こんにちは、こびと株(kobito_kabu)です。
現在、
- 高配当株投資
- インデックス投資
の両刀で資産運用をやっています。
毎月恒例企画ということで、8月の経済ニュース・統計調査を振り返って
- この「2つの投資」にどのような影響があるのか
- じぶん達の「仕事や生活環境」=景気はどうなっているのか
重要ポイントをまとめていきます。
本記事の構成はこの通り。
- 日本の経済状況
- 海外の経済状況
- まとめ:投資のポジションについて
目次
日本の経済状況
以下の順番で解説します。
- 株価指数の推移
- その他指数の推移
- 8月の国内トピックス
①株価指数の推移(日経平均・TOPIX・J-REIT・マザーズ)
8月31日時点の株価は、この通り。
- 日経平均株価:32,619円(+26.84%)
- TOPIX:2,332pt(+24.83%)
- マザーズ連動ETF:590円(+7.47%)
- REIT連動ETF:2,038円(+1.04%)
※端数は四捨五入。カッコ内は、いずれも「年初来」。
※J-REITとマザーズ指数がグーグルファイナンスから消えてしまったようなので、それらの指数に連動している「ETF」のデータを表示しています。そのため、実際の指数の動きとは誤差があります。
年初来の値動きをチャートで見てみると、こんな感じです。
一方、
- J-RIET(不動産)
- マザーズ指数(ベンチャー企業が多く含まれる指数)
このあたりは、イマイチです。
8月単月の動きを見ると、この通り。
- REIT連動 +1.02%
- TOPIX -0.23%
- 日経平均株価 -2.56%
- マザーズ連動 -3.07%
勢いが落ちていますが、年初来で見れば絶好調なのは変わりありません。
さて、日本の上場企業、最新の業績はどうなのか?
2023年4月~6月期の純利益は
- 約13兆円
- 前期比+47.1%
参考:朝日新聞デジタル「上場企業の4~6月期決算、純利益47%増 円安が業績押し上げ」
と絶好調。
年間では、「3期連続で最高益を更新」する見込みです。
一方、J-REITは
- コロナ禍以降、オフィス需要が減っており「供給過多」になっている
- 金利が上がるかもしれない
ということで、株価が上がりにくくなっています。
マザーズも、相場を牽引する「海外投資家」の買いが集まるような雰囲気にはなっておらず、冴えない状況が続いています。
②その他指数の推移
「株価(TOPIX)」の方は、年初来で約25%のプラスと絶好調。
一方で、「リアル景気」の方はどうなのか?
実際のところ、景気は
- 良いのか?
- 悪いのか?
いくつか、指数をチェックしていきましょう。
- 月例経済報告
- GDP
- 景気動向指数
- 景気ウォッチャー調査
- 消費者物価指数
- 実質賃金指数
- 完全失業率・求人倍率
お堅~い言葉が並んでいますが、「雰囲気」だけ掴めればオッケーです。
月例経済報告
まずは、一番大きなところから。
日本政府としての景気判断(公式見解)は、
緩やかに回復している
※細かな分野における「政府認識」はこの通り。興味のある方だけ、どうぞ。
(出典:月例経済報告 令和5年8月28日公表)
なお、政府としては、
「中国経済の先行き懸念」
これを日本経済下振れのリスクとして新たに明示しています。
この点については、「海外トピックス」として後ほど触れます。
GDP
次に、GDPについて。
2023年4月~6月期のGDP(速報値)が発表されました。
GDP(年率換算)の推移はこの通り。
(出典:NHK NEWS WEB「4-6月のGDP 実質の伸び率 年率換算で+6.0% 3期連続プラスに」)
- 年率換算で6.0%増(前期比プラス1.5%)
- 3期連続のプラス成長
という結果です。
主要因は、外需の増加。
