こんにちは、こびと株(kobito_kabu)です。
現在、
- 高配当株投資
- インデックス投資(つみたてNISAやiDeCoのみ)
の両刀で資産運用をやっています。
毎月恒例企画ということで、8月の投資トピックスについて「この2つの投資にどのような影響があるか」という観点で、まとめていきます。
本記事の構成はこの通り。
- 日本株の投資トピックス
- 外国株の投資トピックス
- まとめ:高配当株投資のポジションについて
目次
日本株の投資トピックス
日本株については、以下の順番で解説します。
- 株価指数の推移
- その他指数の推移
- 8月のトピックス
①株価指数の推移(日経平均・TOPIX・J-REIT・マザーズ)
8月31日時点の株価は、この通り。
- REIT指数:2,034pt(-2.27%)
- TOPIX:1,963pt(-3.30%)
- 日経平均株価:28,092円(-4.13%)
- マザーズ指数:742pt(-24.02%)
※端数は四捨五入。カッコ内は、いずれも「年初来」。
この4つの指数の、年初来の値動きを見てみるとこんな感じです。
8月単月の動きを見ると、この通り。
- マザーズ指数 +2.42%
- 日経平均株価 +0.35%
- TOPIX +0.16%
- REIT指数 -0.10%
詳しくは後で解説しますが、日本の上場企業の業績は
- 2四半期連続で前年同期比減
- ただし、4社に1社は過去最高益で、業界により明暗の差が激しい
- 本業の業績はイマイチも、円安が業績にプラス
という感じ。
今の日本株は、世界経済が減速するなか「円安に助けられている」という感じでしょうか。
②その他指数の推移
この3つをチェックしておきます。
- GDP
- 景気動向指数
- その他の指数(物価、失業率・求人倍率など)
最初に、①GDPについて。
2022年4月~6月期のGDPが発表されました。
GDP(対前期増減率)の推移はこの通り。
(出典:「4~6月のGDP 年率プラス2.2% 3期連続のプラス成長」)
- 前期比0.5%増(年率換算で2.2%増)
- 3四半期連続のプラス成長
という結果です。
悪くはない…と言いたいところですが、まだまだGDP回復の余地はあります。
こちらの棒グラフをご覧ください。
コロナ前の時期も含めた、GDPの推移です。
(出典:「4~6月のGDP 年率プラス2.2% 3期連続のプラス成長」)
内閣府は、
- 2022年4月~6月のGDPは542兆円
- これは、2019年10月~12月のコロナ前GDP(540兆円)を上回る水準
- コロナショック前のGDP水準に回復しました!
こう発表しています。
とはいえ、もともと2019年10月~12月のGDPは「消費税増税」の影響で消費が冷え込んだ時期のものです。
ここと比べるのではなく、その前のGDP水準と比べて「回復」までもっていきたいところ。
次に、②景気動向指数(先行指数)について。
6月の数値(8月29日公表)は、100.9となりました。
(出典:景気動向指数 速報からの改訂状況)
景気動向指数は、
- 景気全体の現状を知ったり
- 将来の動向を予測したりするときに
使われる経済指標です。産業、金融、労働など、経済に重要かつ景気に敏感な30項目の景気指標をもとに指数が算出されています。
色々な指標をミキサーに入れてスイッチをいれると、1つの「景気動向指数」ができるというイメージです。
景気動向指数を見る上で大切なのは、この2つ。
- この数カ月、プラストレンドか?マイナストレンドか?
- プラス幅(又はマイナス幅)はどれぐらいか?
ココ1年の推移を見てみると、この通り。
- 7月 104.0(前月比-0.7ポイント)
- 8月 101.6(前月比−2.4ポイント)
- 9月 99.9(前月比-1.7ポイント)
- 10月 100.6(前月比+0.7ポイント)
- 11月 102.0(前月比+1.4ポイント)
- 12月 102.9(前月比+0.9ポイント)
- 1月 101.3(前月比-1.6ポイント)
- 2月 100.3(前月比-1.0ポイント)
- 3月 100.8(前月比+0.5ポイント)
- 4月 102.9(前月比+2.1ポイント)
- 5月 101.2(前月比-1.7ポイント)
- 6月 100.9(前月比-0.3ポイント)←New!!
