こんにちは、こびと株(kobito_kabu)です。
現在、
- 高配当株投資
- インデックス投資
の両刀で資産運用をやっています。
毎月恒例企画ということで、7月の経済ニュース・統計調査を振り返って
- この「2つの投資」にどのような影響があるのか
- じぶん達の「仕事や生活環境」=景気はどうなっているのか
重要ポイントをまとめていきます。
本記事の構成はこの通り。
- 日本の経済状況
- 海外の経済状況
- まとめ:投資のポジションについて
目次
日本の経済状況
以下の順番で解説します。
- 株価指数の推移
- その他指数の推移
- 7月の国内トピックス
①株価指数の推移(日経平均・TOPIX・J-REIT・マザーズ)
7月31日時点の株価は、この通り。
- 日経平均株価:33,172円(+28.99%)
- TOPIX:2,323pt(+24.32%)
- マザーズ連動ETF:606円(+10.36%)
- REIT連動ETF:2,031円(+0.69%)
※端数は四捨五入。カッコ内は、いずれも「年初来」。
※J-REITとマザーズ指数がグーグルファイナンスから消えてしまったようなので、それらの指数に連動している「ETF」のデータを表示しています。そのため、実際の指数の動きとは誤差があります。
年初来の値動きをチャートで見てみると、こんな感じです。
一方、J-REITはずーっと低空飛行中。
ようやく、ちょっとだけプラスに浮上しています。
7月単月の動きを見ると、この通り。
- REIT連動 +0.84%
- TOPIX +0.075%
- 日経平均株価 -1.72%
- マザーズ連動 -4.94%
とはいえ、年初来で見れば絶好調なのは変わりありません。
株価に大きな影響を与える要因は、
- 業績
- 金利
- 為替
などです。
では、現在の状況はどうなのか?
- 上場企業の業績:2024年3月期の予想純利益は、3期連続で過去最高益更新を見込む
- 金利動向:超低金利
- 為替:円安(1$=140円~)
という感じ。
すべて、基本的には日本株には「プラス」の影響です。
ベースとしては「良い環境だ」ということですね。
ところが、「金利と為替」に関しては、今後ちょっと注意が必要かもしれません。
7月28日に、日銀が「YCCの柔軟化」を発表したからです。
という話です。
重要トピックなので、詳細は後ほど解説します。
②その他指数の推移
「株価」の方は、年初来で約29%のプラスと絶好調です。
一方で、「リアル景気」の方はどうなのか?
実際のところ、景気は
- 良いのか?
- 悪いのか?
いくつか、指数をチェックしていきましょう。
- 月例経済報告
- 日銀短観
- 景気動向指数
- 景気ウォッチャー調査
- 消費者物価指数
- 実質賃金指数
- 完全失業率・求人倍率
お堅~い言葉が並んでいますが、「雰囲気」だけ掴めればオッケーです。
月例経済報告
まずは、一番大きなところから。
日本政府としての景気判断(公式見解)は、
緩やかに回復している
※細かな分野における「政府認識」はこの通り。興味のある方だけ、どうぞ。
(出典:月例経済報告 令和5年7月26日公表)
日銀短観
次に、日銀短観について。
(出典:NHK「日銀短観 大企業製造業の景気判断 7期ぶりに改善」)
業況判断指数(DI)は、景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」の割合を引いた値です。
※その数値がゼロより上なら景気拡大、ゼロより小さければ景気縮小
最新の結果はこの通り。
- 大企業製造業:プラス5(前回から+4ポイント。7期ぶりの改善↑)
- 大企業非製造業:プラス23(前回から+3ポイント。5期連続の改善↑)
製造業の景況感が改善した主要因は、
- 原材料価格の上昇が一服し、製品への価格転嫁が進んでいること(企業収益アップ)
- 自動車の生産が回復していること
といった感じ。
非製造業の景況感が改善した主要因は
- 外国人観光客の増加などで、宿泊・飲食サービス業が大きく回復したこと
ですね。
非製造業の景況感は、2019年6月以来4年ぶりの水準。
コロナ禍前まで回復しています。
景気動向指数
一致指数の推移は、この通り。
(出典:景気動向指数)
景気が、
- ゴリゴリ拡大しているとか
- 急激に縮小しているとか
そういう雰囲気ではまったくないですね。
景気動向指数は、
- 景気全体の現状を知ったり
- 将来の動向を予測したりするときに
使われる経済指標です。産業、金融、労働など、経済に重要かつ景気に敏感な30項目の景気指標をもとに指数が算出されています。
色々な指標をミキサーに入れてスイッチをいれると、1つの「景気動向指数」ができるというイメージです。
景気に一致して動く「一致指数」、景気に数か月先行して動く「先行指数」などがあります。
先行指数の推移は、この通り。
指数の中身を見てみると、
- 消費者マインドが良くなっている
- 株価が上がっている(株価は、将来の景気を予測する最強の”先行指数”です)
という感じ。
先行指数はここ1~2年「右肩下がり」が続いていましたが、トレンド転換なるか?
