こんにちは、こびと株(kobito_kabu)です。
現在、
- 高配当株投資
- インデックス投資
の両刀で資産運用をやっています。
毎月恒例企画ということで、5月の経済ニュース・統計調査を振り返って
- この「2つの投資」にどのような影響があるのか
- じぶん達の「仕事や生活環境」=景気はどうなっているのか
重要ポイントをまとめていきます。
本記事の構成はこの通り。
- 日本の経済状況
- 海外の経済状況
- まとめ:投資のポジションについて
日本の経済状況
以下の順番で解説します。
- 株価指数の推移
- その他指数の推移
- 5月の国内トピックス
①株価指数の推移(日経平均・TOPIX・J-REIT・マザーズ)
5月31日時点の株価は、この通り。
- 日経平均株価:30,888円(+20.11%)
- TOPIX:2,131pt(+14.05%)
- マザーズ連動ETF:581円(+5.88%)
- REIT連動ETF:2,002円(-0.72%)
※端数は四捨五入。カッコ内は、いずれも「年初来」。
※J-REITとマザーズ指数がグーグルファイナンスから消えてしまったようなので、それらの指数に連動している「ETF」のデータを表示しています。そのため、実際の指数の動きとは誤差があります。
年初来の値動きをチャートで見てみると、こんな感じです。
5月単月の動きを見ると、この通り。
- 日経平均株価 +6.06%
- TOPIX +2.53%
- マザーズ連動 +1.17%
- REIT連動 -1.09%
「日経平均株価、なんでこんなにイケイケなの?」
という点については、後ほど詳しく解説します。
②その他指数の推移
「株価」の方は、年初来で約20%のプラスと絶好調です。
一方で、「リアル景気」の方はどうなのか?
実際のところ、景気は
- 良いのか?
- 悪いのか?
いくつか、指数をチェックしていきましょう。
- 月例経済報告
- GDP
- 景気動向指数
- 景気ウォッチャー調査
- 消費者物価指数
- 実質賃金指数
- 完全失業率・求人倍率
お堅~い言葉が並んでいますが、「雰囲気」だけ掴めればオッケーです。
月例経済報告
まずは、一番大きなところから。
日本政府としての景気判断(公式見解)は、
<先月時点>
一部に弱さが見られるものの、緩やかに持ち直している
<最新>
緩やかに回復している
基調判断の引き上げは、去年の7月以来10か月ぶり。
政府の公式見解としては、景気全体は「上向いている」という認識ですね。
※細かな分野における「政府認識」はこの通り。興味のある方だけ、どうぞ。
(出典:月例経済報告 令和5年5月25日公表)
GDP
次に、GDPについて。
2023年1月~3月期のGDP(速報値)が発表されました。
GDP(対前期増減率)の推移はこの通り。
(出典:NHK NEWS WEB「1-3月のGDP 年率+1.6% 3期ぶりのプラス成長 個人消費伸びる」)
- 前期比0.4%増(年率換算で1.6%増)
- 3期ぶりのプラス成長
という結果です。
ポイントとしては、
- 個人消費が増加(新型コロナの影響が和らいで、旅行や外食などのサービス消費が回復。自動車販売も増加。)
- 企業の設備投資が増加(自動車向けなどの投資が堅調)
- 輸出は減少(外国人観光客によるインバウンド需要が大きく増加したものの、中国や欧米向けの輸出が減少)
といったところ。
(出典:NHK NEWS WEB「1-3月のGDP 年率+1.6% 3期ぶりのプラス成長 個人消費伸びる」)
中国だけめっちゃ良く見えますが、これは「ゼロコロナ政策」終了の反動です。
実のところ、中国の経済状況はあまり良くありません。
- 中国の製造業PMIは50を下回り、2ヵ月連続で縮小
- 香港ハンセン指数は1月の高値から20%以上下落で、弱気相場入りの方向
景気動向指数
一致指数の推移は、この通り。
(出典:景気動向指数)
景気動向指数は、
- 景気全体の現状を知ったり
- 将来の動向を予測したりするときに
使われる経済指標です。産業、金融、労働など、経済に重要かつ景気に敏感な30項目の景気指標をもとに指数が算出されています。
色々な指標をミキサーに入れてスイッチをいれると、1つの「景気動向指数」ができるというイメージです。
