【今更聞けない】「先進国」と「新興国」の違い&新興国株投資の落とし穴について解説

 

駆け出しの投資家
先進国の株式か、新興国の株式か、どっちに投資するか悩んでて思ったんだけど…そもそも中国とかロシアみたいな大国が、なんで「新興国」扱いなの?
駆け出しの投資家
先進国よりも、新興国の方が成長性が高いのよね?成長性が高いのなら、新興国に投資した方が儲かるんじゃないのかしら?

こんな疑問にお答えします。

 

2018年度のGDPを見てみると

  • 中国は世界第2位
  • ロシアは世界第12位

大国。アメリカと睨み合うような規模の国です。

しかし、彼らは「新興国」として、ブラジル、インド、南アフリカなどと同じような扱いになっています。

あれ?そもそも、先進国って何?新興国の定義って…?

 

また、先進国より高い成長性が期待されるのが「新興国」ですが、かといって新興国に投資すれば先進国に投資するより良いリターンが得られるとは限りません

それはいったいなぜなのか?

 

この記事では、下記について解説します。

この記事の概要
  1. 先進国と新興国の違い
  2. 新興国株投資の落とし穴

ざっと読んで頂ければ、よくある「思い込み」にハマって損するリスクを下げられるかなと思います。

こびと株管理人
それでは本題に入りましょう~

 

先進国と新興国の違い

先進国とは

先進国は「生活水準が高く、経済発展が大きく進んだ国家」を指しますが…

さて、この地球上に、先進国って何ヶ国あるかパっと答えらえますか?

これに答えられる人は、そう多くないと思います。なぜなら、実は「ただ1つの明確な定義」がないのです。

先進国というのは、

× 単純で分かりやすい言葉
〇 曖昧で分かりにくい言葉

というわけ。

 

明確な定義がないので

  • 国連は国連で
  • 世界銀行は世界銀行で
  • 研究者たちは研究者たちで

それぞれ、勝手にその基準を示してから、各種統計などを作成・分析しています。

 

とはいえ、主流の考え方がないわけではありません。よくある考え方の1つが、コレです。

OECDに加入していたら、先進国

 

OECD(経済協力開発機構)は、

  • 経済的に進んでいる国が
  • 経済発展途上の国々を支援するために協力する

ことを目的にした国際的な機関です。

OECDは3年毎に「ODA(政府開発援助)受け取り国リスト」を発表しています。このリストに載っている国は、経済発展のための援助を受ける側ということで「発展途上国」と呼ぶことができます。

逆に、お金を出す側が先進国というわけです。

 

現在、OECDの加盟国は37ヶ国です。

(出典:OECD加盟国

 

ところが、この中には「メキシコ」や「トルコ」なども入っています。「先進国の一覧」と呼ぶには、ピンとこない人もいるかもしれません。

彼らは、どちらかというと「新興国」に分類される国々です。

 

新興国とは

発展途上国とは、「先進国以外」の国です。

そして、発展途上国のなかにあって、特に急速な経済成長を遂げようとしている国を「新興国」と呼びます。

 