ここしばらく、
- 景気が悪い(悪くなりそう)、という状況ではないけれど
- 景気が勢いよく伸びていく、という状況でもない
という感じが続いています。
最後に、③その他の指数について。
まず、消費者物価指数(8月19日発表)。
こちらは、前年同月比+2.4%となりました。
(出典:日本経済新聞「消費者物価7月2.4%上昇 4カ月連続2%超」)
最後に、雇用関係(失業率、求人倍率)の指標です。
- 7月の完全失業率…2.6%(前回は2.6%)
- 7月の有効求人倍率…1.29倍(前回は1.27倍)
※完全失業率が2.2%ぐらいまで戻ればほぼ完全雇用=ゴール。
(出典:日経新聞「有効求人倍率7カ月連続で上昇、7月1.29倍 失業率横ばい」)
特に大きな動きはなく、安定している状況です(少しず~つ、良くなっています)。
③8月の国内トピックス
日本株について、今月のトピックはこの2つです。
- インフレと日銀動向
- 上場企業の決算状況
インフレと日銀動向
インフレが続いています。
CPI(消費者物価指数)は、先ほども触れたとおり前年同月比+2.4%。
(出典:日本経済新聞「消費者物価7月2.4%上昇 4カ月連続2%超」)
- 物価の上昇は、11ヵ月連続
- 消費増税の影響があった14年12月(2.5%)以来、7年7カ月ぶりの上昇率で、4ヵ月連続の2.0%超え
- 電気代などエネルギーの上昇率は16.2%、生鮮食品が+8.3%、生鮮食品を除く食品も+3.7%
となりました。
実際、低所得者ほど「体感物価」が高いというデータも出てきていますね。
(出典:日本経済新聞「低所得層ほど物価高体感、7月2.7%上昇 高所得層は2.2%」)
低所得者世帯と高所得者世帯では、「何にどれくらいのお金を使うか?」が違うからですね。
(出典:日本経済新聞「低所得層ほど物価高体感、7月2.7%上昇 高所得層は2.2%」)
最近の物価上昇は、
- 食料:4.4%
- エネルギー(光熱費など):16.2%
- 旅行や映画鑑賞:0%台
という感じで、
- 「低所得者世帯の方が支出の比重が大きい品目」の価格が、特に上昇している
- 「高所得者世帯の方が支出の比重が大きい品目」の価格は、それほど上昇していない
というワケ。
ちなみに、このインフレ率を受けて、日銀様はこうおっしゃっています。
- 年内は2~3%くらいのインフレになるかもだけど
- 来年は1.5%に向けて減速すると思うんだよね
- つまり、「賃金と物価が安定的かつ持続的な形で上昇」しているとは言えないので
- まだまだ金融緩和です!
というお話ですね。
(参考:Bloomberg「黒田総裁、日銀は金融緩和策を維持する以外ない-ジャクソンホール」)
実際のところ、海外と比べれば、日本のインフレ率はまだまだ低く抑えられています。
結果として、円安傾向は続いています。
(出典:Bloomberg「円が年初来安値を更新、日米金融政策の格差で24年ぶり円安」)
8月末には、1ドル=140円に迫る円安を記録。さらに、9/1には1ドル=140円半ばまで下落しています。
これは、1998年以来24年ぶりの水準です。
- アメリカ:インフレがひどいので、金利を上げたい
- 日本:たいしたインフレじゃないので、金利は上げない
このスタンスの違いが続く限り、円安傾向は止まらないでしょう。
逆に言えば、この差が縮まれば、円高方向に振れ始めます。
上場企業の決算状況
上場企業の2022年4~6月期の決算状況は、次の通り。
純利益は、前年同期比26%減と2四半期連続で減益となりました。
(出典:日経新聞「上場企業の4~6月、26%減益 ソフトバンクGの影響大」)
利益の動きとしては、
- 2年前=2020年4月~6月にドカっと減って
- 1年前=2021年4月~6月以降に急回復して
- 今=2022年4月~6月でまた落ち込んでいる
という感じですね。
なお、SBGが3兆1627億円の赤字(日本企業の4~6月期としては過去最大)を計上しており、その影響で「日本企業全体の成績」がことさら悪く見えています。
業種別に見ると、こんな感じです。
(出典:日経新聞「上場企業の4~6月、26%減益 ソフトバンクGの影響大」)
自動車、食品、電気機器の弱さが目立ちます。