景気に一致して動く「一致指数」、景気に数か月先行して動く「先行指数」などがあります。
先行指数の推移は、この通り。
指数の中身を見てみると、
- 消費者マインドが良くなっている一方で
- 新規求人数が減る
- 在庫が増える(在庫増=モノが売れない=不景気です)
- 新設住宅の着工床面積が減る
という感じ。
消費者の購買意欲が高まっていることはイイことですが、全体としては力強さがありません。
景気ウォッチャー指数
景気ウォッチャー指数の推移は、この通り。
(出典:景気ウォッチャー調査 5月11日公表)
4月は54.6ポイント(前月比+1.3ポイント)となっており、景気判断の分かれ目となる50を上回りました。
銀座のママさんやタクシーの運転手さんが「景気は良い」と判断しているということです。
百貨店・スーパーマーケット・コンビニなどの小売店やレジャー業界で働く人、タクシー運転手など、景気に敏感な職種の約2000人にインタビューし、調査結果を集計・分析して発表するもの。
なお、2~3か月先の景気の先行きに関しては55.7(前月比+1.6ポイント)となり、こちらも50を上回っています。
消費者物価指数
こちらは、前年同月比+3.4%となりました。
(出典:日本経済新聞「4月の消費者物価3.4%上昇、伸び率拡大 食品値上げで」)
「一時的」と言われていたインフレですが、「常態化するかも?」なんて声も囁かれ始めました。
インフレは、ある意味では目に見えないドロボウみたいなもんです。
人々が積み上げた預金の価値を、どんどん減らしていきます。
防衛策が必要ですね。ノーガード、ダメ、絶対。
実質賃金指数
実質賃金指数の推移は、この通り。
(出典:NHK「3月の実質賃金 前年同月比2.9%減 12か月連続マイナス 厚労省」)
2023年3月の実質賃金は、前年同月比‐2.9%。
12ヵ月連続でのマイナスです(白目)。
基本給や残業代などをあわせた「働く人1人当たりの現金給与総額」は、平均で29万1081円。
これは去年の3月に比べて0.8%高い水準ですが、物価の上昇率がこれを大きく上回り、実質的な賃金は低下しました。
完全失業率・求人倍率
ご覧の通り。
- 4月の完全失業率…2.6%(前回は2.8%)
- 4月の有効求人倍率…1.32倍(前回は1.32倍)
※完全失業率が2.2%ぐらいまで戻ればほぼ完全雇用=ゴール。
(出典:日本経済新聞「有効求人倍率1.32倍、4月横ばい 完全失業率2.6%に低下」)
- 失業率が下がって
- 求人倍率は横ばい
ということなので、雇用情勢は「少し改善」していますね。
ここまでの話をまとめると、この通り。
▼株価
日経平均株価は年初来+20%と、絶好調
(マザーズ・REITとの差が広がっている)
▼リアル景気
政府公式見解…緩やかに回復している
GDP…個人消費、企業の設備投資が増加。海外への輸出が減少。
景気動向指数…先行指数は、ダウントレンド継続中
景気ウォッチャー…「景気が良い」「良くなりそう」と感じる人が増加
消費者物価…+3.4%と高水準。3カ月ぶりに上昇。
実質賃金…給料は増えるも、物価高のせいで-2.9%と下落(12ヵ月連続マイナス)
雇用状況…失業率下落・求人倍率横ばいで、少し改善
今の状況は
- 「景気が良い!」「景気が良くなりそう!」 と全力で言える状況じゃない
- 「景気が悪い!」「景気が悪くなりそう!」 と全力で言える状況でもない
という曖昧な状況です。
あえて言うと、「うーん。良くなっていく方向…かなぁ?」という雰囲気でしょうか。
そのあたりを踏まえて
- 働き方
- 生活の仕方
- 投資の仕方
を考えていく必要がありそうです。
③5月の国内トピックス
日本株について、今月のトピックスはこの2つです。
- 決算ラッシュ:企業業績は過去最高
- 日経平均3万円超 バブル後高値更新
決算ラッシュ:企業業績は過去最高
5月は、3月決算会社の決算発表シーズンです。
今年も多くの企業で、2023年3月期の決算発表が行われました。
高配当株投資家にとって、リアル経済=企業業績です。
- 政府が「今は好景気です」と言おうが
- GDPが伸びてようが
- 実質賃金が伸びてようが
企業業績が良くないことには、配当金は増えませんからね。
さて、昨年度の成績はどうだったのか?
