こんな人のための記事です。
この記事では、証券アナリスト試験に独学で対応する際に重要な7ポイントをお伝えします。
- どんな人がこの記事を書いているの?というのが気になる方は、私たちの受験履歴からチェックしてみて下さい
- そんなのどうでもいいから独学のポイント教えて!という方は目次から「証券アナリストに独学で合格するための7つのポイント」まで読み飛ばして下さい
私たちの受験履歴
当ブログの運営メンバー2人(♂と♀)は、同じスタイルで勉強して合格しました。私たちは経理歴10年超、職場も業務もまったく同じ。勉強ペースは完全に一緒でした。
結論を先に伝えると、勉強期間は約3年。2人とも資格スクールのTACを利用して
でした。
※参考:自己採点によると1次試験得点率は8割、2次試験得点率は7割弱。ちなみに、1次試験は6割、2次試験は5割できれば受かります。
一次試験(3科目とも予備校を利用)
受験を決意してから、1次試験にパスするまでに2年もかかっています。理由は、試験時期に仕事の繁忙期が重なってしまい「経済」だけ受験できないタイミングが続いたからです。
なんと2回続けて受験機会を逃してしまったんですよね。
なお、2015年1月に通信講座を申し込んでいますが、実際には2014年の春すぎぐらいからTACの証券アナリスト講座(1次試験3科目)を使って勉強を開始しています。
ちなみに、私は2010年に一度、独学でチャレンジしたものの挫折しています。
「証券分析」が難しすぎて勉強を開始して1ヶ月で諦めちゃったんですよね。あぁ…通信講座の受講料がもったいない…
この時の独学挫折経験/予備校利用してのリベンジ合格の経験を経て、この記事を書いているわけです。
二次試験(経済以外は予備校を利用)
1次試験合格後、翌年の2次試験で一発合格しています。2次試験も、1次試験と同様にTACを利用しています(重要性の低い科目である「経済」のみ受講せず)。
ちなみに本番当日の様子はコチラの記事をどうぞ!とんでもないボリュームで腕がつりましたw
予備校を利用したからこそ、独学方法も分かった!
さて、1度挫折を経験し、それからしばらくして3年に渡り勉強することとなった証券アナリスト試験。ずいぶんと回り道していますねw
この試験の合格率は、1次試験・2次試験ともに40~50%程度です。また、証券アナリスト協会が実施したアンケートによると、合格者の勉強時間は1次試験・2次試験ともに200時間程度が平均のようです。
私達の場合、学習ペースは完全にTACのカリキュラム任せで
- TACの授業だけで約150時間(週末に1コマ3h×2回の授業)
- 自己学習で約150時間(1日30分を毎日)
といった感じで合計300時間ほど勉強していたと思います。結論から言うと、これは合格のためだけなら「やりすぎ」なレベルだったと思います。実際、1次試験も2次試験も、受験直後に合格を確信していましたから。
予備校のカリキュラムを100%消化して、長い時間をかけてコツコツと勉強してきたからこそ、もし独学だったらどうすれば合格レベルに達するか自信を持って伝えることができると考えています。
証券アナリスト試験に独学で合格したい!という方は、ぜひ次の7ポイントをおさえて学習して頂ければと思います。
証券アナリストに独学で合格するための7つのポイント
独学合格ポイント①:教材はTACまとめテキストと過去問だけを使う
使う教材の種類は2つだけでOKです。断言します。
1つめはTACの総まとめテキスト。
2つめはTACの過去問集です。
この2つだけしっかりやれば間違いなく合格レベルに達します。「財務分析」や「経済」でも同じです。他の教材は一切不要です。
実は、TACの証券アナリスト講座では、基本期と直前期でそれぞれ1冊ずつのテキストが配られます。この総まとめテキストというのは直前期で配られるテキストです。
そして、講師から実際に「しっかり理解して覚えておくように」と言われるのは、基本期に配られた簡単なテキストではなくこの「総まとめテキスト」なのです。この1冊にノウハウが凝縮されているというわけです。
