こんな疑問に答えます。
- 集中投資すべきか?
- 分散投資すべきか?
この記事がひとつのヒントになれば幸いです。
先に結論を出しておくとこの通り。
- お金持ちか庶民かで、投資方法が変わるわけではない
- 初心者かプロかで、投資方法が変わるわけではない
- 投資方法に影響を与えるのは、「自分の投資目的」だけ
目次
【お金持ち用?】分散投資は誰のための投資法か【庶民用?】
資産運用の世界で、投資対象になるもの
- 日々頑張って働いて
- 給料をもらい
- 生活支出をそこそこに抑える
そうやって毎月5万円を貯蓄し、5年ほどかけて約300万円貯まったとします。
300万円のうち100万円を投資しようと思ったら、いったい何にどうやって投資すべきでしょうか?
いざ証券会社で口座を開設してみると、多くの投資対象があることに気がつきます。
- 株式
- 債券
- REIT(=リート。不動産を証券化したもの)
- コモディティ(=商品。金・銀・原油など)
ただでさえ色んな種類の資産があるなかで、
- トヨタやソニーといった個別の株式を購入することもできますし
- 日経平均を構成している225社にまるっと投資することも可能です
- アメリカの債券を買うこともできますし
- ヨーロッパ全体の不動産を買うことも可能です
選択肢がありすぎて、迷ってしまいますね。
個人投資家は何にどのぐらい投資すべきか
こういう時によく話題に出されるのがGPIFです。日本国民の年金を運用している組織ですね。
彼らは約220兆円もの大金を、次のような資産に投資しています。
(引用:GPIF「2023年度の運用状況」より)
- 国内の債券に24.47%
- 国内の株式に25.14%
- 外国の債券に24.29%
- 外国の株式に26.10%
これが、いわゆる「分散投資」です。
分散投資をすると、投資のリスクを減少させることができます。「卵はひとつのカゴに盛るな」という格言の通り、分散投資をしておけばもしものことがあっても致命傷を負わずに済みます。
※分散投資の有効性は、ノーベル経済学賞を受賞した現代ポートフォリオ理論で数学的に証明されています
一方で、分散投資をすればするほど突出したリターンは狙えなくなっていきます。
- リスクを抑えながら年利数%のリターンは狙えるけれど
- 数年で資産を2倍、3倍にすることはできない
これが分散投資の特徴です。ローリスク・ハイリターンは不可能だということです。
※リスクとリターンの関係については詳しく知りたい方は、下記記事を参考にしてください。
220兆円を3%増やせれば、6.6兆円もお金を増やすことができます。
ところが、100万円を3%増やせても3万円にしかなりません。
資産運用の世界では「規模がモノを言う」ので、投資金額が小さいうちは率よりも「絶対額」を求めた方が合理的ということになります。こういう事情があるので
- 分散投資はお金持ちのための投資法
なんて言われ方をすることがあるのですね。
庶民の関心事と、お金持ちの関心事を比べてみる
資産運用を始める以上は、目的があるはずです。
庶民とお金持ちでは、目的はどう変わるのでしょうか?
庶民の関心事(資産運用の目的)
私自身がいわゆる庶民なので、こちらサイドの気持ちはよく分かります。
目的は、こんな感じでしょうか。
- お小遣いを増やすこと
- 老後資金を確保すること
- 働かずに暮らせるお金を確保すること…etc
基本的には「増やす発想」です。
※よく考えるまでもなく、そもそも守るものがないので当たり前といえば当たり前ですね。
お金持ちの関心事(資産運用の目的)
一方、お金持ちは「すでに資産を築いた人」ですから、庶民とは若干事情が異なります。
- お金を減らさないこと
- インフレによる価値の目減りを防ぐこと(現金で持ってるだけで毎年1%とか減価していきます)
先ほどとはかわって、基本的には「守る発想」ですね。
運用額が大きいため、もし1-2%だけでも増えるとかなりの額になります。十分に利息だけで食べていける金額です。
だからこそ、大きく増やすことよりも「元本を失わないこと」の方に関心が向くのだそうです。
※数少ないお金持ちの知人から得た情報、資産家が書いた書籍の情報に基づいています
重要なのは庶民かお金持ちかではなく、本人の主観
こうやって考えると、結局のところ投資手法の検討は「主観的な問題」に尽きるということです。
- (インフレも踏まえて)300万円を守り抜きたい庶民は分散投資に徹するべきですし
- 10億円欲しいのに1億円”しか”持ってないお金持ちは、集中投資に徹するべきです
という人もいると思うので、巷でもよく見かける
- 年利3%で30年運用した場合
- 年利5%で30年運用した場合
こういったケースを見てみて、自分が欲しい金額が手に入るのかどうかイメージを見てみましょう。集中投資ではなく、分散投資を前提としています。
