こびと株.com(@kobito_kabu)がお送りする、毎月更新の定例記事です。
※データが多すぎて記事が重いです。すみませんm(_ _”m)
抽出時期 :各月末
対象市場 :東証一部、東証二部、東証JASDAQ
配当利回り:税引き前3.75%以上(税引き後3%)※復興特別所得税は無視
目次
サマリー
2021年3月31日時点
全体指標
- 日経平均:29,178.80円(前月比+212.79円)
- 日経平均PBR:1.32倍
- 日経高配当株50配当利回り:3.89%(前月比-0.28%)
- 円/ドル:1$=110.70円
配当利回りが3.75%(税引き後3%)以上の企業数
全部で222社。先月より59社減少しました。
- 一部上場 :172社(前月比- 50社)
- 二部上場 : 23社(前月比- 6社)
- JASDAQ上場 : 27社(前月比- 3社)
全体感
3月の投資トピックスについては、こちらの記事で解説しています。
まとめると
- 日本株の指数のうち、日経平均株価にネガティブニュース(日銀の政策変更)
- 日本の景況感は回復トレンドを維持
- 景気ウォッチャーや日銀短観で「景気が良い」と答える人の方が多くなった
- バブル懸念、長期金利上昇懸念、増税懸念など、注意すべき点も増えてきた
- アルケゴス破綻のような「事故」もちらほら
という感じ。
さて、今、多くの個人投資家が疑問に思っているであろうことは
ということでしょう。
高値掴み、したくないですからね。
今日の記事では、高配当株ランキングに入る前に、この2点について解説したいと思います。
- 株価ってどうやって決まるの?
- 今の株価って割高?
①株価ってどうやって決まるの?
株価は、この計算式で決まります。
こんな算式を見せられたら、100人中99人が
となるでしょう。でも、大丈夫。
- 月間100万PVブロガー
- Twitterフォロワー10万人超
多くの人の疑問に答えてきたワタクシにお任せください。
まず1つめの計算要素。
PERに関して、覚えて欲しいのはこの3つだけです。
- ピーイーアール、もしくはパーと読む
- 単位は「倍」
- 投資家の「期待度の強さ」を表す
次に2つめの計算要素。
1株あたり純利益に関して、覚えて欲しいのはこの1つだけ。
- 1年間の「企業の収益力」を表す
たとえば「株式会社こびと株」の株価は、こんな感じで計算されます。
PERが10倍ということは、投資家がこう考えているということ。
会社の利益は、株主のもの。株式を買うというのは、純利益を頂くということです。
- 毎年、ざっくり760円の利益を運んできてくれる株式を
- 今、7,600円で買えば
- 10年で投資資金を回収できるぞ(しかも、株式は手元に残る)
こういう考えが成立するんですね。
さて、ある日、株式会社こびと株がこんなニュースを発表しました。
このニュースを聞いて、投資家は大興奮。血圧急上昇。鼻血ブー。
その「期待感」から、株価は暴騰。こうなりました。
ポイントは、この通り。
- 石油が埋蔵されていることが分かっただけで、石油の採掘そのものにはまだ成功していない
- 採掘設備への先行投資等のコストを考えると、本当に利益が出るかは分からない
- この1年のリアルな収益力=1株あたり純利益760円という見通しは変わっていない
- でも、「将来きっと業績が良くなるはずだ」という「期待感=PER」が上昇して、株価が暴騰した
もちろん、PERがそのままでも、業績が上昇すれば株価は上がります。
PER10倍×1株あたり純利益1,520円=株価15,200円
みたいな感じです。
結局、株価というのは
- PER=期待感が高まるか
- 1株あたり純利益=企業の収益力が高まるか
これらが主要因で上昇するということ。
さて、今の株式市場は
- PER=期待感が高まって株高になっているのか?
- 1株あたり純利益=企業の収益力が高まって株高になっているのか?
いったい、どちらなのでしょうか。
次の話題に進みましょう。
②今の株価って割高?