テキストの他、問題集やプリントなど、さまざまな配布物が配られましたが、結局最後に使うのはこの総まとめテキスト1冊でした。要はこれだけ分かっていれば十分なのです。
総まとめテキストを読んでも理解できない部分というのは、基本期に配られた簡単なテキストでも理解できません。そもそもの内容が難しいからです。結局、試験対策上は「公式を覚えて問題に当てはめるテクニックをマスターする」ことが最善手となります。
くどいようですが、知識レベルとしては「総まとめテキスト」1冊でOKです。あとは過去問で慣れるだけです。
独学合格ポイント②:協会の通信テキスト・副教材は絶対に使わない
今になって思えば、私が独学で失敗した一番の理由は協会の通信テキストを使ったことです。当時はまったく勉強方法が分からず、通信講座をまじめにやることがベストだと信じていたのです。
結論から言うと、協会の通信テキストも副教材も、合格のためには一切不要です。時間の無駄です。合格以外の目的(学問として深く修めたい、マニアックに追及したい)がある人は別ですが…
「証券アナリストのための数学再入門」とか、ネット上でも色々とおすすめされている書籍がありますが、副教材はあまりにも非効率です。10時間かけて読んで、1~2問解けるようになるとかそういうレベルです。
教材に関して言えば、大切なのは
- TACの総まとめテキストをしっかり読み込むこと
- 過去問を複数年分・複数回解くこと
この2つだけです。
なぜこれで大丈夫なのかタネ明かしをすると、他のほとんどの受験生もこれしかやらない(そして皆それほどやりこまない)からです。証券アナリスト試験は、優良教材が事実上これしかないのです。試験会場に行けば分かりますが、皆TACの総まとめテキストを持っています。
※証券アナリスト講座を開講している予備校はTACしかありません
合格率が40%~50%ある試験ですから、難易度としては決して高くありません。2人に1人は受かる試験です。
受験生の大半がこのテキストを使っていると仮定すると、試験会場であなたの隣に座った受験生より、あなたの方が「総まとめテキスト」をより深く理解していれば(過去問を多く解いていれば)あなたが合格します。単純な話ですね。
わざわざ副教材を使うまでもなく、「総まとめテキスト」をやりこむだけで合格を手にすることは出来るのです。
独学合格ポイント③:過去問は最低5年分以上やる(10年分やればほぼ合格確実)
過去問を3年分解くというのは最低ラインです。
みんなそれぐらいはやってきます。なぜなら、TACの市販教材/協会から送られてくる冊子の年数が3年分だからです。
皆等しく3年分しかやらないとなると、最後に合格するのは
- 本番で間違えなかった人(ミスをしなかった人)
- 本番で機転を利かせて解法を思いついた人
というなんとも博打っぽいチャレンジになってしまいます。
合格確率をまともに高めたいのなら、話は非常に簡単です。過去問を解く年数を増やせば良いのです。何をアホなと思われるかもしれませんが、これが一番確実な勉強方法です。
TACで配られた問題集では過去10年分もの試験問題が掲載されていました。それも、難問奇問を外して良問のみが精選されたものです。これが予備校のノウハウであり、独学受験生との差になる部分なのです。
私はキッチリ10年分解いていたので、本番では落ちる気がしませんでした。何度も言うように、他の受験生は普通3年分ぐらいしかやらないからです。
彼らが「初めて見た!」と思う問題でも、私にとっては「あぁ5年ぐらい前に出た問題か」と思えるのですから、相当なアドバンテージです。余計なテキスト・副教材に手を出さず、過去問を10年分解けば間違いなく受かります。
- 証券アナリストの「マイページ」
- 過去バージョンのTAC過去問集(Amazonやネットオークションで中古品をゲット)
