こびと株.com(@kobito_kabu)がお送りする、毎月更新の定例記事です。
※データが多すぎて記事が重いです。すみませんm(_ _”m)
抽出時期 :各月末
対象市場 :東証一部、東証二部、東証JASDAQ
配当利回り:税引き前3.75%以上(税引き後3%)※復興特別所得税は無視
目次
サマリー
2020年10月30日時点
全体指標
- 日経平均:22,977.13円(前月比-207.99円)
- 日経平均PBR:1.07倍
- 日経高配当株50配当利回り:5.16%(前月比+0.29%)※10/9NTTドコモが除外されています
- 円/ドル:1$=104.64円
配当利回りが3.75%(税引き後3%)以上の企業数
全部で304社。先月より42社増加しました。
- 一部上場 :229社(前月比+43社)
- 二部上場 : 26社(前月比 – 3社)
- JASDAQ上場 : 49社(前月比 + 2社)
全体感
10月の投資トピックスについては、こちらの記事で解説しています。
- 大企業(製造業)の景況感は、リーマンショック以来の悪さ
- 各種指標を見るに、景気の回復ペースが鈍化
- IT企業が強く、マザーズが14年ぶり高値更新(ただし、その後急落中)
- 欧米の株価指数と比べて、相対的に強い動きをしていた日経平均・TOPIXが崩れ始めた?
- 最新の決算を見ても、売上・利益が前期比2桁減になっている大企業も多く、ボロボロ
結論:不景気です。
次に外国。
- 欧米先進国の株価指数は、すべてマイナス
- 米国債やゴールドも値下がり傾向
- 各種経済政策により、政府債務の対GDP比は過去最大
- 11月3日の米国大統領選挙を前に、市場が荒れそうな雰囲気になっている(ボラティリティが高まっている)
- 欧米のコロナ感染拡大第2波がヤバい(新規感染者数が過去最大を連日更新。ロックダウン(都市封鎖)を再実施している国も)
結論:不景気です。
不景気のわりに、世界各国の株価指数はわりと「楽観的」な水準にありました。しかし、10月以降の
- コロナ感染再拡大
- ワクチン開発状況の遅れ・有効性に対する懸念
これは、間違いなく「マイナス材料」です。
世界経済のV字回復が遠のくからです。もともと「2~3年で回復すればいいや」ぐらいのノリだったけど、それも難しそうですね。
高配当株投資をやっている理由
今月以降、相場が荒れそうな(下落しそうな)雰囲気があります。
そこで、今回の記事ではそういった下落・暴落に備えた「マインド面の補強」ということで、
なぜ、日本の高配当株に投資しているのか?
という背景について、今一度解説しておこうと思います。
- 一時的な、株価の下落・暴落
- 数年におよぶ、不景気(業績・株価の低迷)
こういったものを乗り越えて、果実をつかみ取るためです。
以下、
- 投資が求められる背景①②
- なぜ日本の高配当株か?①②③④⑤
を解説していきます。
背景①:収入が減っている(給与減&増税)
日本人の収入は、ずいぶん長いこと低迷しています。
欧米先進国と、賃金の推移を比べると「地獄」のような光景が見えてきます。
(出典:InfoComニューズレター)
いくら働いても「生活がラクになっていく実感」を得られないわけですね。
こうやって給料が伸び悩むなか、
- 所得税増税
- 消費税増税
- 社会保険料値上げ
といった感じで、増税ラッシュが続いています。
この影響で、「収入」から「税金・社会保険料」などを差し引いた、可処分所得(自由に使えるお金)も減り続けています。
平均的な年収の家庭でも、2011年→2018年で20~30万円ほど自由に使えるお金が減っています。つらい。
背景②:年金の受給額が減るかもしれない
日本の人口は
- 2020年に約1.2億人
- 2060年には0.9億人を割り込む
こんな推計がされています。
我が国の総人口は、今後、長期の人口減少過程に入り、平成38(2026)年に人口1億2,000万人を下回った後も減少を続け、60(2048)年には1億人を割って9,913万人となり、72(2060)年には8,674万人になると推計されている
(出典:厚生労働省)
※赤字は筆者
日本の年金制度は
- 現役世代が支払った保険料が
- 老後世代の年金になる
という「仕送り方式」なので、現役世代が減れば減るほど、制度を維持する難易度は上がっていきます。
私は、年金制度の存続には疑念を抱いていないですが(年金は老後生活の「柱」になる)、制度の改悪については懸念をもってしかるべきだと思っています。
※日本経済が成長すれば、実質的な年金の受取額はそこまで減少しないという試算もありますが、どう転ぶかは誰にも分かりません。
こういった「今・将来における、収入の減少」を放置せずに
- 副業をやったり
- 不動産投資をしたり
- 株式投資をしたりして
4つのサイフを育てていこうというのが「こびと株ブログ」立ち上げ以来、一貫して私たちがやっていることです。
次は、なぜ
- キャッシュフローを増やす手段として
- 日本の高配当株を選んでいるのか?
