こんにちは、こびと株(kobito_kabu)です。
現在、
- 高配当株投資
- インデックス投資
の両刀で資産運用をやっています。
毎月恒例企画ということで、3月の経済ニュース・統計調査を振り返って
- この「2つの投資」にどのような影響があるのか
- じぶん達の「仕事や生活環境」=景気はどうなっているのか
重要ポイントをまとめていきます。
本記事の構成はこの通り。
- 日本の経済状況
- 海外の経済状況
- まとめ:投資のポジションについて
目次
日本の経済状況
以下の順番で解説します。
- 株価指数の推移
- その他指数の推移
- 3月の国内トピックス
①株価指数の推移(日経平均・TOPIX・J-REIT・マザーズ)
3月31日時点の株価は、この通り。
- 日経平均株価:28,041円(+9.04%)
- TOPIX:2,004pt(+7.25%)
- マザーズ連動ETF:581円(+5.85%)
- REIT連動ETF:1,925円(-4.54%)
※端数は四捨五入。カッコ内は、いずれも「年初来」。
※J-REITとマザーズ指数がグーグルファイナンスから消えてしまったようなので、それらの指数に連動している「ETF」のデータを表示しています。そのため、実際の指数の動きとは誤差があります。
年初来の値動きをチャートで見てみると、こんな感じです。
3月単月の動きを見ると、この通り。
- 日経平均株価 +1.91%
- マザーズ連動 +0.92%
- TOPIX +0.28%
- REIT連動 -1.36%
なぜ、3月中旬にいったん下落していたのか?
主な理由は、
アメリカで「史上2番目の規模」となる銀行破綻が起きたから
です(詳細はのちほど)。
一瞬、
あ、金融危機来る?
という雰囲気になりましたが、政府・中央銀行等の対応はパーフェクトでした。
②その他指数の推移
「株価」は堅調ですが、「リアル景気」の方はどうなのか?
実際のところ、景気は
- 良いのか?
- 悪いのか?
雰囲気を掴むために、いくつか指数をチェックしていきましょう。
- 月例経済報告
- 景気動向指数
- 景気ウォッチャー調査
- 消費者物価指数
- 実質賃金指数
- 完全失業率・求人倍率
月例経済報告
まずは、一番大きなところから。
日本政府としての景気判断(公式見解)は
一部に弱さが見られるものの、緩やかに持ち直している
とのこと。
※細かな分野における「政府認識」はこの通り。興味のある方だけ、どうぞ。
(出典:月例経済報告 令和5年3月22日公表)
景気動向指数
一致指数の推移は、この通り。
(出典:景気動向指数 速報からの改訂状況)
景気動向指数は、
- 景気全体の現状を知ったり
- 将来の動向を予測したりするときに
使われる経済指標です。産業、金融、労働など、経済に重要かつ景気に敏感な30項目の景気指標をもとに指数が算出されています。
色々な指標をミキサーに入れてスイッチをいれると、1つの「景気動向指数」ができるというイメージです。
景気に一致して動く「一致指数」、景気に先行して動く「先行指数」などがあります。
先行指数の推移は、この通り。
景気ウォッチャー指数
景気ウォッチャー指数の推移は、この通り。
(出典:景気ウォッチャー調査 3月8日公表)
2月は52ポイント(前月比+3.5ポイント)となっており、景気判断の分かれ目となる50を上回りました。
銀座のママさんやタクシーの運転手さんが「景気は良い」と判断しているということです。
百貨店・スーパーマーケット・コンビニなどの小売店やレジャー業界で働く人、タクシー運転手など、景気に敏感な職種の約2000人にインタビューし、調査結果を集計・分析して発表するもの。
なお、2~3か月先の景気の先行きに関しては50.8(前月比+1.5ポイント)となり、こちらも50を上回っています。
消費者物価指数
こちらは、前年同月比+3.1%となりました。