景気ウォッチャー指数
景気ウォッチャー指数の推移は、この通り。
(出典:景気ウォッチャー調査 7月10日公表)
6月は53.6ポイント(前月比-1.4ポイント)となっており、景気判断の分かれ目となる50を上回りました。
銀座のママさんやタクシーの運転手さんが「景気は良い」と判断しているということです。
百貨店・スーパーマーケット・コンビニなどの小売店やレジャー業界で働く人、タクシー運転手など、景気に敏感な職種の約2000人にインタビューし、調査結果を集計・分析して発表するもの。
なお、2~3か月先の景気の先行きに関しては52.8(前月比-1.6ポイント)となり、こちらも50を上回っています。
消費者物価指数
こちらは、前年同月比+3.3%となりました。
(出典:日本経済新聞「消費者物価指数、6月3.3%上昇 2ヵ月ぶり伸び率拡大」)
日銀の物価見通しは、
- 2023年度:2.5%
- 2024年度:1.9%
- 2025年度:1.6%
という感じ。
数値上は政府・日銀が物価安定の目標とする2%付近が続く見込みです。
引き続き、要注目です。
実質賃金指数
実質賃金指数の推移は、この通り。
(出典:NHK「5月の実質賃金 前年同月比1.2%減 14か月連続マイナス」)
2023年5月の実質賃金は、前年同月比‐1.2%。
恐怖の14ヵ月連続でのマイナス。
基本給や残業代などをあわせた「働く人1人当たりの現金給与総額」は、平均で28万3868円。
これは去年の5月に比べて2.5%高い水準ですが、依然として物価の上昇に追いつかず、実質的な賃金は低下しました。
実質賃金のプラスが続かない限り、いくら他の指数が良くなっても「好景気だ」と実感できる人は増えないでしょう。
完全失業率・求人倍率
ご覧の通り。
- 6月の完全失業率…2.5%(前回は2.6%)
- 6月の有効求人倍率…1.30倍(前回は1.31倍)
※完全失業率が2.2%ぐらいまで戻ればほぼ完全雇用=ゴール。
(出典:日本経済新聞「求人倍率1.30倍、求職者増で低下 失業率は2.5%に改善」)
- 失業率は下がった
- でも、求人倍率(求職者1人あたり、何件の求人があるか?)も下がっちゃった
という感じ。
求人倍率が下がった主要因は、
- 物価高のせいで
- 今まで稼ぎに出ていなかった人達が新たに仕事を探し始めた
- でも、求人数は変わっていないから
ですね。
「深刻な人手不足」が続くなか、就業者数は前月比+19万人増えています。
労働力が市場に増えたという点を評価するならば、雇用情勢は「少し改善」していると言えるかなと。
ここまでの話をまとめると、この通り。
▼株価
日経平均株価は年初来+約29%と、絶好調
▼リアル景気
政府公式見解…緩やかに回復している
日銀短観…製造業・非製造業ともにプラス
景気動向指数…先行指数は、若干上向いたかも。
景気ウォッチャー…「景気が良い」と感じている人が多数派
消費者物価…+3.3%と高水準(22ヵ月連続でプラス)
実質賃金…給料は増えるも、物価高のせいで-1.2%と下落(14ヵ月連続マイナス)
雇用状況…求人倍率が低下するも失業率は改善。就業者数が増えておりトータルでは改善
という感じ。
- 物価が落ち着いてくれて
- 実質賃金が上がってくれれば
イイ雰囲気の景気になっていくんじゃないかな?と思わせる状況です。
今後、本当に力強く景気が伸びていくかどうかは、「実質賃金」がポイントになりそうですね。
- 色々な分野で「物価」が上昇し続けて、
- 企業業績が好調になっても(物価が上がれば、企業の売上も上がります)
- 「賃金」が、物価上昇率と同じorそれ以上に増えない限り
どこかで人々の財布に「限界」が訪れるから、です。
パンが毎月100円値上がりしてるのに、給料が毎月30円しか増えないんじゃ、どこかでパンクしますよね。
このあたりを踏まえて
- 働き方
- 生活の仕方
- 投資の仕方
を考えていく必要がありそうです。
具体的には、
- 仕事量を増やしてもらう(残業を許可してもらう)
- 残業より時給の高い(高くなりそうな)副業をする
- 賃上げに熱心な会社に転職する
- インフレの影響が少ない食生活やライフスタイルにシフトする
- 貯金の一部を、インフレに強い資産に移す(株やゴールドなど)
などですね。
③7月の国内トピックス
日本株について、今月のトピックスはこれに尽きますね。
- 日銀、長短金利操作を修正
日銀、長短金利操作を修正
28日、日銀が「長短金利操作の修正」を決めました。
具体的には、こんな感じ。
- Before:長期金利の上限は、0.5%まで
- After:長期金利の上限は、0.5%をめどにするが、1.0%ぐらいまでは許容
これは、サプライズでしたね。
このニュースを受けて、株価・為替は一時大きく変動しました。
まずは、Q&A形式で「基本」をおさらい。
Q1:そもそも、長短金利操作(YCC)って何?