という点について、理由を5つ、解説します。
なぜ日本の高配当株?:理由①超低金利だから
現状、日本における「定期預金の金利(5年モノ)」は、0.01%~0.28%程度。
- 100万円預けても
- 100円~2,800円の利息しか得られません
これでは、いくら貯金を頑張ったところで「減り続けるキャッシュフロー」を補うことは不可能です。
もちろん、株式投資には元本割れリスクや、減配リスクがあります。
最強の「配当金生活」は、無リスクの国債から生まれる利息で生活費を賄うことだと思いますが、現状、そんなことができる債券はありません。
- リスクをとらずに、増えないキャッシュフローと付き合って暮らすか
- リスクをとって、積極的にキャッシュフローを増やしていくか
私たちは、後者を選んだということです。
なぜ日本の高配当株?:理由②日本は世界3位の経済大国で、優良企業も多い
なぜか、日本に対しては悲観的な見方をしている人が多い気がしますが
- 日本は、世界3位の経済大国(GDPは、米国、中国に次いで3位)
- 2050年のGDP予測でもトップ10に入っている
- 日本は、29年連続で世界最大の対外債権国
- 世界的に名の通っている大企業も多い
- 有名じゃないけど高収益・財務盤石な企業も多い
優秀な国です。
そして「株主還元」の意識の高まりとともに、自社株買い・配当もどんどん増えてきました(配当総額は、2010年から約3倍に!)。
増えない賃金・増える株主還元というのは、日本企業のメガトレンドの1つです。
※ホームカントリーバイアス:事情がよく分からない海外への投資を避けて、言語・文化的にも「分かりやすい」国内への投資が厚くなってしまう偏見のこと
なぜ日本の高配当株?:理由③為替リスクがない
米国債券ファンドなんかは、手堅く3%前後のキャッシュフローが得られる良い投資先だと思います。
しかし、外貨建ての資産には「為替リスク」がつきまといます。
もし、20%円高に動けば
- 20%、円ベースのキャッシュフローが減り
- 20%、円ベースの投資元本が減少します
ドルを使って暮らすつもりの人は良いですが、私は根っからの国内引きこもり人間です。
円を使って日本で生活する以上、やはり、欲しいのは”円建てのキャッシュフロー”というわけです。将来的にも海外移住する気はないしね。
なぜ日本の高配当株?:理由④税制上有利
米国株からの配当金は、配当金額にざっくり72%を掛けた金額が手取りになります(28%は税金としてとられます。確定申告により、一部取り戻せます)。
<例>
- マイクロソフト社から100ドルの配当金が振り込まれた
- 外国税・国内所得税等が差っ引かれて、手取りは72ドルになった
一方で、日本株の場合は外国税がかからないので20%の税金で済みます。
さらに、所得が330万円未満の場合は、所定の手続きにより税金は配当金額の5%で済みます。これは、ものすごくお得な税率です。
FIRE(早期リタイア)すると労働収入が途絶えて所得が減りますから、それとも相性が良いということですね。
もし、配当金が年間240万得られるようになってリタイアしたとして
- 海外の高配当株で年間配当240万円の場合→手取りは173万円(しかも為替リスクもあり)
- 日本の高配当株で年間配当240万円の場合→手取りは228万円(為替リスクなし)
差は、歴然です。
もちろん、税率だけ見て「日本企業にばかり投資する」のは本質的ではありません。企業の本来的な実力に賭けるのが株式投資だからです。
このあたりは、バランス感覚が求められますね。
なぜ日本の高配当株?:理由⑤買った後がラク
円建てのキャッシュフローを強化する選択肢として、不動産投資も有力な候補になるでしょう。しかし、不動産投資は
- (カネを出すだけの)投資というよりは
