こんな人のための記事です。
この記事では、「長期投資を継続できないたった1つの理由」について、まとめてみたいと思います。
目次
長期投資が続かないたった1つの理由
含み損に耐えられないから。
これに尽きます。
資産運用の目的は、お金を増やすことです。
それなのにお金が減っていっているわけですから、投資を継続する合理性がどこにもないように感じられるのは当然です。
人間は、本能に忠実な生き物。
誰かが蹴ったサッカーボールがすごい勢いで自分の方に飛んで来たら、目をつぶって腕を上げて顔を守ったり、避けようとするでしょう。
けれども、ゴールキーパーがそんなことをしていたら、サッカーは成立しません。
彼らはトレーニングによってその恐怖を克服し、ボールに向かっていくわけです。
投資にも似たようなところがあります。
目的を達成するため(利益を出すため)に、「あえて本能に逆らわなければならない」というシーンは、しばしば訪れます。
長期投資で利益を出していこうとすると、まさにそういうシーンの連続。
- 10年~20年先の大きな利益を目指すのなら
- 目先の含み損には目をつぶらなくてはいけないこともある
というわけなんです。
含み損になる度に投資をやめていたら、いつまで経ってもお金は増えません。
損切りしたくなる3つの要因
なぜ含み損に耐えられず、損切りしたくなってしまうかというと、3つの要因があるのかなと。
- 複利を説明したグラフがイケてない
- 絶対リターンを求めている
- 下がる不安・恐怖に耐えられない
要因①複利を説明したグラフが浸透しすぎている
これですよ、これ。
書籍・雑誌なりブログなりで、誰もが見たことのあるグラフだと思います。
- 100万円で投資をスタートして
- 毎月5万円積み立てて
- 年利5%で30年運用できれば
投資元本約2,000万円が4,500万円になります!
このグラフ、私は「世界で一番その通りにならないグラフ」と呼んでいます。
順番がおかしいんですよ。
- 年利〇%で〇年運用するから、〇円になる
んじゃなくて
- 〇円投資して〇年で〇円になったから、年利〇%で運用できたことになる
こういう順番が正しい。
株式投資では、年利いくらで運用できたかというのはあくまで結果。後から分かるものです。
期待リターンをいくらで予想するかは個人の自由ですが、毎年その通りに運用するなんて、ほぼ不可能。
どこまでいっても「取らぬタヌキの皮算用」の域を出ませんから、この利回りに固執する意味はほとんどありません。
上記のグラフに惹かれて、毎年同じような利回りで資産が増えていくと思ったら大間違いというわけ。
こういう見通しで投資を始めると、「思ってたのと違う…」となって損切りしたくなってくるのも自然なことです。
要因②毎年の絶対リターンを求めている
個人投資家が求めているのは、絶対リターンです。
インデックスファンドとアクティブファンドという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
- インデックスファンド:市場平均に連動した成績を目指すファンド
- アクティブファンド:インデックスファンドに勝つことを目指したファンド
不景気になって市場が大荒れして、インデックスファンドの成績が▲30%だったとします。(▲はマイナス)
そんなとき、アクティブファンドのマネージャーがこう言いました。
これ、納得できますか?
