こんにちは、こびと株(kobito_kabu)です。
現在、
- 高配当株投資
- インデックス投資(つみたてNISAやiDeCoのみ)
の両刀で資産運用をやっています。
毎月恒例企画ということで、5月の投資トピックスについて「この2つの投資にどのような影響があるか」という観点で、まとめていきます。
本記事の構成はこの通り。
- 日本株の投資トピックス
- 外国株の投資トピックス
- まとめ:高配当株投資のポジションについて
目次
日本株の投資トピックス
日本株については、以下の順番で解説します。
- 株価指数の推移
- その他指数の推移
- 5月のトピックス
①株価指数の推移(日経平均・TOPIX・J-REIT・マザーズ)
5月31日時点の株価は、この通り。
- REIT指数:2,006pt(-3.60%)
- TOPIX:1,913pt(-5.79%)
- 日経平均株価:27,280円(-6.90%)
- マザーズ指数:671pt(-31.28%)
※端数は四捨五入。カッコ内は、いずれも「年初来」。
この4つの指数の、年初来の値動きを見てみるとこんな感じです。
5月単月の動きを見ると、この通り。
- 日経平均株価 +1.72%
- REIT指数 +0.96%
- TOPIX +0.75%
- マザーズ指数 -2.98%
結論としては、「良い」です。
旧東証1部企業の最終利益の合計は、計約33兆円と4年ぶりに過去最高を更新する見通しだ。
(出典:読売新聞オンライン「上場企業最終利益、計33兆円で4年ぶり最高更新の見通し…円安など追い風」)※赤字は筆者
儲かりまくってるだけあって、「株主還元(※)」も過去最高レベル。
※株主還元:企業が株主に「配当金」を渡したり、株主が持っている株の「株価」を上げるアクションを起こしたりするなど、株主の収入・資産を増やす行為です。
この状態で、今の株価。
- 割安なのか?
- 割高なのか?
バリュエーションの方は、この通り。
- 日経平均株価PER:13.09倍(標準は14倍~16倍)
- 日経平均株価PBR:1.18倍(1.0倍を割るとだいぶ割安)
バーゲンセールというほど割安ではないですが、少なくとも割高感はありません。
一部では、明らかに「安い」と感じられる銘柄も出てきていますね。
「日経平均株価と高配当株数の推移」を見てみると、この通り。
オレンジの棒グラフを見ると、2020年3月のコロナショック時に次ぐレベルで高配当株の数が増えているのが分かります。
- 好業績を背景に配当金が増えているのに
- 景気の先行きを懸念する投資家も多く、株価が思うように上がらない
- 結果的に、配当利回りの高い高配当株が増えている
というカタチです。
個人的には、5月はそれなりに高配当株を買いました。
②その他指数の推移
この3つをチェックしておきます。
- GDP
- 景気動向指数
- その他の指数(物価、失業率・求人倍率など)
最初に、①GDPについて。
2022年1月~3月期のGDPが発表されました。
結果はこの通り。
- 前期比0.2%減(年率換算で1.0%減)
- 2四半期ぶりにマイナス成長
一般に、GDPが2四半期連続でマイナス成長になると「リセッション(景気後退)」ということになります。
「あれ?ヤバい?」と思うかもしれませんが、2022年4月~6月の見通しは明るいです。
民間エコノミストの経済見通しは4~6月期に平均で4.6%増と高めの成長を実現し、GDPは新型コロナウイルス禍前の水準に戻る
(出典:日本経済新聞「コロナ前回復 米に1年遅れ GDP、1~3月は年率1.0%減」)※赤字は筆者
回復スピードは米国に劣るものの、2023年・2024年も景気はゆるやかに良くなっていく見込みです。
(出典:日本経済新聞「コロナ前回復 米に1年遅れ GDP、1~3月は年率1.0%減」)
次に、②景気動向指数(先行指数)について。
3月の数値(5月25日公表)は、100.8となりました。
(出典:景気動向指数 速報からの改訂状況)
景気動向指数は、
- 景気全体の現状を知ったり
- 将来の動向を予測したりするときに
使われる経済指標です。産業、金融、労働など、経済に重要かつ景気に敏感な30項目の景気指標をもとに指数が算出されています。
色々な指標をミキサーに入れてスイッチをいれると、1つの「景気動向指数」ができるというイメージです。
景気動向指数を見る上で大切なのは、この2つ。
- この数カ月、プラストレンドか?マイナストレンドか?
