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キヤノン 2019年12月期期末決算(2020年1月29日公表)
キヤノン株式会社のこびと「かのん」から、2019年1月1日~12月31日の業務報告が届いております。
経営成績の報告
当期 前期
売 上 高 3兆5,933億円 3兆9,519億円
営業利益率 4.9% 8.7%
1株純利益 116.93円 234.09円
配当 80円(中間)+80円(期末)
かのんちゃん、ボロボロの経営成績です。
売上は1割減。利益はざっくり昨年の半分程度。利益率も激減。
回復の兆しが見えず、さすがにこびと株オーナーもビビってきました(笑)
3Q末時点の着地予想の達成率も
- 売上 :99%
- 営業利益:93%
- 税前利益:91%
- 税後利益:89%
と、完全未達。3ヶ月後の業績も見通せていない、かのんちゃんです。
セグメント別にみても、
- オフィス:売上▲5.8%、税前利益▲23.9%
- イメージングシステム:売上▲16.8%、税前利益▲62.1%
- メディカルシステム:売上+0.2%、税前利益▲7.4%
- 産業機器その他:売上▲12.5%、税前利益▲73.1%
結局、4つのセグメント全てで減益となりました。しかも、メディカルシステム以外は2ケタ%の減益。
売上ベースでも、伸びているのはメディカルシステムのみ。しかも増加幅は0.2%。
そして、このマシなセグメント(メディカルシステム)の売上構成比は、たったの12%。
財政状態の報告
当期末 前期末
総 資 産 4兆7,684億円 4兆8,995億円
1株純資産 2,531.03円 2,618.76円
自己資本比率 56.5% 57.7%
流動比率 199.1% 192.2%
財政状態の各項目も、じわじわと悪化しています。
現時点では特に問題を感じる水準ではありませんが、業績が回復しないとジリ貧なのは確か。
キャッシュ・フローの状況
当期 前期
営業C/F 3,585億円 3,653億円
投資C/F ▲2,286億円 ▲1,956億円
財務C/F ▲2,326億円 ▲3,548億円
営業CFが、前期比マイナス。前期は”営業CF激減の年”だったのに、そこからさらにマイナスです。
たな卸資産や売上債権を減少させたものの、当期利益の減少や減価償却費・買入債務の減少を補いきれなかった様子。
※たな卸資産については、金額は減っているが回転日数は増えているという問題もあります
かのんちゃんは、この厳しい業績の中でも、固定資産購入等を増加させています。
投資CFの支出額はは昨年比16%増。おかげでFCFは400億円近い減少。
さらに、当期は自己株買いも行いました。
ただし、長期債務の返済を前年の6%程度に圧縮することで、財務CFのマイナスは昨年より1200億円ほど減らしています。
「事業の稼ぎが少なかろうが、借金の返済額減らそうが、とにかく事業投資と株主還元はするんだ!」という、かのんちゃんの根性が見えるようです。
結局、キャッシュの残高は、前期比で1,078億円減少。
そしてかのんちゃん、「これは厳しい」ということなのか、2020/1/17付けで1,000億円の借入を実行しました。
当座貸越契約による、運転資金の調達。貸し手は、みずほ銀行・三菱UFJ銀行。
今後の見通し
最新のニュース
かのんちゃんは、情報開示に熱心なこびとです。
規模も大きめなので、日々様々なニュースリリース(含むIR)を出しています。
この3ヶ月でも、新商品の公表、展示会のお知らせ、受賞の発表など、いろいろなモノがありました。
あえて触れておくとすれば
- メディカル事業の組織再編
- 公認会計士の異動
あたりでしょうか。
①組織再編は、ざっくり
- 国内のメディカル事業をキヤノンメディカルシステムズ㈱に集約
- 米国のメディカル事業をキヤノンメディカルシステムズUSA Inc.に集約
という感じ。
②公認会計士の異動は
- 【退任】EY 新日本有限責任監査法人
- 【就任】有限責任監査法人トーマツ
です。
というのが、かのんちゃんの主張。
こびと株オーナーとしても、定期的な監査法人の見直しに異論はありません。
「会計基準の適用について、EYと折り合わないところがあったのでは?」
「監査法人変えると、直後は引継ぎコストが発生する気がするけど、大丈夫なのかしら?」
なんて、取り越し苦労をしてしまうフルーツなのでした。
業績予想
そうは言ってもかのんちゃん。予想が達成できたとしても、売上・利益とも昨年の水準にも届かないレベル。
例えば、予想1株当たり純利益は150.4円。当期と同じ配当金(年間160円)を維持すれば、来年もタコ足配当になってしまいます。
かのんちゃん的に強化していく分野は、引き続き「医療機器」や「ネットワークカメラ」などの新規事業。
とはいえ、業績予想を見る限り、これらの事業も”かのんちゃんの救世主”となるほどの体力はなさそうな様子です。
配当金について
期末の配当金は、前期と同額の80円。中間配当と合わせて160円。
苦しい中ですが、減配は行われませんでした。
株主還元の意識が強いのは有りがたいですが、これがいつまで続けられるか…。さすがにハラハラする経営成績になってきました。
今期は、配当性向だけでも136.1%。完全にタコ足配当の状態です。
ちなみに、決算発表翌日の1/30、株価は2,875円(終値)と前日比5.3%のマイナスでした。
私たちがかのんちゃんを購入したのは、2016年ごろ。
2016~2019年の4年分の配当は、ざっくり630円(当期期末配当を含む)。株価の下落額は1/30終値時点で550円ちょっと。
かのんちゃんは現在、こびと株たちの中で1番の問題児です。
とはいえ、情報開示と株主還元の意思はハッキリと感じる子なので、あたたかく見守っていこうとは思います。
この”こびと株.comメンバー特有の方針”が吉とでるか凶とでるか…。実験的な意味もこめて、鬼ホールドを続ける予定なのです。
それではまたっ!
(参考:キヤノン株式会社 期末決算短信等)
分散が鉄則の高配当株投資。きちんと分散していないと、かのんちゃんみたいボロボロの株が混ざってしまったとき、一発アウトです。
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SBI証券を使った少額分散投資は、コスト面で優秀ですね。
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