A1:政府が、短期金利と長期金利をコントロールしちゃうこと
28日までは
- 短期金利:ー0.1%(マイナス金利)
- 長期金利:0.5%程度
にコントロールされていました。
Q2:なんのためにコントロールしてるの?
A2:インフレを起こすため
低金利の状態を作れば、個人も企業も「借金してでもカネを使う」ようになります。
- みんながジャブジャブお金を使うようになると、物価が上がる!
- 物価が上がれば、企業の売上はアップ!
- 企業の業績が良くなれば、みんなの給料アップにも繋がる!
という好循環が期待できるワケですね。
冒頭でお伝えしたように、日銀は長期金利について
- これまで:0.5%を上限としていた
- 今回:1.0%ぐらいまでの上昇幅なら容認することもある
という変更をしました。
これは、事実上「長期金利の利上げみたいなもんだ」とも言えます。
では、
- なぜ今、YCCの修正=利上げをしたのか?
- 投資家には、どんな影響があるのか?
再度、Q&A形式でまとめるとこの通り。
Q3:なんで今、YCCを修正したの?
A3:思ったよりインフレしちゃってるから。あと、副作用緩和。
こちらのグラフをご覧下さい。
(出典:讀賣新聞オンライン「6月の消費者物価指数、3・3%上昇…電気料金の値上げ響く」)
日銀の物価目標は「+2%」ですが、ちょっといきすぎちゃってますね。
※植田総裁は、現在のインフレ状況について「過小評価していた可能性があり、不確実性が極めて高い」と発言しています。
金利が低いことでインフレしすぎてる(しすぎちゃう)なら、金利を上げてインフレを抑えないといけないというワケです。
もう1つの狙いは、副作用の緩和です。
長期金利は、本来、日銀が決めるものではありません。
リンゴの価格と同じように、市場原理で決まるものです。
モノの値段というのは
- 売りたい人
- 買いたい人
この2人が折り合うところで、「ちょうど良い値段」がついていますよね。
長期金利も、同様に「市場原理で決まる」のが本来の姿です。
- 金を貸したい人
- 金を借りたい人
この2人が折り合うところで、「ちょうど良い金利」になるのが健全な姿です。
それなのに、今は日銀が無理やり
という感じで一方的に決めてしまっています。
これは、リンゴの価格を政府が無理やり決めているようなものです。
こういうやり方をしていると、市場経済ではどこかで必ず歪み(ゆがみ)が生じます。
YCCは、いつまでも永遠に続けられるようなものではないんですね。
日銀としては、そろそろこのあたりで正常化に向けて舵を切っておきたいということです。
Q4:YCCの修正は、投資にどんな影響がある?
