おさまっていることが分かります(フランスが急反転しててちょっと心配)。
最後にアメリカと新興国(ブラジル)を見てみます。
アメリカは明らかな逓減傾向、一方で、ブラジルは逓増傾向にあります。南米諸国では感染爆発してますね。
上記を見て分かる通り、アジアで流行し始めたコロナウイルスは
- アジア諸国では、すでにおさまりつつあり
- ヨーロッパや米国のような先進国では、逓減傾向が見られ
- ブラジルのような新興国で、感染爆発が起きている
といった状況です。
いったい、どこまで感染者が増え続けるのか?
こういった恐怖は、最初の感染者が確認されてから20日~40日ぐらいの間がピークだったことが分かります。
- ロックダウン(都市封鎖)
- 外出自粛等
これらによって、感染者を抑え込めるということが分かった今、「未知の恐怖」が当初ほど大きくない状況になったと言えると思います。
これが、株式市場が落ち着きを取り戻しつつある背景の1つです。
トピック③:経済活動再開の動き
感染者数の逓減傾向が確認されるとともに、経済活動再開への動きが強まってきました。
- 欧州最大の経済大国ドイツ…3月から続けてきた制限を大幅緩和
- 外出制限が続く米国NY市…6月8日から経済活動が再開予定
- 日本…5月25日に緊急事態制限を解除
感染の第2波に警戒しつつ、徐々に経済活動を再開させる。そんな雰囲気になりつつあります。
足元では、GDP成長率や雇用統計といった主要指標がボロボロになっています。米国の失業率にいたっては、世界大恐慌以来、ほとんど100年ぶりの悪い数字です。
これ以上、こちらを放置するわけにもいかないですからね。
経済活動が再開し、企業業績に底打ちの兆しが見えれば、株式市場はさらに落ち着きを取り戻すでしょう。
その一方で、経済活動再開によって、また感染爆発が起きるようなことがあれば、株式市場はクラッシュし2番底を試す展開になるかもしれません。
ここまでのまとめ
下記により、株式市場は落ち着きを取り戻しています。
- 史上最大規模の財政出動継続
- 感染者数が逓減傾向
- 経済活動再開の動き
S&P500の推移はこの通り。見事な回復っぷりです。
5月末時点の日経平均株価は21,877円と、コロナショック直後の16,000円台から大幅に回復しています。
PER・PBRといった主要指標を見ると、すでに特別な割安感はありません。今後想定される業績悪化を考えると、まぁこんなもんかなという感じ。
ただ、買うものがない、という状況でもありません。
配当利回りランキング(東証一部上場)
- ※エクセルオンラインのデータが表示されます
- 証券コードをクリックすると、Yahooファイナンスのページに飛びます
※1 「-」は、前月ランク外であった銘柄
※2 2017年1月以降で、月末の配当利回りが3.75%を超えていた月の数
1部上場企業の高配当株については、450社→180社と高配当株が激減しました。
そのため、ランキングに新登場した銘柄は3社しかありません。
今回は
- この3社についてさらっと解説して
- コロナショック後のパフォーマンスを振り返る
という感じにしたいと思います。
①ランキング新登場銘柄
下記の3社です。
どこも利益率が低いです。そのため、過年度の業績を覗くと赤字に転落してしまっている年もあります。
長期にわたり安定した配当を受け取るのが目的なので、たとえ不況がきても赤字にならない会社を選びたいところ。
収益性の低い企業は、いくら配当利回りが高くても投資対象にならないですね。
②振り返り
こびと株のメンバーは、日本株については「高配当株ポートフォリオ」を自作しています。
その目的・理由は下記の通り。
- トータルリターンで年利5%ほど欲しい
- リターンの大半を、計算しやすい「配当金」というインカムで得たい
- 既存の高配当株ファンドに「投資したい」と思えるものがない
- 大型の景気敏感株に偏りすぎていて減配懸念が強いうえ、信託報酬もムダ
とにもかくにも、投資額に対して4~5%ほどの配当金を安定して受け取り続けたいというのが、私の投資目的です。
元本に関しては、長期(10年とか20年とか)で割れなければOKです。
市場平均に勝つとか負けるとかは、ふだん全く気にしていません。でも、こうやって市場が荒れることはめったにないので、せっかくなので成績を確認してみました。
サンプルとして使うのは、2020年3月に「今から高配当株投資を始めるならこれを買う」と言って示した高配当株ポートフォリオです。30銘柄分散の高配当株ファンドですね。
このオリジナルファンドは、5月末時点でどんな成績になったのか?