残念ながら、ここから先は若干ややこしい話になります(笑)
こちらをご覧ください。
- 日経平均株価(赤線)
- 日経平均PER(緑線)
の推移です。
(出典:投資の森)
2021年1月末頃を境に
- 日経平均は上昇しているのに(1月下旬:約27,600円→4月初旬:約29,800円)
- PERが下がっている(1月下旬:25.0倍→4月初旬:22.7倍)
ということが分かります。
ここで思い出して欲しいのが、先ほど解説した「株価の算式」。
- PERが下がっている↓のに
- 株価は上がっている↑ということは
消去法的に「1株あたり純利益が増えている↑」いうことになります。
実際、日経平均の予想EPS(1株あたり純利益)は、最近急回復しており、さらなる回復も見込まれています。
(出典:週刊エコノミストonline)
結局、日経平均株価は、
- 最近まで:PER主導で、株価が上がっていた
- 最近:1株あたり利益主導で、株価が上がっている
というワケ。
要するに、少しずつ「実体」を反映してきているんですね。
日経平均のPERは、14倍~16倍ぐらいが適正と言われています。
※投資家の「期待感」として、「夢見る乙女すぎない常識的な範囲」だということ。
現在のPERは下がってきたとはいえ約22.7倍。
個人的には、やっぱり現在の株価は「割高かな」と思います。
- 今の日経平均株価水準(約30,000円)を維持したまま
- 1株あたり純利益が、コロナ前の約1,800円まで復活して(今は1,300円ぐらい)
- ようやく、PERは16.6倍
ですからね。
コロナ前の水準までカンタンに業績が回復するとは思えないですし、それよりさらに業績が伸びるというイメージも持てません。
最後に、面白いデータをご紹介します。
S&P500に
- PER●●倍の時に投資したら
- 1年後のリターンは何%になったか?
その「チラバリ具合」を集計したデータです。
(出典:Guide to the Markets)
要するに、今のPERが
- 20倍だろうが
- 24倍だろうが
その「割高感」が原因で、「ただちに」株価が下がる(リターンが低下する)とは限らないということ。
一方で、こちらのデータをご覧ください。
S&P500に
- PER●●倍の時に投資したら
- 5年後のリターンは何%になったか?
その「チラバリ具合」を集計したデータです。
(出典:Guide to the Markets)
今のPERが
- 高ければ高いほど
- 5年間の「どこか」で株価が下がり、リターンが低下します
※22倍とか24倍とか、PERが高い時に投資すると、5年間のリターンが0%付近に集中していることが読みとれる
先ほどのグラフと合わせて言えることは
現在のPER水準は
- 1年後のリターンを占うにはあまり参考にならないが
- 5年後のリターンを占うには参考になる
ということ。
PERが高い時に投資すると、5年という期間で見ると「どこかで」株価の下落に巻き込まれる可能性が高いです。
あくまでS&P500を元にしたデータですが、ぜひ参考にしてください。
ここまでの話をまとめます。
- 株価は、PER×1株あたり純利益で決まる
- ちょっと前まで、業績回復「期待」から、PERが先行して上昇(24倍~26倍)→日経平均株価上昇
- 最近は、PERは低下(22.7倍)。1株あたり純利益の上昇により、株高を維持
- 未だにPERは高めの水準であり、コロナ前の業績以上に経済が回復しないと、妥当性に乏しい
ということ。
PERが高い時に手を出すと、長期的にはリターンが出にくい可能性があるというのは、前述の通り。
以上が相場の全体感。
最後に、個別株を少し物色して終わりにします。
配当利回りランキング(東証一部上場)
- ※エクセルオンラインのデータが表示されます
- 証券コードをクリックすると、Yahooファイナンスのページに飛びます
※1 「-」は、前月ランク外であった銘柄
※2 2017年1月以降で、月末の配当利回りが3.75%を超えていた月の数
今月は、
- 新規登場銘柄
- 気になる銘柄
いずれも少ないです。
サクっと解説していきます。
6704 岩崎通信機
まずは恒例、ランキング初登場銘柄のチェックです。
残念ながら
- 売上は、継続的に減少中
- 営業利益は頻繁に赤字
- 配当金は出したり出さなかったり
ということで
です。
3751 日本アジアグループ
お次は、なんか目立ってる高配当株をチェック。
まずは日本アジアグループ。
ランキング外から突如1位に躍り出たダークホースです。現在の配当利回りは30.71%。
なんてウマい話はありません。
日本アジアグループの年間配当金300円は、すべて特別配当です。
- ×毎年300円の配当を出します
- 〇今回限り特別に300円の配当を出します
ということ。
普段の配当(2018/3~2020/3期あたり)は、年間10円くらい。高配当株ではないですね。
ちなみに、なんでまた日本アジアグループが「今回限り特別」の莫大な配当を行う気になったかというと…
(株)シティインデクスイレブンスという会社から、買収されかけているため。
- 会社が持ってるお金を、株主に配当しちゃうもんね!
- そしたらシティ社さん的には、買収してもおいしくないでしょ
- 買収するの取りやめてください!