これらを利用して、1年でも多く遡って解きましょう。3年分が通常ですから、4年、5年、6年と1年遡るだけでも大分有利になります。最低でも5年分はやりましょう!本当に合格率が劇的にアップすると思います。
※一次試験に限って言えば、MAXで5年分も解けば十分
独学合格ポイント④:捨て論点を作らない(二次試験の経済を除く)
証券アナリスト試験は、広い範囲からまんべんなく出題されます。合格するために一番大切なことは、捨て論点を作らないことです。
例えば、デリバティブなんかは受験生が苦手とする筆頭の論点ですが、この論点が出題されない年はありません。必ず、100%出題されます。
捨てるべきは、論点ではなく難問奇問です。イメージはこうです。
各論点ごとに、
- 基礎的な問題
- 応用的な問題
- 難問・奇問
があります(1次試験では難問・奇問の類はほとんど出ません)。大切なのは、基礎的な問題を100%確実に正答することです。証券アナリスト試験は、相対評価・かつ合格率が50%ある試験なので、それだけで十分合格ラインを狙えます。
あとは応用的な問題を少し得点できれば合格確実というわけです。
最悪なのは、上のイメージ図で「縦のラインを丸ごと一本捨てる(=論点を1つまるまる捨てる)」というパターンです。デリバティブを捨てたり、債券を捨てたり…といった感じです。
どの論点でも、基礎的な問題は公式や出題パターンをおさえるだけで得点できるので、絶対に捨て論点を作らないようにして下さい。
※ただし、2次の経済は配点が低いうえに出題範囲が広すぎて対策しようがないため、対策しなくても問題ありません。経済0点でも余裕で合格ラインに届きますし、1次試験レベルの知識をもとに何かしら書けば2~3割は得点できてしまいます。
独学合格ポイント⑤:難問・奇問は解かない(過去問)
先ほどのポイントと若干重複しますが、
- 捨て論点を作らない
- 基礎的な問題を確実に解けるようにする
これらにくわえて「③難問・奇問は解かない」という点をあらためて強調しておきたいと思います。難問・奇問を(本番に限らず、普段の学習でも)解いてはいけない理由は
- そのような出題は2度と繰り返されないため、将来の得点力に関係がない
- 難問・奇問に取り組むうちに、基礎的な問題を軽視するようになる(難しい問題ができた=すごいと勘違いするようになり、結果的に基礎がおろそかになる)
- 勉強がはかどらず、モチベーションが大きく低下する
からです。
ただ、難しいのは独学者・初学者には難問・奇問の区別がつかないということです。
TACなどの予備校が素晴らしいのは、過去問のうちどれが難問・奇問かをハッキリ教えてくれることです。これが独学者との大きな大きな差になります。かたや玉石混交の問題に取り組んでいて、かたや厳選された良問だけを解いているのだから、差がつくのは当然です。
幸い、1次試験では難問・奇問がそこまで多くは出題されないので、とりあえずすべての過去問に取り組むという姿勢で問題ありません。問題は2次試験です。下手すると半分が難問・奇問の類です。解かない問題の方が多いぐらいでちょうどよいのです。
2次試験で、難問・奇問判定に役立つのがこの教材です。独学するなら必須と言って良いと思います。
内容としては、過去3年分の過去問解説集です。普通の過去問と違って、解答への道筋・解説がものすごく丁寧で、まるで読み物のようになっています。
そして、何より重要なポイントが、「この問題は大半の受験生が解けなかったであろう」というように、各問題の難易度が明示されていることです。これを頼りにして、
- 解けなければならない基礎的な問題
- 合否に影響しない、解けなくてよい難問・奇問
を区別していくというわけです。TACでの講師の指摘と、この教材の指摘はかなり重複していたので、難問奇問判定書としては信頼して良いと思います。
できれば中古品で過去バージョンも手に入れたいところです。
独学合格ポイント⑥:職業倫理は満点を狙う(2次試験)
2次試験の4科目は、こんなイメージです。
- 職業倫理・行為基準(60点/420点)超簡単な得点源
