こんにちは、こびと株(kobito_kabu)です。
毎月やっている高配当株ランキング、これまでは下記の記事構成で書いていました。
- 前半部分:その月の経済トピックス
- 後半部分:高配当株の紹介
でも、最近はあまりにも長くなりすぎていたので、先月以降は記事を2分割してお送りしています。
この記事は、従来記事の前半部分にあたる「投資トピックス」に関する記事です。
私は
- 高配当株投資
- インデックス投資(つみたてNISAやiDeCoのみ)
をやっています。
ですので、この2つの投資にどのような影響があるかという観点で、投資トピックスをまとめていきます。
というわけで、本記事の構成はこの通り。
- 日本株の投資トピックス
- 外国株の投資トピックス
- まとめ:高配当株投資のポジションについて
目次
日本株の投資トピックス
日本株については、以下の順番で解説します。
- 株価指数の推移
- その他指数の推移
- 9月のトピックス(菅内閣誕生)
①株価指数の推移(日経平均・TOPIX・J-REIT)
9月25日時点の終値は、この通り。
- 日経平均株価:23,204 円(年初来安値16,358 円)
- TOPIX:1,634 pt(年初来安値1,199 pt)
- J-REIT指数:1,735 pt(年初来安値1,138 pt)
この3つの指数の、直近1年の値動きを見てみるとこんな感じです。
JREITの出遅れが目立ちますが、日経平均&トピックスは、もうほとんどコロナ前の水準です。
9月中の値動きは、この通り。
後述しますが「9月に株価がほとんど下がらなかった」のは、先進国のなかでは日本ぐらいです。
相対的に「強い」動きをしています。
J-REITは、コロナショックで株価が約50%OFFと大暴落。いわゆるバーゲンセール状態になりました。
その後、多少持ち直しているものの、現状はコロナ前ピークの77%ほどです。
この状況を見ると「J-REITってどうなの?」と不安になる人もいるかもしれません。
しかし、2003年を起点にすると、J-REITの配当込み指数は17年で3.7倍になっています。
(出典:https://j-reit.jp/market/02.html)
トータルリターンは年約8%ほどと、かなりの好成績。
TOPIXにも、ほぼ一貫して勝っていることが分かります。
日本社会は少子高齢化・人口減を迎えますが、
- 紙幣バラマキによるインフレ懸念
- 都市圏一等地と郊外の不動産価格の二極化
- 外国株と違って為替リスクがない
といったことを考えると、「分散投資の一角」としてJ-REITを保有するのはアリだと思っています。
もちろん、コロナによるテレワーク推進や旅行需要の減少などは大きなリスクです。
②その他指数の推移
この2つをチェックしときます。
- 景気動向指数
- 景気ウォッチャー指数
ざっくりとした景気の雰囲気を掴むのに大事だからです。
普段から気にしている指数というワケではないですが、今は
- 景気の「底」
- 景気回復の「ペース」
を探るための参考として眺めています。
底が分かれば「(全体的には)これ以上の大きな減配懸念はないだろう」ということで、多少強気に株を物色できますからね。
①景気動向指数は、この通り。
4月に底を打ってから、回復傾向です。
とはいえ、7月の数値は86.7(※100が基準値なので、まだまだ全然弱いです。)
(出典:景気動向指数9/7公表分)
景気動向指数は、
- 景気全体の現状を知ったり
- 将来の動向を予測したりするときに
使われる経済指標です。産業、金融、労働など、経済に重要かつ景気に敏感な28項目の景気指標をもとに指数が算出されています。
色々な指標をミキサーに入れてスイッチをいれると、1つの「景気動向指数」ができるというイメージです。
在庫が減るということは、製品が出荷されているということです。つまり、経済がイイ感じに回りはじめているということですね。
また、中小企業のシャチョさんは景気動向に敏感なので、彼らに「今後の売上はどうなりそう?」って聞けば、占えます。9月は彼らの回答がちょっとイイ感じになってきたということです。
次に、②景気ウォッチャー指数はこの通り。
8月は42.4ポイント(前月比+6.4ポイント)となっており、「好景気」の判断の分かれ目となる50を下回っています。
銀座のママさんやタクシーの運転手さんが「景気が悪い」と判断しているということです。
(出典:景気ウォッチャー指数9月8日公表)
百貨店・スーパーマーケット・コンビニなどの小売店やレジャー業界で働く人、タクシー運転手など、景気に敏感な職種の約2000人にインタビューし、調査結果を集計・分析して発表するもの。
ロックダウン・強力な外出自粛要請といったことがなければ、3~4月のような経済状況にはならなさそうな雰囲気ですね。