- 輸出が増えたり
- 外国人観光客が増えたり
という感じで、外国にモノ・サービスがよく売れました。
※GDPの半分を占める「個人消費」は、マイナス0.5%。円安も手伝って、外国人には「安い日本」が魅力的なようですが、日本人の消費レベルは縮小しているようです。
(出典:NHK NEWS WEB「4-6月のGDP 実質の伸び率 年率換算で+6.0% 3期連続プラスに」)
まさかの、日本トップです。
日本の+6.0%という数字はできすぎで、あんまりに良かったので
「計算ミスじゃないの(笑)」
なんて自虐的な声も聞かれました。
周りの知人・友人を見ている限り、個人消費が伸びている感じはないですね。
景気動向指数
一致指数の推移は、この通り。
(出典:景気動向指数)
景気が、
- ゴリゴリ拡大しているとか
- 急激に縮小しているとか
そういう雰囲気ではありません。
上振れの兆しも見えますけどね。
景気動向指数は、
- 景気全体の現状を知ったり
- 将来の動向を予測したりするときに
使われる経済指標です。産業、金融、労働など、経済に重要かつ景気に敏感な30項目の景気指標をもとに指数が算出されています。
色々な指標をミキサーに入れてスイッチをいれると、1つの「景気動向指数」ができるというイメージです。
景気に一致して動く「一致指数」、景気に数か月先行して動く「先行指数」などがあります。
先行指数の推移は、この通り。
指数の中身を見てみると、
- 株価が上がっている↑(株価は、将来の景気を予測する最強の”先行指数”です)
- 求人数が減っている↓
という感じで、強弱入り混じっています。
先行指数はここ1~2年「右肩下がり」が続いていましたが、トレンド転換なるか?
景気ウォッチャー指数
景気ウォッチャー指数の推移は、この通り。
(出典:景気ウォッチャー調査 8月8日公表)
7月は54.4ポイント(前月比+0.8ポイント)となっており、景気判断の分かれ目となる50を上回りました。
銀座のママさんやタクシーの運転手さんが「景気は良い」と判断しているということです。
百貨店・スーパーマーケット・コンビニなどの小売店やレジャー業界で働く人、タクシー運転手など、景気に敏感な職種の約2000人にインタビューし、調査結果を集計・分析して発表するもの。
なお、2~3か月先の景気の先行きに関しては54.1(前月比+1.3ポイント)となり、こちらも50を上回っています。
消費者物価指数
こちらは、前年同月比+3.1%となりました。
(出典:日本経済新聞「消費者物価、7月3.1%上昇 11カ月連続で3%超え」)
- 全体としてのインフレ率は、3.3%→3.1%と若干下がりましたが
- 個別に見ると、インフレが加速している項目もあります(航空運賃や、通信費・教養娯楽など)
という家庭は増えていきそうです。
実質賃金指数
実質賃金指数の推移は、この通り。
(出典:NHK「6月の実質賃金 前年同月比1.6%減 15か月連続でマイナス」)
2023年6月の実質賃金は、前年同月比‐1.6%。
15ヵ月連続でのマイナスです。
基本給や残業代などをあわせた「働く人1人当たりの現金給与総額」は、平均で46万2040円。(このうち、夏のボーナスなど特別給与が18万9812円)
これは去年の6月に比べて2.3%高い水準ですが、依然として物価の上昇に追いつかず、実質的な賃金は低下しました。
実質賃金の増減率は、
- マイナスが続いているものの
- 年初と比べると、ジグザグ動きながら上昇もしています
トレンド的には、上昇基調。
完全失業率・求人倍率
ご覧の通り。
- 7月の完全失業率…2.7%(前回は2.5%)
- 7月の有効求人倍率…1.29倍(前回は1.30倍)
※完全失業率が2.2%ぐらいまで戻ればほぼ完全雇用=ゴール。
