こんにちは、こびと株(kobito_kabu)です。
現在、
- 高配当株投資
- インデックス投資(つみたてNISAやiDeCoのみ)
の両刀で資産運用をやっています。
毎月恒例企画ということで、12月の投資トピックスについて「この2つの投資にどのような影響があるか」という観点で、まとめていきます。
本記事の構成はこの通り。
- 日本株の投資トピックス
- 外国株の投資トピックス
- まとめ:高配当株投資のポジションについて
目次
日本株の投資トピックス
日本株については、以下の順番で解説します。
- 株価指数の推移
- その他指数の推移
- 12月のトピックス
①株価指数の推移(日経平均・TOPIX・J-REIT)
12月25日時点の株価は、この通り。
- 日経平均株価:26,657円(年初来安値16,358 円)
- TOPIX:1,778pt(年初来安値1,199 pt)
- J-REIT指数:1,730pt(年初来安値1,138 pt)
この3つの指数の、直近1年の値動きを見てみるとこんな感じです。
1991年以来29年ぶりに2万5000円を回復した日経平均株価は、その後もスルスルと伸びて26,657円を記録。
絶好調に見えますが、実は好調なのは一部の銘柄だけ。
- 日経平均225銘柄のうち
- 株価が急騰した5銘柄(ファーストリテイリングやソフトバンクG等)を除くと
- 日経平均220は、実はまだマイナスでした(11月時点)
(出典:第一生命経済研究所)
日経5(ファイブ)、たった5銘柄で日経平均を2,100円も押し上げてるそうです(笑)
「株価と実体経済が乖離している!」という声もありますが、7割近い銘柄がまだマイナス。
- 資金が極端に集まっている銘柄(過大評価されている可能性アリ)
- 放置されている銘柄
二極化が進んでいるということは知っておきましょう。
12月中の値動きは、この通り。
- J-REIT +3.42%
- 日経平均 +1.37%
- TOPIX +0.61%
出遅れているJ-REIT(赤線)が若干持ち直しました。
とはいえ、J-REITはいまだに相対的に割安な水準にあります。
このグラフの、オレンジの線だけを見てください。
(出典:JPモルガン「Guide-to-the-Markets」)
オレンジのラインは「東証REIT指数÷TOPIX」で、100未満だと「REITが(相対的に)割安」なことを示します。
2008年~2009年のリーマンショック時ほどの割安さはないですが、ウォッチし続けたくなる水準ではあります。
②その他指数の推移
この3つをチェックしときます。
- 景気動向指数
- 景気ウォッチャー指数
- 日銀短観
ざっくりとした景気の雰囲気を掴むのに大事だからです。
普段から気にしている指数というワケではないですが、今は
- 景気回復の「勢い」「ペース」
を探るための参考として眺めています。
①景気動向指数は、この通り。
10月の数値(12月23日公表)は94.3。
100が基準値なのでまだまだ弱いですが、少なくともコロナ前の水準に戻っています。
(出典:景気動向指数 速報からの改訂状況)
景気動向指数は、
- 景気全体の現状を知ったり
- 将来の動向を予測したりするときに
使われる経済指標です。産業、金融、労働など、経済に重要かつ景気に敏感な28項目の景気指標をもとに指数が算出されています。
色々な指標をミキサーに入れてスイッチをいれると、1つの「景気動向指数」ができるというイメージです。
- 6月 84.0(前月比+5.4ポイント)
- 7月 87.1(前月比+3.1ポイント)
- 8月 89.1(前月比+2.0ポイント)
- 9月 93.3(前月比+4.2ポイント)
- 10月 94.3(前月比+1.0ポイント)←NEW!