- 円安が業績にプラスに働く一方で
- 原材料費の高騰、半導体不足、需要停滞などがマイナスに働き
トータルで見ると、業績が伸び悩んでいます。
「ただ配当利回りが高いだけ」だった高配当株の中には、無配・減配転落している会社も少なくありません。
一方で、4社に1社は「過去最高益を更新」しているという現実もあります。
最高益を更新する上場企業が相次いでいる。
2022年4~6月期に純利益が同期間として過去最高となったのは542社と、全体の4社に1社にのぼった。
(出典:日経新聞「4社に1社が最高益 4~6月、商社や石油など資源高で」)※赤字は筆者
私の高配当株ポートフォリオは、
- 評価額は、過去最高を更新
- 配当金は、過去最高を更新
- 今後の業績見通しも悪くない
という状況。
- ただ配当利回りが高いだけの高配当株ではなく
- 好財務・高収益で地味な成長を期待できる高配当株を選んで
- 丁寧にセクター分散していく
この投資スタイルの「安定性」を再認識しています。
”為替だけ”で見ると、今外国株を買うのは高値掴みになるというのが私見です。
そういう意味で
- 今のような状況でも「いつもと変わらず稼げている」日本の優良高配当株は
- 相対的に、引き続き買い目線
ですね。
外国株の投資トピックス
お次は、外国株の話題です。
外国株については、この4つの順番で見ていきます。
- 株価指数の推移
- ゴールド・債券ETF等の値動き
- 高配当ファンドの値動き
- 8月のトピックス
①株価指数の推移
G7(主要先進7ヵ国)の、主な株価指数の推移(年初来)はこの通り。
※グーグルファイナンスでは、チャートを5つまでしか同時比較できないので、泣く泣く「FTSE MIB(イタリア)」を抜いています。
- FTSE100(イギリス) −2.94%
- S&P TSX(カナダ) −8.97%
- CAC40種(フランス) −15.13%
- S&P 500(米国) −17.55%
- DAX30(ドイツ) −19.89%
- FTSE MIB(イタリア) −22.25%
TOPIX(日本)は−3.30%。
いずれも年初来でマイナス圏に沈んでいます。
日本株は、相対的に見るとかなり健闘してますね。
8月単月の動きを見ると、この通り。
S&P500指数は、8月12日に「半値戻し」を達成しました。
(出典:S&P500指数は「半値戻し」 ベアマーケット脱出宣言はまだ早い?)
「半値戻し」というのは
- 1月3日の高値:4796.56ptから
- 6月16日の安値:3666.77ptまでの下落幅を
50%ぶん取り戻したということです。
株式相場には、「半値戻しは全値戻し」という相場格言があります。
要するに、半値戻しは「強気シグナルの点灯だ」ということです。
1950年以降、S&P500は弱気相場において「半値戻し」を達成した場合、その後最安値を下回った事は一度もありません。
過去の経験則に従うならば、6月16日が「底値」であり、「2番底はない」ことになります。
一方で、投資の世界に絶対はありません。
実際、8月末から9月にかけて、S&P500は再度下落しています。
- インフレ抑制のための利上げ(金利の上昇は、一般に株価にマイナス)
- QTの本格化(中央銀行が保有資産を減らすこと。一般に株価にマイナス)
- 将来の景気後退を示唆する逆イールド(景気後退=企業業績の悪化。株価にマイナス)
- 1株あたり予想EPSの減少…
ウクライナ紛争、中国・台湾関係など、地政学的なリスクもあり、ネガティブな要因もたくさんあります。
②ゴールド・債券ETF等の値動き
有名なゴールドETFである、「GLD」の値動きはこの通り。
(出典:グーグルファイナンス SPDRゴールド・シェアーズ(GLD))
年初来でプラスの成績を維持してきたゴールドですが、年初来-5.38%とマイナス圏に沈みました。
金価格は、
- 3月にピークを打った後
- 8月にかけてグダグダと値が下がり続けています
背景にあるのは、米国の利上げです。
今後、金利が1%、2%と上がっていくのなら、
- 利息が一切もらえないゴールドより
- 利息がもらえる債券の方が
投資家に好まれるようになる、というワケです。
金利の上昇が続くなか、魅力が乏しくなっているのが現状です。