(出典:日本経済新聞「7月の求人倍率、1.29倍に低下 失業率は2.7%に」)
- 失業率は4カ月ぶりに上昇
- 求人倍率は低下
ということなので、雇用情勢は「悪化」しています。
企業の倒産が増えつつあり、その影響があるかもしれません。
ここまでの話をまとめると、この通り。
▼株価
日本株(TOPIX)は、年初来+約25%と絶好調
▼リアル景気
政府公式見解…緩やかに回復している
GDP…年率換算で+6.0%
景気動向指数…上向きつつある可能性
景気ウォッチャー…「景気が良い」と感じている人が多数派
消費者物価…+3.1%と高水準(23ヵ月連続でプラス。3%超えは11ヵ月連続)
実質賃金…-1.6%と下落(15ヵ月連続マイナス)※但し、今年に入ってからは改善トレンド
雇用状況…失業率が上昇・求人倍率が低下
という感じ。
個人的には、超ざっくりとした温度感ですが、
- 企業は儲かってるけど
- 個人の生活は苦しい
という感じ。
- 雇用・所得環境が改善するのを、耐えながら待つか
- カネの流れが良いところにポジションをとるか(例:株を買う。転職する。副業する等)
どういう対策をとるかで、生きやすさが変わってきそうですね。
※インデックスファンドや高配当株を持っている人は、業績好調・株高の恩恵を受けており生活に余裕があるんじゃないかなと思います。このままの方針で良いかと。
また、項目によってインフレ率が大きく異なるので
- インフレが激しいモノ・サービスを避けて
- インフレしていないモノ・サービスを使う
という「生活の工夫」も大事ですね。
要は、金をかけずに楽しむ方法も見つけていこうということです。
③8月の国内トピックス
日本株について、今月のトピックスはこれです。
- 進む円安
進む円安
円安が進んでいます。
今年に入ってからのドル円のチャートはこの通り。
(出典:外為どっとコム)
- 今年の前半:130~137円ぐらい
- 8月以降:140円~147円ぐらい
という感じになっています。
直近では、1$=146円を下回るケースも見られます。これは、昨年の秋ごろに政府・日銀が為替介入に踏み切った水準より安いです。
最近では、「円の実力、なぜ50年ぶり低水準に」なんて記事も出てきていましたね。
- 円安は、常態化するのか?
- 円安は、もっと進行するのか?
資産形成・資産防衛を考えるうえで、非常に重要なテーマです。
海外の経済状況
お次は、海外の話題です。
この4つの順番で見ていきます。
- 株価指数の推移
- ゴールド・債券ETF等の値動き
- 高配当ファンドの値動き
- 8月のトピックス
①株価指数の推移
G7(主要先進7ヵ国)の、主な株価指数の推移(年初来)はこの通り。
※グーグルファイナンスでは、チャートを5つまでしか同時比較できないので、昨年に引き続き「FTSE MIB(イタリア)」を抜いています。
- FTSE MIB(イタリア) +19.34%
- S&P 500(米国) +17.87%
- DAX30(ドイツ) +13.35%
- CAC 40種(フランス) +10.95%
- S&P TSX(カナダ) +4.37%
- FTSE100(イギリス) -1.52%
TOPIX(日本)は+24.83%。
日本がトップを維持。
現状の株価はさておき、欧州経済は最大の経済大国であるドイツが停滞しており、見通しはあまり良くありません。
残り4ヵ月。日本はこのままトップの座を守れるのか?
8月単月の動きはこの通り。
米国株は、相変わらず「金利」に翻弄されています。
- インフレ率
- 求人件数
など、何かしらの経済指標が発表されるたび、
- 経済が冷え込んでるっぽい → じゃあ、金利下がるんじゃない? → ほな、株買わなアカンやん!
- 経済が過熱してるっぽい → じゃあ、金利も高止まりじゃん → ほな、株買うたらアカンやん!
