こんにちは、こびと株(@kobito_kabu)です。
2019年8月現在における、高配当株(日本株)をとりまく相場状況について私見を述べたいと思います。
- データ①:増配しているのに、株価がついてきていない
- データ②:高配当株は特に売り込まれている
- データ③:企業の「純資産は成長している」のに、評価されていない
以下、順番に見ていきましょう。
目次
日本株の高配当株が割安に感じられる3つのデータ
データ①:増配しているのに、株価がついてきていない
まずは、以下のグラフをご覧くださいませ。
- 日経平均株価の推移
- 高配当株の数の推移(※税引後配当利回り3.0%超で、東証に上場している企業の数)
この2つを並べたグラフです。
2017年1月から毎月コツコツとデータを取った結果なので、じっくり見てね(*ノωノ)
青色(目盛り:左側)が高配当株の銘柄数、オレンジ(目盛り:右側)が日経平均株価です。
特筆すべきは
- 株価が上がっているのに
- 高配当株が増えている
ということ。
配当利回りは「配当金÷株価」で計算されるので、株価が上がれば配当利回りは下がる=高配当株は減るはずです。
日経平均の水準が同じぐらいなのに、高配当株の数はこれだけ違っています。
- 2017年10月:日経平均 21,500円 高配当株数 42銘柄
- 2019年7月:日経平均21,500円 高配当株数 382銘柄
振り返ってみると、
- 2017年1月~2018年7月までの1年半、高配当株の数が100を超えたことは一度もありませんでした
- それが、2018年10月の世界同時株安により一気に高配当株が増加し、150銘柄を超えるようになりました
- その後、2018年12月の株価暴落によりさらに高配当株が増え
- 2019年5月には450銘柄にまで増加しています
利益が出ていないければ増配はできませんから、日本企業は「よく稼いでいる」と見るべきです。実際、企業の配当金水準は過去最高クラスを更新し続けています。
しかし、
- 2019年の10月に控えた消費増税
- 米中貿易摩擦
こういったイベントの影響で、将来の見通しは暗いと考えている投資家が多いのでしょう。結果、高配当株は増加し続けているのが現状です。
※米国株の高配当ETFなんかは、株価の上昇に伴って「高配当」とは言えないレベルまで利回りが低下していますね。
データ②:高配当株が特に売り込まれている
下のグラフは、
- 日経平均配当利回りと
- 日経高配当株50指数配当利回り(※日経を構成する銘柄のうち高配当の50銘柄)
この2つの利回り推移を比較したものです。2017年1月が起点です。
ワニの口のように開いているのが特徴的です。
日経平均の配当利回りが2.2%程度なのに、日経高配当50の方は5.0%近い利回りになっています。
- 2017年1月時点では、2つの利回りの差は1.38%でした
- 2019年8月時点では、2つの利回りの差は2.80%に拡大しています
これが何を意味しているかというと、「ただでさえ値動きが冴えない日経平均のなかで、大型高配当株はことさら売り込まれている(不人気になっている)」ということです。
※ちなみに、こびと株.comメンバーのポートフォリオは含み益を維持できています。ポートフォリオのなかに中・小型株が多く含まれているからです。分散投資の効果が良い方向に出ていますね。
日経平均を構成する銘柄のうち、高配当株ランキングで上位にいるものは景気敏感株が非常に多いです。
経済の先行きを見通した時に、現在の利益水準(配当金水準)を維持できないと思われている可能性が高いですね。