(出典:日本経済新聞「消費者物価3.1%上昇、2月 電気代抑制で13カ月ぶり鈍化」)
電気代・ガス代の高騰、早く落ち着いて欲しいですね。
実質賃金指数
実質賃金指数の推移は、この通り。
(出典:NHK「実質賃金 1月は前年同月比4.1%減 給与増も物価上昇で減少幅大」)
2023年1月の実質賃金は、前年同月比‐4.1%。
消費税アップの影響があった2014年5月以来の大幅下落です。
基本給や残業代などをあわせた「働く人1人当たりの現金給与総額」は、平均で27万6857円。
これは去年の1月に比べて0.8%高い水準ですが、物価の上昇率がこれを大きく上回り、実質的な賃金は低下しました。
完全失業率・求人倍率
ご覧の通り。
- 2月の完全失業率…2.6%(前回は2.4%)
- 2月の有効求人倍率…1.34倍(前回は1.35倍)
※完全失業率が2.2%ぐらいまで戻ればほぼ完全雇用=ゴール。
(出典:日本経済新聞「有効求人倍率低下1.34倍 求職増、失業率は2.6%に上昇」)
- 失業率が上がって
- 求人倍率が下がった
ということなので、雇用情勢は「若干悪化」していますね。
ここまでの話をいったんまとめると、この通り。
▼株価
日経平均株価は年初来+9%と、堅調。
▼リアル景気
政府公式見解…一部弱さが見られるものの全体としては回復傾向
景気動向指数…2022年8月あたりを境に、下落基調
景気ウォッチャー…「景気が良い」「良くなりそう」と感じる人が増加
消費者物価…+3.1%と高水準も、13ヵ月ぶりに下落
実質賃金…給料は増えるも、物価高のせいで-4.1%の大幅下落
雇用状況…失業率上昇・求人倍率下落で、若干悪化
今の状況は
- 「景気が良い!」「景気が良くなりそう!」 と全力で言える状況じゃない
- 「景気が悪い!」「景気が悪くなりそう!」 と全力で言える状況でもない
という曖昧な状況です。
そのあたりを踏まえて
- 働き方
- 生活の仕方
- 投資の仕方
を考えていく必要がありそうです。
③3月の国内トピックス
日本株について、今月のトピックはこちらです。
- 日銀 大規模な金融緩和維持
日銀 大規模な金融緩和維持
3月9日~10日に開かれた金融政策決定会合で、大規模な金融緩和の維持が決定されました。
今回は、黒田総裁にとって、任期中最後の定例会合。
昨年12月の会合で行われた「突然の緩和修正」の影響もあって
という声も出ていましたが、結果的にはノーサプライズでの幕引きとなりました。
日銀総裁を10年務めた黒田さん。
やってきたのは、なにはともあれ異次元の金融緩和。
- 量的・質的金融緩和
- マイナス金利政策
- イールドカーブ・コントロール
など、色々取り組んできましたね。
難しそうな言葉が並びますが、狙いはシンプルです。
この10年、
- 金利を下げたり
- 市場に出回るお金を増やしたりして
金融緩和=皆がお金を使いやすくなる環境作りをやりまくってきたというお話です。
3月10日は、次期日銀総裁・副総裁人事が国会の同意を得たタイミングでもあります。
植田新総裁の就任が確定したわけですね。
これが、今後の注目ポイントです。
ものすごくざっくり言えば
- 金融緩和を続ける→副作用が心配すぎる
今起きつつあると言われている「副作用」は
✓円安・インフレが進みすぎるとか
✓財政規律が緩む(金利が低くなることで、国債が乱発されやすくなる)とか
そういうやつです - 金融緩和を止める→景気悪化の懸念がある
止め方がへたっぴだと
✓金利暴騰
✓超円高
✓株価大暴落…
といった事態を招きかねない怖さがあります
こんな感じで、難しいかじ取りを迫られるわけですね。
個人的には
くらいの温度感で見ています。
「永遠に金融緩和」というわけにはいきませんからね。
実際には、
- いつ
- どうやって
緩和を縮小するのか?できるのか?が大問題なんですけどね。
次回の金融政策決定会合は、4月27日~28日。
新体制初めての会合です。
植田新総裁はどう出るのか?