- (自分の身体・時間も差し出す)経営です
「寝ていたらお金が増える」という類のものではなく、ある程度汗をかく必要があります。また、融資を受ける場合には、別なリスクも背負わなくてはいけません。
長期投資を前提とした高配当株投資は
- 選ぶ時はめんどくさいけど
- 一度買ってしまえば、基本は放置です(投資の前提が崩れていないかを時々チェックする必要はある)
これは、本業・副業により大きな時間を割いて「キャッシュフローを増やしたい」と考える人には、非常に相性が良いです。
実際、こびと株メンバーは
- 高配当株のメンテはぼちぼち
- 本業・副業に注力
というかたちで、どちらのキャッシュフローも効率的に増やせています。可処分所得は、毎年毎年増え続けていますね。
- 今年より来年
- 来年より再来年
時間が経てば経つほど「家計が良くなる」という確信をもって生活できるのは、精神衛生上非常にいいですね。
以上をまとめると
- 減り続ける収入
- 年金改悪の可能性
- 超低金利の世の中(無リスクでキャッシュフローを取れる機会がない)
- 日本は世界3位の経済大国で、優良企業多い(株主還元強化中)
- 為替リスクがない
- 税制上有利
- 買う時しか手間がかからない
という感じ。
今のところ、日本の高配当株に匹敵するような「キャッシュフロー強化装置」は、他になかなか見当たりません。
- ちゃんと、トータルリターン(配当金+値上がり益)が出る銘柄を選んで
- 投資だけに限定せず、色々な方法で家計のキャッシュフローを強化していく
こういうことをすれば、資産を増やしながらゆとりある家計を作れます。
配当利回りランキング(東証一部上場)
- ※エクセルオンラインのデータが表示されます
- 証券コードをクリックすると、Yahooファイナンスのページに飛びます
※1 「-」は、前月ランク外であった銘柄
※2 2017年1月以降で、月末の配当利回りが3.75%を超えていた月の数
今日のトピックスは、この2つ。
- 日経高配当株50ETF
- 新規登場銘柄(4銘柄)
順番に解説します。
日経高配当株50ETFについて
日経平均225銘柄のうち、予想配当利回りの高い50銘柄で構成される「日経平均高配当株50指数」というものがあります。
その構成銘柄には
- 三井住友FG・三菱UFJ
- 東京海上HD
- NTT・KDDI
- 三菱商事
- ブリヂストン
といった、誰もが知っている有名な大企業がズラリと並んでいます。この指数に連動したファンドの株価を見てみると、日本の高配当株投資の「現状」がよく分かります。
10月30日時点で、この指数の配当利回りは5.16%です(日経平均の配当利回りは1.75%ほどなので、確かに高配当ですね)。
株価の推移は、この通り。
- 高い配当利回り
- 下落し続ける株価
まさに、典型的な「高配当株の罠」にハマっている状況ですね。これはアカン。
※日経平均高配当株50ETFについてフォローしておくと、このファンドは「ただ、配当利回りが高い株を上から順に集めただけ」ではありません。
- 連続で赤字を計上している
- 期末の配当予想が無配
- 株価の暴落により、一時的に高配当化しているもの
といった「高配当に見えるだけのリスキーな株」は除外される仕組みになっており、ファンドのコンセプトはまともです。
バックテストでは、日経平均よりも高いパフォーマンスを記録していました(成績の悪い指数・ファンドを作ってもしょうがないので、これは当然です(笑))。
(出典:TRADING FLOOR)
それが、ナゼここまで低迷しているかというと
- 日経平均の構成銘柄には、景気敏感株が多く
- 景気後退期には、バンバン減配するから
です。
日経高配当株50ETFが一貫して下落しはじめた2018年10月というのは、まさに「政府が認定した景気後退期」のタイミングです。
