売るべきか、持ち続けるべきか、どうしたらいいのかしら…
こんにちは、こびと株(@kobito_kabu)です。
こんな疑問にお答えします。
結論から言うと
- 不祥事(不正)を起こした企業の株は買ってはいけない
- 不祥事(不正)を起こした企業の株を持っていたら、即売却(損切り)すべき
と思っています。
この記事では、上記について深堀りします。
- 不祥事を起こした企業の株を買ってはいけない3つの理由
- もし保有株で不祥事が起きたらどうするのか
- 資産運用上のリスクを減らすためにできること
目次
不祥事を起こした企業の株を買ってはいけない3つの理由
不祥事を起こした企業の株を買ってはいけない理由は次の通り。
- 不祥事は、想定以上に企業価値を損なう
- 不祥事は、繰り返される
- 不祥事の責任をとるのは、最終的には株主
順番に見ていきます。
①不祥事は想定以上に企業価値を損なう
企業価値とは「株式価値(時価総額)+有利子負債」のことを言います。
と思う人もいるかもしれませんが、資本主義社会では「多くの金を借りられる人ほど信用が高い」ということになっています。
どれだけのお金を引っ張れるかはまさにその人(企業)の価値そのものなのです。
(出典:税務会計情報経営サイトTabisLand)
不祥事が起きると一般に株価が下がります。
そして、株価が下がればお金を借り入れるチカラも弱まります。不祥事を起こして収益力・財務が低下していく企業にお金を貸したがる銀行はないからですね。
コーポレートガバナンス(企業統治)という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれません。
経営陣を監視する仕組みのこと。具体的には、
- 取締役に社外の人を混ぜる
- 社内ルールを整備する
- 情報開示をしっかりする
などがあります。
コーポレートガバナンスは、企業のビジネスモデルそのものには関係ありませんが、非常に重視されている概念です。日本は10年20年遅れて、米国の後追いをしてコーポレートガバナンスを強化しようとしていますね。
※海外の機関投資家のなかには、「日本企業はコーポレートガバナンスの質が低いから投資しない」と言い切っている人たちもいるぐらいです。
とにもかくにも不祥事は、企業価値の低下に直結するのです。
※事例として、2019年に発覚した「かんぽ生命の不正契約」を紹介しておきます。
この時は時価総額が9兆円吹っ飛びました。
日本郵政、かんぽ生命保険、ゆうちょ銀行の郵政グループ3社の株価が8月26日、そろって上場来安値を更新した。
合計の時価総額は9兆円強。3社は2015年11月に同時上場し、時価総額は同年12月に最大の19兆485億円(終値ベース)まで膨らんだ。
ピーク時の半分を割り込み、この間に時価総額は9兆円以上が消えた。
②不祥事は繰り返される
不祥事は繰り返されます。
だいたい、不正発覚時の第一報というのは全貌ではありません。
- つつけばつつくほど不正は出てきて
- ようやく膿(うみ)を出し切ったと思ったらまた出てくる
- 数年経って忘れられた頃に、また出てくる
不祥事をやらかす企業は何回でもやります。やらない企業はやりません。企業不祥事に関する調査研究でも、そういう傾向が明らかになっています。
自分の職場のことを想像して頂ければ分かると思いますが、企業文化というものはそう簡単には変わらないのです。
③不祥事の責任をとるのは最終的に株主
最終的に、ツケを払わされるのは株主です。
結局、日本のサラリーマン社長は、企業価値がどうなろうと知ったことではないというのが本音だと思います。個人としては大して自社株を保有していないケースがほとんどですからね。
- 自分の社会的地位を守る方が大事
- 自分が役員の間に大過なく時間が過ぎる方が大事
- 前任の役員のツケを払わされてはたまらない
こういうマインドです。
かんぽ生命の社長は、過去5年で行われた18万3千件の不正契約についてこう言っています。
長門氏は「自分は何も知らされていなかった」として、「4月時点の(不正の)認識」を完全に否定
(出典:同上)
結局、最終的に責任をとるのは株主です。