- コーポレート・ファイナンスと企業分析(90点/420点)公式だけで解ける素直な問題多い
- 証券分析とポートフォリオ・マネジメント(210点~230点/420点)難問奇問が入り混じる難科目
- 市場と経済の分析(40点~60点/420点)試験範囲が広すぎて対策不可能
420点中、半分の210点をとれると合格ラインです。
職業倫理でほぼ満点、コーポレートファイナンスで7割とれると、120点になります。合格までに必要な得点はあと90点です。証券分析で4割ちょっと正答できれば、経済が0点でも合格します。
結局、2次試験の合否を決めるのはこの2科目なのです。
- 職業倫理
- コーポレート・ファイナンスと企業分析
そして、この2つのうち最も重要なのが職業倫理です。必ず満点を狙って下さい。なぜなら、出題範囲が狭く、傾向も安定しているサービス科目だからです。
上記4科目のうち、勉強すればするぶんだけしっかり点数が伸びる科目は、職業倫理とコーポレートファイナンスだけなのです。この2科目は、過去問の傾向が安定していて対策しやすいため、簡単に得点力を伸ばすことができます。
逆に言えば、この科目を取りこぼすようだと絶対に短期合格はできません。手を抜かず、過去3年分満点がとれるようになるまでキッチリとつめて下さい。
※ちなみに、職業倫理に関してのみ、協会から送られてくる教材を使います。捨てないように気をつけましょう
独学合格ポイント⑦:必ず試験会場に行って時間ギリギリまで粘る
最後はコレです。
- 試験会場には行ってください
- 時間最後まできっちり粘ってください
当たり前ですが、試験会場に行かないことには合格はありえません。私たち自身、1次試験の経済を2度も受験できませんでしたが、おそらく行って受ければいい勝負が出来ていたと思います。もともとが合格率50%の相対試験だからです。
それを「ちゃんと準備して合格を確信できるような状態にならないと受けたくない」というプライドで、先延ばしにしてしまったのです。結果、最終合格まで1年余計にかかってしまいました。
毎回、1~2割もの人が受験を申請したにも関わらず棄権しています。社会人の受験生が多いため、なかなか勉強時間が確保できないという事情はあるのでしょう。しかしこれは本当にもったいないです。
そして、試験会場に着いたら必ず最後まで粘りましょう。実際に試験を受ければ分かると思いますが、この試験は退出可能時間になったら諦めてそそくさと退室する人達が必ずいます。
繰り返しますが、証券アナリスト試験は合格率50%前後の「受かるだけなら難しくない試験」なのです。2人に1人は受かります。棄権したり早退する人のことを考えるなら、最後まで残ったというだけで合格率はそれなりに高くなっているはずです。
証券アナリスト試験に独学で合格するためのポイントまとめ
というわけで、独学で合格するためのポイントまとめです。
- 教材はTACまとめテキストと過去問だけを使う
- 協会の通信テキスト・副教材は絶対に使わない
- 過去問は最低5年分以上やる(10年分やればほぼ合格確実)
- 捨て論点を作らない(二次試験の経済を除く)
- 難問・奇問は解かない
- 職業倫理は満点を狙う(二次試験)
- 必ず試験会場に行って時間ギリギリまで粘る
これが、一度は独学に挫折しながらも、TACを利用して最終合格に至った私が考える「独学ノウハウ」です。この通りやれるなら、まず間違いなく合格ラインに達すると思います。
- う~ん、ちょっと独学は厳しいかも…でも絶対に受かりたい!という方
- 予備校の利用(一部科目のみの受講も可)も含めて、証券アナリスト試験の概要/対策についてもう少し詳しく検討してみたい
という方にはTAC証券アナリスト講座をオススメします。無料で資料請求できますので、ぜひ検討してみてください。
それではまたっ!
※関連記事です。
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