要注目です。
海外の経済状況
お次は、海外の話題です。
この4つの順番で見ていきます。
- 株価指数の推移
- ゴールド・債券ETF等の値動き
- 高配当ファンドの値動き
- 3月のトピックス
①株価指数の推移
G7(主要先進7ヵ国)の、主な株価指数の推移(年初来)はこの通り。
※グーグルファイナンスでは、チャートを5つまでしか同時比較できないので、昨年に引き続き「FTSE MIB(イタリア)」を抜いています。今年はトップだけど。
- FTSE MIB(イタリア) +12.23%
- DAX30(ドイツ) +11.09%
- CAC 40種(フランス) +11.04%
- S&P 500(米国) +7.46%
- S&P TSX(カナダ) +3.37%
- FTSE100(イギリス) +1.03%
TOPIX(日本)は+7.25%。
日本は、まんなかぐらいの位置をキープしてますね。
3月単月の動きはこの通り。
詳細は後ほど解説するとして、3月の出来事を「3行で解説」しておくとこの通り。
- アメリカの金融機関が破綻。スイスにも飛び火。ヤバい?
- 政府・中央銀行等が、適切に対応。ヤバくない
- 金融不安は落ち着き、金利が低下。株高へ
②ゴールド・債券ETF等の値動き
有名なゴールドETFである、「GLD」の値動きはこの通り。
(出典:グーグルファイナンス SPDRゴールド・シェアーズ(GLD))
ゴールドの3月の成績は年初来+7.11%。
金融不安から、安全資産であるゴールドに投資マネーが殺到。
「有事の金」の力を見せつけました。
※なお、ゴールドは、有事に備えて「平時」に買っておくべきもので、今のように高値になってから仕込むものではないという認識です。円価格では、2023年3月20日に9,303円/1gと過去最高値を更新しています。
お次は、債券です。
投資額に対して2%~5%ほどのインカム(利息)が欲しければ、米国債券が有望な投資候補になります。
米国の優良債券ファンドを3つチェックしてみましょう。
- AGG:ローリスク・ローリターンな債券(格付け高く、利回り低い)
- LQD:ミドルリスク・ミドルリターンな債券(格付け普通、利回り普通)
- HYG:ハイリスク・ハイリターンな債券(格付け低く、利回り高い)
米国総合債券に投資する【AGG】というファンドのチャートはこの通り。
- 年初来+2.13%
- 現在の分配金利回りは2.50%
- 投資対象の約7割は、格付けがAAA(トリプルエー)の債券です
値上がりの理由は、金利下落です。
「債券」と「金利」は、シーソーの関係にあり、逆の動きをします。
その証拠に、金利のチャートを見てみましょう。
こちらは「米国の長期金利(10年国債)」の推移です(現在の金利は約3.47%)。
(出典:三井住友銀行「マーケット情報チャート」)
4%付近にあったところから、急低下しましたね。
4%付近で買えていた人は、ひとまずのところ「良い値段で買えた」ということになるかなと思います。
米国優良社債に投資する【LQD】というファンドのチャートはこの通り。
- 年初来+3.25%
- 分配金利回りは3.42%ほど
- 投資対象の約8割は、格付けがBBB(トリプルビー)~Aの債券です
- ギャンブル性の低い「投資適格」な債券であるものの、AGGよりは安全性が低いです
こちらも、金利下落を背景に、価格が上昇しています。
最後は【HYG】です。
「ジャンク」「ゴミ」と言った呼ばれ方をする「投資不適格の債券」を集めた、ハイリスクな債券ファンドです。
- 年初来+2.41%
- 現在の利回りは5.56%ほど
- 投資対象のほぼすべてが、格付けCCC(トリプルシー)~BBの債券です(リスクが高いぶん、長期的なトータルリターンは大きい傾向)
こちらも、AGGやLQDと同様に、長期金利の下落を受けて価格は上昇しています。
昨年2022年は、債券にとって「地獄の年」となりました。
しかし、2023年以降は少し景色が変わりそうですね。
- 金利が下がっていくなら、債券価格の値上がり(キャピタルゲイン)が見込めますし
- 金利の高止まりが続くなら、高水準の利息(インカムゲイン)が見込めます
何にせよ、債券投資家が地獄を見るのは「金利が急上昇し続ける」という局面です。