下記の通りです。
高配当株ファンドと比較するだけではなく、参考として時価加重型の株価指数とも比較しています。
ポイントは、下記3点ですね。
- S&P500には全然勝ててない
- TOPIXと同じぐらいの成績(配当込みならアウトパフォーム)
- 既存の高配当株ファンドはダメダメ
まず、S&P500の+17.79%と比較すると、オリジナルファンドの+11.38%はまったく勝負になっていません(とはいえ、もともとS&P500の方が日本株より落ち込みが大きかったので、その反動もあります)。
現状、コロナショックから、もっとも力強い戻りを見せているのが米国です。やはり、どこの国に投資するかは最重要ですね。
分散・為替リスクを意識しないなら、米国はもっとも信頼できる集中投資先の1つだと思います。
次に、TOPIXの+11.45%と比較すると、オリジナルファンドの+11.38%はどっこいどっこいといったところ。
- TOPIXの配当利回りは2.4%
- オリジナルファンドの配当利回りは4.42%(簿価ベースだと4.72%)
配当利回りの差は約2%ありますから、配当込みならばオリジナルファンドの方が成績は良くなります。
さらに、TOPIXの配当金は今後それなりに減額されるでしょうから、配当金ゲットという観点では減配懸念の低い銘柄で固めてあるオリジナルファンドの方が有利かなと。
※投資期間が長期にわたると、増配により簿価利回りがぐんぐん向上する可能性があります。私の保有株でも、当初投資額に対して6%~8%の配当金が得られるようになっている銘柄は少なくありません。
インデックスファンドも悪くないですが、その一方で、手間暇かけてオリジナルの高配当株ポートフォリオを育てていく価値もあるかな~と思います。
投資の世界の2%はまったくバカにできません。1000万円投資したら20万円も差がつきます。1ヵ月働かなくて良いぐらいの金額になりますからね。
ご覧の通り、分散すればするほどファンドのパフォーマンスは「市場平均」に近づきます。だから、短期間で金持ちになりたいなら分散なんてダメです。
市場平均と比較して+10%、+20%といった成績を出したいなら、リスクをとって3~7銘柄に集中投資すべきですね。
最後に、既存の高配当株ファンドとの比較です。
7つの高配当ETFと比較してみましたが、これらのファンドの成績は+3.16%~+6.73%と、オリジナルファンドの+11.38%を大きく下回っています。
配当利回りも3.23%~4.71%と、オリジナルファンドの4.42%と比較してあまり高くありません。
そのくせ0.209%~0.385%も信託報酬を取られるので、運用期間が長くなればさらに差が開く可能性があります。
- 取引値はTOPIXに大きくアンダーパフォーム
- 配当利回りもさして高くない
- 信託報酬もボチボチとられる
ということで、従来から
こう言ってきた通りの結果になってますね。下落相場で、その傾向が顕著に出ました。
今回の2020年3月期決算では、景気敏感な大型高配当株は次々に減配を発表しました。既存の高配当株ファンドは、そういった銘柄の比率が高すぎる感じがします。
小型・中型の財務優良株も入れていかないと、大型株だけで「減配しにくいポートフォリオ」を組むのは難易度が高いんじゃないかなというのが、私見です。
コア銘柄達の配当状況
さて、3月に「減配懸念が低い」ということで紹介した銘柄達(高配当株ポートフォリオのコアになる銘柄)がどうなったかというと、この通り。
- 当期はしっかり増配で着地し
- 翌期予想でも減配はありません(但し、未定も多い)
トッピングとして紹介していたアマダ、コマツといった銘柄では減配もありましたが、こちらは想定通りといったところ。
減配懸念のある景気敏感銘株(逆に言えば、好景気で増配が期待できる銘柄)については、ポートフォリオ全体に占める比率をおさえることが重要ですね。
仮に減配しても、大きなダメージを受けずに済みます。
現在は、6割以上の上場企業が「翌期予想を未開示」とするような異常事態です。翌期の業績がどうなるかはいまだ不透明ですが、引き続き
- 財務優良
- 高収益・安定業績
- 株主還元に積極的
な企業を選定して、イイ感じの高配当株ポートフォリオを作っていきたいですね。
配当利回りランキング(東証二部上場)
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※1 「-」は、前月ランク外であった銘柄
※2 2017年1月以降で、月末の配当利回りが3.75%を超えていた月の数
特筆すべき新規銘柄はナシです。
なお、従来から「セクター分散」の一角として何度かピックアップしていた「自重堂」。コロナによる消費者マインドの冷え込みが原因で、第3四半期の当期利益が前期比▲9.2%と落ち込んでいます。
- 営業利益率はいまだ10%超
- 自己資本比率87.1%
- 通期の予想配当性向は50%程度
という状況なので、屋台骨が揺らいでいるというほどではありません。
しかし、
- キャッシュの継続的な減少
- 在庫の継続的な増加
など、資金繰り的にはかなりよろしくない動きをしています。作った製品が売れずに在庫として滞留し、カネに変わっていってないということですね。
積みあがった在庫が消化されていくストーリーを想定していましたが、コロナの影響で完全に狂いました。
二部上場のなかではマシな会社だと思いますが、今の状態だともうピックアップできないですね。
配当利回りランキング(東証JASDAQ上場)
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※1 「-」は、前月ランク外であった銘柄
※2 2017年1月以降で、月末の配当利回りが3.75%を超えていた月の数
JASDAQについても、特筆すべき新規銘柄はナシです。
株価が回復してしまったため、日本SHLや沖縄セルラーといった優良企業はランキングから消えてしまっています。
まとめ:もしこびと株メンバーが今月から高配当株投資を始めるとしたら?