結論、
主要企業の純利益の総額は、約36.4兆円(前期比2.1%増)。
これは、ご覧の通り過去最高水準の成績です。
(出典:讀賣新聞オンライン)
業種別にみると、こんな感じ。
(出典:讀賣新聞オンライン)
- 商社
- 電気機器
- 輸送用機器(自動車など)
- 情報・通信業
- 海運業
あたりの貢献が大きいのが分かりますね。
ちなみに、「今年度は…?」と言うと
2024年3月期の大手上場企業業績は、4.6%の減益予想になっています。
- 欧米の利上げに伴う世界景気の冷え込み
- 金融システム不安
といった懸念があって、先行き不透明というワケですね。
そんな雰囲気です。
日経平均3万円超 バブル後高値更新
5月17日、日経平均株価が3万円を突破しました。
改めてグラフで見ると、5月の日経平均はこんな感じ。
(出典:Google Finance「日経平均株価」)
- 5月16日、TOPIXが33年ぶりにバブル後高値更新
- 5月17日、日経平均が1年8カ月ぶりに3万円超(年初来15%の上昇)
- 5月19日、日経平均も33年ぶりのバブル後高値更新(30,808円35銭)
という展開ですね。
相場ではよくある「後づけ」ですが、主なところではこんな感じです。
- 新体制の植田日銀も金融緩和継続見込み
→「金利は安いままっぽい!」ということで株価には追い風です - 好調な企業決算&株主還元
→2022年度の上場企業、最終利益は過去最高。自社株買いも過去最高 - 資本効率の改善への期待
→東証が上場企業に改善要請出しています。資本効率の悪い「低PBR企業」への風当たりは強いです - デフレ脱却への期待
→インフレや賃上げが好感されている節があります - 海外投資家の消去法による日本株選択
→欧米の景気は悪化しそうだし、アメリカの債務上限問題も気になってた。中国株もリスク高そうだし…という状況の中、「海外投資家から日本株は「マシな選択肢」に見えている説」です。円安で買いやすいですしね - バフェット氏の日本株への追加投資表明
ここで1つ、注意点。
日経平均株価は、値嵩株(ねがさかぶ)の影響を受けやすいです。
※値嵩株…株価の水準が高い銘柄のこと。明確な定義はありませんが、1単元50万円以上(株価が5000円程度以上)の銘柄を指すのが一般的です。
そのため、
と思いきや、実態としては
- ファーストリテイリングのような一部の値嵩株が値上がりしているだけ
- 全体で見ると、むしろ値下がりしている銘柄の方が多い
- あれ?自分の持ち株は、大して値上がりしていない?
