こんにちは、こびと株(kobito_kabu)です。
現在、
- 高配当株投資
- インデックス投資(つみたてNISAやiDeCoのみ)
の両刀で資産運用をやっています。
毎月恒例企画ということで、3月の投資トピックスについて「この2つの投資にどのような影響があるか」という観点で、まとめていきます。
本記事の構成はこの通り。
- 日本株の投資トピックス
- 外国株の投資トピックス
- まとめ:高配当株投資のポジションについて
目次
日本株の投資トピックス
日本株については、以下の順番で解説します。
- 株価指数の推移
- その他指数の推移
- 3月のトピックス
①株価指数の推移(日経平均・TOPIX・J-REIT)
3月31日時点の株価は、この通り。
- 日経平均株価:29,179円
- TOPIX:1,954pt
- J-REIT指数:2,013pt
この3つの指数の、直近1年の値動きを見てみるとこんな感じです。
絶好調だった日経平均に「重大事件」が起きましたね。
- 2020年11月に、1991年以来29年ぶりに2万5000円を回復
- 2021年1月に、ドル建てでは、バブル時を超え31年ぶりに史上最高値を更新
- 2021年2月に、30年半ぶりに3万円を回復
- 2021年3月に、日銀が「日経平均株価に連動するETFはもう買わない」と明言←New!重大事件!
日銀の発表を受けて、日経平均株価はマイナス1.4%と急落。翌日もマイナス2.0%となり、たった2日で3.4%下落しました。
※日銀の政策変更については、下記「3月のトピックス」で詳しく触れます。
3月中の値動きは、この通り。
- J-REIT +5.36%
- TOPIX +2.71%
- 日経平均 -1.59%
ご覧の通り、日経平均だけがパっとしない値動きになっていますね。
J-REITは、ようやくコロナショック前の高値の9割ほどの水準に回復しました。
「株式」と比較すると、低迷している時期が長かったので「仕込みやすかった」かもしれません。最近は、割安感が薄れてきています。
②その他指数の推移
この3つをチェックしときます。
- 景気動向指数
- 景気ウォッチャー指数
- 日銀短観
ざっくりとした景気の雰囲気を掴むのに大事だからです。
- 景気回復の「勢い」「ペース」
を探るための参考として眺めています。
①景気動向指数は、この通り。
1月の数値(3月22日公表)は、98.5となりました。
(出典:景気動向指数 速報からの改訂状況)
グラフの通り、2020年4月以降、明らかな景気回復トレンド(右肩上がり)です。
景気動向指数は、
- 景気全体の現状を知ったり
- 将来の動向を予測したりするときに
使われる経済指標です。産業、金融、労働など、経済に重要かつ景気に敏感な28項目の景気指標をもとに指数が算出されています。
色々な指標をミキサーに入れてスイッチをいれると、1つの「景気動向指数」ができるというイメージです。
1月は
- 在庫が減ってきた(モノがどんどん出荷されている)←景気が良くなる前兆
- 企業間で取引する、材料や石油などの商品価格が上がってきた←景気が良くなる前兆
などで、前月比0.8ポイントのプラスになりました。
景気動向指数を見る上で大切なのは、この2つ。
- この数カ月、プラストレンドか?マイナストレンドか?
- プラス幅(又はマイナス幅)はどれぐらいか?
過去の推移を見てみると
- 6月 84.0(前月比+5.4ポイント)
- 7月 87.2(前月比+3.1ポイント)
- 8月 90.3(前月比+2.1ポイント)
- 9月 94.3(前月比+4.0ポイント)
- 10月 95.9(前月比+1.6ポイント)
- 11月 98.0(前月比+2.1ポイント)
- 12月 97.7(前月比-0.3ポイント)
- 1月 98.5(前月比+0.8ポイント)←New!!