A4:基本、「円高」「株安」に動く
- 金利0.5%の「日本円」
- 金利4.0%「米ドル」
皆さんなら、どちらの通貨が欲しいでしょう。
高金利の「米ドル」を欲しがる人の方が多そうですよね。
でも、もし「日本円」の金利が1.0%になったら、今よりも円を欲しがる人が増えるかもしれません。
そうすると、「円」が買われるので円高要因になります。
また、一般に、「金利」と「株価」の間にはシーソーのような関係があります。
- 金利が上がると、株価が下がる
- 金利が下がると、株価が上がる
という関係です。
企業目線では、借金の支払い金利が増えたら利益減りますからね。
株価が下がるのは当然です。
※あくまで「一般的な動き」であって、「必ずこうなる」というワケではありません
日本株は、円高になると株価下落が起きやすく、そういう意味でダブルパンチです。
ポイントは、以上です。
ここまでの話をまとめると、この通り。
重要:YCCが修正されることになった(長期金利の水準が0.5%→1.0%まで容認)
- YCCは、長短金利操作のこと
- YCCの目的は、インフレを起こすこと(目標:+2%)
- YCC修正の背景は、「思った以上に物価が上昇していること」「副作用の緩和」
- YCC修正の影響は、基本的に「円高」「株安」
※為替・株価の世界は、様々な要因が複雑に絡み合って動くカオスな世界です。”必ず”円高&株安になるワケではないのでご留意下さい。
今回の件は、日本株の投資には「逆風になりうる」と整理しておく方が無難でしょう。
円高になれば「評価額の減少」に繋がるので、米国株等を買ってる人も無縁ではないですね。
日銀は、「インフレ」と「副作用」にどう向き合っていくのか?
J-REIT(不動産投資法人)は、金融機関から借金をして不動産投資をしています。
そのため、「金利の上昇」は「収益の減少」にダイレクトに結びつきます。
日銀の政策変更の可能性は、J-REITにとって大きなリスクになっているワケです。
また、日本のオフィス需要は、コロナ禍以後大きく減退しており、「賃料減」「空室率高止まり」がダメージになっていますね。
こういった状況下で、ニッセイ基礎研究所は、J-REIT市場の今後5年間の「1口あたり分配金」成長率を下記のように予測しています。
(出典:ニッセイ基礎研究所「J-REIT市場の動向と収益見通し。今後5年間で+1%成長を見込む~シナリオ別の分配金レンジは「▲10%~+8%」となる見通し~」
- 楽観シナリオで、+8%
- メインシナリオで、+1%
- 悲観シナリオで、▲10%
要は、「低成長を見込んでいる」ということです。
現在、J-REITの平均分配金利回りは4.1%ほど。
J-REITに投資するなら、利回りだけに釣られず、よく状況を理解しておく必要がありそうです。
海外の経済状況
お次は、海外の話題です。
この4つの順番で見ていきます。
- 株価指数の推移
- ゴールド・債券ETF等の値動き
- 高配当ファンドの値動き
- 7月のトピックス
①株価指数の推移
G7(主要先進7ヵ国)の、主な株価指数の推移(年初来)はこの通り。
※グーグルファイナンスでは、チャートを5つまでしか同時比較できないので、昨年に引き続き「FTSE MIB(イタリア)」を抜いています。
- FTSE MIB(イタリア) +22.71%
- S&P 500(米国) +20.00%
- DAX30(ドイツ) +16.90%
- CAC 40種(フランス) +13.70%
- S&P TSX(カナダ) +6.08%
- FTSE100(イギリス) +1.92%
TOPIX(日本)は+24.32%。
またしても、日本がトップです。
アメリカも強いですが、日本がそれ以上の伸びを見せています。
7月単月の動きはこの通り。
26日にかけては、ダウ工業株30種平均が13営業日連続で上昇。
1987年1月以来、36年半ぶりの連騰記録となりました。
※とはいえ、上昇率は5.3%とそれほど大きくありません。
ここ最近、アメリカでは
- 景気後退入りするのか?
- 景気後退入りしないのか?
