こんにちは、こびと株(kobito_kabu)です。
この記事は、証券アナリストとテクニカルアナリストの違いをまとめた記事です。
- 合格率(難易度)
- 価値
- 費用
などについて比較していきます。
目次
証券アナリストとテクニカルアナリストの比較表
まずは結論から。違いを比較した一覧表です。
証券アナリストとテクニカルアナリストの「主催団体」の違い
それぞれの資格認定は
- 証券アナリスト:公益社団法人日本証券アナリスト協会
- テクニカルアナリスト:日本テクニカルアナリスト協会(特定非営利活動法人)
が行っています
どちらの協会も、アナリストに関する国際連盟に加入しています。
なお、法人形態が違いますが、これは、法人の設立方法や税制の優遇措置が異なるだけのこと。
どちらが格上とかどちらが格下とかいうことはありません(内閣府HP:公益法人制度とNPO法人制度の比較について)。
証券アナリストとテクニカルアナリストの「資格の意義」「評価」の違い
証券アナリスト資格の意義
証券アナリストはこのような資格です。
証券アナリストとは、証券投資の分野において、高度の専門知識と分析技術を応用し、各種情報の分析と投資価値の評価を行い、投資助言や投資管理サービスを提供するプロフェッショナルです。
(出典:日本証券アナリスト協会HP)
証券アナリスト資格の価値
この資格の価値については色々と言われていますが、
- 大学生の場合、一次試験レベルに合格していれば、金融機関への就活で有利
- 金融機関勤務の場合、20代後半までに資格を取れていればそれなりに評価される
- 30歳以降は、出世でも転職でも武器にはならない
というのが一般的な認識のようです。
テクニカルアナリスト資格の意義
テクニカルアナリストはこのような資格です。
証券または産業界に関する問題について調査を行い、投資家に役立つような結論を導き出す専門家のうち、チャート分析を重視するもの。
(出典:Weblio辞書)
ざっくりとしたイメージとしては
- 証券アナリストは証券投資における総合的なプロフェッショナル
- テクニカルアナリストはチャート分析に特化している
というところでしょう。
証券投資における幅広い教養・総合力という意味では、証券アナリストに軍配があがると思います。
テクニカルアナリスト資格の価値
この資格の価値については、ネット上にはほとんど情報がありません。
証券アナリストのように
- 就職
- 出世
- 転職
などの側面から判断すると、ほとんど無価値といえそうです。
ただ、テクニカル分析については体系的に学べるようなので、投資が大好きな人にとって趣味の資格としては悪くないと思います。
証券アナリストとテクニカルアナリストの「会員数」の違い
- 証券アナリストの会員数:約28,000名
- テクニカルアナリストの会員数:約3,000名
証券アナリストは、テクニカルアナリストの10倍以上の数がいます。規模感が全く違いますね。
証券アナリストとテクニカルアナリストの「費用」の違い
どちらの資格もそれなりにコストがかかる印象ですね。
証券アナリストの費用合計
155,000円(一時金)+18,000円(年会費)
- 一次試験通信教育受講費:60,000円
- 一次試験受験費(3科目):13,000円
- 二次試験通信教育受講費:57,000円
- 二次試験受験費:15,000円
- 入会金:10,000円
- 年会費:18,000円/年
テクニカルアナリストの費用合計
76,000円(一時金)+18,000円(年会費)
- 一次資格試験通信教育受講費:55,000円
- 一次資格試験受験費:11,000円
- 入会金:10,000円
- 年会費:18,000円/年
※テクニカルアナリストは、一次資格試験、二次資格試験、三次資格試験があります。
順番に、国内資格、国際資格、最上級資格(修士レベル)となっています。
一次資格試験に合格して会員登録すると、名刺にテクニカルアナリストとして記載できるようになります。
証券アナリストとテクニカルアナリストの「学習範囲」の違い
証券アナリストの学習範囲
証券アナリストの学習範囲はこのような感じです。2022年度よりカリキュラム体系が変更となりました。
※上記をご覧頂ければ分かる通り、テクニカル分析は学習範囲の対象外です。
テクニカルアナリストの学習範囲
テクニカルアナリストの学習範囲はこのような感じです。
論点は完全に「テクニカル分析」に特化しており、会計学や経済は試験範囲に入っていません。
それどころか、ポートフォリオマネジメントのような基礎理論もないですね。
証券アナリストとテクニカルアナリストの「難易度(合格率)」の違い
証券アナリストの難易度(合格率)
証券アナリスト試験は、一次試験と二次試験があります。
一次試験は年2回(春・秋)、二次試験は年1回(春)です。
- 一次試験(春)合格率:49.5%(2016年~2023年の平均)
- 一次試験(秋)合格率:51.9%(2016年~2022年の平均)
- 二次試験合格率:49.8%(2015年~2022年の平均)
一次試験の受験者は、概ね4,000名~10,000名程度(3科目合計)です。春と秋どちらが難しい・簡単ということはありません。
二次試験の受験者は概ね2,500名前後です。
一次・二次ともに、合格率は50%前後で安定してキープされています。実施年度によって合格率が大きく異なるということもなく、安定した傾向です。
勉強時間は概ね100~300時間と言われているようですね。
私は日商簿記1級を取得していますが、証券アナリストと簿記を比較すると
- 学習範囲の難易度:日商簿記1級と同等かそれ以上
- 合格への難易度:日商簿記2級と同等かちょっと上
という認識です。
つまり、学習項目そのものは難解ですが、相対評価&合格率高めの試験なので、合格はそれほど難しくないという印象です。
テクニカルアナリストの難易度(合格率)
一次資格試験合格率:80%程度(直近8回平均)
受験者は、夏期・冬期ともに150~200名程度です。大分数が少ないですね!
証券アナリストとテクニカルアナリストの「勉強方法」の違い
証券アナリストの勉強方法
市販の教材やネット上の情報もそれなりに充実しているため、独学しようと思えばそれも十分に可能です。
とはいえ、TACが専用講座を開設していますので、こちらを受講することで大幅な合格可能性アップを狙えるのも事実でしょう。
ちなみに、証券アナリスト協会から送付されてくる通信テキストは、受験勉強のためには一切使えません。
届いたら縛ってすぐに捨てましょうというのが証券アナリスト受験者達の合言葉です(職業倫理や過去問など、一部必要なものもあるので注意)。
テクニカルアナリストの勉強方法
テクニカルアナリストの場合、予備校の講座はありません(受験者数が極端に少なく、合格率も低くはないため需要がないのだと思います)。
数少ないネット上の情報を確認する限り、テクニカルアナリストの場合は送付されてくる通信テキスト(添削問題)にしっかり対応する必要がありそうです。
証券アナリストとテクニカルアナリストの比較まとめ
証券アナリストは、金融系の資格としては国内で最もメジャーな資格でしょう。
試験合格者には一流大学卒・一流金融機関の人たちが数多く含まれており、それなりに権威がある資格です。
「証券アナリストに合格したらと投資の成績が上がるか?」と聞かれれば、答えは「分からない」なのですが、知っていて困る知識ではありません。
一方で、テクニカルアナリストはマイナーな資格ですね。
「テクニカル分析を深く学びたい!」ということであれば検討の余地があると思いますが、学習のコスパが良いかどうかは微妙なところです。
通信教材と受験費のコストがそれなりにかかりますからね。
「投資家としてスキルアップしたい!」という方はこの2つの資格のどちらかを検討してみてはいかがでしょうか。
学習にも複利効果があります。将来生み出す利益を考えたら、大した投資じゃないかもしれないですよ。
それではまたっ!
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