これを繰り返している感じです。
ちなみに、米国の主要な株価指数の成績は、この通り。
年初来ベースで
- ハイテク株中心のナスダックは+約35%
- S&P500は、+約18%
- オールドエコノミー中心のダウ平均株価は、+5%
強弱がくっきり分かれている状況です。
ハイテク株筆頭のGAFAMは、年初来でざっくり+30%~+140%と絶好調。
それに加えて、
- イーロンマスク氏率いるテスラ…+約140%
- AIブームに沸くNVIDIA…+約240%
という感じで、これら7銘柄がナスダックやS&P500を牽引しています。
※これら7銘柄のS&P500に占める割合は約28%。年初から8%近く増えています。
②ゴールド・債券ETF等の値動き
有名なゴールドETFである、「GLD」の値動きはこの通り。
(出典:グーグルファイナンス SPDRゴールド・シェアーズ(GLD))
ゴールドの成績は、年初来で+5.24%と堅調です。
世界的に通貨の下落が進むなか、ゴールドが相対的にその価値を高めています。
ちなみに、8月31日、国内金価格は「1グラム当たり1万101円」となり、過去最高値を更新。
29日に史上初めて1万円台を突破してから、さらに値を上げています。
2019年は1g=5000円ぐらいだったんですけどね。
この4年で、円の価値はゴールドに対して約半分になりました。
これが、「通貨の価値が下がる」ということです。
お次は、債券です。
投資額に対して2%~5%ほどのインカム(利息)が欲しければ、米国債券が有望な投資候補になります。
米国の優良債券ファンドを3つチェックしてみましょう。
- AGG:ローリスク・ローリターンな債券(格付け高く、利回り低い)
- LQD:ミドルリスク・ミドルリターンな債券(格付け普通、利回り普通)
- HYG:ハイリスク・ハイリターンな債券(格付け低く、利回り高い)
米国総合債券に投資する【AGG】というファンドのチャートはこの通り。
- 年初来-0.78%
- 現在の分配金利回りは2.94%
- 投資対象の約7割は、格付けがAAA(トリプルエー)の債券です
8月は、長期金利の上昇によって、価格が下がりました。
「債券」と「金利」は、シーソーの関係にあり逆の動きをします。
参考までに、金利のチャートを見てみましょう。
こちらは「米国の長期金利(10年国債)」の推移です(8月末現在の金利は約4.10%)。
(出典:三井住友銀行「マーケット情報チャート」)
8月は、長期金利がわりと動きました。
一時4.3%強と直近1年では最も高い水準になりましたね。
お次に、米国優良社債に投資する【LQD】というファンドのチャートはこの通り。
- 年初来±0%
- 分配金利回りは3.89%ほど
- 投資対象の約8割は、格付けがBBB(トリプルビー)~Aの債券です
- ギャンブル性の低い「投資適格」な債券であるものの、AGGよりは安全性が低いです
こちらも、先月から若干値を下げています(プラマイゼロのところまで下落)。
最後は【HYG】です。
「ジャンク」「ゴミ」と言った呼ばれ方をする「投資不適格の債券」を集めた、ハイリスクな債券ファンドです。
- 年初来+2.05%
- 現在の利回りは5.75%ほど
- 投資対象のほぼすべてが、格付けCCC(トリプルシー)~BBの債券です(リスクが高いぶん、長期的なトータルリターンは大きい傾向)
こちらも、AGGやLQDと同様に若干値を下げました。
さて、こちらの表をご覧下さい。
(出典:X@CharlieBilell0)
これは、
- 1928年~2023年の
- 米国債(10年モノ)の
トータルリターンを示した表です。
これを見ると、1928年から2020年までの93年間で
- 3年連続でマイナスだったことはない
- 二桁マイナスだったのは、2009年の1回のみ
ということが分かります。
この点、
- 2021年はマイナス4.4%