様々な指数・ニュースを見ながら
- すでに景気全体は”底”を打っている
- 企業の業績も、今年が”底”だろう
- 今後数年で景気は回復していくだろう
こういった見込みを持てるのなら、「今より配当金が下がらないだろう」と思える会社に、ある程度自信を持って投資できるというものです。
③9月のトピックス
9月のトピックスは、これです
- 菅政権誕生
9月16日、菅義偉政権が発足しました。安倍前首相の辞意表明から、わずか3週間弱でのバトンタッチです。
史上最強レベルに投資家に優しい「安倍政権」からの交代ということで、市場では色々と警戒感も出ていましたが…フタを開けてみれば、現状大きな動きは起きていません。
なぜなら、世界中の投資家は「アベノミクスと同じ路線が維持されるはず」と踏んでいるからですね。
実際、政府と連携して大規模な金融緩和をやっている日本銀行は、政権発足後はじめて開かれた「金融政策決定会合」において
ということを明確にしています。
日銀は17日の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策や、新型コロナウイルス感染症対応で導入した企業の資金繰り支援策など現行政策の維持を決めた。
黒田東彦総裁は会合後の会見で「引き続き政府と連携し、現在の政策運営のもとで日本経済を支えたい」と述べ、菅新政権の下でも大規模な金融緩和を続ける考えを示した。
(出典:東京新聞「日銀総裁「菅政権でも連携」 大規模金融緩和維持」)
※赤字は筆者
私的に、困ったちゃんなのは、菅首相のこのスタンスです。
菅義偉首相は「国民のために働く内閣」を掲げ、従来の持論だった「携帯電話料金の引き下げ」を「改革の目玉」に据えた。
(出典:毎日新聞「菅政権「1割では改革でない」携帯料金値下げの本気度」)
2018年から、「携帯料金、4割ぐらい下げられるよね」なんて発言をしていたのですが、その闘志が首相就任により再燃したかたちです
※結局、大手携帯キャリアがうまいことやって「全然収益性が落ちなかった」ので、もうこの話題忘れてました(笑)
これを受けて、ドコモやKDDIなど、通信株はクラッシュ。
特に、KDDIはたった1ヵ月で約20%下落しています。
コロナで色々な企業が苦しむなか、堅調な業績を維持・拡大してきていた通信株。
高配当株投資家にとって「心のオアシス」だった通信株は、世界最速クラスの2番底を食らうハメになりました。
- 私は、格安SIMユーザー(楽天モバイル)です
- ドコモやKDDIなどのキャリアは価格が高いです。正直、利用する意味が分かりません
- でも、世の中にたくさんキャリアを使ってくれる人がいるので、キャリアは儲かります
- だから、私はキャリアの株主になって、ウハウハしようと思ったわけです
神様は、そういう強欲な私を見逃さなかったということです。悪かったって。
※誰か、菅首相に「格安SIM」の存在を教えてあげてください
冗談はさておき、国策に逆らってはいけません。
ちょっと安くなったからと言って、ウカツにナンピンするのもいかがなものかと思います。
私は、通信株の買い増しはいったんストップして、他のセクターの株を買い増すことでポートフォリオに占める携帯株の比率を落としていくつもりです。
業績影響は明確になっていないですし、携帯キャリアはなんだかんだ「値下げ圧力」をうまくかわして業績を伸ばしてきた歴史があるので…どうなることやら。
今後の業績推移に、要注意ですね。
次の関心ごとは、解散総選挙でしょうか。しばらくは、政治動向から目が離せません。
外国株の投資トピックス
外国株については、この4つの順番で見ていきます。
- 株価指数の推移
- ゴールド・債券ファンド等の値動き
- 高配当ファンドの値動き
- 9月のトピックス
①株価指数の推移
日本を除くG7の主要株価指数の推移(直近1年)は、この通り。
直近1年のパフォーマンスは、こんな感じです。
- S&P500(米国):+11.37%(9月に入ってから下落傾向)
- DAX30(ドイツ):+0.71%
- FTSE100(イギリス):▲21.32%
- CAC40種(フランス):▲16.15%
- S&P TSX(カナダ):▲3.77%
- FTSE MIB(イタリア):▲15.07%
9月単月で見ると、この通り。6ヵ国すべてがマイナスに沈んでいます。
②ゴールド・債券ETF等の値動き
コロナショック以後、世界中の国々で金融緩和が行われるなかでゴールド価格は一貫して値上がりを続けてきました。
ところが、ここに来てゴールドの価格は下落中。
8月に史上最高値を記録してから、すでに10%ほど下落していますね。
理由はドル高です。
- みんながドルを欲しがる→ゴールドは売られる
- みんながゴールドを欲しがる→ドルは売られる
