こんな疑問に答えます。
結論から言うと、
この記事では、
- 残業マン:年収400万円+残業100万円の会社員
- 副業マン:年収400万円+副業100万円の会社員
どちらの方が金銭的にメリットがあるかシミュレーションしていきます。
※先にネタバレしておくと、上記の条件なら副業マンの方が年間24万円、手取り収入が多くなります。20年で約500万円の節税になりますね。かなりの金額です。これを運用したらさらに…
副業マンが有利になる理由は以下の3つです。
- 副業収入には、社会保険料がかからない
- 青色申告控除65万円が認められている
- 生活費のうち、事業に関係する部分は経費として認められる
このことを理解するために、
- 収入面の比較
- 所得控除の比較
- 税額の比較
という3ステップで、残業マンと副業マンどちらがお得かを考察していきたいと思います。
目次
STEP①:収入面の比較
まず、収入面から見ていきます。
残業ゼロ、基本給ベースの年収を400万円とします。
- 残業マンは、そこに年間100万円の残業代をプラス
- 副業マンは、そこに年間100万円の副業収入をプラス
表にすると、こうなります。
ここを出発点にして、社会保険料・税金を計算していくことになります。
税金計算の全体像はこんな感じです。
- 収入-所得控除=課税所得
- 課税所得×税率=納付する税金
もう収入は分かっているので、あとは所得控除が分かれば税金は計算できます。というわけで、所得控除について見ていきます。
STEP②:所得控除の比較
普通の会社員であれば、ざっくり3つの所得控除があります。
- 基礎控除
- 給与所得控除
- 社会保険料控除
そして、副業マンの場合は、さらに以下の2つが加わります。
- 青色申告控除
- 事業経費
順番に見ていきましょう。
①基礎控除
所得2400万円以下の人の基礎控除額は48万円です。
所得2400万円を超えたら段階的に減っていきます。所得毎の控除額は以下の通り。
- 2400万円以下…………………………48万円
- 2400万円超~2450万円以下 …………32万円
- 2450万円超~2500万円以下 …………16万円
- 2500万円超 ………………………………0円
②給与所得控除
給与所得控除は、サラリーマンに認められている経費のようなものです。
「給与の大きさ」によってその金額が変わります。給与が年間360万円~660万円の場合の給与所得控除は下記の通り(※詳細を知りたい人は国税庁HPへ)。
給与所得控除=給与×20%+44万円
この算式を使うと、残業マンと副業マンの給与所得控除はこうなります。
- 残業マンの給与所得控除…144万円
- 副業マンの給与所得控除…124万円
③社会保険料控除
私たちは、会社から給与をもらう際に下記の社会保険料を徴収されています。
- 厚生年金保険
- 健康保険
- 雇用保険
※人によっては介護保険料も徴収されています。
これらを合計すると、概ね14.4%ぐらいの保険料になります。
この料率を使うと、残業マンと副業マンの社会保険料は下記の通り。
- 残業マンの社会保険料…72万円
- 副業マンの社会保険料…58万円
わたしたちが納めた社会保険料は、そのまま所得控除になります。
④青色申告特別控除
副業マンの場合、一定の条件を満たすと青色申告控除65万円が認められます。
- 副業収入が「雑所得」ではなく「事業所得」として認められること
- 「開業届」及び「青色申告承認申請書」を提出しておくこと
- 複式簿記で帳簿をつけて、申告期限内に決算書を添えて確定申告をすること
- 「確定申告書」、「貸借対照表および損益計算書」の提出をe-Taxを使用して行うこと
※この記事では、青色申告適用の条件について深入りはしません。(それだけで数千文字の記事が1つ書けてしまうので)条件を満たせば65万円の所得控除が認められるということだけ覚えてください。
⑤生活費を事業経費に付け替える
副業マンの場合、生活費の一部を「事業経費」として申告することができます。たとえば
- 家賃
- 水道光熱費
- 通信費
- 車両代