なんてことが普通に起きるワケです。
そして、今回もまさにそうした傾向が見られるんですね。
※こうした背景もあって、日経平均株価は「市場をうまく反映していない”インチキ指数”」だなんて揶揄されていたりもします(笑)
本当に「強い相場」というのは、業種・会社を問わず市場全体がグっと底上げされるもの。
そういう意味で、今回の株価上昇は「危うさ」もはらんでいます。
海外の経済状況
お次は、海外の話題です。
この4つの順番で見ていきます。
- 株価指数の推移
- ゴールド・債券ETF等の値動き
- 高配当ファンドの値動き
- 5月のトピックス
①株価指数の推移
G7(主要先進7ヵ国)の、主な株価指数の推移(年初来)はこの通り。
※グーグルファイナンスでは、チャートを5つまでしか同時比較できないので、昨年に引き続き「FTSE MIB(イタリア)」を抜いています。
- DAX30(ドイツ) +11.34%
- S&P 500(米国) +9.30%
- FTSE MIB(イタリア) +7.84%
- CAC 40種(フランス) +7.64%
- S&P TSX(カナダ) +0.66%
- FTSE100(イギリス) -1.43%
TOPIX(日本)は+14.05%。
日本がトップに躍り出ましたね。
ドイツのDAX指数もなかなか好調で、19日には1年4ヵ月ぶりに過去最高値を更新しています。
5月単月の動きはこの通り。
ちなみに、ナスダックの方は年初来で+24.5%と絶好調です。
米国の主要な株価指数のグラフはこの通り。
アメリカ株は
- 新興市場のナスダックはいい
- ダウ平均株価はダメ
日本株は、
- 日経平均株価はいい
- 新興市場のマザーズはダメ
という感じで、
- オールドエコノミー(伝統的な企業)とニューエコノミー(ハイテク企業)、どちらが強いか?という点は異なるものの
- 明暗が分かれている、という点では同じです
②ゴールド・債券ETF等の値動き
有名なゴールドETFである、「GLD」の値動きはこの通り。
(出典:グーグルファイナンス SPDRゴールド・シェアーズ(GLD))
ゴールドの5月の成績は年初来+6.58%。
欧米で金融不安が発生してからというもの、「有事の金」としての存在感を見せつけ、高値をキープしています。
インフレで通貨の弱体化が続く中、引き続き一定の役割を保ち続けるかなと思います。
お次は、債券です。
投資額に対して2%~5%ほどのインカム(利息)が欲しければ、米国債券が有望な投資候補になります。
米国の優良債券ファンドを3つチェックしてみましょう。
- AGG:ローリスク・ローリターンな債券(格付け高く、利回り低い)
- LQD:ミドルリスク・ミドルリターンな債券(格付け普通、利回り普通)
- HYG:ハイリスク・ハイリターンな債券(格付け低く、利回り高い)
米国総合債券に投資する【AGG】というファンドのチャートはこの通り。
- 年初来+1.04%
- 現在の分配金利回りは2.70%
- 投資対象の約7割は、格付けがAAA(トリプルエー)の債券です
少し値を上げましたが、ほぼ横ばいです。
「債券」と「金利」は、シーソーの関係にあり、逆の動きをします。
その証拠に、金利のチャートを見てみましょう。
こちらは「米国の長期金利(10年国債)」の推移です(現在の金利は約3.42%)。
(出典:三井住友銀行「マーケット情報チャート」)
金利が、大方の予想どおり「今後下がっていく」ならば、債券は比較的手堅い投資先になりえますね。
米国優良社債に投資する【LQD】というファンドのチャートはこの通り。
- 年初来+1.38%
- 分配金利回りは3.67%ほど
- 投資対象の約8割は、格付けがBBB(トリプルビー)~Aの債券です
- ギャンブル性の低い「投資適格」な債券であるものの、AGGよりは安全性が低いです
こちらも、先月からほぼ横ばいで推移しています。
最後は【HYG】です。
「ジャンク」「ゴミ」と言った呼ばれ方をする「投資不適格の債券」を集めた、ハイリスクな債券ファンドです。
- 年初来+0.46%
- 現在の利回りは5.62%ほど
- 投資対象のほぼすべてが、格付けCCC(トリプルシー)~BBの債券です(リスクが高いぶん、長期的なトータルリターンは大きい傾向)
こちらも、AGGやLQDと同様に、ほぼ横ばいです。
昨年2022年は、債券にとって「地獄の年」となりました。
しかし、2023年以降は少し景色が変わりそうですね。
- 金利が下がっていくなら、債券価格の値上がり(キャピタルゲイン)が見込めますし
- 金利の高止まりが続くなら、高水準の利息(インカムゲイン)が見込めます
何にせよ、債券投資家が地獄を見るのは「金利が急上昇し続ける」という局面です。
これは、すでに脱していそうな感じがあります。
③インカム系ETFの値動き
私の愛する高配当株ETFについて。
- キャピタル(売却益)も
- インカム(分配金)も
両方狙えるポテンシャルのあるファンドたちです。