- 2022年はマイナス17.8%
という感じで、債券にとっては歴史的な逆風が吹いていました。
今まで、「3年連続でマイナス」だったことはないし「二桁マイナス」なんてめったなことではなかったワケですから、2023年は反動で「債券の年になる!」なんて言われていたんですね。
ところがどっこい。
ふたを開けてみると、2023年も現時点ではマイナス成績です。
※8月初旬には、米国債の格下げも大きな話題になりました。
債券に対する期待は失望に変わり、
- 100年にわたる債券バブルが終わった
- 金利のある「正常な時代」が戻ってきた(もう、ゼロ金利・マイナス金利になんてならない)
なんて声も聞こえるようになっています。
個人的には、
- もし、米国の長期金利が5.0%、6.0%となっていくなら、米国債をさらに組み入れていくつもり
- 債券ETFではなく、生債券を買っていく
という方針です。
債券ETFと違って、生債券には「満期」という概念があります。
満期まで持ち切れば、元本割れはありません。
為替リスクはあるものの、購入時点で「リターンが確定する」というのは、非常に大きなメリットになります。確度の高い人生設計ができるようになるからです。
金利の動きを読んだ
- 短期トレード
- レバレッジ
このあたりは、私の運用方針とはまったく合いません。
あくまで、「長期目線」で「ポートフォリオの攻守のバランス」をとっていく感じですね。
③インカム系ETFの値動き
私の愛する高配当株ETFについて。
- キャピタル(売却益)も
- インカム(分配金)も
両方狙えるポテンシャルのあるファンドたちです。
HDV、VYM、SPYDの年初来のチャートは、この通り。
分配金を無視して価格だけ見ると、順位はこの通り。
- 1位がVYM…-0.31%
- 2位がHDV…-0.49%
- 3位がSPYD…-6.20%
ナスダッ子が+30%を大きく超えているのに、この子たちときたら…
という気持ちは特になく、実際のところ大して気にしておりません。
インカム資産の役割は
- 長期的に元本を割ることなく
- 高利回りの配当金を出し続けてくれること
ですからね。
彼らによって、去年も今年も生活費が賄われています。
きっと、来年も、10年後も、彼らからの配当で生活していることでしょう。
※ちなみに、日本の高配当株たちは絶好調です。こちらで爆益が出ているので、米株のおとなしい値動きが気にならないということもあります(笑) 分散は大事ですね。
さて、現在の分配金利回りはというと
- SPYD:約4.77%(過去平均は約4.5%)
- VYM:約3.09%(過去平均は約3.0%)
- HDV:約4.08%(過去平均は約3.5%)
という感じ。
過去水準と比較して、それなりに「旨味」を感じるレベルになっています。
短期的には「今の円安状況」が気になりますが、長期で見るならばまぁ飲めるリスクでしょう。
- 株価の成長力
- 配当金
これらが、為替ダメージを吸収してくれるからです。
好調なナスダックとの差がつけばつくほど
「高配当株なんて、絶対にいらん!!」
といった声が、段々と強くなってくるでしょう。
債券もそうですが「こんなのはイラン」と言われるときこそが、仕込み時。
④8月の海外トピックス
外国株について、今月のトピックはこちらです。
- 中国恒大集団 破産申請
- ジャクソンホール会議開催
- BRICSプラス誕生
中国恒大集団 破産申請
8月17日、中国恒大集団(エバーグランデ)が、アメリカで破産を申請しました。
恒大集団は、中国の大手不動産デベロッパー。
巨額の債務を抱えて経営破綻の危機にあります。
この会社が、「アメリカ連邦破産法15条」というヤツを申請した…というのが、今回のお話です。
恒大集団は、
- 不動産業を中心に多角化経営中の大企業
- 会長は、一時は中国イチの富豪だった