とはいえ、11月~12月は、感染者数が急拡大。
- GoToトラベルが停止されたり
- 外出自粛が呼びかけられたり
ということで、このまま「回復し続ける」ということはないでしょう。
次に、②景気ウォッチャー指数はこの通り。
10月は36.5ポイント(前月比-12.6ポイント)となっており、「好景気」の判断の分かれ目となる50を若干下回っています。
銀座のママさんやタクシーの運転手さんが「景気はイマイチだ」と判断しているということです。
せっかく回復していたのに、また急落しましたね。
(出典:景気ウォッチャー指数12月8日公表)
百貨店・スーパーマーケット・コンビニなどの小売店やレジャー業界で働く人、タクシー運転手など、景気に敏感な職種の約2000人にインタビューし、調査結果を集計・分析して発表するもの。
2021年がどうなるかは、「ワクチン次第」ですかね。
12月公表の③日銀短観についても見ておきましょう。
日銀短観では、
- 大企業からアンケートをとって
- 「景気が良い!」と答えた企業の数から
- 「景気が悪い!」と答えた企業の数を引いて
業況判断指数というものを算出しているのですが、その推移がこちら。
(出典:日本経済新聞「日銀短観、景況感悪化歯止め 大企業製造業マイナス27」)
最新の短観(12月発表)では「-10ポイント」となり、9月時点から17ポイント改善しました。中国・米国向けの自動車の輸出が増えたことが主要因です。
※ちなみに、中小企業はー27ポイントで、大企業よりはるかに悪いです。
とはいえ
- 良くはなっているんだけど
- 他の経済大国と比べると、戻りが遅い
これが、日本の現状です。
企業の景況感を示す「PMI」という指数(50を上回れば好景気、下回ると不景気)では、米中ユーロ圏と比較すると、日本だけがいまだに50を下回っています。
(出典:日経新聞「経済回復 米中に後れ」)
現在の株価水準は、2~3年後の実体経済の回復を先取りしているなという印象です。
株価が「底」に張り付いているわけではないので、もし、経済回復が遅れるようなバッドイベントが起きたら株価はすぐに下がるでしょう。
③12月のトピックス
12月のトピックスは、この3つです
- 1日の感染者数・死亡者数がともに過去最大
- GoToトラベル一斉停止
- 環境テーマ
まず1つめ。
1日の新型コロナウイルスの感染者数・死亡者数が、ともに右肩上がり。過去最高を更新し続けています。
※菅首相の支持率は右肩下がり。政局不安が高まると、マーケットにとってはリスクです。
(出典:NHK)
今回の不景気は、コロナウイルスが震源地です。
- 感染者数の推移
- ワクチン開発・配布の行方
このあたりは、常にチェックしておかないといけないですね。
2つめ。
感染拡大の状況を踏まえ、政府はGoToトラベルの一斉停止を決めました。
「Go Toトラベル」をめぐって菅総理大臣は、政府の対策本部で、今月28日から来年1月11日までの間、全国一斉に一時停止する考えを表明しました。
(出典:NHK「GoToトラベル 全国一斉に停止へ 今月28日~1月11日 菅首相表明」)
ただでさえ大打撃を受けている旅行系の会社、ホテル系REITなどは、また経営が苦しくなりますね。
3つめ。
(トランプ氏との火種があるものの)バイデン次期大統領の誕生が確実視されるようになり、「環境」への関心がますます高まっています。
私は、日経新聞の「一面のタイトル」を日々メモっているのですが、一部ご覧あれ。
- 12/4 自動車に排出枠取引制度
- 12/5 脱炭素支援2兆円基金
- 12/6 異常降雨アジアに脅威
- 12/8 水素 30年に主要燃料に
- 12/9 東京都 30年全て電動車
- 12/10 新型EV電池 官民で実用化
- 12/11 日鉄50年に排出ゼロ 水素利用
- 12/22 脱炭素・デジタルで成長 来年度予算案最大の106兆円
- 12/24 洋上風力4500万キロワット 原発新型炉を開発
「ん?日経新聞、環境問題に取り組むNPOになったのかな?」と思うぐらい、最近は「環境・エネルギー」の話題が増えました。
バイデン氏の政策の軸は「エネルギー・環境政策」です。米国の大統領が変わると、世界が変わるということ。
外国株の投資トピックス
外国株については、この4つの順番で見ていきます。
- 株価指数の推移
- ゴールド・債券ファンド等の値動き
- 高配当ファンドの値動き
- 12月のトピックス
①株価指数の推移
日本を除くG7の主要株価指数の推移(直近1年)は、この通り。
直近1年のパフォーマンスは、こんな感じです。
- S&P500(米国):+14.30%
- S&P TSX(カナダ):+2.65%
- DAX30(ドイツ):̠+1.88%
- FTSE MIB(イタリア):▲6.85%
- CAC40種(フランス):▲8.54%
- FTSE100(イギリス):̠▲14.95%
我らが日経平均株価は+12.06%なので、G7(先進国)のなかでは米国に次いで2位です。
12月単月で見ると、この通り。
各国政府の迅速な経済対策(後述)が効いてます。
②ゴールド・債券ETF等の値動き
8月以降下落が続いてきたゴールドですが、少し風向きが変わった感じがありますね。
コロナショック以後、ゴールド価格が右肩上がりで伸び続けるなか
「う~ん、高くて買えないな」
と思っていた投資家達が、ここ最近の値下がりで
「このぐらいの価格なら買ってもよいかな」
と思い始めたとかなんとか。
とにもかくにも、ゴールドやシルバーといったコモディティ(商品)は、需給で価格が決まります。
- それ自体が新たな価値を生み出すものではないし
- 利息や配当金などもない
ので、値下がりし続けている時に「鬼ホールド」「ナンピン(価格が下がったら買う)」するのは勇気がいります。
ノリで買うと痛い目を見るので気をつけましょう。
ちょっと扱いが難しい資産ですが、個人的には「ゴールドの未来は明るい」と思っています。世界中の政府がジャブジャブ紙幣を刷って、多額の債務を抱えているからですね。
政府債務は、GDP比で過去最大の水準です。
国際通貨基金(IMF)は14日公表した報告書で、2020年の世界全体の政府債務が世界の国内総生産(GDP、約90兆ドル)にほぼ匹敵する規模になると予測した。GDP比で過去最大の98.7%となる
(出典:日経新聞「政府債務、世界GDPに匹敵 IMF今年予測 コロナで過去最悪」)
という時代は、もしかしたらそう遠くないかもしれません。
Xデーを予測することは不可能ですが、遅かれ早かれ「債務危機」の問題は訪れると思います。
どこの国の借金が、いつ爆発するか?