とはいえ、個人的には「稼ぐ能力の高い企業も多いのに、ちょっと売り込まれ過ぎかな?」という気もしています。
有名個人投資家のかぶ1000さんも、こんなツイートしてますね。
私も日本の大型高配当株(一部銘柄は除く)はかなり割安だと感じてます。
ゴールドマン、高配当銘柄を推奨-過去40年で最も割安と指摘 – Bloomberg https://t.co/ZGfgTE2eOU
— かぶ1000 (@kabu1000) August 13, 2019
米国市場の水準ですら、ゴールドマンが「高配当銘柄が過去40年で最も割安」なんて言っています。
※自分で書いててツライところなんですけど、有名投資家がどう言ってたとか、巨大金融企業(ゴールドマンサックス)がどう言ってたとか、ブロガーがどう言ってたとか、基本的にはすべて話半分で聞くようにした方がいいかなと。
何がどうなろうと、最後は「自己責任」の名のもと、誰も助けてはくれませんから。
データ③:企業の「純資産は成長している」のに、評価されていない
基本的に、企業が稼いだ利益の行く先は2つしかありません。
- 株主に対して配当する
- 企業の中に蓄える(来期以降の設備投資などに使う)
例えば、1株あたり純資産が10,000円の企業があって、1株あたりの利益が1,500円だったとします。
- 1,500円のうち500円を配当して
- 残りの1,000円を社内に蓄えると
結果的に、1株あたり純資産は11,000円に成長します。
- Before:1株あたり純資産 10,000円
- After :1株あたり純資産 11,000円
このとき、この会社の株価が16,500円だとすると、PBR(株価純資産倍率)は1.5倍(16,500円÷11,000円)になります。
株価÷1株あたり純資産で計算される指標です。
割安さを測るのに使える指標で、日本株の場合は1.0倍前後だと割安だと言える水準かなと(日経平均で見ると、1倍を割っている期間はリーマンショック後の比較的短い期間だけでした。0.8倍台になったのはほんの1~2ヵ月だけ。)
※なお、割安さは1つの指標だけで測ってはいけません。PERや配当利回り、他の資産クラス(債券とかREITとか)の値動きなども併せて、複合的に判断しましょう。
さて、日経平均のPBRの推移を見てみます。2014年1月が起点です。
青線(目盛り:左軸)がPBRです。
※赤線(目盛り:右軸)は日経平均株価
青線(PBR)に注目すると、2014年から2019年にかけて右肩下がりです。2018年12月には一瞬ですが1.0倍を割りました。そこから多少持ち直したものの、2019年8月15日時点で1.01倍です。
ここで、1株あたり純資産の推移に着目してみたいと思います。
2014年1月
PBR1.47倍 株価15,814.37円 1株あたり純資産10,758円
2019年8月
PBR1.01倍 株価20,405.65円 1株あたり純資産20,204円
この5年半で、1株あたり純資産は約2倍に成長しています。上記で説明した通り、企業は利益を稼げなければ配当を出すこともできないし、社内に利益を蓄えることもできません。
1株あたり純資産がこれだけ伸びているのというのは「利益を稼ぐ力がある」ということに他ならないのですが、市場からはほとんど評価されていないようですね。
※5年半で「1株あたり純資産」が2倍って、いくらなんでも増えすぎな気がするんですよね。何か見間違っているのか…ちょっと調査中です。
現在、高配当株は買い時に見えるけど…?