という感じで、ゴールドとドルには逆相関があります(一般論です。タイミングによっては同じような動きをすることももちろんあります)。
コロナ感染再拡大の懸念・欧州銀行のマネーロンダリング問題などで、ヨーロッパがコケたので、ドルが買われたということです。ゴールド下落は、その「もらい事故」みたいなものかもしれません。
ゴールドのようなコモディティ(商品)は、株式のように
- 企業価値が成長するでもなく
- 配当金を生み出すわけでもなく
単に、需給で価格が決まります。
自分なりのストーリーをもって投資できないと、市場に振り回されるハメになる難しいアセットです。
もちろん、長期鬼ホールドするつもりなら短期の値動きは関係ありません。
お次は、債券です。
投資額に対して2%~5%ほどのインカム(利息)が欲しければ、米国債券が有望な投資候補になります。というわけで、米国の債券ファンドを3つチェック。
- AGG:ローリスク・ローリターンな債券(格付け高く、利回り低い)
- LQD:ミドルリスク・ミドルリターンな債券(格付け普通、利回り普通)
- HYG:ハイリスク・ハイリターンな債券(格付け低く、利回り高い)
米国総合債券に投資する【AGG】というファンドのチャートはこの通り。現在の分配金利回りは2.3%ほどです。
投資対象の約7割は、格付けがAAA(トリプルエー)の債券です。
ここ数年は、安定して3%ぐらいの利回りがありましたが、利回りはこれからも下がっていくでしょう。アメリカ政府がゼロ金利政策をやっているからです。
米国優良社債に投資する【LQD】というファンドのチャートはこの通り。分配金利回りは2.9%ほど。
投資対象の約8割は、格付けがBBB(トリプルビー)~Aの債券です。ギャンブル性の低い「投資適格」な債券であるものの、AGGよりは安全性が低いです。
こちらも、ここ数年は3.5%ぐらいは利回りがとれていましたが、利回り低下傾向。
最後は【HYG】です。ゴミ債券、いわゆるジャンク債に投資するハイリスクな債券ファンドです。現在の利回りは5%ほど。
投資対象のほぼすべてが、格付けCCC(トリプルシー)~BBの債券です。ギャンブル性が高く、投資不適格と呼ばれる債券たちですね。
不景気がきたらボロボロになる債券のはずですが、政府のヘリコプターマネーで買い支えられています。
とはいえここ1ヶ月は、AGG、LQD、HYG、いずれの価格も下落傾向ですね。
さて、その他枠として、ご参考までに下記をご紹介。トレンドネタだからです。
- VUG:米国株(成長株=グロース)のETF
- VTV:米国株(割安株=バリュー)のETF
の2つを比較したチャートをご覧ください。
コロナ以後、グロース株は絶好調でしたがここに来て少し様子が変わっています。GAFAMを中心とするハイテク株に調整があり、それに引っ張られて下落したかたちです。
一方で、オワコン扱いされているバリュー株はどうかというと…グロースよりは値下がりが小さいですね。
つまり、グロースとバリューのパフォーマンス差が若干縮まったということ。
今後もこの傾向は続くのか?注視していきたいところです。
③インカム系ETFの値動き
私の愛する高配当株ETFについて見てみましょう。
- キャピタル(売却益)も
- インカム(分配金)も
両方狙えるポテンシャルのあるファンドたちです。
HDV、VYM、SPYDの直近1年のチャートは、この通り。
グロースがコケたぶん、逆に伸びてくれよと思うのですが、そういう動きにはなっていません(笑)
コロナ前の水準にはいまだ程遠く、特にSPYDは出遅れが目立ちます。
上記3ETFは、四半期配当です。9月の配当がどうなったか、前年同期と比べてみると…
- HDV…微減(ほぼ前年同期並み)
- VYM…約1割減
- SPYD…約4割減
ということで、明暗が分かれました。
個別株にせよ、ETFにせよ、高い分配利回りは、リスクの裏返しです。
財務が脆弱な企業たちは、
- 好景気であれば、百難が隠れていますが
- 不景気がくると、百難が顕在化します
コロナきっかけの不景気という「不運」を引いてしまった以上、顕在化したリスク=減配は受け入れるしかありません。
- 「不景気で減配するなんて!」とビックリしてしまった人→投資の想定・前提が崩れているので損切り
- 「不景気で減配なんて当然。リスクを想定して、もともと投資割合をおさえていた」→投資の想定・前提が崩れていないのでそのまま
という感じでしょうか。
もちろん「思っていたより減配が大きい」という場合にも、損切りを考えても良いと思います。運用を続けながら、ちょうどよいバランスを見つけていくしかないですね。
④9月のトピックス
9月のトピックスは、この2つ。
- 米国のハイテク企業に調整
- 欧州ズッコケ
今、世界の株式市場を牽引しているのは、米国のハイテク企業達です。
