こんな質問に答えます。
私こびと株(@kobito_kabu)は経理・財務歴10年超の経理のプロですが、実は証券アナリスト資格も保有しています。
そんな私の株式投資の状況はこんな感じ。
- 日本・米国の高配当株を中心に、高配当株ポートフォリオを作成
- 買った株式は売らずに保有するスタイル
- 含み益は増え続け、配当金も増え続ける
コロナショックで景気が悪化しても、投資スタイルは変えません。
そんな私が、「高配当株の売り時」についてどう考えているかを説明します。
- 前提:2種類の高配当株投資について
- 利益確定・損切りの5パターン
- 「長期の高配当株投資」をやるための重要ポイント3つ
それでは順番に見ていきましょう。
目次
前提確認:2種類の高配当株投資について知る
ひとくちに「高配当株投資」と言っても、ざっくり2種類あります。
- 安く買って高く売る高配当株投資
- ひたすら配当金を貰い続ける高配当株投資
①安く買って高く売る高配当株投資
高配当株投資と言いながら、配当金よりも「売却益」に着目した投資スタイルです。安く仕込んで、高値で売り抜けることを狙っています。
配当利回りは割安さを示す指標でもあります。
- 配当利回り=配当金÷株価
具体的に数字を入れてみると
- 10円の配当を出す株の時価が500円だったら、配当利回りは2.0%
- 10円の配当を出す株の時価が200円だったら、配当利回りは5.0%
このように、株価が下がれば下がるほど配当利回りは上昇します。
したがって、配当利回りは「株価が下がりすぎ=売られ過ぎ」な株を探す時の指標として役に立つということです。
3~5%の程度の配当金を狙いつつ、株価が5~15%ぐらい反発したら売ってしまう。そういうトレードをする人は少なくないですね。
思ったより株価が上がらなければ、
- すぐに損切りするか
- 塩漬けにしてダラダラと配当金を貰い続けてチャンスを伺う
こんな感じになります。
②ひたすら配当金をもらい続ける高配当株投資
もう1つのスタイルは「ひたすら配当金を貰い続ける」というやり方です。いわゆる配当金生活のスタイルですね。
もらった配当金は、完全なフリーキャッシュです。
- 生活費として使っても良い
- 趣味に使っても良い
- 再投資しても良い
- 老後の年金代わりにしても良い
そういうお金です。
高配当株というのは、自分のために24時間働いてくれるこびとのようなものです。別な言い方でイソップ童話風に言うならば、金のタマゴを産むニワトリといったところ。
配当金が出続ける限り、売ってしまう理由はないということです。ニワトリを売ってしまったら、金のタマゴは手に入らなくなりますからね。
【高配当株の売り時】利益確定・損切りの5パターン
ということで、例外について見ていきます。
- 原則:売らずに配当金を貰い続ける
- 例外:売ってしまう
例外パターンとして考えられるのは、下記の5つです。
- 減配・無配転落
- 当初の投資シナリオが崩れた
- 大きな不祥事を起こした
- 有望な乗り換え先が見つかった
- 大幅に値上がりした
順番に見ていきましょう。
減配・無配転落
私たちの高配当株投資は、配当金を貰い続けることが目的です。だから、配当金が出なくなった株を保有すべき理由はありません。
減配は程度によりますが、無配転落ならば売却を検討するのが一般的かと思います。
ちなみに、減配は次のステップを踏んで悪化していきます。
- 減配しそう
- 減配した
- 連続減配した
- 無配転落した
被害を最小限に抑えたければ、①の段階で脱出する必要があります。②以降は手遅れです。減配が発表されてしまえば、株価の面でも手痛くダメージを受けてしまいます。
数社が無配転落・株価が紙切れになったぐらいで致命傷を負うようなポートフォリオにしていないですし、オワコンだと思われた企業のV字復活も珍しい話ではありません。
循環する景気のなかで、不景気・ピンチを乗り越えられるだけの現金を持っている企業に投資しているつもりですから、目先の業績に惑わされず、5年10年先まで見据えて判断したいところです。
当初の投資シナリオが崩れた
実際に株の購入に踏み切っている以上、投資を決断した理由があるはずです。
時の経過とともに、投資の決断をした当時と状況が変わるということはままあります。それが「シナリオが崩れた」という状況です。
- 海外展開がうまくいくと思ったのに、失敗した
- 安泰安定のビジネスだと思っていたら、強力な競合が参入してきた
- 中期経営計画の目標を全然達成できず、毎年未達成で終わっている
こういったイメージですね。
※どういった理由で投資をしているかは、人によって全く異なります。だから「いつが売り時ですか?」と他人に聞いているようでは、うまくいくはずがありません
大きな不祥事を起こした
次に、大きな不祥事を起こした場合も、売却を検討すべき理由になります。
- やっちゃった日産
- 巨大合法詐欺グループかんぽ生命
とかですね。