HDV、VYM、SPYDの年初来のチャートは、この通り。
マイナス圏にいますね。
分配金を無視して価格だけ見ると、順位はこの通り。
- 1位がHDV…-5.48%
- 2位がVYM…-6.17%
- 3位がSPYD…-11.49%
4月頃までは「年初来でトントン」でしたが、段々と崩れてきました。
こうなってくると、もっと安くなるならぜひ買いたいという欲が少しずつ出てきますね。
実際のところ、円安の影響もあって、私のポートフォリオは
- 過去最高の含み益
- 過去最高の配当金
を更新しています。
さて、現在の分配金利回りはというと
- SPYD:約4.84%(過去平均は約4.6%)
- VYM:約3.23%(過去平均は約3.2%)
- HDV:約4.07%(過去平均は約3.7%)
という感じ。
過去水準と比較して、少しずつ「旨味」を感じるレベルになってきました。
好調なナスダックとの差がつけばつくほど
「高配当株なんて、絶対にいらん!!」
といった声が、段々と強くなってくるでしょう。
そういう時こそ、仕込み時。
④5月の海外トピックス
外国株について、今月のトピックスはこちらの2つです。
- FRC破綻
- FOMC 0.25%利上げ
FRC破綻
5月1日、ファースト・リパブリック・バンク(FRC)が経営破綻しました。
米国史上2番目の規模の銀行破綻です。
ざっくりした流れは、こんな感じ。
- 3月10日、シリコンバレーバンクが経営破綻
- FRCの株価が急落&経営への懸念が高まる
→「FRCもヤバいのでは?」と思われ、預金が引き出されまくったため
- 3月16日、FRCは、11の大手金融機関から約4兆円の預金を受ける
(連鎖倒産を避けるための異例の支援策。みんな!オラにパワー(現金)を!) - 4月24日、決算発表により「この3ヶ月でFRCの預金残高が約9.6兆円減少」したことが分かる
- さらに8割株価下落&経営不安が深刻に
- 5月1日、ついにバンザイ。経営破綻&JPモルガン・チェースに買収される
あっという間の倒産劇です。
さて、こちらは「破綻した銀行の総資産」を、年ごとに積み上げたグラフです。
(出典:Twitter「The New York Times」)
2023年の銀行破綻の規模は、既にリーマンショックのあった2008年を上回っています。
まさに、異常事態ですね。
アメリカ当局としては、とにもかくにも
という状況。
普通だったら、JPモルガンのような巨大な金融機関が「さらに巨大になる」なんて買収は認めないところなのですが…
- 当局は、最大手のJPモルガンの規模がさらに拡大する”異例の取引”を認めた
→「独占禁止!」とかなんとか言ってる場合じゃない! - 米預金保険公社(FDIC)は、今後5~7年、FRCから引き継ぐ貸し出しで発生する損失の8割を負担する&JPモルガンに5年固定金利で500億ドルの融資を提供
→「独占禁止!」どころか、政府としても最大限サポートさせて頂きまっせ! - FRBは、銀行破綻が相次ぐ現状について「我々が間違いを犯したことは十分に認識している」とコメント
→で、このままじゃヤバいから、規制と監督を強化しまーす!
みたいな感じで、実にスピーディに動いていました。
日本でこんなことが起きたら、「誠に遺憾」の一言でしょう。
ちなみに、現在のアメリカの銀行株、株価はこんな感じ。
(出典:Bloomberg「KBW銀行株指数」)
日本の機関投資家は、55%が「米地銀の連鎖破綻が今後も続く」と考えている、なんてデータも出ています。(出典:日本経済新聞)
現状、アメリカの金融システムに対する不安は、ある程度後退しています。
とはいえ、
みたいな話は、相場の世界では日常茶飯事。
油断は禁物ですね。
FOMC 利上げ停止を示唆
5月2日~3日に開かれたFOMCで、利上げの停止が示唆されました。
今回のポイントは
- 0.25%の利上げ
- 利上げ停止を示唆
の2つでした。
2022年3月以降で10回連続の利上げとなり、アメリカの政策金利は5.00-5.25%となりました。
さて、今回特に注目度が高かったのが、「②利上げ停止の示唆」の温度感。
FRBは、ある日突然「利上げやめました!」なんてことは言いません。
そんなのは、こたつでミカン食べているおじいちゃんに「氷水」をいきなりぶっかけるようなものだからです。
ビックリして心臓止まったら大変ですよね。
だから、FRBは
- 「利上げやめようかな~、どうしようかな~。いや、まだやめないかな~」
- 「利上げそろそろやめようかな~。やめてもいいと思うんだけどな~。どうかな~」
- 「利上げ、さすがにもうやめてもいいと思うんだよねぇ。もちろん、まだ確定じゃないけどさ~」
みたいな感じで、ちょっとずつ匂わせて、市場関係者に「心の準備」をさせていくワケです。
これが、マーケットとのコミュニケーションというやつです。
では、今回はいったいどんなことを言って「利上げ停止の示唆」だと判断されたのか?