これは、すでに脱していそうな感じがあります。
③インカム系ETFの値動き
私の愛する高配当株ETFについて。
- キャピタル(売却益)も
- インカム(分配金)も
両方狙えるポテンシャルのあるファンドたちです。
HDV、VYM、SPYDの年初来のチャートは、この通り。
マイナス転落しちゃいましたね。
分配金を無視して価格だけ見ると、順位はこの通り。
- 1位がHDV…-1.88%
- 2位がVYM…-2.33%
- 3位がSPYD…-4.26%
※SPYDには、金融や不動産セクターの会社が多く含まれます。金融不安から、銀行株が値下がりしたり、融資の冷え込みによる資金繰りの悪化を懸念された不動産株が値下がりしたりして、弱い動きになりました。
昨年と今年を比べてみると、
- 昨年:高配当株などのバリューが強く、ハイテク株などのグロースが弱い
- 今年:ハイテク株などのグロースが強く、高配当株などのバリューが弱い
※ちなみに、ハイテク銘柄中心のナスダック100指数は、昨年12月の安値から20%戻しを達成。強気相場入りしています。
という感じで、立場が入れ替わっています。
去年と今年でなんやかんやと動きがあったものの、結果だけ見れば
- 高配当ETF
- S&P500連動ファンド
- ナスダック100連動ファンド
「直近1年で見ると大差がない」という状態になっています。
上から順番に
- HDV…-5.47%
- VYM…-6.29%
- VOO…-10.43%(S&P500)
- QQQ…-13.10%
- SPYD…-13.73%
ですね。
現在の分配金利回りはというと
- SPYD:約4.62%(過去平均は約4.6%)
- VYM:約3.18%(過去平均は約3.2%)
- HDV:約3.96%(過去平均は約3.7%)
という感じ。
「いつどんな時もひたすら積み立て」のインデックスとは違って、バリュー株は安く仕込んでナンボ。
今月は、金融不安の発生で一瞬大きく下げたタイミングがありました。
ああいう時に買えるかどうか、その積み重ねがパフォーマンスの明暗を分けていきますね。
④3月の海外トピックス
外国株について、今月のトピックはこの3つです。
- SVB破綻
- UBS クレディ・スイスを買収
- FOMC 0.25%利上げ
順番に見ていきましょう。
SVB破綻
3月10日、アメリカの中堅銀行、シリコンバレーバンク(SVB)が破綻しました。
米国史上2番目の規模の銀行破綻。
といった懸念の声も噴出し
- 株価:下落(特に銀行株は大幅安)
- 国債:上昇(特に短期債)
- ゴールド:上昇(最高値圏)
といった状況になりました。
リスクオフムードになり、安全性の高い債券&ゴールドに投資マネーが殺到したということです。
SVBは、シリコンバレーのハイテクベンチャー企業との取引で知られた銀行。
- 政策金利引き上げなどの影響で
✓保有していた資産(米国債や不動産担保証券など)の含み損が拡大
✓取引先ハイテクベンチャー企業の経営悪化→預金引き出しが増加 - 3月8日、SVBは「資産売却による18億ドルの損失計上」と「22.5億ドルの増資計画」を発表
(訳:「いっぱい損失出てるけど、お金集めて増資するから安心してね♡」) - 金融機関の「安心してね♡」は、時に「私はもう限界です」という意味。増資発表がかえって皆の不安を煽る結果になり、「取り付け騒ぎ」に近い状態に
※「取り付け騒ぎ」というのは、ざっくり言えば「煽られて不安になった人が預金を下ろしに銀行に殺到して、大混乱を起こすこと」。これが起きると、健全な銀行でも潰れかねない、こわ~い事態です
あっという間のスピード破綻に至りました。
この影響もあって、暗号資産関連企業との取引で知られるシグネチャー・バンクも3月12日に経営破綻。
3月12日、アメリカの財務省・連邦準備理事会・連邦預金保険公社は「2つの銀行の預金を全額保護します」と発表。
もともとの仕組みでは保護の対象外だった預金(25万ドル以上の預金)も救済する、異例の措置です。
※日本で同じことが起きたら、2週間くらい経ってから「誠に遺憾です」みたいな中身のない声明が出そうですよね…(笑)
とはいえ、対応の内容自体には
- 金融システムを守る良い判断!