という感じなので、
- 景気は回復トレンド=前月比プラスで推移しているけれど
- プラス幅は減ってきている
ということが分かります。
次に、②景気ウォッチャー指数はこの通り。
2月は51.3ポイント(前月比+11.4ポイント)となっており、「好景気」の判断の分かれ目となる50を上回りました。
銀座のママさんやタクシーの運転手さんが「景気はまぁ良いんじゃない?」と判断しているということです。
緊急事態宣言の再発令でもっと落ち込むかと思ってたんですけど、そんなことはなかったようです。
(出典:景気ウォッチャー指数3月8日公表)
百貨店・スーパーマーケット・コンビニなどの小売店やレジャー業界で働く人、タクシー運転手など、景気に敏感な職種の約2000人にインタビューし、調査結果を集計・分析して発表するもの。
最後に、③日銀短観はこの通り。
大企業・製造業の業況判断指数(DI)はプラス5で、市場予想(ゼロ)を上回りました。
(出典:日経新聞「大企業製造業の景況感、コロナ前回復 日銀短観」)
※業況判断指数(DI)は、景気が「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した割合を引いた数値です。
製造業を営む大企業的には「コロナ前と同じぐらいの景気になってるよー」という感覚のようですが、サービス業や中小企業はまだまだ。
要するに「景気が悪い」と考えている企業の方が、多いということ。
とはいえ、回復トレンドにあるのは間違いありません。
③3月のトピックス
国内、3月のトピックスはこの1つです。
日銀、政策変更
3月19日、日銀は「金融政策の点検結果」を発表しました。
そのなかで、下記のように述べられていたことが、市場に大きな影響を与えました。
日銀によるETF(上場投資信託)の買い入れについて
- 「年間12兆円」の上限は維持
- 原則「年間6兆円」買っていくという方針は廃止(株高の時は買わず、下落時は買い支えるなど、柔軟に対応するということ)
- 購入対象はTOPIX連動型に限る
要するに、日銀は
- (だいぶ株高になってきたし?)いつどんな時でも購入し続けるっていうのは、やめるわ
- 日経平均連動型のETFは買わないよ
という方向に舵を切った(政策を変更する)ということ。
この発表は
- 「俺たちの日銀が日本株を買い続ける限り、株価も上がり続ける」
- 「日経平均は、下がったら日銀さんが買い支えてくれるから大丈夫」
と思っていた人達にとって、非常に大きなニュースになったんですね。
日銀の発表は、人によっては「日経平均祭り終了のお知らせ」のようなもの。
実際、このニュースが発表された後、冒頭で説明したように日経平均株価は急落しました。
日銀は、東証一部上場企業の時価総額のうち約7%を保有する、日本最大の「大株主」です。こんなことになっている国は、世界中を見まわしてみても日本だけ。
日銀が「買うペースを落とすかも」と言っただけで、これだけ株価が下落してしまうのですから、もし日銀が「保有株を売ります」と言ったらどうなるのか?考えるだけで恐ろしいですね。
現在の株式市場は、「金融相場」→「業績相場」への移行期かなという感じがしています。
- 金融相場:政策により、低金利・カネ余りなどが起き、(時に実態を無視して)株価が上がる相場
- 業績相場:景気の上昇・企業業績の向上などにより、(実体経済に沿って)株価が上がる相場
外国株の投資トピックス
お次は、外国株の話題です。
外国株については、この4つの順番で見ていきます。
- 株価指数の推移
- ゴールド・債券ファンド等の値動き
- 高配当ファンドの値動き
- 3月のトピックス
①株価指数の推移
日本を除くG7の主要株価指数の推移(直近1年)は、この通り。
直近1年のパフォーマンスは、こんな感じ。
- S&P500(米国):+53.16%
- DAX30(ドイツ):+51.06%
- S&P TSX(カナダ):+39.82%
- CAC40種(フランス):+38.49%
- FTSE MIB(イタリア):+44.49%
- FTSE100(イギリス):+19.40%
コロナショック以降の1年で、最も強い回復力を見せたのは米国だということです。
3月単月で見ると、この通り。
