経理と財務の4つの違い!仕事内容や年収・キャリアパスについて解説します

就活中の学生
経理と財務って似てる言葉だけど何が違うんだろう?言葉の定義の違いだけじゃなくて、経理マンと財務マンの仕事内容とか待遇の違いが知りたいなぁ

こんな人の要望にお応えする記事です。

経理・財務系への転職を検討しているビジネスマンの方にも参考になると思います。

 

混同されがちな経理と財務

経理と財務は全く異なるものですが、とても混同されやすいです。混同されやすい理由は、主に3つあります。

  1. 2つとも「お金に関すること」を扱う職種であること
  2. 2つとも「会計」の知識を必要とする仕事であること
  3. 小さな会社・中規模な会社では、経理の仕事も財務の仕事も1人で担当することがあること

これから経理と財務の違いを見ていきますが、意識して欲しいことは1つだけです。それは、この2つの職種は(似ているように見えるけど)全く異なるということです。

その4つの違いを意識しながら確認していきましょう!

  1. 仕事内容の違い
  2. 知識・バックグラウンドの違い
  3. 年収の違い
  4. キャリアパスの違い

 

①仕事内容の違い

では、経理と財務の仕事の詳細を見比べていきましょう。

 

経理の仕事

経理の仕事の目的は「会計情報」をとりまとめて報告することです。この会計情報が詰まった資料の代表が「財務諸表」ですね。経理の仕事のメインは、この財務諸表の作成です。

補足:会計情報とは

会計情報とは、企業の財政状態や経営成績(=業績)を数値で表したものを言います。

財政状態とは、その企業がいくらの資産(現金や有価証券、土地やビルなどの建物、工場の機械設備など)や負債(借入金など)を持っているかということです。

経営成績(業績)とは、その企業がどれぐらいの売上を立てて、そこからどれぐらいの費用(コスト)を差し引いて、最終的にどれぐらいの利益を出したかということです。

会計情報を見れば、その企業が優良企業なのか、倒産しそうなヤバい会社なのかすぐに判断することができます

この財務諸表を作成するために、日々次のような仕事を行うというわけです。

  • 現金や預金の入出金管理(出納業務)(例:営業マンの売上集金、交通費精算など)
  • 日々の取引に関する伝票の作成と帳簿付け(記帳業務)

 

さて、一般に、経理の仕事は次の2つに大別できます。

  1. 財務会計にかかわる仕事
  2. 管理会計にかかわる仕事

見慣れない言葉かもしれませんが、大したことはありません。会計情報を”誰に”報告するかというだけの違いです。財務会計は社外。管理会計は社内です。

 

財務会計の仕事

財務会計の守備範囲は、企業”外部”への報告です。”外部”という言葉が何を指しているかというと、次のような人達ですね。

  1. 株主
  2. 債権者(取引先の利害関係者)
  3. 投資家

企業は、社会のなかでたくさんの人々とかかわりを持っています。これらの人々は、企業の財政状態や経営成績に興味津々なのです。

株主
今年の業績はどんな感じかな~?お!売上も利益もしっかり伸びてるじゃないか。これは株価上昇にも配当金にも期待が持てるな。
債権者(銀行マン)
うーん、この企業は業績が右肩下がりですねぇ…このままいくと私たちが融資したお金が回収できなくなるかもしれない…困ったなぁ…
投資家
この企業はどんなビジネスをやっているのかな?私の資産増大に貢献してくれるような企業ならぜひ投資したいのだが、財政状態や業績はどうなっているのだろう

彼らに報告する資料のフォーマットは、法律・会計ルールでしっかり決まっています。ここがポイントです。自分たちで好き勝手に作って良いわけではありません

なぜかと言うと、企業間の財政状態・業績を見比べられるようにするためです。トヨタも日産も、同じようなフォーマット・ルールに則って財務諸表が作られているのは、そういう理由です。比較できないと意味がないですからね。

ちなみに、中小企業だと財務会計で作る財務諸表はそのまま社内用資料としても使われることが多いです。管理会計を使いこなす専門性のある人材がいないというのが理由です。

 