歴史を紐解けば、借金が原因で崩壊した国はいくらでもあります。怖いですねぇ~。
※利息や配当金を生まないものに興味がない私でさえ、ゴールドにいくら投資すべきか検討しています(笑)
お次は、債券です。
投資額に対して2%~5%ほどのインカム(利息)が欲しければ、米国債券が有望な投資候補になります。というわけで、米国の債券ファンドを3つチェック。
- AGG:ローリスク・ローリターンな債券(格付け高く、利回り低い)
- LQD:ミドルリスク・ミドルリターンな債券(格付け普通、利回り普通)
- HYG:ハイリスク・ハイリターンな債券(格付け低く、利回り高い)
米国総合債券に投資する【AGG】というファンドのチャートはこの通り。現在の分配金利回りは2.15%ほど。
投資対象の約7割は、格付けがAAA(トリプルエー)の債券です。
非常~に底堅い値動きをする、安全性の高い債券ファンドです。ポートフォリオのリスクを下げつつインカムを狙うなら、十分投資候補になるファンドかなと思います。
米国優良社債に投資する【LQD】というファンドのチャートはこの通り。分配金利回りは2.69%ほど。
投資対象の約8割は、格付けがBBB(トリプルビー)~Aの債券です。ギャンブル性の低い「投資適格」な債券であるものの、AGGよりは安全性が低いです。
こちらも、ここ数年は3.5%ぐらいの利回りがとれていましたが、最近はそれほど美味しい利回りではありません。
最後は【HYG】です。ゴミ債券、いわゆるジャンク債に投資するハイリスクな債券ファンドです。現在の利回りは4.93%ほど。
投資対象のほぼすべてが、格付けCCC(トリプルシー)~BBの債券です。ギャンブル性が高く、投資不適格と呼ばれる債券たちですね。
債券ですが、株なみに値動きが激しいです。
不景気がきたらボロボロになる債券のはずですが、政府のヘリコプターマネーで買い支えられています。
③インカム系ETFの値動き
私の愛する高配当株ETFについて見てみましょう。
- キャピタル(売却益)も
- インカム(分配金)も
両方狙えるポテンシャルのあるファンドたちです。
HDV、VYM、SPYDの直近1年のチャートは、この通り。
11月に、ワクチンのニュースを受けて急上昇しましたが、またちょっと下がってきました。
現状の分配金利回りは、これぐらい。
- VYM…3.22%
- HDV…4.10%
- SPYD…5.01%
※利回りの算定方法:直近四半期から起算して1年間に支払われた配当金額を12/25の終値で割ったもの。
上記3つのETFは、12月に分配金の支払いがあります。前年同期と比べると、増配率は…
- VYM…+3.9%
- HDV…+18.5%
- SPYD…+22.0%
という感じで、大きく増配しました。
とはいえ、四半期ベースだけで比較しててもしょうがないので、2019年と2020年の分配金を年ベースで比較すると…増配率は、この通り。
- VYM…+2.3%
- HDV…+11.2%
- SPYD…▲6.5%
VYMは、トータルリターンで見ると高配当ETFのエースポジションにいます。増配率や分配金利回りは物足りないですが、株価の動きは強いですね。
HDVは、リーマンショック以来の「歴史的な不景気」を食らっても、+11.2%の増配を記録しました。抱きしめてあげたいです。2021年の初詣は、HDVと手を繋いで行こうと思います。
SPYDは減配しましたが、高い利回りと減配は隣り合わせです。もともとの利回りの高さを考えると、このぐらいの減配で済んだのなら全然許容範囲でしょう。
- 減配したまま、二度と分配金水準が戻らない
- 暴落したまま、二度と株価が戻らない
- そのくせ、多額の信託報酬を吸われ続ける
そういった「アカン商品」と違って、米国株ETFは安心感がありますね。
これからも、着実に分配金を増やしていきたいと思います!豪遊!