なぜロシア中国といった大国や、先ほど名前をあげたメキシコトルコが先進国に入らないことも多いのかというと、国民1人当たりGDPが低いからです。

国民1人あたりGDPのランキングは、下記の通り。

  • 1位 ルクセンブルグ 11.6万ドル(約1,200万円)
  • 9位 米国 6.3万ドル(約660万円)
  • 26位 日本 3.9万ドル(約410万円)

~~~~~~

  • 65位 ロシア 1.1万ドル(約120万円
  • 71位 メキシコ 0.9万ドル(約100万円
  • 72位 中国 0.9万ドル(約100万円
  • 73位 トルコ 0.9万ドル(約100万円

中国は、国全体で見ると今や世界第2位のGDPを誇りますが、国民1人当たりのGDPで見るとこのくらいです。

 

日本の内閣府は、先進国の定義を「IMF(国際通貨基金)の分類による」としており、

  • OECD加盟国から、国民1人あたりGDPの低い国を除いて
  • マカオやシンガポール(※)など、国民1人あたりGDPの高い国をプラスして

先進国の範囲を認識しています。

※マカオ…3位(8.2万ドル)、シンガポール…8位(6.5万ドル)

 

ここまでの話をまとめます。

ここまでのまとめ
  • 先進国と発展途上国を分ける、ただ1つの明確な定義はない
  • 基本的に、OECD加盟国は先進国扱い(37ヶ国)
  • IMFの定義では、そこから国民1人当たりGDPの低い国を除いて、高い国をプラス。日本の内閣府もこの考え方を採用
  • 先進国以外は、発展途上国(途上国のうち、経済発展著しい国は「新興国」)
  • 中国やロシアは政治・軍事大国だが、OECDに加盟しておらず国民1人当たりGDPも低いので新興国扱い
こびと株管理人
先進国と新興国。単純そうな言葉に見えて、ややこしいですね!あぁめんどい!

 

新興国株投資の落とし穴【リスクがたくさん】

さて、上記の通り、

  • 先進国以外は、発展途上国で
  • 発展途上国のうち、経済発展著しい国が「新興国」

そんな新興国(特に、株式)に投資すれば、ガッポガッポ儲かりそうですよね。

 

新興国にまるっと投資するには、バンガード社が作っているVWOというファンドが有名ですね。

VWOの国別構成比を見てみると…


(出典:バンガード

中国、インド、ブラジル、南アフリカ、ロシア(5か国合わせてBRICS)やタイ、マレーシアといった東南アジアの成長国がバッチリ含まれています。

こういった国々に投資していれば、さぞカネが増えたんだろうと思いきや…

ここ15年の株価チャートはご覧のあり様。

 

ボックス圏内をヨコヨコで推移しており、目立った成長をしていません。

こびと株管理人
新興国=成長というイメージと、ずいぶん違った動きですよね。

 

①GDP成長=株価上昇ではない

GDP成長率が高ければ株価も伸びるだろうと単純に考えてしまいがちですが、米国のジェレミー・シーゲル教授によると、むしろGDP成長率と株価には「マイナスの関係」があるとのこと。

たとえば、1993年~2011年の間、中国のGDP成長率は+9.4%でしたが、株式リターンは▲5.5%でした。

同様に、ロシアでもプラスのGDP成長率、マイナスの株価リターンという関係が確認されています。

 

もちろん、

  • 統計をとる期間
  • 国やエリア

によって、GDP成長率と株価の関係性には違いが見られるとは思います。

しかし、「GDPが高成長する国では、株価も高成長する」という視点が、あまりにモノゴトを単純に見すぎているということは間違いないでしょう。

こびと株管理人
GDP成長と株価がキッチリ連動しない!というデータがあると知っておくだけでも、迂闊(うかつ)な投資を防ぐことができますね

 

②不利に動く可能性が高い「為替リスク」

通常、高い経済成長率を誇る国では、インフレ率も高いです。

高いインフレ率は、長期的には通貨安の原因になります。もし、外国人が現地通貨ベースで新興国株に投資すると、普通にこういうことが起きる可能性があります。

  • 株価が、現地通貨ベースで大上昇!(ハッピー)
  • 通貨安により、為替で損!結果的に、株価上昇による利益が相殺!(アンハッピー)

つまり、「株価成長だけ美味しく頂きます」ということができない可能性があるのです。

 

たとえば、このトルコリラのチャートをご覧ください。

  • 2010年には、1トルコリラ60円でした
  • 2020年には、1トルコリラ15円になっています

10年で、トルコリラの価値は4分の1になったということです。

仮にトルコ株式が値上がりしていたとしても、為替を考慮するとそのリターンは相当削られてしまうということが分かるでしょう。

こびと株管理人