注目は、ココです。
<従来の声明>
「インフレ率を2%に戻すのに十分な制限的な金融政策姿勢を達成するために、幾分の追加的な金融政策引き締めが適切になるかもしれないと予想する」
※追加的な金融引き締め=利上げ
↓
<今回の声明>
上記文言削除
「お、FRBが”追加の金融引き締めが適切になるかも”っていうコメント、削除しよったぞ!」
「こりゃー、利上げ停止も近いんじゃないの!?」
そう判断された、ということですね。
とはいえ、その一方で
利上げ停止を明言したワケではない
ということで、
という見方をしている人もいます。
みんな、FRBの手の平の上で、うまいこと転がされている感じですね(笑)
次回FOMCは6月半ば。
- マーケットの期待通り、利上げ停止なのか
- 直近の雇用統計も堅調だったし、もう一段利上げなのか
- 銀行破綻からの金融システム不安も高まってるし、いっそのこと近い将来の利下げ見通しもあったりするのか
先行きは不透明です。
先行きが読みにくいのは、相変わらず悩ましいポイントがありまくるから。
- 景気悪化したら困る!→だったら利下げだよねー
- インフレ退治しなきゃ!→それなら利上げかなー
- 銀行破綻してるし金融安定優先でしょ!→じゃあやっぱり利下げか…
これらが3つ巴で絡み合っていて、FOMCに参加するエライ人たちにとってさえ判断が難しい状況です。
トレーダー・ギャンブラーでもない限り、「何があっても大丈夫なようにしておこう」という姿勢の方が無難ですね。
まとめ:投資のポジションについて
以上をまとめると、この通り。
- 5月の日本株は強気。日経平均は33年ぶりの高値圏
- リアル景気は、「良くなっていく方向…かなぁ?」程度の曖昧な状況
- 日本企業、2023年3月期業績は好調で過去最高益。が、2024年3月期は減益予想
- ナスダックは絶好調(年初来+24.5%)、ダウは横ばいと明暗が分かれる
- 「有事の金」で、相変わらずゴールドは高値をキープ
- 米国高配当ETFは年初来-5~-12%程度。(もっと下がって!)
- アメリカではFRC経営破綻。地銀の連鎖破綻は大丈夫か?
- 5月FOMCでは、0.25%の利上げ&今後の利上げ停止示唆。6月以降の利上げ動向に要注目
という感じです。
個人的には、
- インデックス運用(iDeCoやつみたてNISA)は、淡々と継続
- アクティブ運用(高配当株投資)は、日本株については「割安」なものがあればピンポイントで買う。米国高配当株は、株価のチェック頻度を増やしてチャンスを狙う
というスタンスです。
ちなみに、現在の「恐怖・強欲指数」はこんな感じ。
(出典:Fear & Greed Index)
- 相場がイケイケの時は「Greed(強欲)」を示し
- 相場が弱気の時は「Fear(恐怖)」を示す
そんな指数です。
今は、「強欲」を示していますね。
歴史を振り返ると
- 株価が下がっていて
- リアル景気も悪くて
- 投資家の気分も最悪(恐怖&強欲指数で「恐怖」を示す)
こういう「イケてない時期」こそ、絶好の買い場でした。
アクティブ投資に関しては、こういうチャンスをしっかり掴めるように、定点観測していきましょう。
※インデックス投資は、いつどんな時も、リスク許容度の範囲内で淡々と、です。
それではまたっ!
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