- 280以上の都市で事業展開中
という、中国最大規模の民間企業です。
最近では、
- 約48兆円の負債を抱えている
- 過去2年半で約12兆円の赤字
- 2021年にはデフォルト(借りたお金を約束通りに返せない)状態に
- 販売のめどがつかない開発用不動産が約22兆円
- 販売後、「未完成」の住宅が約72万戸
といった感じで、かなり厳しい状況にあります。
きっかけは、2020年に行われた、政府による融資規制ですね。
中間所得層の拡大を目指し「共同富裕」を掲げる中国政府が、加熱する不動産投機を抑制しようと導入した規制です。
そこに、ゼロコロナ政策による景気悪化が重なり、中国の不動産市場は低迷まっただなかとなっています。
恒大集団に限らず
- 碧桂園(カントリーガーデン):半期で1兆円弱の赤字。デフォルト危機
- 遠洋集団(シノ・オーシャン・グループ):デフォルト危機
- 広州富力地産(グアンジョウ・アール・アンド・エフ・プロパティーズ):一部デフォルト
みたいな感じで、多くの不動産会社が資金繰りに苦しんでいます。
影響の範囲と度合いについては、様々なメディアやエコノミストが様々なことを言っていますね。
ざっくり2派に分けるとすれば
- 「マジでヤバいよ!」派
- 「それほどでも」派
という感じでしょうか。
「マジでヤバいよ」派の人たちは
- 今回の件は、本格的な中国の景気悪化に繋がっている
- その影響は、中国国内ではとどまらず世界へ広がっていく
みたいなことを考えているワケですね。
「中国版リーマンショック」「日本のバブル崩壊の再来」「世界同時不況の引き金」「終わりの始まり」みたいな、強めの言葉もよく見られます。
実際、中国は世界第2位の経済大国です。
不況が始まれば、日本はもちろん、世界経済全体に影響が及ぶのは間違いないでしょう。
また、中国経済における不動産業のインパクトは小さくありません。
関連産業を含めると、中国のGDPの約3割を占めると言われています。
- 今、中国の不動産業界は苦しい → Yes
- 不動産業界が崩れると、中国経済全体が危ない → Yes
- 中国経済が崩れると、世界経済が危ない → Yes
つまり今、世界経済は危ない!
という整理ですね。
(出典:MMR マガジンミステリー調査班)
一方、「それほどでも」派の人たちは
- 中国政府に対応余地がある
政治体制的に即断即決がしやすいし、利下げ等の選択肢もある。
マジの不景気になる前になんとかするでしょ - 恒大集団の話に限っても、今回の破産申請は会社再建を目指すもの
×「倒産して会社がなくなる」みたいなものではなく
〇「アメリカ国内資産の差し押さえを回避するため」のもの
巨額債務の再編・削減の一環でしかない
といった話をしています。
現時点では、
- 中国恒大集団の株価は、大暴落中(90%近い下落)
- 上海総合指数は、年初来だと+0.11%で変化ナシ
- G7各国の年初来の株価推移は、おおむね順調(中国?知らんがな、状態)
といった感じ。
「特大インパクト!」という温度感ではありませんね。
とはいえ、この問題の「今後」はまだ分かりません。
日本政府が、月例経済報告で「中国経済の先行き懸念」を日本経済下振れのリスクとして新たに明示したのは、こういった背景があるからです。
ジャクソンホール会議開催
8月24~26日、年に一度のビッグイベント、ジャクソンホール会議が開催されました。
米国のカンザスシティー連邦準備銀行が、ワイオミング州のジャクソンホールで毎年夏に開く金融・経済シンポジウム。
米連邦準備制度理事会(FRB)議長など各国中央銀行の要人や経済学者などが出席し、議論することで知られています。
(出典:大和証券「金融・証券用語解説」より抜粋)
超エライ人が集まって、いったいどんな話をするのか?
特に、FRB議長の講演で、何が話されるのか?(秋以降のアメリカの利上げ動向とか分かるかな?)