様々な意見が飛び交っています。
そんななか、FRBのパウエル議長は、
「FRBスタッフはもはや景気後退を予想していない」
と発言しています。
この発言が、市場に安堵感を与えたワケですね。
一方で、景気後退の予兆とされる「逆イールド」の深さなどを理由に、景気後退予測を維持する投資家がいることも事実。
②ゴールド・債券ETF等の値動き
有名なゴールドETFである、「GLD」の値動きはこの通り。
(出典:グーグルファイナンス SPDRゴールド・シェアーズ(GLD))
ゴールドの成績は、年初来で+6.60%と堅調です。
※ちなみに、8月1日に国内の金価格は「1グラム当たり9946円」となり、過去最高価格を更新しています。
お次は、債券です。
投資額に対して2%~5%ほどのインカム(利息)が欲しければ、米国債券が有望な投資候補になります。
米国の優良債券ファンドを3つチェックしてみましょう。
- AGG:ローリスク・ローリターンな債券(格付け高く、利回り低い)
- LQD:ミドルリスク・ミドルリターンな債券(格付け普通、利回り普通)
- HYG:ハイリスク・ハイリターンな債券(格付け低く、利回り高い)
米国総合債券に投資する【AGG】というファンドのチャートはこの通り。
- 年初来+0.12%
- 現在の分配金利回りは2.86%
- 投資対象の約7割は、格付けがAAA(トリプルエー)の債券です
7月単月で見ても、ほぼ横ばいの値動きです。
「債券」と「金利」は、シーソーの関係にあり逆の動きをします。
参考までに、金利のチャートを見てみましょう。
こちらは「米国の長期金利(10年国債)」の推移です(7月末現在の金利は約3.96%)。
(出典:三井住友銀行「マーケット情報チャート」)
7月は、月初・月末であまり金利の水準が変わりませんでした。
そのため、債券ETFの価格もそれほど大きく動いていないというワケです。
お次に、米国優良社債に投資する【LQD】というファンドのチャートはこの通り。
- 年初来+1.59%
- 分配金利回りは3.76%ほど
- 投資対象の約8割は、格付けがBBB(トリプルビー)~Aの債券です
- ギャンブル性の低い「投資適格」な債券であるものの、AGGよりは安全性が低いです
こちらも、先月からほぼ横ばいで推移しています。
最後は【HYG】です。
「ジャンク」「ゴミ」と言った呼ばれ方をする「投資不適格の債券」を集めた、ハイリスクな債券ファンドです。
- 年初来+2.35%
- 現在の利回りは5.67%ほど
- 投資対象のほぼすべてが、格付けCCC(トリプルシー)~BBの債券です(リスクが高いぶん、長期的なトータルリターンは大きい傾向)
こちらも、AGGやLQDと同様に、ほぼ横ばいです。
米国債の長期金利が4.0%付近になると、個人的には投資を検討したくなってきますね。
米国債には、以下の特徴があります。
- 安全性が高い(米国の信用は、世界トップレベル)
- 流動性が高い(いつでも好きな時に売買できる)
- 収益性がソコソコ良い(年利4%はなかなかです)
- 金融危機や有事に強い(値下がりせず、むしろ買われる傾向)
債券は、株式と逆の値動きをすることも多いですね。
ポートフォリオの守備力を高めるのに一役買ってくれるというワケです。
8月1日に、大手格付け会社フィッチ・レーティングスが米国債の格付けを
- 最上位のAAA(トリプルエー)から
- 一段低いAA+(ダブルエープラス)に
引き下げました。
主な理由は「財政悪化の見込み」「債務上限問題を巡る政治上の混乱」などです。
これに対して、イエレン財務長官は
- 「フィッチの決定は恣意的で、古いデータに基づく」
- 「米国債は世界有数の安全で流動性の高い資産であり、米経済が堅調なことに変わりはない」
と強く反論しています。お怒りです。
③インカム系ETFの値動き
私の愛する高配当株ETFについて。
- キャピタル(売却益)も
- インカム(分配金)も
両方狙えるポテンシャルのあるファンドたちです。
HDV、VYM、SPYDの年初来のチャートは、この通り。
分配金を無視して価格だけ見ると、順位はこの通り。
- 1位がVYM…+2.14%
- 2位がHDV…+0.69%
- 3位がSPYD…-2.14%
ナスダッ子が+30%を大きく超えているのに、この子たちときたら…
という気持ちは特になく、実際のところ大して気にしておりません。
インカム資産の役割は
- 長期的に元本を割ることなく
- 高利回りの配当金を出し続けてくれること
ですからね。
彼らによって、去年も今年も生活費が賄われています。ありがとう。
高配当株ETFの不調は、去年好調だったことの反動もありますし、何より分配金は増配傾向です。
むしろ、安い方が買いやすくて良いですね。
さて、現在の分配金利回りはというと
- SPYD:約4.63%(過去平均は約4.5%)
- VYM:約3.04%(過去平均は約3.0%)
- HDV:約4.05%(過去平均は約3.5%)
という感じ。
過去水準と比較して、それなりに「旨味」を感じるレベルになっています。
短期的には「今の円安状況」が気になりますが、長期で見るならばまぁ飲めるリスクでしょう。
- 株価の成長力
- 配当金
これらが、為替ダメージを吸収してくれるからです。
好調なナスダックとの差がつけばつくほど
「高配当株なんて、絶対にいらん!!」
といった声が、段々と強くなってくるでしょう。
こういう時こそ、仕込み時。
④7月の海外トピックス
外国株について、今月のトピックはこちらです。
- FOMC 0.25%利上げ
FOMC 0.25%利上げ
7月25日~26日に開かれたFOMCで、0.25%の利上げが決まりました。
前回6月の会合では、一時停止していた利上げ。
今回は再び実施され、政策金利は5.25~5.50%となりました。
今回の0.25%利上げは、おおむねマーケットの事前予想通り。
むしろ注目されたのは、「今後の方向性」です。
という話ですね。
ですが、この点について、特に新たな方向性は示されませんでした。
- 政策声明は、前回とほとんど変わらず
- 記者会見でも、「今後の経済データ次第」とコメント
というスタンスが維持されています。
次回のFOMCは9月の19日~20日。今から2ヶ月近く期間が空きます。
この間に
- 雇用統計の発表が2回
- CPIの発表が2回
という感じで、重要な経済データがたくさん出てきます。
今は、
- インフレは続いている → 追加利上げアリかな?
