こんにちは、シーウィード@こびとが見える経理マン(@kobito_kabu)です。
SBIネオモバイル証券という証券会社があります。まだ誕生して間もない会社です(2018年10月設立)。
株式投資をするにあたり、この証券会社のサービスにどれだけ利用価値があるか考察してみたいと思います。
先に結論を言っておくと、下記の通り。
メリットを享受できる人は限られる。
- 理由①:投資対象が狭すぎる(国内株式のみ)
- 理由②:NISAなどの非課税口座に非対応
日本株で高配当株ポートフォリオを自作したい人には活用法があるが、それでも取り扱いは難しい
以上です。それでは本題に入ります。
目次
SBIネオモバイル証券の特徴
こういう特徴がある証券会社です。
- 投資先は国内株式のみ…Bad
- Tポイントを使って株式投資できる
- 1株から株が買える=少額から投資できる(日本株の取引単位は通常100株~です)…Good
- 月額220円(税込み)で取引し放題(一ヵ月の取引額が50万円未満の場合)…Good
ハッキリ言って、②はどうでもいいです。ポイント云々は投資の本質とは無関係でただのオマケと考えるべきです。
資産運用をするにあたり、基本的な考え方は次の通り。
- 投資商品を分散する(株、債券、不動産などに幅広く投資する)
- 投資する国を分散する(世界中に投資する)
- 手数料はできる限り払わない
- 税金はできる限り払わない
これらの基本は、いくら重視しても重視しぎることがないぐらい重要な鉄則です。
つみたてNISAやiDeCoといった制度が優れているのは、これらの点をしっかりとおさえているからです。
SBIネオモバイル証券は、手数料面ではメリットがありそうですが
- 投資先が日本株のみ
- NISAなどの非課税口座に対応していない
ということで、資産運用の基本をまったくおさえていません。楽天証券やSBI証券などのメジャーなネット証券口座を使わずに、こちらだけを使うという合理性はありません。
少額から日本株を買えるのはメリットでは?
この質問に答えると「つみたてNISAやiDeCoで少額から投資すればいいのでは?」ということになります。
つみたてNISAの対象ファンドなら、
- 期待リターン
- 分散具合
- コスト面
これらがまともな投資商品が多いからです。意味があるかはさておき、数百円から投資することもできます。
あえて、SBIネオモバイル証券で超少額から日本株に集中投資することの合理性はないんじゃないでしょうか。手間暇に見合うか、疑問です。
日本株の高配当株ポートフォリオを自作する場合はメリットあり
とはいえ、ワンチャン使える可能性があるかな?と思ったのは、高配当株ポートフォリオの自作です。
以前「40歳で投資元本860万円のじぶん年金を作る」という記事を書きました。
- 22歳~40歳で、860万円分入金して高配当株を買う
- 22歳~40歳で得られた配当金312万円で高配当株を買う
- 投資ストップ。お金を使うフェーズに移行
- 40歳~65歳までに1600万円の配当金を受け取り、使う。
- 65歳以降は毎年90万円の配当金を受け取り、使う。
この「高配当株ポートフォリオ」を自作する際に問題になるのが、日本株の取引単位の大きさです。これは何人かからツッコミを頂きましたし、私も認識していた問題です。
具体的に説明します。
高配当株ポートフォリオの投資元本860万円を、下記のように分けるとします。
- 日本株40%→344万円
- 米国株40%→344万円
- その他20%→172万円
※税金に関しては、配当控除や(ふつうの)NISAなどの優遇税制を活用します。SBIネオモバイル証券で購入する日本株はNISAに充てられないですが、米国株などに投資する別口座でNISAを活用します。
米国株については、
- VYM
- HDV
- SPYD
といった、それ一本に投資すれば80~400の優良企業に投資できるような優良ファンドがあるので、それを買い付けていけばOKです。344万円で十分に分散可能です。
米国株は1株から買えますし、最近、大手ネット証券会社で『取引手数料の下限額』が撤廃されたので、手数料負けすることもありません。344万円で十分に分散可能です
ところが、日本株については米国株のような優良高配当株ファンドがありません。したがって、自分で個別に優良企業を見つけていく必要があります。
仮に気に入った投資対象を複数見つけられたとしても、取引単位が100株からのため、投資額にかなり差がでます。例えば
- 丸紅は7万円台で投資できますが
- NTTなら50万円以上かかります
これでは非常にバランスが悪いですよね。
344万円をベースに考えるのなら、せめて17万円×20銘柄ぐらいには分散させたいところです(17万円なら、投資総額860万円のうち2%程度となり、もし減配があっても影響が小さいからです)。
日本株の場合、17万円では買えない銘柄は多いですから、こういう時にはSBIネオモバイル証券の「1株から買える」というのはメリットになるのかなと思います。