管理会計の仕事

財務会計とは異なり、管理会計の守備範囲は、企業”内部”への報告です。”内部”という言葉が何を指しているかというと、次のような人達ですね。

社長
今年はA部門は頑張ったみたいだが、B部門とC部門はイマイチだな。こいつらは賞与カットだな。
営業本部取締役
今月はA製品の売り上げが全然伸びていないですねぇ。来月はもっと広告費を投入して売り上げを伸ばさないと、年間の目標が達成できなさそうですね。
システム部長
うちの部署が開発しているシステム案件、赤字ばかりじゃないの!人件費5千万円も投入しているのに、利益が▲1千万円なんてバカバカしいわ。この取引先とは手を切るしかないわね

企業の内部では、経営に役立つ有用な会計情報のニーズが非常に高いです。管理会計の仕事というのは、社長やその他取締役、本部長や部長などに対して「経営判断の役に立つ」会計情報を提供することが目的です。

財務会計との大きな違いは、会計情報をとりまとめるにあたって法的な縛りがないことです。なぜなら、社内だけで使うローカルな資料だからです。

だから、こんな(くだらない)ことがよく起きます。

新取締役
なんだこの資料は!これじゃあ文字が大きすぎて体裁がおかしい!A商品とB商品の売り上げに関しては、順番を入れ替えてくれ。あとは、ここの数値だけ赤で大きく目立たせて。まったく…こんなことばかり指摘させないでくれ
こき使われるサラリーマン
文字の大きさも、製品売上の順番も、前の取締役に怒られて今のフォーマットに変えたんだけどな…
新取締役
なんか言ったか?
こき使われるサラリーマン
すぐに修正させて頂きます…

財務会計のお仕事ではこういうことは起きません。

  • 税金の申告書
  • 有価証券報告書(大企業が金融庁に提出する資料)
  • 決算短信(上場企業が東証に提出する資料)

こういうものは、すべて法律などでルールが決まっていますからね。フォーマットも作り方も、すべて法律に従うだけでOKです。

一方で、社内用の報告資料は報告先に誰がいるかでまったく内容が異なります。先に見せた事例のように、フォーマットはもちろんのこと、集計方法だって違いがでます。

新取締役
新事業の業績良く見せたいから、この外注費に関しては資料から除いちゃってよ。外注費はどうせ来年からは発生しないし、その方が今年と来年の業績も比較しやすいでしょ

こういうことだって起きえます。社内での考え方の話なので、別に不正でもなんでもありません。ここが管理会計の面白いところですね。

 

財務の仕事

会計情報をとりまとめて財務諸表を作成するのが経理のお仕事でした。社外に報告するなら財務会計、社内に報告するなら管理会計です。

財務の仕事というのは、上記のような財務諸表の作成には全く関係ありません。さきほど、経理の仕事を説明するときに「財務会計」という言葉が出てきました。同じ「財務」という言葉ですが、混乱しないようにしてください。全くの別物です。

財務の仕事は、次のようなことです。

  • 資金調達(銀行から融資を受ける、株式を発行する)
  • 資金運用(M&A:企業買収、投資)
  • 財務戦略の立案(借金と自己資金の比率をいくらにするか)
  • 予算編成及び管理
  • 事業価値評価

経理の仕事というのは、基本的に「過去の情報の集計」です。

一方で、財務が扱うのは「未来」の話です。企業の生命線になる資金繰りのコントロールと、予算編成・管理や事業価値の評価などがメインの業務になります。

ここまでの話を見て、ちょっとカンの良い方は分かると思いますが、財務の方が年収が高いです。

英語で、経理はAccounting(アカウンティング)、財務はFinance(ファイナンス)と表現されます。米国では、お金持ちになりたいならAccountingの仕事に就くよりもFinanceの仕事に就く方が良いというのは常識だそうです。

なぜならFinanceの方が企業利益に直結するからです。財務系のトップをCFO(財務最高責任者)と言います。経理最高責任者というポジションはないですから、どちらが重要かは一目瞭然ですね。