ややこしい話が続いたので、いったんまとめます。
私の目線では、日本の高配当株は割安に見えています(ワナ銘柄も多いから気をつけないといけないのは言うまでもない)。
- 増配傾向にあるのに、評価されていない(だから高配当株が増え続けている)
- 市場全体で見て、高配当株だけが売り込まれている
- 1株あたり純資産が伸びているのに、PBRがかなり低水準
総じて「着実に儲けてきたのにそれほど評価されていない」という印象です。
ところが、こう言われると何も言えることがないんですよね。
なぜかというと、理由はこの2つ。
- マーケットはいつも正しい(ことが多い)
- 投資は、将来を見てするもの
相場への参加者が多く、取引量・取引高が多いことを「市場に厚みがある」という言い方をします。こういうちゃんとした市場では、株の値付けは適正であることが多いです。
※これと逆なのが超ド田舎の不動産市場とかですね。買いたい人も売りたい人も少ないので、当事者のノリで取引価格が決まります。相場があってないようなものなので、歪みを取れるチャンスが多いです。
日本株の市場は「田舎のローカルマーケット」という見方もありますが、それでも日本はまだまだ世界有数の経済大国。誰もかれもが考えナシに日本株を売買しているとは考えづらいです。
今つけられている値段には、それなりの意味があると考えるべきですね。
そして、何よりも投資は将来を見据えてするもの。将来的に業績が落ちていくのなら、結果的に「株価と業績」の関係は適正な水準に落ち着きます。
株価は先行指標です。将来の業績の下落を織り込んだ価格になっているということであれば、今の価格は割安とは言えないということになります。
割安だと言うためには、過去の実績から見てどうのこうのではなく、将来に対して明るい見通しが必要です。
それは、銘柄によりますね。
全体として勝てると思うなら日経225やTOPIXに賭けたインデックス投資をしているはずです。でも私たちは、個別株をかき集めてオリジナルファンドを作っています。つまりそういうことです。
まとめ:日本の高配当株のなかに割安・買い時と言えるものが増えてきた【買い目線】
以上、まとめると次の通り。
この3つのグラフから色々と読み取ってください。何を感じるかはその人次第。
- 2017年1月以降、高配当株がこれほど多くなったことはないですし、
- 日経高配当株50指数配当利回りが5.0%に迫る水準になったことは、過去にないですし
- 日経平均PBRはかなりの低水準にあります
日経平均のPBRを見る限り、現在エントリーしてからの下値目安は▲20%ぐらいかなと思います。日経平均で言うと16,000円ぐらいの水準でしょうか。ここまで言ったら阿鼻叫喚ですね。
- 10%下落したら1回目のナンピン
- 20%下落したら2回目のナンピン
私たちは、そんな感じで計画的に資金を投入していくようにしています。
- 今より株価が上昇すればそれでよし
- 株価が下落したら平均取得単価を下げられる(配当利回りを上げられる)からよし
配当金さえ出続けるのなら、結局は長期でペイできる。どっちに転んでも大丈夫なように投資することが、こびと株.comメンバーのスタイルです。
- 一ヶ国に集中投資しない(米国株は高配当ETFでいいからラク)
- セクターをしっかりと分散する(タバコだけとか電力株だけとかはやらない)
- ワナ銘柄を避ける(300~400銘柄のうち、投資しても良さそうなのはせいぜい1割)
この大方針にしたがって、ポートフォリオの配当金持続性を高めていきたいと思っています。
これから年末にかけて高配当株を買い込めれば、来年の配当金がめっちゃ楽しみな水準になりますね。増え続ける配当金ほど投資のモチベーションを上げてくれるものはありません。
以上、「日本の高配当株は割安か?買い時かどうかを探る3つのデータ」でした。
それではまたっ!
参考:最安コストで少額分散投資をするための証券口座
高配当株投資は「財務優良銘柄への分散投資」がキモになりますが、個別株に投資する場合は投資額が1,000万円とか2,000万円を超える人でなければ効果的な分散投資は難しくなります。
ところが、SBI証券を活用すれば、最安コストで少額分散投資をすることが可能です。
- 1株から購入できる(単元未満株の売買手数料無料)
- 最大手・国内株式個人取引シェアNo.1
- 口座開設・口座維持手数料無料
口座開設・口座維持利用料がかからないのはもちろんのこと、単元未満株の買付手数料が0円なので少額分散投資にうってつけです。
個別株投資では信託報酬なども取られませんから、コスト面では一切文句なしですね。
総合商社やリース業界の上位企業をまとめ買いしたい時などは、まさに最適な証券口座です。
※投資にはリスクがあることを正しく認識し、ご自身の判断と責任により行って下さい。
もっと詳しく知りたい方は、下記記事を参照してください。
具体的な銘柄選びで悩んでいたら、こびと株の一覧や直近の高配当ランキング記事を参考にしてみてください。なお、日本株の高配当ETFは微妙だと思ってます。
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