ランキングの解説は以上です。
最後に、2019年7月からシリーズ化を開始した「もしこびと株メンバーが今月から高配当株ポートフォリオを作るとしたら」というモデルを出して終わりにします。
※「私たちならこうする」という事例であって、下記銘柄への投資を推奨するものではありません。株式投資には元本割れのリスクがありますので、くれぐれも自己責任でお願い致します。
30万円で今月スタートならこんな感じにします。
今月は、
- 高収益・財務優良でも
- 業績予想・配当予想が未開示
の企業はいったん抜いてあります。
3月期決算会社の場合、コロナによる業績影響がハッキリ分かる第1四半期決算(4月~6月)が7月以降に出ますから、その数値を見てから色々と検討したいところ。
- もともと5月は株価が高くなりやすい
- 感染拡大第2波による景気悪化・2番底懸念
- 米中のよろしくない関係
- 何もなくても、7~8月に夏枯れ相場になりやすい
このあたりの「雰囲気」も加味して、おとなしくしておくイメージです。
先月以前にオリジナル高配当株ポートフォリオを作っている方は、下記メンテ方法を参照しつつ買い増しする銘柄を決めていけば良いかなと思います。
いちどオリジナルファンドを組んだ後は、個々の株価の値動きにはこだわらず
- 全体として長期的に元本を割れなければOK
- 全体として長期的に配当金を出し続ければOK
そういうイメージでやっていきます。
10年経てば、配当金だけで40~50%近い投資回収を見込めます。各社の業績が向上しており、市況が良ければ評価額も伸びるでしょう。
日本株に年利何%のリターンを期待するか…ということですが、私は上述の通りトータルリターンが5%ぐらい取れれば十分だと思ってやっています。
今のところ、目標は余裕でクリアできています。
今月紹介した事例から分かると思いますが
- すでに発売されている高配当株ファンドは、微妙です(自分でポートフォリオ組んだ方が良い)
- 高配当株を仕込む時には、タイミングも重要です(待ち構えてないと買えない)
だから、こびと株メンバーがやっているようなスタンスの高配当株投資に興味があるのなら、低コストで単元未満株投資ができるSBIネオモバイル証券で証券口座を開設しておくことをおすすめします。
もし数十銘柄を100株ずつ購入したら数百万円はかかります。しかし、SBIネオモバイルならそんな大金不要です。
SBIネオモバイル証券には、大手ネット証券(楽天証券やSBI証券)にはない圧倒的なメリットがあります。
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- Tポイントを使って株が買える
※大手ネット証券を使って少額分散投資をすると、手数料負けします。
※SBIネオモバイル証券を使った高配当株投資の始め方はこちらの記事をどうぞ。
日本株の優良高配当株に数百円から分散投資したいなら、SBIネオモバイル証券は良い選択肢になります。
2番底をつけにいく可能性も考慮するのなら、今のタイミングは特に口座を開設するのに良いタイミングかなと。
2022年9月26日、
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- 1株から購入可能(単元未満株の売買手数料無料)
ちなみに、米国株であればHDVやSPYDといった優れたETFがあるので、これらを活用すれば個別株への投資は不要です。圧倒的にラクですね。
※米国株市場の暴落に伴い、かなり良い利回りになっています。市場平均より下落がキツいですが、かえって投資妙味があります。
- 日米の高配当株を中心に、よく分散された高配当株ポートフォリオを作る
- ①追加投資、②配当金再投資、③増配でひたすら配当金を増やし続ける
こうすることで、誰でも月10万円ぐらいの配当金は作れる可能性があるんじゃないかなと思っています。
月10万円あれば、
- 水道光熱費が払える
- 家賃が払える
- 通信費(スマホ代など)が払える
- 保険料が払える
といった感じで、独身なら固定費のほとんどを賄えるでしょう。
ちょっと働けば生きていける水準ですから、セミリタイアも視野に入ると思います。
あるいは、月10万円の配当金を趣味に使えば、相当遊び倒せるでしょう。サラリーマンのお小遣いの平均は3~4万円ぐらいですからね。
全部使っても「老後は安泰」ってのは良いですよね。
いずれにせよ、配当金は人生の選択肢を増やしてくれます。コツコツと配当金を増やして、生活を豊かにしていきたいですね。
それではまたっ!
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