こびと株.com(@kobito_kabu)がお送りする、毎月更新の定例記事です。
※データが多すぎて記事が重いです。すみませんm(_ _”m)
抽出時期 :各月末
対象市場 :東証一部、東証二部、東証JASDAQ
配当利回り:税引き前3.75%以上(税引き後3%)※復興特別所得税は無視
目次
サマリー
2019年8月30日時点
全体指標
- 日経平均:20,704.37円(前月比▲817円)
- 日経高配当株50配当利回り:4.86%(前月比+0.14%)
- 円/ドル:1$=106.29円
配当利回りが3.75%(税引き後3%)以上の企業数
全部で512社。
データをとりはじめた2017年1月以降、過去最高です。
- 一部上場 :385社(前月比+103社)
- 二部上場 : 57社(前月比+ 15社)
- JASDAQ上場 : 70社(前月比+ 12社)
※参考:日経平均株価と高配当株の推移(先月まで)
全体感
全体感としては「日本株は割安」だと思っています。理由は以下の通り。
- データ①:増配しているのに、株価がついてきていない
- データ②:高配当株は特に売り込まれている
- データ③:企業の「純資産は成長している」のに、評価されていない
※詳細については、下記記事をご参照ください。
収益はちゃんと出てるし、株主還元の意識も高まり続けているんですけどね。
- 2017年1月以降、高配当株がこれほど多くなったことはない
- 東証一部の企業収益・配当総額は、過去最高水準
- 日経高配当株50指数配当利回りが、5.0%に迫る水準になったことは、過去にない
- 日経平均PBRは1倍程度ということで、かなりの低水準
個人的には、物色しやすい株価水準だなと感じています。
現在の投資イメージはこんな感じ。
- 配当利回り4~5%の株を買うとして
- 5年保有すれば配当金だけで約20%回収
- もし5年後に株価=買値以上をキープできるなら、年利4%超で運用できたことになる
- もし5年後に株価が買値から20%下落していても、トントン
- まぁ買うには悪くない価格帯かな…
今ぐらいこなれた株価になっていると、こういったイメージを持ちやすいですね。
※現在の株価から20%下がるということは、PBRが約0.8倍になるということ。これはリーマンショック後と同じぐらいの水準です。ここまで下がったら暴落といえる水準ですね。
業績堅調で増配傾向にある銘柄を選べば、
- 資金回収も早まりますし
- 株価の下落リスクも抑えられます
512社もある高配当株のなかからマトモな高配当株を選んで、元本を守りながら着実に配当金を増やしていきたいところ。
大減配+株価下落をどれだけ避けられるかが勝負ですね。
配当利回りランキング(東証一部上場)
- ※エクセルオンラインのデータが表示されます
- 証券コードをクリックすると、Yahooファイナンスのページに飛びます
※1 「-」は、前月ランク外であった銘柄
※2 2017年1月以降で、月末の配当利回りが3.75%を超えていた月の数
上記のリストから私たちが「投資しても良さそうだと感じているもの」をピックアップしてみます。
下記の通り。
- JT(日本たばこ産業) 6.84%
- キヤノン 5.80%
- インターワークス 5.67%
- 住友商事 5.65%
- 三井住友フィナンシャルG 5.17%
- 丸紅 5.16%
- 三菱UFJフィナンシャルG 4.90%
- 三菱商事 4.84%
- オリックス 4.84%
- 三井物産 4.81%
- 蔵王産業 4.50%
- NTTドコモ 4.47%
- 三菱UFJリース 4.36% ★NEW
- アマダホールディングス 4.34%
- 兼松エレクトロニクス 4.15%
- アビスト 4.13%
- 伊藤忠商事 4.01%
- ブリヂストン 3.95%
- KDDI 3.88%
- CDS 3.77%
- 旭化成 3.75% ★NEW
以下、利回り不足だが優良銘柄。
- NTT(日本電信電話) 3.73%
- 日本エス・エイチ・エル 3.55%
- クニミネ工業 3.51%
- 芙蓉総合リース 3.28% ★NEW
- 東京センチュリー 3.13% ★NEW
今月の高配当ランキングの主役は
- 国内リース業界
- 旭化成
この2つです。順番に見ていきましょう。
①国内リース業界について
まず、国内リース業界に関しては「投資しても良い」と思える水準になってきました。
リース会社の魅力は次の通り。
- 1株あたり利益(EPS)が安定して右肩上がり
- 配当金も右肩上がり(連続増配を更新中)
ランキングに入れた企業は、いずれも連続増配株です。オリックス以外は、リーマンショックを乗り越えて増配を維持しています。
- オリックス…10年
- 東京センチュリー…17年
- 三菱UFJリース…20年
- 芙蓉総合リース…17年
増配率は5~10%を維持しており、各社の格付けはまったく問題ない状況です。
これだけ底堅い業績にもかかわらず、配当性向は20~30%ほど。まだまだ増配余力がありますね。
懸念点としては下記の通り。
- 業界の成長性に疑問符(1991年の8.8兆円と比較して、現状5兆円程度の市場規模にとどまる)
- 景気敏感業種であり、世界経済の先行きに暗雲が立ち込めている
- 代替可能性が高い(銀行との競合、自社調達への切り替えリスク、値下げ競争)
各社の業績の相関性が高いので、リース業界の上位3~5社をまとめ買いすると個社のリスクを低減できて良いかなと思います。リース会社ではなく、リース業界に投資するイメージです。
