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キヤノン 2019年12月期第3四半期決算(2019年10月28日公表)
かのんより2019年1月1日~9月30日の業務報告が届いております。
経営成績の報告
当第3四半期 前第3四半期
売上高 2兆6,398億円 2兆8,936億円
営業利益率 4.6% 8.4%
1株純利益 86.16円 167.67円
配当 80円(中間実績)+80円(期末予想)
※かのんちゃん自身は、期末の配当予想を発表していません。
上半期に引き続き、ボロボロの経営成績が続いています。昨年に比べ、売上は9%減、利益は半分程度。
原価率も販管費率も上昇しています。
相変わらず、外部環境は厳しい雰囲気です。
- 米国の製造業は減速
- ドイツの輸出は回復が遅れ
- 英国のEU離脱をめぐって混乱が続き
- 中国は米中貿易摩擦で輸出減少・個人消費の落ち込み
- 日本の製造業も景況感が悪化
- そして何よりの円高 …etc.
- 新規事業は成長してるし(メディカルやネットワークカメラ)
- 新製品導入は計画通りだし
- シェアも上昇してるし
というのが、かのんちゃんの言い分のようです。
数字が悪すぎてなんとも言えませんが、かのんちゃんの企業規模(国家予算並み)だと、世界経済全体の動向に振り回されるのは、宿命なのかもしれません。
セグメント別の売上・利益で見ても
- オフィス:3.9%減収・15.4%減益
- イメージングシステム:13.9%減収・56.8%減益
- メディカルシステム:5.9%増収・14.6%増益
- 産業機器その他:10.5%減収・75.1%減益
と、「かなり酷いけど上期よりはマシ」な状況が見てとれます。
メディカルシステムだけががんばっていますね。確かに、新規事業開拓に力を注いだここ数年の経営判断は、間違っていなかったのかもしれません。
財政状態の報告
当第3四半期末 前期末
総 資 産 4兆8,004億円 4兆8,995億円
1株純資産 2,458.86円 2,618.76円
自己資本比率 54.5% 57.7%
流動比率 176.6% 199.1%
財政状態については、現時点では目立った問題はありません。相変わらず、少なくとも短期的には安心のできる状態です。
- 総資産も1株純資産も縮んでいて
- 自己資本比率も低下傾向
- 流動比率も低下傾向
どの数値も、2Q末に比べてさらに低下・減少が続いています。
経営成績が回復しないことには、これらの数値も悪化を免れ得ません。
どこで歯止めがかかるのか、こびと株オーナーは少しハラハラしています。
キャッシュ・フローの状況
当第3四半期 前第3四半期末
営業C/F 1,945億円 1,937億円
投資C/F ▲1,578億円 ▲1,365億円
財務C/F ▲964億円 ▲2,353億円
当期利益が49%も減少したにもかかわらず、営業CFは前期より若干大きくなりました。
- 売上債権の回収額増加
- 棚卸資産の増加幅減少
などで、利益の減少分を補った形です。
投資CFの増加は、生産設備への投資によるものです。
- 経営成績が悪くなったときに投資を絞れば、先はない
- 経営成績が悪いのに不確実な投資を続ければ、先は無い
どちらのストーリーも考えらえれるので、ここは判断が難しいところ。将来につながる投資であることを祈るばかりです。
財務CFは相変わらずマイナス。
配当金支払いと自己株買いが重くのしかかっています。
これをカバーするための短期借入金は、約1,700億円にのぼっています。(ちなみに、これとは別に長期債務が約3,600億円あります)
約4,500億円の現預金を持つかのんちゃんのこととはいえ、じわじわ増加する借入金はイヤなものです。
今後も、キャッシュフローの状況からは目が離せません。
今後の見通し
最新のニュース
今回も大きなニュースなし。
細かいところでは
あたりは面白いですし、
なんかは新規事業への注力っぷりを感じます。
業績予想
今回の業績予想修正は、完全な下方修正。
3Q決算の酷い経営成績が、期末まで続く見込みとなっています。
かのんちゃん自身は
- 複合機は底堅いし
- 露光装置は3Qを底に業績が上向く見込みだし
- メディカルは順調だし
- ネットワークカメラも順調だし
- 有機EL蒸着装置も下期から増収見込みだし
ということで、「年内に構造改革完遂・来期以降は業績回復」と言い続けています。
配当金について
繰り返しお伝えしている通り、かのんちゃんは株主還元の意識がかなり強いこびとです。
- 30年以上続けてきた、累進配当
- この業績での、自己株式取得
などを見ても、それは明らか。
とはいえ、現実的には「借入金で配当金を払う」ような真似を、いつまでも続けられるはずはありません。
期末配当が維持され、期末の業績が予想通りとすれば、配当性向は122%を超えます。
それが良いことなのか、自分の首を絞めるだけのことなのか、ちょっと判断が難しくなってきましたね。
全ては、翌期以降の業績回復に、どれほどの確実性があるかにかかっています。
世界の景況感を観察しつつ、かのんちゃんの判断を見守りたいと思います。
それではまたっ!
(参考:キヤノン株式会社 四半期決算短信等)
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