- プラス幅(又はマイナス幅)はどれぐらいか?
ココ1年の推移を見てみると、この通り。
- 4月 103.5(前月比+1.3ポイント)
- 5月 102.5(前月比−1.0ポイント)
- 6月 104.7(前月比+2.2ポイント)
- 7月 104.0(前月比-0.7ポイント)
- 8月 101.6(前月比−2.4ポイント)
- 9月 99.9(前月比-1.7ポイント)
- 10月 100.6(前月比+0.7ポイント)
- 11月 102.0(前月比+1.4ポイント)
- 12月 102.9(前月比+0.9ポイント)
- 1月 101.3(前月比-1.6ポイント)
- 2月 100.1(前月比-1.2ポイント)
- 3月 100.8(前月比+0.7ポイント)←New!!
日銀短観の業況判断など、他の経済指標も悪化していますね。
(市場全体としては)企業業績が超回復するフェーズは、もう過ぎています。
ゆるやかな経済成長が見込まれているものの、
- ウクライナ・ロシアの問題
- 中国の景気減速
- 世界的な激しいインフレ
など、様々なリスク要因があります。
今年の企業決算は絶好調でしたが、「来年も軒並み良い決算になる」とは考えない方が無難でしょう。
最後に、③その他の指数について。
まず、消費者物価指数(5月20日発表)。
こちらは、前年同月比+2.1%となりました。
(出典:日本経済新聞「4月の物価上昇率、7年ぶり2%超 エネルギー価格高騰で」)
- 電気代やガソリン代、食料品の価格が上昇
- 前年同月を上回ったのは、8ヵ月連続
- 2%以上の物価上昇は、消費税増税影響を除けば13年7ヵ月ぶりの高水準
という感じで、ついにデフレから脱却できそうな雰囲気。
2%という水準は、日銀が目標としているインフレ率です。
世界的にも、このぐらいのインフレ率だと「経済が活性化する良い塩梅」だと言われています。
ちなみに、世界各国のインフレ率はこの通り。
※日本の数字は最新になっていません
(出典:Twitter)
アメリカは8.3%。この物価上昇率は、明らかに「いきすぎ」です。
日本を除く多くの国が、高すぎるインフレ率をどう退治するか、アタマを悩ませています。
さて、
- 貯金は、インフレ負けするリスクがある
- 学資保険は、インフレ負けするリスクがある
- 確定拠出年金(元本保証型)は、インフレ負けするリスクがある
こういった意見に真剣に向き合わなくても大丈夫だったのが、ここ最近の日本です。
最後に、雇用関係(失業率、求人倍率)の指標です。
- 4月の完全失業率…2.5%(前回は2.6%)
- 4月の有効求人倍率…1.23倍(前回は1.22倍)
※完全失業率が2.2%ぐらいまで戻ればほぼ完全雇用=ゴール。
(出典:日経新聞「失業率3カ月連続改善 4月2.5%、コロナ影響前の水準に」)
雇用環境は、若干良くなりましたね。
めちゃくちゃ地味~~な動きですが、安定感があると評価すべきでしょうか(笑)
世界の先進国と比べると、完全失業率の低さは1位です。
(出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)
日本の雇用環境は、悪くない水準と言えるでしょう。
こうやって見てみると、日本は
- 世界3位の経済力(上場企業は、過去最高益を更新中。GDPもコロナ前復活見込み)
- 安定した物価水準(現状、世界で数少ない「まともなインフレ率」の国)
- 安定した雇用環境(低い失業率)
- 公的保険や公教育も充実してるし、治安も良い…
という感じで、課題もたくさんあるものの、普通に恵まれた国に見えますね。
③5月の国内トピックス
日本株について、今月のトピックはこれです。