お次は、債券です。
投資額に対して2%~5%ほどのインカム(利息)が欲しければ、米国債券が有望な投資候補になります。
米国の優良債券ファンドを3つチェックしてみましょう。
- AGG:ローリスク・ローリターンな債券(格付け高く、利回り低い)
- LQD:ミドルリスク・ミドルリターンな債券(格付け普通、利回り普通)
- HYG:ハイリスク・ハイリターンな債券(格付け低く、利回り高い)
米国総合債券に投資する【AGG】というファンドのチャートはこの通り。
- 年初来−11.11%
- 現在の分配金利回りは2.02%
- 投資対象の約7割は、格付けがAAA(トリプルエー)の債券です
値下がりの理由は、金利上昇です。
「債券」と「金利」は、シーソーの関係にあり、逆の動きをします。
その証拠に、金利のチャートを見てみましょう。
こちらは「米国の長期金利(10年国債)」の推移です(現在の金利は約3.26%)。
(出典:三井住友銀行「マーケット情報チャート」)
6~7月にかけて下がったかに見えた長期金利ですが、8月にまた上昇していることが分かりますね。
米国優良社債に投資する【LQD】というファンドのチャートはこの通り。
- 年初来−16.66%
- 分配金利回りは2.80%ほど
- 投資対象の約8割は、格付けがBBB(トリプルビー)~Aの債券です
- ギャンブル性の低い「投資適格」な債券であるものの、AGGよりは安全性が低いです
こちらも、金利上昇を背景に、価格推移はイマイチです。
最後は【HYG】です。
「ジャンク」「ゴミ」と言った呼ばれ方をする「投資不適格の債券」を集めた、ハイリスクな債券ファンドです。
- 年初来−14.30%
- 現在の利回りは4.77%ほど
- 投資対象のほぼすべてが、格付けCCC(トリプルシー)~BBの債券です(リスクが高いぶん、長期的なトータルリターンは大きい傾向)
こちらも、AGGやLQDと同様に、長期金利の上昇を受けて価格は下落しています。
まとめると、
- AGG(総合債券)…−11.11%
- LQD(優良社債)…−16.66%
- HYG(ジャンク債)…−14.30%
いずれも年初来で大きなマイナスリターンです。
今の債券相場は「1842年以来最悪」レベルです。
米国債は
- 1976年以降、4年を除いて全ての年でプラスのリターン
- FRBが6回の利上げで計2.5%も金利を引き上げた1994年でさえ、全体としてわずか3%の下げにとどまった
ということなので、2022年の米国債券市場はまさに「総悲観」と言える状況です。
「総悲観は買い」ということで、日に日に投資妙味が増している米国債券。
しかし、日本から投資するには、特有の注意点もあります。
それは、為替リスクです。
外国債券のリターンに占める「為替の影響」は非常に大きいです。
たとえば、
- 年3%の利息を7年間もらう(合計21%の利益)
- 為替が130円→100円と円高になれば、投資元本に約23%の為替差損が生じる
- せっかくの「利息」が「為替」で台無しになる
そんなイメージですね。
株式であれば、10年20年の間に株価が1.5倍2倍と成長する可能性があります。
そうなれば、20~30%の為替影響も十分に吸収できるでしょう。
一方、債券は株式のようには価格が伸びません(債券のリターンの大半は、利息が生み出します)。
だから、為替影響を吸収するのが難しくなるんですね。
結局、米国債の狙い時は
- 利回りが高い時(しかも、それ以上金利が上がらなさそうな時)
- 円高の時(少なくとも”円安”ではない時)
というワケ。
今は、①の面で魅力的になりつつありますが、②がダメですね。
③インカム系ETFの値動き
私の愛する高配当株ETFについて。
- キャピタル(売却益)も
- インカム(分配金)も
両方狙えるポテンシャルのあるファンドたちです。
HDV、VYM、SPYDの年初来のチャートは、この通り。
分配金を無視して価格だけ見ると
- 1位がHDV…-0.30%
- 2位がSPYD…−5.12%
- 3位がVYM…−7.87%
という順位になりました。
年初来で
- S&P500が−約17%
- NASDAQが−約25%
と沈んでいることを考えると、健闘していると言えます。