このアクティブファンドに投資した投資家の感想は、きっとこれでしょう。
金返せこの野郎
これが、絶対リターンの意味です。
多くの個人投資家は、インデックスファンドや他の投資家との「相対的な成績」を求めているわけではなく、とにかくプラスの成績を求めているのです。
▲20%も金を減らしておいて、よくやったもクソもないわけです。
※このファンドマネジャーは、人事的には評価されると思いますけどね。
投資経験の長いベテラン投資家なら、ファンドに投資していようが自分で投資していようが
「まぁ、市場全体がこんな感じなんだから、損が出たってしょうがないよね。」
の一言で済ませられます。
でも、投資初心者であればあるほど、お金が減るのを黙って見過ごすのは難しいですよね。
絶対リターンを求めている限りは、含み損が出る→損切りして投資をやめたいという流れになるのは当然のように感じます。
※買値からプラスになったりマイナスになったりする株価とは異なり、配当金というのは毎年必ずプラスになります。(最低でもゼロ)
マイナスの配当金というのはないからです。
そして、増配株に投資する&毎年投資額を増やしていくと、受け取れる配当金の水準は右肩上がりになります。
株価に目をつぶることさえができれば(それが良いか悪いかは別として)、配当金を軸にする投資は継続しやすいのです。
絶対リターンを確保できているように”錯覚”できるからです。
最終的には、株価でも勝たないと無意味なんですけどね。
要因③永遠に下がり続けると思ってしまう
最後はこれですね。単純に、永遠に下がり続ける恐怖・不安を抱いてしまうということです。
人間には「直線本能」というのがあるそうです。
直線本能というのは、例えばこういうやつですね。
- 地球上の人口は増え続ける
- 日本の人口は減り続ける
統計学者からすると、どちらも正しくない主張。
けれども人間は、「トレンドが永続する」という勘違いを抱きやすい生き物なのだそうです。
言われてみれば、そもそも多くの人が投資に参加するのも「経済は成長し続ける(はずだ)」という考え(思い込み?)があるからです。
- 右肩上がりのトレンドが始まると、まるでそれがいつまでも続くように錯覚する
- 右肩下がりのトレンドが始まると、まるでそれがいつまでも続くように錯覚する
そういう本能に振り回されているということですね。
だから、ひとたび景気が悪くなって右肩下がりのトレンドに入ると、含み損が永遠に大きくなり続けるのではないかという不安に駆られます。
そして、含み損に耐えきれずに損切りしてしまうというわけです。
まとめ:長期投資を継続するためには本能に逆らう訓練が必要
以上、この記事の内容をまとめると次の通り。
長期投資を継続できない理由=含み損に耐えられないから。
含み損に耐えられず、損切りしたくなってしまう要因は次の3つ。
- 複利を説明したグラフがダメ
- 絶対リターンを求めている
- 永遠に下がり続けると思ってしまう
基本的には、どれも過剰な期待・単純な思い込みです。
年利〇%で〇年運用したら〇円になる、というのは純度100%で机上の空論です。
毎年の成績がこの通りになることはまずありません。
個人投資家は、
- 市場平均と比べてどうか
- 他の人と比べてどうか
なんて相対リターンは気にしていません。
気にしているのは絶対リターン(プラスになったかどうか)だけです。
けれども、毎年絶対リターンを確保するのは容易なことではありません。
脱落者が多数出るのは、当然のことですね。
そして、最終的には直線本能に振り回され、「永遠に下がり続ける恐怖」に負けて損切りしてしまうというわけですね。
※私は「長期投資が必ず報われる」と主張するつもりはありません。
後になってみれば、ゆでガエルになる前に損切りしておいて正解だったという場面も有り得るからです。
結局のところ、何が起きるか分からない投資の世界で信じられるのは、自分のアタマと行動力だけ。
陳腐な言葉ですが「正解はない」という言葉ほど正しい言葉もないのかなと思います。
- 右肩上がりになると信じられるものに賭ける(右肩上がりの直線本能は信じる)
- 毎年必ず〇%増えるなんて思わず、ジグザグすることを理解する
- 絶対リターンを求めず、ひたすら市場平均を受け入れ続ける
- 右肩下がりになるとは信じない(右肩下がりの直線本能には逆らう)
本能のままに相場を眺めるのではなく、上記のような姿勢でどっしりと構えることが大切ですね。
こびと株.comのメンバーは
- 経済は成長を続ける
- 株価はどう動くか予測できないが、業績安定・財務良好の企業の配当金は予測できる
この2つの前提に基づいて投資をしています。
そして、高配当株投資は「長期投資を継続できない3つの要因」にある程度対応できていると思っています。
だから、長く相場に居続けることができるかな、と。
× 年利〇%で〇年運用すれば~(実現可能性低い)
◎ 配当利回り〇%の株を買えば〇年でいくら貰える(実現可能性高い)
× 毎年必ずプラスの成績にしたい(株価での絶対リターン追求)
◎ 毎年必ず昨年より多くの配当金を受け取り続けたい(配当ベースでの絶対リターン追求)
× 永遠に下がり続けるから損切りしよう
◎ 配当金が出る限りは売る理由はない
こうやって長期的に相場に居残り続けた結果、株主としての立場で経済成長を享受できればOKかなと。
もし予想通りにいかなかったとしても、それはそれとしてやっていけるようにリスクコントロールをしているつもりです。
だから、致命傷にはならないはず。声出して泣くけど。
それではまたっ!
※関連記事です。
高配当株は分散してナンボ。
「でも、分散しようにも、2,000万円も3,000万円も投資資金を用意できないよ!」という人は、下記記事が参考になるかと。
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