経理の中でも、財務寄りの仕事ができる人材は上位階層です。

経理でのキャリアアップを考える時は「階層」を意識する必要がある

2017.11.06

 

②知識・バックグラウンドの違い

経理の知識

経理を行ううえで最も必要な知識は「簿記」です。簿記とは、企業の活動を数値化して財務諸表を作成するための技術ですね。

  • 高校で学ぶなら商業高校
  • 専門学校で学ぶなら経理専門学校
  • 大学で学ぶなら経済学部・商学部
  • 独りで学ぶなら日商簿記検定

経理をするために必要な知識・バックグラウンドを持っているかどうかは、簿記検定の有無、出身校で判断されます。

 

財務の知識

財務の仕事に携わるうえで最も必要な知識は「ファイナンス」です。

会計(簿記)の知識も必要ですが、そこまでマニアックに追及する必要はありません(経理のプロフェッショナルとは異なり、最低限、簿記2級程度の知識があれば十分でしょう)

  • 高校や専門学校で高度なファイナンスを専修できるところはほとんどないと思います
  • 大学で学ぶなら経済学部・商学部
  • 独りで学ぶならファイナンス関連書籍

 

簿記のような検定試験がないため、身に着けるためのハードルが一段高いイメージです。さらに、大学でファイナンスを専攻していたという理由で、新卒でファイナンスの職種に就けた学生は私の身近にはいません。

  • ”運よく”たまたま財務部に配属されるか
  • 経理に配属されてからファイナンスを身に着けて(夜間MBAなどでファイナンスを専修する)、転属希望を出すか
  • 経理と財務が区別されていない企業で実務経験を積んで、財務メインの仕事ができる会社に転職する

このあたりが財務の仕事をするための現実的なコースかもしれません。

経理よりも高学歴な人材が多い印象がありますね。

 

③年収の違い

財務の方が、経理よりも1~2割年収が高いです。

(出典:平均年収ランキング2016(DODA)

※求人数は、財務の方が経理よりも圧倒的に少ないです

 

経理の年収

経理の年収はピンキリです。経理はどこの会社にも絶対に必要な存在なので、かなり収入水準にバラつきがあります。

年収の水準は次の2つで決まります。

  1. その会社が儲かっているかどうか
  2. 経営陣がその儲けを従業員に還元する気があるかどうか

仮に2人の経理マンがいるとします(Aさん、Bさん)。

AさんもBさんも、仕事の内容は全く同じです。労働時間も労働の質もほとんど変わりません。それなのに、Aさんの年収は700万円、Bさんの年収は400万円だったりします。

経理はこういう世界です。

だから、経理に興味がある人が一生懸命「経理 年収」と検索をかけても意味がありません。高い給料が欲しいなら、儲かっている業界・儲かっている会社の経理を狙えば良いだけです。

あえて幅を示せば、年収200万円~年収1,000万円といった感じです。参考にならないと思いますが(笑)

経理をやっている私の知人の年収は、そのまんま「その会社の平均年収」という感じです。成果主義を採用しづらいバックオフィスの職種なので、まぁそうなりますよね…私個人の年収としても、そのまんま「所属会社の平均年収」です。

繰り返しになりますが、経理に年収水準なんてあってないようなものです。業界・企業の年収を調べて、気に入った企業の経理を狙いましょう(ちなみに、会計事務所業界は超薄給激務なのでオススメしません)。

経理の年収に関しては、こちらの記事は必見です。

経理の年収にまつわる3つの「残酷な真実」と年収アップ戦略

2018.06.20

 

財務の年収

財務の年収は、経理と比較すると1段高いです。その理由は、経理と財務が分業されている企業は大企業ばかりだからです。必然的に、財務の年収水準は高くなります。

幅を示すと、500万円~1,200万円という感じです。経理と比較すると、下限も上限も1段階高くなっていますね。年収200万円とか300万円の財務の仕事というのは見たことがありません。