- リスク取りすぎて失敗した人を政府が守るとか、不公平じゃない?
- っていうか、預金全額保護にあたって、かかる費用を「納税者の負担にしない」って言ってるけど、そんなの本当に実現可能?
など、様々な見方が出ています。
銀行の破綻は、金融システムの根っこにかかわる重大事態。
- アメリカの中小銀行からの預金流出加速(過去最大、約15.7兆円)
- FRBは緊急融資枠を導入(10日で約7兆円の利用あり)
- 世界的な金融機関クレディ・スイスがUBSに買収される ※詳細は後ほど
- 日米欧の6つの中央銀行が協調してドル供給を拡充
- FOMCの利上げにも影響 ※詳細は後ほど
- アメリカでは「銀行に対する規制」や「預金保険」の見直し案が検討中
といった感じで、波紋を呼びまくっています。
まさに、久しぶりの「大事件」です。
3月26日、SVBの事業の大半は、米地銀ファースト・シチズンズ・バンクシェアーズに買収されると発表されました。
UBS クレディ・スイスを買収
3月19日、スイス金融最大手のUBSは、同業第2位のクレディ・スイスを約4200億円で買収すると発表しました。
破綻が危ぶまれていたクレディ・スイス救済のため、スイス政府の支援によって、買収話がまとめられたわけです。
UBSやクレディ・スイスは、世界の中でも超ビッグな金融機関。
どちらも、金融安定理事会(FSB)が「世界的な金融システムの安定に欠かせない」と認定している銀行です。
(出典:金融庁「グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIB)の2022年リスト」)
さて、ではその超ビッグな金融機関たちが、なんでまた買収したりされたりすることになったのか?
経緯を、ものすごくざっくり言えば、こんな感じです。
- そもそも、クレディ・スイスの財務状況は悪化していました
2021年からスキャンダルやら経営不振やらが続いて、良くない状況でした - そこへ、SVBが破綻しました
すると、金融システム不安が高まりますよね
それで、みんなが「次に危ない銀行はどこ?」と考え始めたわけです - 「次はクレディ・スイスが破綻!?」と不安視されて、顧客資金がさらに流出
「このままだとマジで潰れそう」という事態になりました
スイス政府は、自分たちが介入しなければ「クレディスイスはあと1営業日を生き延びることができなかっただろう」と言っています - 結局、大幅値引き&約1兆2800億円の政府保証付きで、UBSに買収されることになりました
各国の中央銀行は、買収合意を称賛・歓迎。
とはいえもちろん、この買収話自体にも、SVB破綻にはじまる金融システム不安全体にも、問題はまだまだあります。
- 買収前のクレディ・スイスからの情報開示、内容おかしかったよね?訴訟だ!
- UBSでもクレディ・スイスでも株主の決議ナシで合併が決まったよね?そんなのおかしくない?
- 合併後は大規模リストラの可能性あるよね?今後のスイス経済は大丈夫?
- アメリカの当局から、「クレディ・スイスが富裕層の脱税助けてた」って報告書でてきたよ。多額の罰金がUBSかスイス政府の負担になるかも?
- また「大きすぎて潰せない」だなんて、リーマン・ショックの反省はどうなってんの?
- っていうか、他の銀行はつぶれない?大丈夫?ドイツ銀行とかも怪しくない?