②ゴールド・債券ETF等の値動き
12月以降、いったん上向いたかに思われたゴールドですが、下落トレンドの真っただ中です。
コモディティ(商品)は、需給だけで価格が決まります(業績がどうとか、配当・利息がどうとかがない)。
インカムがないだけに、こういう時に「保有し続ける難しさ」がありますね。
※なお、ビットコインは3月半ばに過去最高値670万円を更新しています。
お次は、債券です。
投資額に対して2%~5%ほどのインカム(利息)が欲しければ、米国債券が有望な投資候補になります。というわけで、米国の債券ファンドを3つチェック。
- AGG:ローリスク・ローリターンな債券(格付け高く、利回り低い)
- LQD:ミドルリスク・ミドルリターンな債券(格付け普通、利回り普通)
- HYG:ハイリスク・ハイリターンな債券(格付け低く、利回り高い)
米国総合債券に投資する【AGG】というファンドのチャートはこの通り。現在の分配金利回りは2.14%ほど。
投資対象の約7割は、格付けがAAA(トリプルエー)の債券です。
非常~に底堅い値動きをする安全性の高い債券ファンドですが、ここ最近は「長期金利上昇」により取引値が下落しています。
積極的に買うには、難しい局面です。
※なお、「米国長期債」は直近高値から20%下落しており、40年にわたる「強気相場」が終了しています。
(出典:ブルームバーグ「広く注目の米国債ETFがピークから20%下落、強気相場の終了鮮明に」)
米国優良社債に投資する【LQD】というファンドのチャートはこの通り。分配金利回りは2.72%ほど。
投資対象の約8割は、格付けがBBB(トリプルビー)~Aの債券です。ギャンブル性の低い「投資適格」な債券であるものの、AGGよりは安全性が低いです。
こちらも、ここ数年は3.5%ぐらいの利回りがとれていましたが、最近はそれほど美味しい利回りではありません。
AGGと同じく「長期金利上昇」を背景に、取引値は下落傾向にあります。
最後は【HYG】です。ゴミ債券、いわゆるジャンク債に投資するハイリスクな債券ファンドです。現在の利回りは4.77%ほど。
投資対象のほぼすべてが、格付けCCC(トリプルシー)~BBの債券です。ギャンブル性が高く、投資不適格と呼ばれる債券たちですね。
債券ですが「株式」のような値動きをするハイリスクな資産です。
先月も伝えた通り、私は
- 株価には過熱感が見られるから、あんまり多く持ってると調整(株価下落)に巻き込まれそうだし
- かといって、金利上昇で債券は下落しそうだから、株を売って債券に組み替えるの微妙だし
- 短期的には、キャッシュポジションを増やしておこうかな!
という考えです。
③インカム系ETFの値動き
私の愛する高配当株ETFについて見てみましょう。
- キャピタル(売却益)も
- インカム(分配金)も
両方狙えるポテンシャルのあるファンドたちです。
HDV、VYM、SPYDの直近1年のチャートは、この通り。
暴落直後から、力強い回復を見せてきたことが分かります。
今や、
- HDV:コロナ前の株価まで、あと3%弱
- VYM:コロナ前の株価をすでに回復、最高値を更新
- SPYD:コロナ前の株価水準に回復
というところまできており、含み損のある人はほとんどいなくなったんじゃないでしょうか。
「2020年3月時点」と「2021年3月時点」の四半期配当は次の通り。
- HDV 0.914ドル→0.882ドル(3.5%の減配)
- VYM 0.554ドル→0.656ドル(18.4%の増配)
- SPYD 0.396ドル→0.636ドル(60.6%の増配)
HDVがショボく見えるのは、そもそも前期の時点で大幅な減配がなかったからです。一方で、SPYDは大減配からの大増配。
とにかく、いずれのETFも「年間配当ベース」ではコロナ前を上回っているというところがポイントです。
暴落”直後”とまではいかなくても、暴落後2~3ヵ月の時点でそれなりに買えていた人は
- 多額の含み益(ドルベースで+20~70%)
- 高水準の分配金(投資額に対して4~8%) ※しかも、今後も増配余地あり
を味わえる状況ですね。
※グロース→バリューへのトレンド転換が起きれば(すでに起きつつあります)、さらに大きな追い風になります。