といった点に注目が集まっていました。
結果として、FRB議長の講演は
- 大きなサプライズ無し
- 秋以降の利上げは、引き続き「経済データ次第」
- 若干タカ派(利上げに肯定的)な発信だったけど、まぁそれも含めて予想通り
という感じ。
ちなみに、直近の経済データは
- 消費者信頼感指数:106.1。前月改定値比-7.9ポイント。2年ぶりの大きな下げ幅
- GDP改定値:2.1%増。速報値の2.4%増から下方改定
- PMI:50.4。6カ月ぶりの低水準
- PCE物価指数:前月比0.2%上昇。伸びは前月から横ばい。
- 雇用統計:雇用者数は前月+18.7万人、市場予想を上回る。失業率は3.8%、市場予想を上回る
といった状況。
なんとなーく「景気が減速気味かも?」という見立てから
と雰囲気もあります。
今後の金利見通しは、こんな感じ。
(出典:X@goto_finance)
基本路線は、
- 年末までにあと1回、0.25%の利上げ
- 利下げは、来年5月頃
といったところですね。
とはいえ、すべては経済データ次第。
BRICSプラス誕生
8月22日から3日間にわたり、南アフリカ共和国のヨハネスブルグでBRICS首脳会議が行われました。
BRICS(ブリックス)というのは、
- ブラジル
- ロシア
- インド
- 中国
- 南アフリカ共和国
これら5ヵ国の頭文字をとった、新興国のグループ名です。
BRICS首脳会議は毎年行われている会談ですが、今年はとある大きな決定がなされました。
それは、このBRICSに「2024年1月から6カ国を加える」というもの。
その6カ国とは
- アルゼンチン
- アラブ首長国連邦(UAE)
- イラン
- エジプト
- エチオピア
- サウジアラビア
です。
こちらの世界地図をご覧ください。
(出典:X@Visual Capitalist)
- 赤色が、BRICS
- 緑色が、今回新たに加わった6ヵ国
- 黄色が、加入申請中のメンバーです(BRICSプラスは、今後さらに拡大予定)
BRICSプラスの経済規模はいかほどか?
世界に占める割合は、次の通り。
- GDP:29%
- 人口:46%
- 石油生産:43%
- 輸出:25%
かなり大きな経済圏ですね。
2022年にウクライナ危機が起きてから、世界の枠組みが大きく変わりつつあります。
欧米を中心とした先進国グループと、BRICSプラスのような新興国グループ。
- 共存か?
- 対立か?
まとめ:投資のポジションについて
以上をまとめると、この通り。
- 8月の日本株は下落。とはいえ年初来で見れば変わらず絶好調
- リアル景気は、「企業は儲かってるけど個人の生活は苦しい」という温度感
- 昨年秋の為替介入時以上に円安が進む
- 米国株は、ナスダックは年初来+約35%、ダウは+約5%と明暗が分かれる
- 米国高配当ETFは年初来マイナス圏。ハイテクと差がつく展開
- ゴールドは堅調。国内金価格は初の1グラム1万円台
- 2023年も「債券の年」とならず。オワコン化か?割安チャンスか?
- 恒大集団の破産申請で、中国不動産市況の低迷が鮮明に。世界経済のリスクとして要認識
- ジャクソンホール会議はノーサプライズ。米国金利動向は引き続き経済データ次第
- BRICSプラス誕生。新興国グループの台頭は、世界経済にどう影響?
という感じです。
個人的には、
- インデックス運用(iDeCoやつみたてNISA)は、淡々と継続
- アクティブ運用(高配当株投資)は、日本株については「割安」なものがあればピンポイントで買う。米国高配当株は、株価のチェック頻度を増やしてチャンスを狙う
というスタンスです。
日本の高配当株については
- 約490社とそれなりに数があるものの
- 株価の上昇に伴って、着実に減ってきている(ピーク時から200社超減)
という状況。
個別に見るとまだまだ「割安さ」を感じる銘柄もあるので、イイものは拾っておきたいですね。
ちなみに、米国の「恐怖・強欲指数」は現在こんな感じ。
(出典:Fear & Greed Index)
- 相場がイケイケの時は「Greed(強欲)」を示し
- 相場が弱気の時は「Fear(恐怖)」を示す
そんな指数です。
今は、「NEUTRAL(通常)」を示していますね。
歴史を振り返ると
- 株価が下がっていて
- リアル景気も悪くて
- 投資家の気分も最悪(恐怖&強欲指数で「恐怖」を示す)
こういう「イケてない時期」こそ、絶好の買い場でした。
アクティブ投資に関しては、こういうチャンスをしっかり掴めるように、定点観測していきましょう。
※インデックス投資は、いつどんな時も、リスク許容度の範囲内で淡々と、です。
それではまたっ!
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