ここから、業績悪化で株価下落→減配→さらに株価下落の「負のサイクル」にハマってしまったというワケ。こうなる可能性については、過去何度も指摘してきました。
だから、こびと株メンバーは、こういった市販のファンドは買わずに
- 毎月かならず高配当株ランキングを作って
- ポートフォリオをメンテナンスしている
のです。
不景気でボロボロになるポートフォリオでは、安心して眠ることができません。
さて、大型株(特に、国際優良株)は、ミス・プライシングが起きにくいです。大型株が売られている時というのは
× 「なんか下がってる。割安だ、ラッキー」ではなくて
〇 下がるだけの理由がちゃんとある。多くの投資家(特に、機関投資家)が「売りたくなる」だけの背景がある
と考える方が無難です。
一方で、中小型株には、ミス・プライシングが起きやすいです。
時価総額が小さいために、プロである機関投資家に見向きされず、個人投資家だけで売買しているからですね。そこに、割安に仕込むチャンスがあります。
日本の高配当株投資を実践するにあたり
- 元本を守りながら(成長させながら)
- 配当金というキャッシュフローをしっかり得ていくためには
ディフェンシブな中・小型株への投資が欠かせません。
※実際、私のポートフォリオでも、好パフォーマンスなのはとにかく中・小型株です。
多くの人が知らないような「中・小型株」に投資して
- 市場平均より高いパフォーマンスを出している人
- 2倍3倍どころか、10倍にしている人
はいます。
大企業の株価だけ見ていたら、分からない世界があるということですね。
新規登場銘柄(4銘柄)
新規登場銘柄についても、触れておきます。
いずれも、「長期的に安定的な配当」を期待できるようなファンダメンタルズではないと判断しました。
- 住友倉庫
- 旭情報サービス
- イエローハット
- マックス
- 高砂熱学工業
など、微妙~に気になっている銘柄もありますが(ランキングに載ってないものもあります)、「どうしても欲しい!」という感じではまったくないですね。
配当利回りランキング(東証二部上場)
- ※エクセルオンラインのデータが表示されます
- 証券コードをクリックすると、Yahooファイナンスのページに飛びます
※1 「-」は、前月ランク外であった銘柄
※2 2017年1月以降で、月末の配当利回りが3.75%を超えていた月の数
新規登場銘柄は1つです。
配当利回りランキング(東証JASDAQ上場)
- ※エクセルオンラインのデータが表示されます
- 証券コードをクリックすると、Yahooファイナンスのページに飛びます
※1 「-」は、前月ランク外であった銘柄
※2 2017年1月以降で、月末の配当利回りが3.75%を超えていた月の数
新規登場銘柄はありません。
まとめ:もしこびと株メンバーが今月から高配当株投資を始めるとしたら?
ランキングの解説は以上です。
恒例の「もしこびと株メンバーが今月から高配当株ポートフォリオを作るとしたら」ですが…もし、今がゼロの状態だったら、今月末からのスタートはしないです。理由は下記。
- 4年に1度の、11月3日の米国大統領選挙をひかえ、ボラティリティが高まっている
- コロナ感染の再拡大に伴って、株価が下落していきそうな雰囲気
- 決算シーズンで、現在の業績を確認したい
- 「配当未公表」だった企業も「期末配当予想」を出し始めており、様子見したい
といった感じ。今のタイミングで急いで買う必要はないでしょう。
もし、11月中に相場が大きく動くようなことがあれば、月中にモデルポートフォリオを出すかもしれません。
11月の相場は、目が離せないですね~。
※関連記事です
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