VYMは、ほどよく分散が効いており(約400銘柄に投資)、比較的S&P500に近い値動きをします。
一方、HDVは分散が小さめです(約70~80銘柄に投資)、S&P500との連動は弱いものの、不況時に強いという特徴があります。
HDVは、
- 上昇相場でゴリゴリ儲けたいというより
- 下落相場でダメージを抑えたい
という保守的な投資家に好まれるタイプのファンドです。
年初来でほぼトントンという成績は、現状「事前の期待通り」の働きをしていると言えますね。
現在の分配金利回りは
- SPYD:約3.8%(過去平均は約4.1%)
- VYM:約3.0%(過去平均は約3.1%)
- HDV:約3.1%(過去平均は約3.4%)
という状況。
低すぎる!というほどではないですが、特に旨味を感じる水準ではありません。
個人的には、この状態では買い増ししません。
2番底をつけにいくようなら、いったんそのあたりで検討するという感じでしょうか。
④8月の海外トピックス
最後に、外国株のトピックスです。
この2つを順番に見ていきます。
- ジャクソンホール会議と株価急落
- インフレと世界経済動向
ジャクソンホール会議と株価急落
8月25~27日に、米国でジャクソンホール会議が行われました。
米国のカンザスシティー連邦準備銀行が、ワイオミング州のジャクソンホールで毎年夏に開く金融・経済シンポジウム。
米連邦準備制度理事会(FRB)議長など各国中央銀行の要人や経済学者などが出席する。
(出典:大和証券「金融・証券用語解説」)
ジャクソンホール、大自然豊かな超イイ感じのところですね。
(出典:ブルームバーグ「ジャクソンホールの米欧中銀当局者、痛み覚悟しつつ利上げ推進で一致」)
この会議のなかで、米国のパウエルFRB議長は次のように述べました。
カンタンに言うと
- インフレ退治が最優先
- その過程で、景気が悪くなっても構わない(企業業績が悪化したり家計が苦しくなったりしても構わない)
ということです。
「インフレは、絶対に抑制する」
パウエル議長の強い決意表明を受けて、株式市場はNYダウが1008ドル安となるなど急落しました。
ジャクソンホールの前後で、いったい何が変わったのか?
「来年以降の金利の見通し」が変わりました。
ざっくり、次のグラフイメージですね。
(出典:Twitter @buffett_taro)
見方としては、
- 縦軸:米国の政策金利
- 横軸:年月
- 中にある「パーセント」:その金利になるであろう確率
です。
上が、ジャクソンホール前です。
株式市場は、「金利がだんだんと下がっていくストーリー」を期待していました。
ところが、ジャクソンホール後は下のグラフのようになりました。
要は、金利は「高止まりするかもしれない」ということです。
一般に、「金利」と「株価」はシーソーのような関係にあります。
- 金利が上がる↑ 株価は下がる↓
- 金利が下がる↓ 株価は上がる↑
といった感じです。
株式市場は「金利は来年には下がり始めるだろう」と楽観視していたのに、ジャクソンホールのパウエル議長の発言でその期待を裏切られたんですね。
「インフレがちゃんと収まるまで、金利はそう簡単には下げませんよ」
パウエル議長の発言は、そういう決意表明に他なりません。
結果、株価の急落が起きたというワケです。
個人的には
- 中途半端な金利コントロールで高インフレが続くより
- 痛みを伴ってもガッツリ金利を上げてインフレを抑制したほうが
トータル、経済にプラスかなと思っています。
金利の高止まりが続けば、短期的には株式市場にとっては厳しい展開になるでしょう。
とはいえ、早くインフレを収めればそれだけ早く経済も回復します。
インフレと世界経済動向
今、世界中で激しいインフレが起きています。
(出典:Bloomberg「FRBなど利上げ継続へ-世界的なインフレ高進「解熱」の方向でも」)
- 英国:10.1%
- ユーロ圏:8.9%
- アメリカ:8.5%
- カナダ:7.6%
参考:日本は2.6%
これを受けて各国は、利上げに踏み切っています。
(出典:日本経済新聞「長短金利、主要5カ国で逆転 世界景気に後退の兆し」)
- 金利を上げる
- →お金を借りにくくさせる
- →経済活動が抑えられる