※詳細については、下記記事をご参照ください。
②旭化成について
今月の目玉商品は、[3407]旭化成ですね。
旭化成は、総合化学メーカーです。
- 化学
- 繊維
- 住宅
- 建材
- エレクトロニクス
- 医薬品
こういった分野でビジネスを展開しており、守備範囲が広い企業です。
主要な指標はこんな感じ。
- 2019年3月期売上高:2兆1704億円(2010年3月期は1兆3,922億円)
- 営業利益率:9.65%
- ROE(予想):10.96%
- 自己資本比率:53.6%
- PER:9.04倍
- PBR:0.99倍
特筆するようなズバ抜けた数字ではないですが、THE・優良企業という感じですね。
財務諸表もひと通り見ましたが、特に大きな問題は見当たりませんでした。キャッシュフローもOK。
最も重視すべき指標である
- EPS(1株あたり当期利益)
- 配当金
これらの推移は次の通り。
※2020年3月期は予想数値
どちらも長期的には右肩上がりです。
リーマンショック時にも黒字をキープしており、配当金は23%程度の減配でおさえています(その後3年で元の水準以上に戻しました。)
現状、株価の方はイマイチです。
- 増配トレンドなのに
- 株価がたいして伸びていない(落ちている)
ということで、配当利回りは「高配当株」と呼べる水準まで上がってきました。
この10年で配当利回りが3%を超えた年はなかったですから、チャンスに見えないこともありません。
と、思いきや、中期経営計画の数字は強気です。
- 現在の営業利益:2,100億円
- 2025年の目標利益:3,000億円
今後数年でここまでもっていこうとしています。
(出典:旭化成中期経営計画)
リセッション(不景気)に入るのではないかと懸念されるなか、こんな数字は達成できないとマーケットが判断しているということなんでしょうかね。
もし、この中期経営計画にある程度近い業績を残すことができるのなら
- 増配により簿価利回り(自分の取得額に対する配当金の利回り)は4%以上に上昇
- 増収増益により株価も上昇
ということで、インカムゲインもキャピタルゲイン(含み益)も両方狙えるかもしれません。
一方、計画が未達で終わるのなら、含み損が拡大していくというストーリーもありえるでしょう。このへんをどう読むかが、個人投資家の腕の見せ所。
私としては、こびと株の条件を十分満たしていると判断して、買い目線です。
世界最強クラスの総合化学メーカーと言えば、MMM(スリーエム)です。
- 売上高3兆円超え
- 営業利益率20%超
- 連続増配60年超
最近株価が下落基調にあり、配当利回りが3.6%あります。会社単体で見れば、明らかに旭化成より「格上」ですが、世界中の人が業績を注視しているのでなかなか変な株価がつきません。
一方で、マイナーな日本株の方が割安に放置される可能性がある…と思っているのですが実際のところは相場の神様のみぞ知るといった感じ。
世界的に有名な優良大企業に投資していれば必ず儲かると思っている人は、旭化成よりMMMの方がいいと思います。私は、一ヶ国集中投資はしないので、各国の企業にバランスよく投資します。
配当利回りランキング(東証二部上場)
- ※エクセルオンラインのデータが表示されます
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※1 「-」は、前月ランク外であった銘柄
※2 2017年1月以降で、月末の配当利回りが3.75%を超えていた月の数
二部上場企業では、これといって投資したい企業が見当たりません。
3ヵ月前のランキングで[2393]日本ケアサプライが初登場しましたが、今回のランキングからも落ちています。おさらいしておくと、こういう企業でした。
- 福祉用具(車いすとか)のレンタル卸の最大手
- 時価総額約200億円
- 大株主は三菱商事(約75%の株式を保有)
- 配当性向はほぼ50%で減配もある
- 長寿社会の到来にともない長期的に増収増益傾向
- 自己資本比率66.5%
- 売上高約170億円、営業利益20億円
- 営業利益率12%前後
- ROE10%超
- リーマンショック時も余裕の黒字
ストックビジネス的なモデルで、介護需要は今後も伸び続けるでしょうから、チャンスがあれば必ずこの銘柄は拾っていきたいと思います。
[3597]自重堂も悪くない(無借金自己資本比率83.2%。営業利益率15%前後)ですが、なんせ単元株が高い。100株買うと70万円以上かかります。
SBIネオモバイル証券で「単元未満株を買う」というスタイルじゃないと、ナンピン計画も立てられないですね。
配当利回りランキング(東証JASDAQ上場)
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※1 「-」は、前月ランク外であった銘柄
※2 2017年1月以降で、月末の配当利回りが3.75%を超えていた月の数
このランキングの中でこびと株認定しているのはこの2社だけです。
- [8898]センチュリー21ジャパン
- [9436]沖縄セルラー
[4327]日本エス・エイチ・エルもこびと株認定しておりますが、ランキングからは姿を消しています。
上記企業の他は、[6889]オーデリックが気になるぐらいですかね。こちらについては投資していません。10万円なら買ってもいいけど…みたいな感じです。
※100株買うと40万円もかかるんで、そんなにはいりません。
まとめ:もしこびと株メンバーが今月から高配当株投資を始めるとしたら?