岸田政権アレコレ
岸田政権アレコレ
日本株固有のリスクとして取りざたされるのが、「岸田リスク」。
政権発足後には、岸田ショックなんて呼ばれる株価の下落も起きましたね(笑)
今月も、岸田政権周辺からは、投資家にとって「気になる発言・方針」等がいくつも飛び出しました。
岸田首相は5月上旬に、英国金融街シティの講演で、突然「資産所得倍増計画」を打ち上げた。
(中略)
岸田首相はこの講演では、「岸田に投資を(Invest in Kisihida)」とも話したのである。
(出典:NRI「岸田政権の「資産所得倍増計画」と「貯蓄から投資へ」」)※赤字は筆者
岸田文雄首相は27日の衆院予算委員会で、金融所得課税に関し「決して(議論が)終わったわけではない」と話した。
(出典:日本経済新聞「岸田首相、金融所得課税の議論「終わったわけではない」」)※赤字は筆者
岸田総理大臣が掲げる新しい資本主義の実現に向け、自民党が「一億総株主」を目指す提言を政府に提出しました。
(出典:テレ朝news「なぜ投資を勧める?一億総株主を求める理由」)※赤字は筆者
また、31日の夜には、岸田文雄政権が掲げる「新しい資本主義」の実行計画案が公表されています。
そのなかには、NISAの拡充なども盛り込まれていましたが…
話が二転三転するので、実際のところどうなるのかというとまったく予想がつかないですね。
さて、そんな岸田政権の投資家からの支持率は3%とも言われています。
ところが、です。
世間全体で見た岸田内閣の支持率は、66%。
(出典:日本経済新聞「岸田内閣の支持率、なぜ最高に?」)
もちろん、データのとり方は様々ですし、調査方法が違う「支持率調査」を直接比較するのは困難です。
とはいえ、
ということは見えてきますよね。
選ばれたのは綾鷹でした。ズレていたのは私の感覚でした。
高い支持率を得ている以上、岸田政権にはそれなりの「力」があります。
外国株の投資トピックス
お次は、外国株の話題です。
外国株については、この4つの順番で見ていきます。
- 株価指数の推移
- ゴールド・債券ファンド等の値動き
- 高配当ファンドの値動き
- 5月のトピックス
①株価指数の推移
G7(主要先進7ヵ国)の、主な株価指数の推移(年初来)はこの通り。
※グーグルファイナンスでは、チャートを5つまでしか同時比較できないので、泣く泣く「FTSE MIB(イタリア)」を抜いています。
- FTSE100(イギリス) +1.37%
- S&P TSX(カナダ) −2.39%
- DAX30(ドイツ) −10.19%
- CAC40種(フランス) −10.37%
- FTSE MIB(イタリア) −11.63%
- S&P500(米国) −13.85%
TOPIX(日本)は−5.79%。
トップはイギリスで、唯一のプラス圏。
日本は、-5.79%ながら3位を走っており「悪くない位置」にいます。
アメリカは先月に引き続きビリ。-13.85%という成績です。
※99営業日経過時点では▲17.3%でした。この成績は
- 1932年の「世界恐慌」
- 1940年の「第二次世界大戦」
- 1970年の「ベトナム戦争」
に次いで、1928年以降では「史上4番目」に悪いパフォーマンスとのこと。
5月単月の動きを見ると、この通り。
後ほどトピックスで解説しますが、NYダウは「1923年以来最長となる8週連続での下げ」を記録していました。
9週連続の下落となるか注目が集まっていましたが、結果は大幅反発。
5月最終週は、+1,951ドル(+6.25%)で終わっています。
- このあたりを底値にトレンド転換するのか?
- 一時的な反発に過ぎないのか?