なんとなく便利そうな、めんどくさそうな…手間の割にメリットが小さそうな…という感じです。
投資をする際にはそれなりの種銭が必要だというのは目を背けられない事実ですね。
さて、毎月公表している高配当株ランキングで、6月末時点では下記の株なら検討対象かなぁということで記載しました。
- JT 6.47%
- 住友商事 5.51%
- 丸紅 4.91%
- 三菱UFJフィナンシャルグループ 4.88%(あと15%前後下落待ち)
- NTTドコモ 4.78%
- 三井住友フィナンシャルグループ 4.73%(あと15%前後下落待ち)
- 蔵王産業 4.58%
- 三井物産 4.56%
- 三菱商事 4.40%
- インターワークス 4.16%
- 伊藤忠商事 4.13%
- アビスト 4.02%
- KDDI 4.01%
- アマダホールディングス 3.96%
- ブリヂストン 3.77%
- クニミネ工業 3.58% ランキング外ながら監視中
- センチュリー21ジャパン 4.22%
- 沖縄セルラー 3.98%
これらを100株ずつ買うと下記のようになります。これだけでも合計370万円も必要です。構成比のバランスも悪いですね。
これを、SBIネオモバイル証券で少額ずつ(例えば1銘柄5万円ずつ買うと)こうなります。
18銘柄に分散投資して、配当利回りは約4.2%。悪くない気がしますね。銘柄間の配当金水準のブレも小さくなりました。
総合商社5社だけでポートフォリオ全体の30%弱ありますから、総合商社は各社2.5%まででいいかな…といった調整も容易です。
個別株の保有ということで、いくら長期間保有しても信託報酬(プロが作ったファンドを持つ場合、経費をとられます)がまったくかからないというメリットもありますね。
※あくまでイメージの話であって、上記銘柄への投資を推奨しているわけではまったくありませんのでくれぐれもご注意ください。
SBIネオモバイル証券の売りは「お手軽さ・気楽さ」ということのようですが、高配当株ポートフォリオを作るために使おうとすると
- たくさんの銘柄を分析してちゃんと銘柄選定して
- 割安な投資タイミングを計りつつ時期を分散して買い付ける
- 年に一度確定申告して、配当控除を利用して税金を取り戻す
ということになりますから、どう考えても初心者向きではない活用法ですね。
単元未満株への投資(1株からの投資)ということで注文方法も普通の売買とは異なりますし、株主優待が手に入らないといったデメリットもあります。
※配当金は保有株数に応じてちゃんと貰えますのでご安心を。
まとめ:少額から高配当株投資(日本株)をやるなら使い道はある
というわけで、まとめると次の通り。
SBIネオモバイル証券のメリットを享受できる人は限られる。
- 理由①:投資対象が狭すぎる(国内株式のみ)
- 理由②:NISAなどの非課税口座に非対応
日本株で高配当株ポートフォリオを自作したい人にはメリットがあるが、それでも取り扱いは難しい
取り扱いが難しい理由は、次の通り。
- メイン証券口座で投資することになるNISAやiDeCoを踏まえたうえで全体のポートフォリオのバランスを管理するのが面倒
- 個別銘柄の選定が難しい
- 投資タイミングの判断が難しい
- 税金で得したいのなら確定申告必須(慣れれば10分です)
集中投資で資産を増やそうという意図であれば、そもそも単元未満株への投資をする必要はないですから、SBIネオモバイル証券を利用する層は「日本株に分散投資したい」という層になるでしょう。
それも、日経やTOPIXなどの指数に連動した商品じゃなくて、ポートフォリオを自作したい人。わりとマニアックな層ですね。
というわけで、少なくとも、万人に勧められる証券口座でないという結論です。
- 高配当株投資したい
- でも今ある高配当株ファンドは嫌だ
- でも種銭はそんなにない
こういう人が、投資経験を積みながらポートフォリオを作っていくぶんには良いのかもしれません。
『SBIネオモバイル証券を使った少額からの高配当株分散投資』というトピックに興味のある人がいたら、もっと踏み込んだノウハウ記事を書くかもしれません。
実際にSBIネオモバイル証券で口座開設した人は、その使い勝手とかを教えてくれると嬉しいですw
それではまたっ!
2022年9月26日、
株式会社SBIネオモバイル証券は、株式会社SBI証券と経営統合することが発表されました。
(SBI証券とSBIネオモバイル証券の経営統合に関するお知らせ)
これに伴い、SBIネオモバイル証券の新規口座開設は2022年10月7日をもって受付が停止されています。
なお、2022年10月時点では、新しく投資を始める人に最もおすすめの証券口座は【SBI証券】です。
- 最大手・国内株式個人取引シェアNo.1
- 口座開設・口座維持手数料無料
- 1株から購入可能(単元未満株の買付手数料無料)
※関連記事です
その後、色々検討した上で書いた、「少額分散投資したい人」向けの記事です。
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