ランキングの解説は以上です。
最後に、先月からシリーズ化を開始した「もしこびと株メンバーが今月から高配当株ポートフォリオを作るとしたら」というモデルを出して終わりにします。
※「私たちならこうする」という事例であって、下記銘柄への投資を推奨するものではありません。株式投資には元本割れのリスクがありますので、くれぐれも自己責任でお願い致します。
30万円で今月スタートならこんな感じにします。
これだけしっかり分散して、配当利回りは4.39%です。100万円分買ったら4万円以上の配当金がもらえますね。
セクター割合はこんな感じ。
このポートフォリオでスタートして、
- 毎月少しずつ割安な銘柄を買い増したり、
- 割安になった新規銘柄を入れたりして
- 各セクター、各銘柄への投資割合を下げつつ分散を徹底させる
という方向でやっていきます。少なくとも50銘柄ぐらいまでは増やしたい。
ちなみに、上記のような買い方ができるのは低コストで単元未満株投資ができるSBIネオモバイル証券だけだと思っています。
100株ずつ購入したら、500万円以上かかりますからね。
SBIネオモバイル証券には、大手ネット証券にはないメリットがあります。
- 1株から購入できる(NTTドコモやKDDIなどの注目している企業を3,000円前後から買える)
- 月額50万円までの投資なら、サービス利用料が固定で220円(税込)かかるが、毎月ネオモバ限定Tポイントが200pt貰える
- Tポイントを使って株が買える
※大手ネット証券を使って少額分散投資をすると、手数料負けします。
※SBIネオモバイル証券を使った高配当株投資の始め方はこちらの記事をどうぞ。
日本株の優良高配当株に数百円から分散投資したいなら、SBIネオモバイル証券は良い選択肢になります。
千里の道も一歩からなので、配当金を積み上げたい人はご検討くださいまし。
2022年9月26日、
株式会社SBIネオモバイル証券は、株式会社SBI証券と経営統合することが発表されました。
これに伴い、SBIネオモバイル証券の新規口座開設は2022年10月7日をもって受付が停止されています。
- 最大手・国内株式個人取引シェアNo.1
- 口座開設・口座維持手数料無料
- 1株から購入可能(単元未満株の売買手数料無料)
ちなみに、米国株の場合はVYMやHDV、SPYDといった優良高配当ETFがあるので、日本株みたいにこんなめんどくさいことしません。外国株は楽天証券とかSBI証券で買えばOKですね。
それではまたっ!
参考:米国株などの外国株を購入する最適な証券口座【楽天証券】
上記で触れた
- VYM(米国高配当株約400銘柄に分散投資)
- HDV(米国の財務優良高配当株約70銘柄に分散投資)
- SPYD(S&P500のうち配当利回り上位80社に分散投資)
といった超優良高配当株ETFは、楽天証券を通じて買うのがおすすめです。
楽天証券は、こびと株メンバーのメイン証券口座です。
最強クラスの利便性。
- 三井住友や三菱UFJなど、指定銀行でリアルタイム入金をすれば入金手数料が無料
- 出金手数料が無料(楽天証券が負担)
- 売買手数料・為替手数料が業界屈指の格安手数料(しかも楽天ポイントが1%バック)
- 米国株・中国株などの取扱い銘柄が圧倒的に多い
- サイト・専用アプリが非常に使いやすい
投資資金の移動にお金がかからず、取引にかかるコストも最小限。選べる投資先は豊富にあり、株式投資をするなら使わない理由が見当たらない証券口座です。
ちょっとマニアックな話になりますが、ARCC(エイリス・キャピタル※)という配当利回り8~12%の米国株には、楽天証券のライバルであるSBI証券では投資できません。
※常時10%前後の配当利回りがある、米国ではわりと有名なインカムゲイン銘柄です。金融危機に弱い銘柄ですが、2007年来のトータルリターンがS&P500より優れているという面白い商品です。
この他、中国株なども含めとにかく投資先が豊富なのが楽天証券の大きな強み。
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