- →インフレは収まるかもだけど、景気悪化
この流れが、段々と現実的になってきています。
例えば、PMI(購買担当者景気指数)。
- 50を上回ると景気拡大
- 50を下回ると景気減速
と言われている指標です。
(出典:THE WALL STREET JOURNAL「世界経済に広がる警戒感、成長の落ち込み鮮明に」)
8月の数値は、アメリカもユーロ圏も日本も、仲良く50未満の低水準。
景気悪化を示しています。
次に、GDP(国内総生産)。
そのまま、各国の経済活動状況を示すといわれる指標ですね。
2022年4-6月期、アメリカと中国の実質GDP成長率はマイナスを記録しています。
(出典:NHK NEWS WEB「4~6月の各国・地域のGDP インフレの影響で減速懸念も」)
現在、G10と呼ばれる主要10カ国のうち5カ国で逆イールドが発生しています。
逆イールドは、景気後退のサインとされます。
(出典:日本経済新聞「長短金利、主要5カ国で逆転 世界景気に後退の兆し」)
通常、長期金利は短期金利より高いです。
※1ヵ月ものの預金と、10年満期の預金では、10年満期の預金の方が高金利ですよね。そうじゃないなら、誰も長期間お金を預けません。
なぜ、その逆転が起きているのかというと
- 政府は、激しいインフレをやっつけるために急激に短期金利を上げている(短期金利↑)
- 市場は、そのせいで将来不景気になると見ている。そして、時間が経てば、政府は景気を良くするために今度は利下げすると思っている(長期金利↓)
からです。
逆イールドが続いている状況を見るに、「不景気になんて絶対ならない」と言い切るのは難しそうですね。
ちなみに、低所得国では、株・債券・通貨のトリプル安が発生しています。
- トルコ
- カザフスタン
- コロンビア
など、15か国で長期金利が10%超え。
IMF(国際通貨基金)の支援残高は、リーマン・ショック後の金融危機時以上になっています。
(参考:日本経済新聞「低所得国に広がる危機 株・債券・通貨のトリプル安」)
非常に、判断の難しい時期ですね。
まとめ:高配当株投資のポジションについて
以上をまとめると、この通り。
- 8月の日本株は、若干のプラス。軒並みマイナスの各国に比して相対的に堅調
- 諸外国ほどではないがインフレは続く。低所得層ほど体感物価が高い状況
- それでも日銀は金融緩和を継続。結果的に「24年ぶり水準の円安」も継続中
- 4~6月の上場企業は2四半期連続の減益。一方4社に1社は過去最高益。業種/企業によって明暗が分かれた
- ジャクソンホール会議後に株価急落。FRBは景気よりインフレ対策優先を強調
- アメリカを始め、世界中でインフレ・利上げ・景気後退が始まったか…
- ゴールドは米利上げの影響で相変わらず下がり気味、債券相場は1842年以来最悪レベル。
- 高配当株は健闘中。円安等を背景に、米国高配当株以上に日本の高配当株に魅力アリか
という感じです。
米国株一強だったここ数年と比較して、非常に難しい相場になっています。
7月にはグロース株が持ち直しましたが、ジャクソンホール後にまた大きく下落していますね。
米国の金融政策にばかり目がいきがちですが
- ウクライナ情勢
- 世界各国のインフレ進行
- 中国の不動産市況
など、不安要素は盛りだくさん。
改善しつつあるとはいえ、投資家心理はまだまだ不安定です。
個人的には、
- インデックス運用(iDeCoやつみたてNISA)は、淡々と継続
- アクティブ運用(高配当株投資)は、日本株については「割安」なものがあればピンポイントでちょっと買う(米国株は静観)
というスタンスです。
- 現金のままにしておくと、インフレでやられる
- 債券を買うと、金利上昇で価格が下落する
- 株を買うと、下落相場に巻き込まれる可能性がある
- コモディティは、意外と価格変動が大きく短期の守りには向いていない…
どのように資産を守り、そして増やしていくか、難しいフェーズです。
米国株に関しては、
- 2番底が来ると思っているのか?
- 2番底は来ないのか?
ひとまずは、これをどう考えるかというところですね。
上手に対応して、生き残っていきましょう!
それではまたっ!
※関連記事です
Follow @kobito_kabu