代表的なのは、GAFAMですね。
- Amazon
- Apple
- Microsoft
今や、たった5社でS&P500の時価総額の20%以上を占めています。
ハイテク企業を集めた【QQQ】というファンドの値動きは、この通り。
コロナショック以後、一貫して右肩上がりを続けてきましたが、9月初旬に崩れピークから10%ほど下落しています。
今まで「一人勝ち」状態だったので、投資家の間で「米ハイテク企業が相対的に割高になってきた」という認識があるのでしょう。
すでに、他のカントリー・セクターへ資金が流れつつある(=ローテーションが起きつつある)という話もあります。
- このまま下落を続けるのか
- 持ち直すのか
要注目ですね。
欧州で、問題が起きています。
- 大手金融機関のマネーロンダリング問題
- コロナウイルスの感染拡大懸念が再燃
まず、①マネロン問題。
9月21日に、こんな記事が出ました。
複数の世界的な大手金融機関が過去20年近く巨額のマネーロンダリング(資金洗浄)に利用されていた疑いがあることが、米政府の内部文書で発覚した。
取引総額は計2兆ドル(約209兆円)に上る規模だという。
(出典:時事.com「世界の金融大手、マネロン疑惑 米政府文書で発覚、株価急落」)
米国の大手銀行の他、
- 英HSBCホールディングス
- 英スタンダード・チャータード
- ドイツ銀行
など、欧州の大手銀行が「詐欺や麻薬取引などの犯罪に関連した資金であると把握しながら、不正送金を許可していた疑いがある」とのことで、株価が急落。
マネーロンダリング(資金洗浄)があったことは「すでに過去の話」ではありますが、こういったことが明るみになると
- 金融機関に対する規制が厳しくなり
- それにより収益力が低下する
という流れが起きます。
金融機関は、ただでさえ世界的な低金利で収益力が悪化しているのに、泣きっ面にハチ状態ですね。悪いトレンドが、なかなか変わりません。
次に、コロナウイルスの感染再拡大について。
こちら、NHKニュースより抜粋。
新型コロナウイルスの感染が再び広がっているヨーロッパではスペインで感染状況が深刻な首都周辺の一部の地区で住民の出入りが原則として禁止されたほか、イギリスでも新たな感染対策が検討されるなど各国が対応に追われています。
イギリスでは「午後10時以降、翌日午前5時までパブ(大衆酒場)やバー、レストランの営業禁止」となるなど、規制が強化されています。
それもそのはず、コロナウイルスの新規感染者数が右肩上がりだからです。
(出典:「集団免疫」は空想に過ぎない 2回目のロックダウンに戦々恐々とする英国の教訓)
このように、欧州では「感染者が再拡大」しており、経済回復に対する懸念が強くなっています。
- 米国株が調整局面に入り
- ヨーロッパにも良いニュースがないなか
- 比較的、状況が安定している日本株にお金が集まりつつある
という感じでしょうか。
なんにせよ、世界経済の見通しは不透明。大ケガしないように、慎重にやっていきましょう。
まとめ:高配当株投資のポジションについて
以上をまとめると、この通り。
- 日経平均、TOPIX、J-REITはボチボチ
- 日本全体の景気は、若干回復傾向(とはいえ、まだまだ弱い)
- 菅政権誕生も、アベノミクス継続路線で大きな影響なし
- ドコモやKDDIなどの携帯通信株は暴落(高値から▲20%)
- 世界的に見ると、8月までの流れから一転、株も債券もゴールドもすべて値下がり(日本株だけが堅調)
- 米国のハイテク株に調整(高値から▲10%)
- 大手銀行の不正・コロナ感染再拡大などで、ヨーロッパの回復がつまづく
現状、不景気の株高という認識は変わりません。
この状況で、どう戦うか?
インデックス投資(つみたてNISA、iDeCo)については、市場経済でどんなことがあろうと、そのスタンスを崩すつもりはありません。ひたすらに積み立て続けます。
※非課税枠を100%株式運用するだけでも、まとまった老後資金になりそうですよね。
インカムを増やすための高配当株のポジションについては、
- 本来は、不景気・株安のなかで、実力以上に売られている会社を買いたいのに
- 現状は、不景気・株高で、実力以上に売られている会社を見つけづらい状況にあります
引き続き、テンション低めで買い進めるという感じです。ちなみに、HDVとかVYMは、今ぐらいの水準(70ドル台)ならそこまで悪くないかな。
日本株の個別株については、10月初旬に公開する「高配当株ランキング」をお待ちくださいませ。
というわけで、盛りだくさんな情報にお付き合いいただきありがとうございましたm(_ _”m)
引き続き、よろしくお願いします。
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