②ゴールド・債券ETF等の値動き
有名なゴールドETFである、「GLD」の値動きはこの通り。
(出典:グーグルファイナンス SPDRゴールド・シェアーズ(GLD))
先進国株の多くが、いまだ年初来でマイナスになっている中で、年初来+1.67%と堅調です。
金価格は、
- 3月にピークを打った後
- 5月にかけて値が下がりつつありました
背景にあるのは、米国の利上げです。
今後、金利が1%、2%と上がっていくのなら、
- 利息が一切もらえないゴールドより
- 利息がもらえる債券の方が
投資家に好まれるようになる、というワケです。
ゴールドというのは、
- 戦争
- 大災害
- 金融危機
- ハイパーインフレ
といった非常事態に強い一方で、
- 合理的な期待リターンは、予測不可能
- リスクが高い(ときに、株式よりも価格変動が大きい)
という特徴があります。
したがって
- チャートを読んで華麗にトレードを決める(売却益をゲットする)、というよりは
- 幅広い分散投資の一角として、資産の数%~10%程度を「有事に対する備え」として持つ
という姿勢が良いのかなと。
インフレ、ウクライナ・ロシアの問題、米中対立など、懸念はいくらでもありますからね。
※でも、私は買いません。インカムのない資産は、私の投資方針と合わないからです。
お次は、債券です。
投資額に対して2%~5%ほどのインカム(利息)が欲しければ、米国債券が有望な投資候補になります。
米国の優良債券ファンドを3つチェックしてみましょう。
- AGG:ローリスク・ローリターンな債券(格付け高く、利回り低い)
- LQD:ミドルリスク・ミドルリターンな債券(格付け普通、利回り普通)
- HYG:ハイリスク・ハイリターンな債券(格付け低く、利回り高い)
米国総合債券に投資する【AGG】というファンドのチャートはこの通り。
- 年初来−8.68%
- 現在の分配金利回りは1.88%
- 投資対象の約7割は、格付けがAAA(トリプルエー)の債券です
価格推移はイマイチで、右肩下がりですね。
値下がりの理由は、金利上昇です。
「債券」と「金利」は、シーソーの関係にあり、逆の動きをします。
その証拠に、金利のチャートを見てみましょう。
こちらは「米国の長期金利」の推移です(現在の金利は約2.9%)。
(出典:三井住友銀行「マーケット情報チャート」)
ご覧のとおり、この1年、(債券価格の動きとは正反対で)上昇し続けていますね。
※2023年・2024年の金利水準(予測)は、ぼちぼち落ち着きつつあります。
米国優良社債に投資する【LQD】というファンドのチャートはこの通り。
- 年初来−12.71%
- 分配金利回りは2.62%ほど
- 投資対象の約8割は、格付けがBBB(トリプルビー)~Aの債券です
- ギャンブル性の低い「投資適格」な債券であるものの、AGGよりは安全性が低いです
こちらも、金利上昇を背景に、価格推移はイマイチです。
最後は【HYG】です。
「ジャンク」「ゴミ」と言った呼ばれ方をする「投資不適格の債券」を集めた、ハイリスクな債券ファンドです。
- 年初来−8.59%
- 現在の利回りは4.46%ほど
- 投資対象のほぼすべてが、格付けCCC(トリプルシー)~BBの債券です(リスクが高いぶん、長期的なトータルリターンは大きい傾向)
こちらも、値動きはパっとしないですね。
まとめると、
- AGG(総合債券)…−8.68%
- LQD(優良社債)…−12.71%
- HYG(ジャンク債)…−8.59%
いずれも年初来で大きなマイナスリターンです。
ウォールストリートジャーナルによると、今の債券相場は「1842年以来最悪」レベルのものだそうです。
2022年はこれまでに、インフレが加速する中で米国債市場は10%下落した。米史上最悪のリターンに入る水準だ
(出典:WSJ「1842年以来最悪の米債券相場、なぜ朗報なのか」)※赤字は筆者
米国債は、
- 1976年以降、4年を除いて全ての年でプラスのリターン
- FRBが6回の利上げで計2.5%も金利を引き上げた1994年でさえ、全体としてわずか3%の下げにとどまった
ということなので、2022年の米国債券市場はまさに「総悲観」と言える状況ですね。
逆に見れば、日に日に「投資妙味が増している」ということでもあります。
- 資産の拡大を狙うインデックス投資家ならば、「株式+現金」のポートフォリオが美しいと思いますが
- インカムを狙う高配当株投資家ならば、「債券」の出番が出てくることもあるでしょう
債券市場の弱気相場は続いており、今後もQT(量的引き締め)に伴う債券価格の下落懸念がくすぶります。