新興国に投資するということは、その新興国固有の通貨リスクを負うということでもあります。甘く見てはいけないリスクですね

 

③先進国よりも大きな「政治リスク」・甘い規制

新興国は、政治リスクが高いです。

  • 三権分立
  • 多党制民主主義

こういった仕組みがしっかりできている先進国などと異なり、新興国では、普通に独裁をやっていたりします。政策次第で大きく発展したり、長期停滞する可能性があります。

また、インサイダー取引など、証券市場における規制も甘いです。

本当に、普通~に、国のお偉いさん達がインサイダーやってます(海外企業を買収業務を担当した際に、実際に体験しました(笑))。

こびと株管理人
あれを目撃して以来、某国への投資は完全にストップしました。

 

④期待値が高すぎる可能性

そもそも、株式投資でリターンを上げようと思ったら「みんなの期待を上回る成長」をするものに投資する必要があります。

みんなが「これは成長する!」と思って投資したら、資金が集中して結局は値段相応になっていくからです。予想以上の成長を遂げてくれない限り、大きなリターンは得られません。

※そういう意味で、みんなの期待を裏切り続けて前人未踏の大成長を遂げつつづけているAmazonという会社は、ヤバイですね。そろそろ失速すると言われ続けて、はや何年?

 

世界中の有名な機関が、将来のGDP予測を出していますが…

PwCによると、2050年のGDPトップ5は

  1. 中国
  2. インド
  3. アメリカ
  4. インドネシア
  5. ブラジル

です。あと30年もすれば、世界は大きく変わります。今「新興国」と呼ばれている国々が、高い経済成長率を誇るのは、間違いないでしょう。

しかし、上述の通り、高いGDP成長率が株価に与える関係は不明瞭ですし、こうやって目をつけられてしまっている時点で、大きなリターンを得られる余地が縮小していると捉えるべきだと思います。

そのくせ、新興国市場特有のリスクを大量に抱えているわけですから、個人的には「新興国株投資は上級者向け」だと感じますね。チャートを見ている限り、腰を据えた長期投資より、短期・中期で利幅を取りに行く方が良さそうですし。

※コロナショック以後、新興国株の回復は出遅れているので、そういう意味では今は投資妙味が増しているかもしれません。

こびと株管理人
さて、2000年代のように「新興国のターン」が来るのは、いつになるでしょうかね~

 

まとめ:新興国=高成長=お金増える!ほど甘くない

以上、まとめます。

「先進国」と「途上国」の定義は曖昧です。

ふわっとした言葉です
  • 先進国と発展途上国を分ける、ただ1つの明確な定義はない
  • 基本的に、OECD加盟国は先進国扱い(37ヶ国)
  • IMFの定義では、そこから国民1人当たりGDPの低い国を除いて、高い国をプラス。日本の内閣府もこの考え方を採用
  • 先進国以外は、発展途上国(途上国のうち、経済発展著しい国は「新興国」)
  • 中国やロシアは政治・軍事大国だが、OECDに加盟しておらず国民1人当たりGDPも低いので新興国扱い

 

新興国は、高い経済成長を期待される国々ですが、そういうところに投資すればお金が増やせる!というほど単純な話でもありません。

色々な誤解・リスクがあるからです。

新興国に対する誤解・リスク
  1. GDP成長率高い=株価も高成長 ← 根拠なし
  2. 高いインフレ率→通貨安→株価リターン相殺
  3. 政治リスク・甘い市場規制
  4. すでに高い期待が織り込まれている…etc

 

新興国=右肩上がりで高成長、というわけでもないということはVWOのチャートが物語っていますね。

新興国株ファンドのチャートを見てみると、一貫して右肩上がりというよりは、むしろボックス圏で動いているものも多いです。

つまり

  • 安い時に拾って
  • 高くなったら売る

こういうことを繰り返さないと、資産が増えにくいということ。右肩上がりを狙うのならば、ドンピシャでイケてる国をピックアップする必要がありそうです。

 

というわけで、新興国株へ投資する際に「少し慎重になる材料」として、参考にして頂ければ幸いです。

私は基本的に「逆張り」をしたがる人なので、誰も話題にしてない新興国株への興味がむしろ強まっている状況です。なんか探そうっと!

それではまたっ!

 

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ABOUTこの記事をかいた人

シーウィード

こびと株.comの管理人。一部上場企業での経理/財務の実務経験10年超、日商簿記1級、証券アナリスト、FP資格を有する「企業と個人のお金の専門家」。4つの財布(給与/配当/不動産/事業収入)を駆使して経済的自由を達成することを目標に奮闘中。