企業は株主のものだから当然ですね。だからこそ、株主(オーナー)を裏切るような経営陣・従業員がいる企業の株を持つ理由はどこにもありません。
もし保有株で不祥事が起きたらどうするのか
もし自分の保有株で不祥事が起きてしまったら、プランは3つしかありません。
- 買い増し
- 塩漬け
- 売却(損切り)
順番に検討していきます。
プラン①:買い増し
株式市場というのは、往々にしていきすぎる傾向になります。
- 上がるときは上がりすぎて
- 売られるときは売られ過ぎる
そういうことになりがちだということです。
不祥事を起こした企業の株価も、場合によっては「売られ過ぎ」に見えることもあるでしょう。だから、トレードの上級者はそういう需給関係をうまく読み取って上手に売買することができます。
とはいえ、それはあくまで上級者の話。初心者がこのスタイルで勝つことは難しいでしょう。
プラン②:塩漬け
ほとぼりが冷めるまで放っておくというプランもあります。
一般に、株価は戻ります。数多の暴落を経験して、最終的には右肩上がりを達成してきているのが株式市場です(特に米国市場)。
ところが、それはあくまでインデックス投資の話です。個別株に限って言えば
- そのまま地を這うように底辺に居続ける企業(まともなインデックスファンドからは除外されます)
- そのまま倒産して市場から退場してしまう企業
も少なくありません。
インデックスファンドの長期保有と、個別株の長期保有は、リスクの大きさがまったく異なります。
一時的な事業環境の悪化ならともかく、コーポレートガバナンスの問題は企業内部の本質的な問題です。こういった企業が出す決算・中期経営計画も、どこまで信用できたものか分かりません。
プラン③:損切り
最後は、損切りです。縁切りと言っても良いですね。
こびと株メンバーは、株価がどういう状況になっていようが迷わずこちらを選択します。
可能性の1つとして、誤報も考えられます。しかし、基本的には「火のないところに煙は立ちません」。不祥事が表に出た時点で、それはもう氷山の一角。十中八九、内部に問題があると判断します。
※もし万が一誤報であった場合、そのことを確認できてから買い戻せば良いだけですね。
資産運用上のリスクを減らすためにできること
結局、資産運用上のリスクを減らすキモは「分散投資」です。
コーポレート・ガバナンス報告書という資料の作成に携わったことがありますが、こういった資料もすでに形骸化しています。
まったく役に立たないとまでは言いませんが、これを見れば企業の質が分かるというものでもありません。
外部公開される限られた情報しか持つことができない投資家に「不正を事前に見抜け」というのは無理な話です。
結局、個人投資家としては分散投資を徹底してリスクを低減させる他ないということですね。
まとめ:不祥事を起こした企業には近寄るな
以上をまとめると、下記の通り。
不祥事を起こした企業の株は、買ってはいけません。
- 不祥事は、想定以上に企業価値を損なう
- 不祥事は、繰り返される
- 不祥事の責任をとるのは、最終的には株主
もし自分の保有株で不祥事が起きてしまったら、プランは3つしかありません。
- 買い増し
- 塩漬け
- 売却(損切り)
買い増しは完全に上級者向け、塩漬けは分の悪い賭けです。個人的には、即損切りを推奨します。私ならば絶対にそうします。
外部の人間が、事前に企業の不正を見抜くことは難しいです。
- 分散投資を徹底すること(最初からまっとうなインデックスファンドを買っておけばラク)
- もし不正を起こした企業があれば、即ポートフォリオから除名する
これが大切だということですね。
《中国の三国時代、蜀(しょく)の諸葛孔明(しょかつこうめい)は日ごろ重用していた臣下の馬謖が命に従わず魏に大敗したために、泣いて斬罪に処したという「蜀志」馬謖伝の故事から》。
規律を保つためには、たとえ愛する者であっても、違反者は厳しく処分することのたとえ。
不祥事は勘弁してほしい。
以上、「不祥事を起こした企業の株を買ってはいけない3つの理由」でした。
それではまたっ!
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