見向きをしている人が少ないこういう時こそ、監視を怠らないようにしたいですね。
金利がある程度上がりきってしまえば
- 保有しているだけで、高い利回りでインカム(利息)が得られる
- (これ以上金利が上がらないので)、価格の下落余地が小さくなる
- 利下げフェーズに入ると、むしろ価格が上昇していく
ということで、投資する旨味が出てきます。
- リスクの高い、配当利回り約3~4%の株式
- 低リスクな、分配金利回り約3~4%の債券ファンド
この2つが選択肢に出てきたら、私は後者に対してもそれなりの額を投資します。
引き続き、監視を続けたいと思います。
今が円高だったら、もう少し気軽に手が出せるんですけどねぇ。
③インカム系ETFの値動き
私の愛する高配当株ETFについて。
- キャピタル(売却益)も
- インカム(分配金)も
両方狙えるポテンシャルのあるファンドたちです。
HDV、VYM、SPYDの年初来のチャートは、この通り。
分配金を無視して価格だけ見ると
- 1位がHDV…+7.52%
- 2位がSPYD…+5.14%
- 3位がVYM…−1.18%
という順位になりました。
年初来で、S&P500が−約14%、NASDAQが−約24%と沈むなか、大健闘ですね。
高配当株の堅調さは、色々なところでニュースになっていますね。
私が投資している米国株は、その大半が「高配当株」です。
結果的に、2022年は現時点において
- 日本株の評価額、配当金は過去最高
- 米国株の評価額、配当金は過去最高(円安でさらに追い風)
※日本株に関しては、増配祭りに浮かれてこんなツイートを。
私の高配当株ポートフォリオ(日本株)は、春の増配祭りで配当総額が前期比+8.1%(税引き前)になりました。3月決算会社は46銘柄保有していますが、ほぼすべて増配。今後、他の決算月の会社も増配してくれれば、配当総額はさらに増えます
年平均5%の増配が続けば、約15年で配当総額が2倍に…素敵
— こびと株.com (@kobito_kabu) May 21, 2022
※大減配、暴落する高配当株はかわいくありません。
最近、こんな質問をよく頂きます。
ガンガン買うのは、おすすめしません。
現在の分配金利回りは
- SPYD:約3.5%(過去平均は約4.1%)
- VYM:約2.8%(過去平均は約3.1%)
- HDV:約3.1%(過去平均は約3.4%)
という状況。
低すぎる!というほどではないですが、特に旨味を感じる水準ではないですからね。
円安ですし。
④5月の海外トピックス
最後に、外国株のトピックスです。
この2つの順番で見ていきます。
- FOMC
- NYダウ、1923年以来約100年ぶりの「8週連続下落」
FOMC
今月3日~4日、FOMCが開催されました。
この会合の内容は
- 「声明文」
- パウエル議長の「会見」
- 後日公表される「議事要旨」
などで公表され、株価にも大きく影響します。
世界が注目する、超重要イベントです。
今回、注目を浴びたのは、なんと言っても利上げに関する部分。
- 今回は…
✓政策金利の0.5%引き上げ実施- 6月と7月のFOMCでは…
✓それぞれ0.5%の追加利上げを、「検討する」
✓0.75%の追加利上げは、「積極的に検討していない」(参考:JIJI.COM「米、22年ぶり0.5%利上げ 大幅引き上げ継続へ」等)
カンタンに状況を復習しておくと…
A.金利の上昇は、株価の下落を招きうるからです。
※「金利」と「株価」の関係は、かなり複雑です。ここでは「そういうもんなのか」というぐらいで読み進めてもらってOKです。
A.インフレをやっつけるためです。
アメリカの4月のインフレ率は、前年同月比8.3%の上昇。
(出典:毎日新聞「米消費者物価8.3%上昇 高水準1年継続 4月」)
8.3%アップと言ったら、10年もしないうちに物の値段が2倍になるレベルですから、相当ですね。
実際、国民の生活はすでに苦しくなってきていて、バイデン政権の支持率はかなり下がっています。
「これは大変」ということで、金利を上げて
- 個人も企業も、借金がしにくくなれば
- 個人も企業も、「使えるお金」が減って
- 物価が下がっていく(買い手が減ると、売り手はモノの値段を下げて売ろうとする)
という展開を狙っているわけです。
直近では、
- インフレは最悪期を脱したかも?
(3月の8.5%→4月の8.3%でちょっとマシになったし) - 0.75%とかの超急激な利上げはナシで済むかも?
- 秋頃には色々落ち着いて、利上げペースの減速・停止があるかも?