- PC代
- 書籍代
などですね。
※もちろん、経費にできるのは「事業に関係のあるもの」だけです。
上記の費用を、
- 使用面積(例:30㎡の部屋のうち、10㎡を仕事場にしている)
- 使用日数(例:1週間のうち、1日は車を副業に使っている
- 時間配分(例:PCを月50時間使うとして、うち30時間は仕事に使っている)
などの基準によって、私用部分と仕事部分に按分します。税務署にちゃんと説明できる、合理的な基準であれば問題ありません。
今回のシミュレーションでは、生活費の総額のうち、ざっくり20万円分を「仕事に関係するもの」として付け替えてみます(※かなりひかえめですね。)
所得控除まとめ
以上をまとめると、下記のようになります。
ポイントは、
- 青色申告控除の65万円分
- 生活経費(生活費のうち、仕事に関係している部分)
を考慮すると、副業マンの方が控除の金額が大きいということです。
副業マンは、給与が少ないぶん給与所得控除は減りますが、その他の控除が圧倒的に多いのです。なので、結果的に税金がかなり少なくなります。
STEP③:税金の比較
というわけで、収入と所得控除(経費含む)の金額が判明しました。
この2つが分かれば、税金計算のもとになる課税所得が計算できます。
- 残業マン:収入500万円-所得控除264万円=236万円
- 副業マン:収入500万円-所得控除315万円=185万円
236万円、185万円という数字がいわゆる「課税所得」です。この数字に所得税率&住民税率をかければ、納付すべき税金を計算することができます。
計算結果を示すと、下記の通り。
副業マンの方が10万円ほど税金が少ないですね。
- 年収は同じ500万円なのに
- 所得控除が多いぶん、副業マンの納税額は少ない
こういうことになります。
全体像:収入&所得控除&税金の一覧
今まで見てきた表を合体させて、全体像を見てみましょう。
最終的に、副業マンの方が社会保険料+税金が24万円少ない(=手取り年収が24万円多い)という結果になりました。
- 24万円の配当金を得ようとすると、配当利回り3%で800万円もの投資資金が必要になります
- もし、副業を20年間続ければ500万円近い節税になります
かなり大きな金額だということが分かりますね。
結局、副業マンの方が有利なのは、下記の3つの理由によります。
- 副業収入には、社会保険料がかかっていない
- 青色申告控除65万円が認められている
- 生活費のうち、事業に関係する部分は経費として認められる
残業しまくって稼ぐぐらいなら、副業で稼いだ方がお得というわけ。最初は副業収入が伸びないかもしれませんが、税制的に有利なため、続けていればペイできる可能性は高いです。
- 会社とはほどほどの距離感で付き合っていきたい
- 副業では好きなことをやって稼げている
こういう状態なら、生活の満足度はさらに上がりますね。
まとめ:残業で100万円稼ぐより副業で100万円稼ぐ方がトク
以上をまとめると、次の通り。
年収400万円のサラリーマンが
- 残業で100万円稼ぐ場合
- 副業で100万円稼ぐ場合
この2つを比較すると、年収は同じ500万円ですが、手取り収入は以下のとおり副業マンの方が有利になります。
- 残業マンの手取り年収:390万円
- 副業マンの手取り年収:414万円
年間24万円もの差が出る理由は3つ。
- 副業収入には、社会保険料がかかっていない
- 青色申告控除65万円が認められている
- 生活費のうち、事業に関係する部分は経費として認められる
サラリーマンの副業が「事業所得」として認められるためにはいくつかのハードルがありますが、やってみるメリットは十分にあると言えそうです。
副業が軌道に乗れば、
- 生活水準を向上させられる
- 資産の増加スピードが伸びる
- 会社をやめて独立できる可能性も出てくる
と、イイコトだらけです。
副業解禁時代のこのご時世、ぜひ副業で稼ぐという選択肢にも目を向けてみましょう。
それではまたっ!
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