というワケ。
日本アジアグループは、他にも様々な手を使って、買収防衛に必死になっている真っ最中です。
ちなみにこの会社、2021年春号の会社四季報には「【混沌】」と記載されています。はじめて見たよこんな表記。
- 経営陣で株式を買い取って上場廃止にしよう!
- ①が失敗!
- シティ社から敵対的買収がきた!
- 必死の買収防衛策発動!防御!
- シティ社はいったん買収撤回!
- ところがどっこい、シティ社再び買収を試みる!
みたいな感じで、まさに混沌。
8707 岩井コスモホールディングス
こちらも、ランキング外から突如4位に躍り出た銘柄。岩井コスモ証券の持ち株会社です。
3/19に増配(昨年度75円→今年度117円)を発表しています。
発表翌日は株価が11%上昇(1801円→2006円)しました。しかし、権利付き最終日(※)である3/29を過ぎると、株価はモトの水準(3/30時点で1823円)まで戻っています。
※この日までに株を買った人が、117円の配当金を受け取れる
岩井コスモホールディングスの配当方針は
- 安定的な配当の継続を重視
- 2020/3~2022/3期は年間最低40円
- 総還元性向は50%以上
という感じ。
2021年3月期第3四半期の決算を見る限り
- 営業収益:前年比+21.2%
- 営業利益:前年比+78.5%
と、増配の背景に好調な業績があるのは間違いなさそうです。
とはいえ、ここ12年の営業利益はこんな感じ。
ちなみに、同じくランク外→突如8位の極東証券、ランク外→10位の東海東京フィナンシャルHDも
- 3月中の増配発表→高配当株化
- 普段の業績は不安定
というパターンは変わりません。
- 増配発表後の株価上昇
- 権利付き最終日以降の株価下落
も、そっくりです。
相変わらず配当ランキング上位は、高配当株投資に向かない銘柄が多いですね。
配当利回りランキング(東証二部上場)
- ※エクセルオンラインのデータが表示されます
- 証券コードをクリックすると、Yahooファイナンスのページに飛びます
※1 「-」は、前月ランク外であった銘柄
※2 2017年1月以降で、月末の配当利回りが3.75%を超えていた月の数
配当利回りランキング(東証JASDAQ上場)
- ※エクセルオンラインのデータが表示されます
- 証券コードをクリックすると、Yahooファイナンスのページに飛びます
※1 「-」は、前月ランク外であった銘柄
※2 2017年1月以降で、月末の配当利回りが3.75%を超えていた月の数
まとめ:もしこびと株メンバーが今月から高配当株投資を始めるとしたら?
ランキングの解説は以上です。
最後に、2019年7月からシリーズ化を開始した「もしこびと株メンバーが今月から高配当株ポートフォリオを作るとしたら」というモデルを出して終わりにします。
※「私たちならこうする」という事例であって、下記銘柄への投資を推奨するものではありません。株式投資には元本割れのリスクがありますので、くれぐれも自己責任でお願い致します。
30万円で今月スタートならこんな感じにします。先月と同じメンバーです。
※1:ピンクマーカーは、景気敏感株。
※2:待機資金は、高利回りの「中・小型株(※ディフェンシブな業種)」が出てきたら買うお金です。宝印刷やエックスネット、蔵王産業などのような会社ですね。
待機枠の資金で配当利回り4.0%ほどの株を買えれば、トータルで3.77%の利回りになります。
- TOPIXの平均利回りが約1.9%
- 日本国債(10年)の利回りが約0.12%
であることを考えると、それなりの利回りです。
でも、高配当ポートフォリオと呼ぶには、このあたりが「ギリギリ下限」の利回りな感じですね。
セクターの割合は、この通り。
個人的には、今は「キャッシュを厚くしていく時期」かなという認識です。
※どこまで上がるか分からないので、機会損失を避けるため毎月ちょいちょい買っていく必要はあります。
日本株の高配当株投資戦略をとっている人は、つかの間の「休憩時間」かなと。
なお、過去何度もおすすめしているとおり、高配当株ポートフォリオを自作するなら、SBIネオモバイル証券が優秀です。
低コストで、少額からの分散投資が可能だからです。
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2022年9月26日、
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- 通信費(スマホ代など)が払える
- 保険料が払える
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ちょっと働けば生きていける水準ですから、セミリタイアも視野に入ると思います。
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全部使い切っても「老後は安泰」ってのは良いですよね。
いずれにせよ、配当金は人生の選択肢を増やしてくれます。コツコツと配当金を増やして、生活を豊かにしていきたいですね。
それではまたっ!
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