といった意見も見られるようになってきました。
ちなみに、金融政策決定に関わるエラ~い人達のなかで、「景気刺激に前向きで金融緩和的な政策を支持する傾向がある人」のことを、ハト派と言います。
じゃんじゃんお金刷って株価も上げようぜ、という投資家に優しい人達のことですね。
反対に、「物価の安定を重視し金融引き締め的な政策を支持する人」のことを、タカ派と呼びます。
今のFRBは「優しいタカ」なんて言われ始めてもいます。
金融引き締めはするけれど、そこまで急激にはやらなさそうということです。
そんな背景もあって、5月の最終週は株価が大きく上昇したんですね。
とはいえ、個人的には
という疑問が残るところ。
ロシア・ウクライナの問題も長期化しそうですしね。
引き続き、自分自身のリスク許容度を確かめつつ投資していく必要がありそうです。
NYダウ、1923年以来約100年ぶりの「8週連続下落」
2022年に入ってから、米国株は下がり続けています。
3月半ば以降、米国株の主要株価指数であるNYダウは「8週連続の下落」を記録。
これは、1923年以来約100年ぶりのことです。
(出典:日本経済新聞「NYダウ、「9週連続下落」回避 週間で1951ドル高」)
「9週連続で下落するのか!?」と注目されていましたが、5月の最終週で大きく反発。
不名誉な記録樹立は、何とか回避しました。
同様に、S&P500やナスダック総合指数も「連続下落」が止まっています。
- S&P500:7週連続下落(2001年のドットコムバブル崩壊以来)→8週連続下落は回避
- ナスダック総合指数:7週連続下落(2001年のドットコムバブル崩壊以来)→8週連続下落は回避
最終週の大幅反発を受けて、「米国株の主要3指標」の年初来パフォーマンスはこの通り。
そもそもの株価下落の背景は、先ほど解説したように「金融引き締め」です。
そして、今回の株価上昇の背景は、「過度な金融引き締め懸念の後退」です。
5月22日からの1週間で
- S&P500…256ポイント上昇(+6.58%)
- NYダウ…1,951ドル上昇(+6.25%)
- NASDAQ…777ポイント上昇(+6.84%)
と大きく上昇しましたが、歴史的に見て「大きな下落」と「大きな上昇」はセットで発生することが多いです。
過去、大きな株価上昇の多くはベアマーケット(弱気相場)の最中に起きていますから、油断は禁物。
まとめ:高配当株投資のポジションについて
以上をまとめると、この通り。
- 5月の日本株は、若干持ち直し
- 旧東証1部企業の最終利益は過去最高、株主還元も過去最高レベル
- 日本の高配当株は増加中、「割高ではない」水準
- いわゆる「岸田リスク」は相変わらず
- S&P500が年初来約-14%、NYダウは1923年以来最長となる8週連続の下げ
- 5月最終週は反発したが、これが底入れになるかどうかはまだ怪しい
- ゴールドは堅調、債券相場は1842年以来最悪レベル
- 高配当株は大健闘中
- 今後各国は、インフレ抑制と景気悪化不安の間で、利上げペースの難しいかじ取りを迫られる
という感じです。
- S&P500やナスダックなど、米国株一強だった昨年とはうって変わって
- 米国以外の先進国株、バリュー株、コモディティなどが相対的に強くなっており
相場の雰囲気がガラリと変わっています。
米国の金融政策にばかり目がいきがちですが
- ウクライナ情勢
- 世界各国のインフレ進行
- コロナ感染拡大に伴う、中国のロックダウン
など、不安要素は盛りだくさん。
投資家心理は不安定です。
個人的には、
- インデックス運用(iDeCoやつみたてNISA)は、淡々と継続
- アクティブ運用(高配当株投資)は、日本株については「割安」なものがあればピンポイントでちょっと買う(米国株は静観)
というスタンスです。
- 現金のままにしておくと、インフレでやられる
- 債券を買うと、金利上昇で価格が下落する
- 株を買うと、下落相場に巻き込まれる可能性がある
- コモディティは、意外と価格変動が大きく短期の守りには向いていない…
どのように資産を守り、そして増やしていくか、難しいフェーズですね。
個人的には
- インフレで多少削られることを承知で
- キャッシュを積み上げて守りを厚くしておいた方が
長い目でみればトータルで良いポジションを作れるんじゃないかなと思っています。
そういう温度感です。
上手に対応して、生き残っていきましょう!
それではまたっ!
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