宝印刷 2020年5月期第1四半期決算(2019年9月30日公表)
たからちゃんより2019年6月1日~2019年8月31日の業務報告が届いております。
経営成績の報告
当第1四半期 前第1四半期
売 上 高 64.6億円 59.2億円
営業利益率 20.5% 22.0%
1株純利益 82.70円 82.09円
配当予想 27円+27円
全体としては、まずまずの経営成績だったと思います。
しかしながら、たからちゃんの課題は利益率。こちらはなかなか伸び悩んでいます。
現時点では20%を超える驚異的な営業利益率を叩き出していますが、これは第1四半期だけのこと。通期でみると10%をきってくるのがいつものパターンです。(それでも十分に高利益率ではありますが。)
当第1四半期決算は、前年同期に比べ、
- 9%も売上が増えているのに
- 利益は変わらず
ということで、利益率の低下が目立ちました。
増収の主な要因は
- M&A(㈱十印・TOIN USA INC.)
- 株主優待関連の売上増加
でした。
①について、もしも利益率の低い事業を取り込んでトップラインだけを水増ししているのであれば、あまり意味のない売上増といわざるを得ません。
前年同期との比較でも
- 原価率:56.7%→58.1%
- 販管費率:21.2%→21.4%
と上昇傾向。なんとか踏ん張ってほしいところです。
財政状態の報告
当第1四半期末 前期末
総 資 産 207.4億円 222.0億円
1株純資産 1,403.46円 1,342.03円
自己資本比率 75.6% 67.6%
A(※)/総資産 54.0% 46.3%
※A=現金預金+投資有価証券
財政状態については、相変わらず何の問題も感じていません。
前期末、若干低下していた自己資本比率も回復しました。
主要因は、
- 当四半期利益による利益剰余金の増加と
- 買掛金と未払費用の支払いによる負債の減少
です。
受取手形及び売掛金の回収が進んだことで、②買掛金と未払費用が支払えた様子。現預金は減少していない(むしろ増加している)ので安心です。
今後の見通し
最近のニュース
たからちゃんの最近のニュースは
- 譲渡制限付株式報酬制度の導入
- 新設分割による持株会社化
といったところ。かなりいろいろと手をつけていますね。
①は役員報酬の制度。
取締役に株式を与えるわけですから、私たち既存株主の持ち分は薄まってしまい、賛否のある制度です。
②はある意味でビッグニュースですね。たからちゃんによると、目的は
- グループの一体化と戦略機能の強化
- 新規事業創出機能の強化
- 経営者人材の確保・育成
- スピーディーな意思決定が可能な経営体制の実現
- ダイバーシティ環境の実現
とのこと。
東証の市場再編に向けて(※)の何らかの意図があるのか、それとも…。
もしも実態が変わらないなら、管理コストが増大する持株会社化はイマイチな施策。今後への影響が気になります。
※宝印刷は時価総額が約220億円。250億円以上が市場区分変更の基準になれば、1部に留まれない可能性があります。(参考:日本経済新聞「宝印刷、市場再編が促す変身」)
業績予想
2Q予想・通期予想ともに変更はありませんでした。
2Q予想に対する進捗でいうと、売上は60%程度、利益はほぼ100%。達成への懸念は特に感じません。
利益率の低下が気になってしまっていますが、それもこれも他に問題がないがゆえ。全体としては安心なこびとちゃんです。
今後の配当について
予定通り、当期は4円の増配を達成してくれることと思います。
とはいえ、利益が伸びていかなければ、これ以上の増配は望めません。
- 企業買収の、その先
- 売上拡大の、その先
が気になるところです。今後のたからちゃんの戦略を、静かに見守っていきたいと思います。
それではまたっ!
(参考:宝印刷株式会社 四半期決算短信等)
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