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キヤノン 2019年12月期第2四半期決算(2019年7月24日公表)
かのんより2019年1月1日~6月30日の業務報告が届いております。
経営成績の報告
当第2四半期 前第2四半期
売上高 1兆7,703億円 1兆9,671億円
営業利益率 4.7% 8.9%
1株純利益 61.22円 124.83円
配当 80円(中間実績)+80円(期末予想※)
※かのんちゃん自身は、期末の配当予想を発表していません。
1Qに引き続き、酷い経営成績です。売上は1割減、利益は半分以下。営業利益率は前年同期比▲4.2%。
利益率の低下要因は、プロダクトミックス・為替・値下げなど。材料のコストダウンも経費改善も焼け石に水状態です。
米中貿易摩擦、中国景気の低迷、欧州経済の減速…などと、外部環境は好転の兆しが見えません。
プリンターやカメラなど、かのんちゃんが得意としてきた市場は縮小の一途。
新規事業のネットワークカメラなどの市場だけが、なんとか拡大を続けている状態です。
セグメント別の売上・利益で見ても
- オフィス:5.7%減収・21.7%減益
- イメージングシステム:17.8%減収・71.4%減益
- メディカルシステム:1.3%増収・17.0%減益
- 産業機器その他:15.7%減収・66.2%減益
と、全体的にボロボロです。
最もひどいのは、②イメージングシステムユニット。かのんちゃんは「ミラーレスをがんばってる!」などと述べていますが、もうそういうレベルの話ではありませんね。
③のメディカルシステムユニットは、2Qの3ヶ月間だけで見ると増収増益。唯一、光を見出せそうなセグメントです。
④産業機器その他ユニットは、ネットワークカメラの増収増益を、露光装置・有機EL装着装置の減収減益が食いつぶしてしまっている状態。
各セグメント、在庫も厚めの状況が続いており、あんまり良いところの無い決算でした。
一方、そんな中でも、中間配当の支払額は維持されています。5月の自己株買いといい、苦しい中でも株主還元を強く意識していることがわかりますね。
なんとかこのまま配当を維持しつつ、業績回復に努めてほしいこびと株オーナーです。欲張りかなぁ…
財政状態の報告
当第2四半期末 前期末
総 資 産 4兆8,146億円 4兆8,995億円
1株純資産 2,543.63円 2,558.54円
自己資本比率 56.2% 57.7%
流動比率 189.8% 199.1%
財政状態については、ホッと一息つける状況です。
- 総資産も1株純資産も縮んでいて
- 自己資本比率も低下傾向
- 流動比率も200%をきって、さらに低下傾向
などと、注意が必要な点はありますが、短期的に問題のある数値ではありません。
キャッシュ・フローの状況
当第2四半期 前第2四半期末
営業C/F 1,132億円 1,649億円
投資C/F ▲1,108億円 ▲897億円
財務C/F ▲1,075億円 ▲1,445億円
営業CFが激減しています。前年同期比▲31%。金額にして、▲517億円。
主たる原因は、四半期利益の激減(▲690億円)です。かなり困った状況ですね。
FCFは、ギリギリプラスではありますが、たったの24億円。
為替変動によるマイナス80億円さえ、まかなえないレベル感です。
結局、株主還元のための支出(自己株取得や配当支払)1,364億円は、
- 短期借入金
- 期首からもっていた現預金
でカバーすることとなりました。
短期借入金の増加額は321億円。
決して小さくはない金額ですが、現在のかのんちゃんの借入額は
- 1年以内に返済するもの:707億円
- 1年以上後に返済するもの:3,636億円
合計で4,343億円です。
対して、保有する現預金等の金額は4,075億円なので、即金で94%程度は返済できる計算になります。
前期末決算での懸念点であった「たな卸資産」についても、▲311億円と引き続き増加しています。
全体として、なかなかキビシイ状況と言えるでしょう。
かのんちゃん自身は
と言っていますが、根本的な解決とは言い難いように思われます。
これらの施策で、かのんちゃんの言う通り
- 下期の回復が確実なものになり
- 来期以降の業績の飛躍に結びついて
いくと良いな、と思います。心配だ…
今後の見通し
最新のニュース
最近のかのんちゃんの動向としては、グループ内の組織再編をやっている程度でしょうか。
連結グループとしては、取り立てて大きなニュースは無いという認識です。
- 欧州委員会とのガンジャンピング絡みのゴタゴタとか
- ㈱日本医療機器開発機構への出資とか
いろいろ有りはするのですが、それよりも
という感じです。
業績予想
かのんちゃんの恒例イベント、四半期ごとの予想修正です~。
予想修正自体は、為替等の影響も大きいので仕方ないのですが。問題は、その内容。
2Q実績の酷さを回復しきれずに、期末を迎える見込みのようです。
前年比で
- 売上 2Q実績:▲10%→4Q予想:▲5%
- 利益 2Q実績:▲50%→4Q予想:▲30%
みたいなイメージですね。
かのんちゃんがメインにしてきた市場について、縮小が進んでいます。
かのんちゃん自身は
- 新規事業を伸ばす
- 投資と経費の見直し・圧縮
- 原価低減
- BtoB→BtoCの構造改革
などの対策を挙げていますが、個人的には
- この苦境を脱することができるのか
- そのためにどうするのか
が、今一つピンとこないと感じています。
配当金について
かのんちゃんが30年以上続けてきた、累進配当。1988年以降、一度も減配することなく2019年を迎えました。
この業績でも
- 自己株式取得
- 中間配当維持
を行うこびとですから、株主還元の意識はかなり強いと言えるでしょう。
とはいえ、この業績がしんどいのは事実。
期末業績予想を達成しても、昨年と同額を配当すると、配当性向は約107%にまで上昇します。100%を軽く超え、いわゆるタコ足配当になってしまいますね。
かのんちゃんがどういう判断をするのか、見守る他ないこびと株オーナーです。
願わくば、期末は
- 下期の業績が回復し
- 翌期以降の信頼性の高い成長シナリオが見えて
- 安心して昨年と同額の配当を受け取れる
未来が訪れるといいのですが…。
それではまたっ!
(参考:キヤノン株式会社 四半期決算短信等)
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