ベンチャー企業の初期段階(創業者3~4人しかいないような感じ)で、財務担当の人はそれぐらいの水準かも知れないですが…まぁあまり参考にならないでしょう。

外資系の転職情報を見ると、経理よりも明らかに年収水準が高いです。マネージャークラスで1千万円超というのもザラですね。

ここだけ見ると、経理より財務の方が優れている職種に見えますが、残念ながらそううまくはいきません。財務の方が、経理より圧倒的にポジションが少ないからです。要するに、競争率が高くてその仕事に就きにくいのです。

競争に勝ち抜けさえすれば、悪くない待遇が用意されています。

 

④キャリアパスの違い

経理・財務のキャリアパス

経理の場合、ざっくりこんなイメージです。転職サイトで紹介されているキャリアパスなので、30歳前後がスタートの経験年数に見えますね。

【日系企業(上場企業)の一例】
・ 経理スタッフ(経験1~3年)
仕訳業務や月次決算・年次決算補助業務など経理の基礎を学ぶ段階。

・経理財務主任(経験2~3年)
年次決算実務。税務申告、財務諸表、キャッシュフロー計算書作成。
内部統制業務補佐。

・ 経理財務課長(経験3~5年)
決算、財務諸表、IR実務までの経理管理業務の実質的責任者。
専門性に磨きをかけ市場価値を高めること。内部統制業務(J-SOX業務)。
資金調達・運用などの事業計画、あるいはM&A戦略プラン対応の実質責任者。

・経理部長(経験5~10年):
会社全体の業績について実質的に統括。
会社及びグループ全体の資金に関する統括責任者

・取締役: キャリアゴールのひとつ。

(出典:管理部門No.1エージェント MSーJapan

経理オンリーで上を目指すならこんなイメージですが、経営企画などの企画系・財務畑へ乗り換えていくキャリアパスもあります。

外資を例にとると、アカウンティング/ファイナンス/FP&A(企画系)のマネージャーを経由することがCFO就任へのキャリアパスになります。

(出典:経理・財務キャリアパス

こうやって見てくると、職務の内容が違うだけで、経理・財務のキャリアパス自体に大きな違いはありません。どこをゴールに据えるかで、何歳でどこの職場にいれば良いかが変わるだけということです

  • 日系大企業の部長・取締役
  • ベンチャー企業の役員
  • 外資系企業のコントローラー・CFO
  • 会計事務所やコンサルティングファームのパートナー(共同経営者)

 

概ね、35歳ぐらいまではキャリアの方針を決めたうえでそのキャリアパスに乗っていないと厳しいと言われています。つまり、40歳まで日系企業に勤めていた人が、突然その年齢から外資のCFOを狙うのは難しいということです。

決勝戦(経理部長と財務部長どちらがCFOになれるか)までいくと、財務部長に軍配が上がるケースが多い気がしますね。もちろんケースバイケースでしょうけれど、経理は企業に利益をもたらしませんからね。財務活動は企業利益に深い関係があります。

どちらが業務執行役員にふさわしいかと聞かれると(経理経験も少しある)ファイナンスコントローラーという感じがします。実際、外資だとその傾向が強いようです。

 

まとめ:経理と財務は似て非なるもの!違いがたくさんあります

  1. 仕事内容が違う(一言で言うと、経理は財務諸表の作成がメイン、財務は資金調達・運用がメイン)
  2. バックグラウンドが違う(経理は簿記がメインの知識、財務はファイナンスがメインの知識)
  3. 年収水準が違う(経理よりも財務の方が1~2割年収水準が高い)
  4. キャリアパスは大体同じだが、CFOになれる可能性が高いのは経理ではなく財務

求人数も違います。財務の方が圧倒的に少ないですね。財務を狙うのは割と狭き門です。

 

以上、経理と財務の違いでした!違いが知りたい人の参考になっていれば幸いです。

それではまたっ!

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シーウィード

こびと株.comの管理人(役割:投資対象の選定)。お金の話と健康をこよなく愛するアラサーリーマン。一部上場企業の経理/財務部で財務諸表を作成している会計の専門家(日商1級・証券アナリスト)。40歳時点で給与以外の収入(配当/不動産/サイト運営)を月額20万円にすることを目標に活動中。187cmの大男。