- 減配したまま、二度と分配金水準が戻らない
- 暴落したまま、二度と株価が戻らない
- そのくせ、多額の信託報酬を吸われ続ける
こういった「アカン商品」に投資しなければ「元本を守りながらキャッシュフローを使って楽しく暮らす」という投資ライフは、十分に可能です。
④3月のトピックス
海外、3月のトピックスはこの2つです
- 米国で、約1.9兆ドルの経済対策が可決
- アルケゴス破綻
まず1つめ。
3月11日、バイデン大統領は「米国救済計画」と名付けた新対策に署名しました。
バイデン米政権が提案した1.9兆ドル(約200兆円)規模の新型コロナウイルス経済対策法案が11日、成立した。
(出典:日経新聞「米200兆円経済対策が成立 バイデン氏が署名」)
これに伴い、企業や事業者に対して様々な景気対策が行われた他、米国民には1人あたり最大1,400ドルの現金支給が行われています。
※このうち「それなりの金額」が株式市場に向かい、株価のプラスに貢献しているとのこと(笑)
コロナ下で2020年3月以降に実施した米国の財政出動は今回で第5弾だ。総額は約6兆ドル弱に上る。経済成長や雇用回復を促すとの期待が大きい一方、インフレを引き起こしたり、長期金利が上昇したりして市場が混乱するリスクを懸念する声もある。
(出典:同上) ※赤字は筆者
歴史上最大規模の経済対策により、確かに、米国の景気は上向いています。問題は、このまま「副作用」抜きに走り切れるのかどうか?
すでに、一部ではバブルを懸念する声も出ています。
(出典:日経新聞「株や住宅価格、警戒水準 迫るバブルの足音」)
その他、さしあたり株価急落を引き起こしかねない「懸念事項」は次の通り。
- 長期金利の上昇
- 増税(株高で富裕層がボロ儲けしており、増税せよとの世論も高まっています)
次に、2つめ。
アルケゴスの破綻についてです。
資産数十億~100億ドル超のファミリー・オフィス(※)、アルケゴス・キャピタル・マネジメントが破綻しました。
※超富裕層の個人資産の管理・運用等をする会社のこと
レバレッジ取引で5兆円超の運用をしていたとも言われており、関連して
- クレディ・スイス:約30~50億ドル
- 野村ホールディングス:約20億ドル
- 三菱UFJ証券ホールディングス:約3億ドル
など、様々な金融機関で損失が発生しています。
とはいえ、これが「リーマン・ショックの再来か!?」というと、現時点ではそこまでの心配はなさそう。
このニュースが出た3/29の取引は
- S&P500の下落幅は0.1%未満
- TOPIXや日経平均は上昇
- 恐怖指数も20.95で急激な上昇は見られず
という感じでした。
結局のところ、
ということで、市場全体がパニック、という感じではないですね。
個人的にも、これらの損失は「一過性」で「限定的」という判断です。
資産運用していると、こういう「交通事故」がいきなりくるから怖いですよね(笑)
株価暴落の引き金は、いつどこで引かれるか分かりません。
まとめ:高配当株投資のポジションについて
以上をまとめると、この通り。
- 日本株の指数のうち、日経平均株価にネガティブニュース(日銀の政策変更)
- 日本の景況感は回復トレンドを維持
- 景気ウォッチャーや日銀短観で「景気が良い」と答える人の方が多くなった
- ゴールドの下落トレンド継続、ビットコインは強い
- 米国長期債は直近高値から20%下落し、40年にわたる強気相場終了
- 米高配当ETFの株価はコロナ前に回復、増配パワーも強い
- バブル懸念、長期金利上昇懸念、増税懸念など、注意すべき点も増えてきた
- アルケゴス破綻のような「事故」もちらほら
という感じです。
個人的には、引き続き
- iDeCoやつみたてNISAを中心としたインデックス運用はそのままに
- 高配当株は、調整に備えキャッシュの比率を高める
というスタンス。
こびと株ポートフォリオはいたって健全な運用がされており、この状況であえて「積極的な買い増し」をする必要はないと考えています。
買ってもちょいちょいつつく程度。
お待ち頂けますと幸いです。
それではまたっ!
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