いずれも、株主のためではなく自分のために仕事をする会社です(もちろん無関係の従業員もいますが、組織ぐるみの不正と言われてもしょうがない規模です)。
株主も顧客も、みずからの懐を潤すための道具に過ぎません。
こびと株メンバーの基準では、不正=即売却です。
信用できない会社のオーナーでいる理由はありません。益がでようが、損がでようが、即売却します。
有望な乗り換え先が見つかった
有望な乗り換え先が見つかった際も、売却を検討することになります。
- A国よりも、さらに有望なB国を見つけた
- 業界Aよりも、さらに有望な業界Bを見つけた
- A社よりも、さらに優秀なB社を見つけた
無限の投資資金を持っているのならともかく、普通、個人投資家のタネ銭は限られています。限られた資金を有効活用するには、こういった乗り換えも必要かもしれません。
大幅に値上がりした
大幅に値上がりした場合にも、売却を検討することになります。
例えば、
- 1株あたり配当金が50円の株を
- 株価1,000円の時に買う(=配当利回り5%)
この後、株価が3,000円に値上がりした場合は、含み益が2,000円になります。配当金換算でおよそ40年分の利益ということです。
こびと株メンバーのように、子孫末代までこびと株を引き継いでいくというつもりがなければ、とっとと利益確定してしまうのも合理的な選択になりますね。
ただ、このように業績が強くガンガン値上がりしていく株は
- ポートフォリオ全体の元本維持に貢献してくれる
- 増配していってくれる
ので、ホールドしていても幸せになれます。3.0倍ぐらいに育っている株が複数あると、非常に心強いですね。
売るにせよ保有し続けるにせよ、保有株が値上がりして困ることはありません(買い増ししたい人は別ですが)。
「長期の高配当株投資」を実践するために認識しておくべき2つのポイント
最後に、「高配当株長期投資の心得」のようなものを共有して終わりにしたいと思います。
以下2点を知っていれば、短期的な株価に振り回されずに投資ができるかなと思います。
- 企業の成長には時間がかかる
- 景気は循環する
企業の成長には時間がかかる
私は、10年以上の経理マン生活の中で、
- 毎日、自社の財務諸表を見て
- 毎月、財務諸表を経営陣に報告して
- 毎年、財務諸表を株主に報告する
という経験から非常に強い実感をもって言えるのですが、
企業が成長するのには時間がかかります。
高配当株になっている成熟企業ならなおさらです。
成熟業界・成熟企業で働いている人なら分かると思いますが、
- 明日、急に売上が倍になる
- ある日突然、新製品・新サービスが10も20も登場する
- 来年、急に従業員が2倍3倍になる
なんてことは起こりません。
企業が成長する恩恵を受けたければ、じっくりと長い目で待ち続ける必要があるということです。
株価は日々動きますが、それが正しく企業の姿を現しているとは限りません。
景気は循環する
景気は循環します。
- 景気の良い時にノリノリで買って
- 景気の悪い時にガックリきて売っていたら
儲かるわけがありません。高く買って、安く売っているからです。
※順張り投資を否定する趣旨ではありません。上手な人は、高値で買って、もっと高値で売り抜けられるので。
高配当株は「逆張り投資」なので、
- 景気の良い時には、慎重&ほどほどに買って(時に買わない)
- 景気の悪い時には、大胆に買い進める(もちろん、リスクの範囲内で)
ということになります。
もし、逆張り投資で3年4年と株価が下がり続けて含み損が拡大していっても、
と考えていれば、財務盤石で業績が底堅い企業達から配当金を貰い続けている限り、焦る必要は全くありません。
※国、業種も幅広く分散していることが大前提です。枕を高くして寝るためには、分散投資は必須です。
景気が回復し、株価の上昇局面に入れば、一気にリターンは拡大することでしょう。
まとめ:長期保有で元本を守りながら配当金を増やしていく
以上をまとめると次の通り。
ひとくちに「高配当株投資」と言っても、ざっくり2種類あります。
- 安く買って高く売る高配当株投資
- ひたすら配当金を貰い続ける高配当株投資
後者の投資スタイルの場合、売却を検討すべきパターンは下記の5つです。基本的に、チャートなどテクニカルの情報には頼りません。
- 減配・無配転落
- 当初の投資シナリオが崩れた
- 大きな不祥事を起こした
- 有望な乗り換え先が見つかった
- 大幅に値上がりした
動けば動くほど、金は減る
という株式市場にあっては、売買回数は少なければ少ないほど良いという話もあります。
意地になって「売らない縛り」のゲームをやっているつもりはまったくないですが、今のところそれが「吉」と出ているようで、
- 含み益も
- 配当金も
右肩上がりです。引き続き、このスタイルでじっくりと高配当株ポートフォリオを育てていきたいと思っています。
以上、参考になれば幸いです。
それではまたっ!
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