【分散投資は意味ない?】月5万円の分散投資を30年続けて納得のゆく金額が得られるかチェック
月5万円(年間60万円)を30年投資に回したケースを考えてみます。
3%で30年運用した場合
※ちなみに、上記で紹介したGPIFの運用リターンは約3%弱です。
- 投資元本 1800万円
- 資産総額 2900万円
利益は1100万円です(税引前)。
30年で割ると、1年あたりの利益は約37万円。月あたり3万円です。
※このシミュレーションはあくまで机上論です。年あたりや月あたりの収益を見せているのはイメージを見せたいからというだけで、安定してこの収益が出続けるわけではありません。
分散投資をしているとはいえ、このレベルのリターンのために自分の大切なお金を「リスク」にさらす合理性はあるのか…預金でいいやという人は多そうです。
5%で30年運用した場合
- 投資元本 1800万円
- 資産総額 4093万円
利益は2293万円です(税引前)。
30年で割ると、1年あたりの利益は約76万円。月あたり6.4万円です。
生涯賃金が2300万円増えると考えると、それなりにインパクトがある数字な気がしますね。とはいえ、年利5%はそれなりにリスクの高い設定です。
- リスクの高い資産運用なんかやってないで、自己投資して転職するなりして稼いだ方が確実
と主張する人がいるのも頷けます。
※自己投資も資産運用も両方やればいいのですが…資産をリスクに晒さずとも「生涯で欲しいお金」が稼げるのなら、心の平穏のためには投資なんかしない方が良いのかもしれません。
7%で30年運用した場合
- 投資元本 1800万円
- 資産総額 5880万円
利益は4080万円です(税引前)。
30年で割ると、1年あたりの利益は約136万円。月あたり11.3万円です。
※米国株のリターンが年利6~7%と言われています。日本人から見ると、為替リスクもある外国株に100%投資してやっと得られるレベルのリターン水準です
これぐらいの金額になると、かなりインパクトがあるように思いますがいかがでしょうか。
まとめ
まとめると、こんな感じです。
投資元本1800万円から、これだけの収益が生まれます。
個人的な感想を言えば、このなかで
- 分散投資をしつつ
- 比較的「現実的」に達成できそう
と思えるラインはせいぜい3~5%の間です。
集中投資を採用した方が合理的だということです。
一方で、資産が1000~2000万円も増えれば十分だという庶民にとっては分散投資は悪くない選択肢なのかもしれません。
「投資目的」に合った「投資手法」が分からないことが問題
というわけで、重要な視点は下記の通り。
- 欲しい金額をイメージする
- 種銭・投資期間をイメージする
- 上記に適合する投資手法を採用する
つまり、以下のような目線はピントがずれているということです。
- 庶民だから集中投資。お金持ちだから分散投資。
- プロだから短期投資。初心者だから長期投資。
このような目線ではなく、自分の投資目的を明らかにすること、その目的に合った投資スタイルを採用できることが大切というわけですね。
※プロのプロ足るゆえんは、初心者にもできるシンプルな投資手法から、高度で複雑な投資手法まで、目的に合うものを的確に選択できることです。
- 何に投資するか?
- どれぐらい分散するか?
これらはすべて投資目的によって決まります。
資産運用にちょっと詳しい人から見ると、
- 野球がやりたいのにテニスラケットを握っていたり
- 山に行きたいのに海に向かって進んでいたり
目的を達せられない経路を選んでいる(投資目的に合わない投資手法を採用している)人は少なくありません。
目的と手段が合致するまで、とにもかくにも試行錯誤が必要ということです。
まとめ:分散投資・集中投資が意味を持つかどうかは、人による
結論です。
- お金持ちか庶民かで、投資方法が変わるわけではない
- 初心者かプロかで、投資方法が変わるわけではない
- 投資方法に影響を与えるのは、「自分の投資目的」だけ
投資目的と投資手法には整合性を持たせましょう。これがマッチしていないときわめて残念な事態が起こります。
- 投資目的を考えるのは、自分の内面と向き合うスピリチュアルな世界ですw
- 投資手法を磨くのは、学習と実践の世界です
この2つをガチっと組み合わせて、自分の人生に意味のある投資を行っていきたいものです。
自分の投資目的・それに合った投資手法は、自分のアタマで考えていきましょう。
それではまたっ!
※投資手法の種類なんてそんなに知らない!という人のために、読みやすくて参考になる書籍を紹介します。どれも良著です。読めば読むほど幅が広がりますよ。
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