- AT1債の価格暴落してるよ!
※今回、クレディ・スイス株式の価値はゼロにならなかったのに、一部の社債は価値がゼロになりました。「え、債券なのに株式よりリスク高いってこと!?」ということで、似たような債券の価値は暴落中です
…etc.
てんやわんやの大騒ぎですね。
とはいえ、現状では、各国政府・中央銀行等の素早い対応のおかげで、すでに金融不安は概ねおさまっています。
FOMC 0.25%利上げ
3月21日~22日に行われたFOMCで、0.25%の利上げが決定されました。
今回特に注目が集まったのは、
という点。
もともとSVBの問題が起きるまでは、「0.5%利上げ」がメインシナリオと見られていたんですね。
でも、銀行破綻(とその後の混乱)を受けて、
- もっと利上げしないと!インフレ抑制が大事!
雇用統計も堅調だし、CPIもまだまだ高いし、インフレは続いてるよ - むしろ利下げが必要じゃない?金融安定が大事!
この状況でさらに利上げなんかして、銀行が潰れまくって経済混乱状態になったらヤバいでしょ
という2つの間で、板挟みになっていたわけです。
結局、今回のFOMCでは
- 利上げは継続(ただし、0.5%ではなく、0.25%)
- 声明文などで「もうすぐ利上げ終了の可能性も…」と匂わせる
という感じの結論になりました。
インフレ動向をにらみつつ、金融不安をおさえることにも配慮したかたちです。
結局、この3月にいろいろあった影響で、今後の「金利の見通し」はこんな感じで変わっています。
(出典:Twitter goto_finance)
「今までの予想は何だったんだレベル」で、今後の金利水準が低下しましたね(笑)
このまま、
- 大方の予想通り、金利の低下・インフレ率低下が進んでくれれば万々歳
- インフレが再燃し、金利が高止まりしたり、再度利上げしなきゃいけないハメになったらあら大変!
という感じでしょうか。
次回のFOMCは、5月初旬。
- もう0.25%の利上げをするのか
- 利上げはいったん停止するのか
- それとも…
まとめ:投資のポジションについて
以上をまとめると、この通り。
- 3月の日本株は、中旬で下落したが、下旬で巻き返してプラスでフィニッシュ
- リアル景気は、「良い!」とも「悪い!」とも言い切れない曖昧な状況
- 日銀、黒田総裁の任期中最後の金融政策決定会合はノーサプライズ。金融緩和を維持
- SVBが破綻。米国史上2番目の規模の銀行破綻で、各所に波紋
- 金融システム不安から、クレディ・スイスが破綻危機→UBSに買収される
- FOMCで0.25%の利上げが決定。金融不安に配慮し、当初想定の0.5%よりは小幅の利上げ
- 金融不安から「有事の金」が買われ、ゴールドは値上がり。円価格では過去最高値
- 3月のアメリカ株(S&P500)は4%上昇。ナスダック100強気相場入り。金利下落で株高に
- 金利下落で債券も値上がり。「要らない子」フェーズは脱しているか。
という感じです。
個人的には、
- インデックス運用(iDeCoやつみたてNISA)は、淡々と継続
- アクティブ運用(高配当株投資)は、日本株については「割安」なものがあればピンポイントで買う。米国株は、「急落場面」があればぼちぼち拾う
というスタンスです。
ちなみに、現在の「恐怖・強欲指数」はこんな感じ。
(出典:Fear & Greed Index)
- 相場がイケイケの時は「Greed(強欲)」を示し
- 相場が弱気の時は「Fear(恐怖)」を示す
そんな指数です。
今は、「恐怖」でも「強欲」でもなく、中立水準ですね。
歴史を振り返ると
- 株価が下がっていて
- リアル景気も悪くて
- 投資家の気分も最悪(恐怖&強欲指数で「恐怖」を示す)
こういう「イケてない時期」こそ、絶好の買い場でした。
アクティブ投資に関しては、こういうチャンスをしっかり掴めるように、定点観測していきましょう。
それではまたっ!
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