④12月のトピックス
12月のトピックスは、この2つです
- バイデン次期大統領、誕生へ
- 欧州銀行、追加緩和決定
まず1つめ。
日経新聞より引用します。
米国の第46代大統領に民主党のジョー・バイデン前副大統領(78)の選出が事実上確定した。14日の選挙人投票でバイデン氏が過半数(270)を上回る306人を獲得した。
(出典:日経新聞「バイデン氏、民主主義修復に試練 次期米大統領確定」)※赤字は筆者
とはいえ、トランプ氏は敗北を認めておらず、火種は残ります。
共和党支持者の7割以上が「選挙に不正があった」と答える。バイデン氏が大統領に選ばれても米国のかなりの層が正当なリーダーと認めない可能性がある。
(出典:同上)
2つめ。
欧州銀行が追加緩和を決定しました。
ドイツやフランスなどユーロ圏19か国の金融政策を担うヨーロッパ中央銀行は、新型コロナウイルスの感染拡大による経済への打撃が深刻になっていることから、各国の国債などを買い入れる額を増やし金融緩和の拡大に踏み切ることを決めました。
(出典:NHK「欧州中央銀行 金融緩和拡大を決定」)
- ヨーロッパ中央銀行が、金融機関から資金を預かる際の金利はマイナス0.5%のまま据え置き
- 各国の国債などを買い入れて市場に資金を供給する緊急対策の規模を、日本円でおよそ234兆円に拡大
- 来年6月までとしていた買い入れの期間についても2022年の3月まで延長
ヨーロッパ中央銀行が金融緩和の拡大に踏み切るのは、ことし6月以来のこと。
米国、中国、ユーロ圏、日本、どこも
- 財政赤字覚悟で経済対策をやって
- 国債買い入れなどを通じて、市場に資金を供給する
ということをやり続けています。
(出典:JPモルガン「Guide-to-the-Markets」)
中央銀行の資産の増え方がヤバいですね(笑)
2008年と比べると、たった12年で5倍ぐらいになっています。
それだけ、紙幣が刷られ、市場にマネーが流れているということです。
※ちなみに、世界最大規模の資産運用会社「バンガード社」は、過度なインフレ懸念は時期尚早だと申しております。
債務の膨張、超緩和的な金融政策、そして米国の場合は、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融緩和をこれまでより長く続ける姿勢を明確にしたことが、いずれもインフレが再燃する懸念につながっています。
バンガードのベースライン予測は、そうした懸念が時期尚早であり、2021年に現実のものとなる可能性は低いことを示しています
まとめ:高配当株投資のポジションについて
以上をまとめると、この通り。
- 日経5の活躍により、日経平均株価は高水準
- 短観は2四半期連続改善したものの、景気ウォッチャーの数字は悪い
- 感染者急増・GoTo停止の経済影響が懸念される
- 欧米の株価指数は目立った動きなし
- ゴールドの下落が止まり、反転
- 債券価格はいたって安定(価格が高く、利回りは低い)
- 高配当ETFも盛り返してきた(現状、GAFAMのような主力ハイテク株にはまったく敵いませんが)
- バイデン大統領誕生が確実視されるも、火種は残る
- 世界中の中央銀行が、ひたすら財政出動・金融緩和を続けている
という感じです。
iDeCoやつみたてNISAでインデックス投資をしている身としては、ポートフォリオに「ゴールド」を組み入れることによる資産保全について、真剣に考える時期に来ているなと思います。
現状、株式インデックスへの積み立ては愚直に続けてOKだと思いますが、政府の債務増大については注視すべきでしょう。
高配当株投資については、引き続きチャンスを狙いつつ
- 日本の個別株による、円建てキャッシュフロー
- 米国高配当ETFによる、ドル建てキャッシュフロー
これらのバランスをとり、為替リスクを分散していきたいと思います。
こんな状況で、どっちかだけの通貨に寄せるなんて、怖くてできません(笑)
先月は、(あまりに忙しすぎて)こびと株始まって以来はじめて「高配当株ランキング」を公開できませんでした。
しかし、高配当株について語らないこびと株なんてこびと株じゃないので、今月はなんとかまとめたいなと思っています。配当金Loveなポエムブログですからね。
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