6月のCPIは、市場予想を下回ったとはいえ、前年同月比+3.0%ですからね。 - 景気悪化の不安は消えない → 追加利上げナシかな?
「景気後退は予想していない」が、「成長の顕著な鈍化は始まっている」とのこと
という難しい時期。
というのも、まぁ納得です。
個人的には
- 最後の利上げはいつか?
- 利下げが始まるのがいつか?
というタイミングを細かく読もうとするよりも、
「今が、ざっくり金利のピーク(っぽい)」
という大まかな雰囲気のもとで、投資の方向性を考える方が良いのかなと思っています。
米国の金利の推移は、ご覧の通り(予測コミ)。
そろそろ頭打ちかな?という雰囲気ですよね。
過去を振り返ると、計6回の利下げタイミングのうち、
- 利下げ後に株価が上昇:4回(1989年6月、1995年7月、1998年9月、2019年7月)
- 利下げ後に株価が下落:2回(2001年1月、2007年9月)
※株価=ダウ工業株30種平均のこと。利下げ後125営業日の成績で判定。
という感じ。
ちなみに、株価下落2回のうち1回(2007年9月)はリーマン・ショックの影響を受けています。
(参考:三井住友DSアセットマネジメント「もし米利下げなら米国株はどう動くか~過去の事例を検証する」)
過去は未来を保証しませんが、利下げ局面では「深刻な金融危機でもこない限り、株価は比較的底堅く推移すること」が想定されますね。
まとめ:投資のポジションについて
以上をまとめると、この通り。
- 日経平均株価は、年初来で+29%と絶好調(但し、月間ベースでは年初来からの連騰がストップ)
- 国内リアル景気は「イイ感じ」になりつつあるかも。実質賃金が上昇していくか要観察
- 日銀がYCCの運用を柔軟化。実質的な利上げか。
- 米国株も好調。FRBは「もはや景気後退を予想していない」と発言。NYダウは13連騰を記録
- ゴールドや米債券は、利上げ停止観測により底堅い動き
- 米国高配当株は、ようやく年初来でプラス圏に。長期目線では悪くない利回り
- FOMCでは0.25%利上げも、金利はそろそろ頭打ちか?
という感じです。
個人的には、
- インデックス運用(iDeCoやつみたてNISA)は、淡々と継続
- アクティブ運用(高配当株投資)は、日本株については「割安」なものがあればピンポイントで買う。米国高配当株は、株価のチェック頻度を増やしてチャンスを狙う
というスタンスです。
日本の高配当株については
- 約480社とそれなりに数があるものの
- 株価の上昇に伴って、着実に減ってきている(ピーク時から200社超減)
という状況です。
個別に見るとまだまだ「割安さ」を感じる銘柄もあるので、イイものは拾っておきたいですね。
ちなみに、米国の「恐怖・強欲指数」は現在こんな感じ。
(出典:Fear & Greed Index)
- 相場がイケイケの時は「Greed(強欲)」を示し
- 相場が弱気の時は「Fear(恐怖)」を示す
そんな指数です。
今は、「極度の強欲」を示していますね。
歴史を振り返ると
- 株価が下がっていて
- リアル景気も悪くて
- 投資家の気分も最悪(恐怖&強欲指数で「恐怖」を示す)
こういう「イケてない時期」こそ、絶好の買い場でした。
アクティブ投資に関しては、こういうチャンスをしっかり掴めるように、定点観測していきましょう。
※インデックス投資は、いつどんな時も、リスク許容度の範囲内で淡々と、です。
それではまたっ!
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