こんにちは、シーウィード@こびとが見える経理マン(@kobito_kabu)です。
「この世知辛い世の中で、ついにマネードクター(お金のお医者さん)を見つけた!」
と思ったら
「保険の販売員だったという話」
をしたいと思います。
何を言っているのかよく分からないと思いますが、少しだけお付き合いください。
マネードクターとは
先日、電車の中吊り広告で「マネードクター」という広告を見かけました。
こんな感じのやつです。
(出典:高橋一生さん出演新CM お金のかかりつけ医『マネードクター』役でみんなを笑顔に!)
ケガをしたり、病気になったりしたら、お医者さんのところに行きますよね。
心の悩みを抱えたとき、カウンセラーのところに相談に行く人もいると思います。
ところが、お金の悩みを相談できるところはそう多くありません。というか、ほとんどないと言って良いでしょう。
そんななか、マネードクターの中吊り広告を見て、私は「ついに日本にもお金のお医者さんが誕生したのか!」と興奮し、その期待は、瞬時に有頂天になりました。
これでもう、お金の勉強をしなくて良いんだ。
お医者さんに相談するだけで良いんだ。
人生の時間を、他のことに使えるんだ―――
そんな思いで、急いでスマホを使ってマネードクターについて調べてみると、紹介動画を見つけました。
たった15秒の動画ですが、たいへん素晴らしく良くできています。ぜひ視聴してください。
「一人ひとりが、お金と向き合える国へ。」
サラリーマン、幼稚園児、老夫婦など、地域のいろいろな人と笑顔で挨拶をかわし、呼び止められながらも、次のお客さまとの相談に向かうため自転車で町を駆け抜ける。
その親しげな雰囲気で高橋一生さん演じる『マネードクター』は通称『マネドク』と呼ばれ、地域のみなさんから頼りにされる存在です。
その様子は、さながら、医者の少ない過疎地を救う開業医です。
自転車で人とすれ違うたびに呼び止められるマネードクター。
そこにあるのは、信頼と、愛。
私の「マネードクターに対する期待」は高まるばかりです。
どうか、どうか僕の居住地に来て欲しい。そして、晴れ渡る青空の下、笑顔で挨拶をかわそう。
私のお金の悩みを取り除いて欲しい―――
私は、真顔で「マネードクターの運営会社」について調べ始めました。
マネードクターの運営会社「株式会社FPパートナー」について
マネードクターの運営会社は、株式会社FPパートナーです。
設立は2009年12月。資本金は1億円で、本社は東京都文京区後楽国際ビルディング5Fにあります。
営業を開始したのは、2010年4月のこと。
- 東京都中央区日本橋にて、
- 生命保険会社8社を取り扱う保険代理店として
スタートしました。
(雲行きが怪しくなってきた)
それから10年、株式会社FPパートナーは瞬く間に事業を拡大。2019年現在
- 生命保険会社13社の商品を取り扱い
- 損害保険会社8社の商品を取り扱い
- 国内85拠点
- 社員数1,541名(うちFP資格者1,360名)
- 保有顧客数276,077人
- 2018年の相談件数13万件
という、超ビッグな「保険代理店」に成長しました。
無料でお金の相談を受けているだけでこれだけ規模を拡大できるなんて、すごいですね。
私の予想ですが、おそらくとても感謝した顧客たちが、活動費を寄付しているのかなと。無料相談でこんなに規模を拡大できるなんて、どれほど熱心なファンがいるのでしょう。
そんなことを思っていたら、こんなプレスリリースを見つけました。
無料FP相談サービスを運営する株式会社FPパートナー(本社:東京都文京区 代表取締役:黒木勉)は、下記の通り、「保険のビュッフェ」から『マネードクター』へブランド名の変更をいたします。
(出典:ブランド名変更に関するお知らせ)
「保険のビュッフェ」から『マネードクター』へブランド名の変更をいたします。
「保険のビュッフェ」から『マネードクター』へブランド名の変更をいたします。
「保険のビュッフェ」から『マネードクター』へブランド名の変更をいたします。
保険のビュッフェやないか~い
※拠点紹介より。
保険のビュッフェというのは、保険代理店ですね。無料相談に行くと、色々な保険を提案してくれる場所です。
評判はこんな感じ。
- 「保険の見直しは済んでいるので、資産運用について相談したい」と言ったところ、FPさんの態度が一変!「保険についてのお話が出来なければ、ここで出来る話はない。」と言われる
- 要望に答えてくれず、とにかく終身保険(積立)を勧められる・・・
- 平気で嘘を言う
- 資料を揃えて話すと言うが、当日には資料を持ってこない。
- 次に会うときには、別の保険も見たいから資料を要求したが、約束の日には持ってこなかった。
- 三回目の訪問の日に、仕事で間に合いそうもないと留守電に入れたが!強制的に自宅に訪問に来た。
- ネットに掲載された、アンケートで漏れなく豪華賞品を差し上げます、の宣伝にのってアンケート記載賞品送付先住所を送信したら、勝手に訪問日が組まれており、メールの連絡のみで実際に家に来るわでビックリしました!
- 周りにやめとけって言いたいレベル
- 関わらないのが賢明です
(上記すべて、マネードクター(旧:保険のビュッフェ)の口コミ・評判より)
だいぶCMのイメージと違うんだけど、どういうことなの…
まぁ、そういうわけで、マネードクターのFPはお金の専門家ではなさそうです。優秀な?保険の販売員ですね。
もしかするとですど、
- 相談者より年収低いです
- 相談者より資産も少ないです
- 相談者より金融知識はないです
- どの保険を売ると儲かるかだけは相談者より知っています
よほど超積極的に保険が欲しい場合を除いては、近寄らない方がよいかもしれません。
保険のビュッフェの悪評が立ち過ぎて、ブランド名変更したんじゃないかって思うレベルですね。まともな資産運用の相談など、望むべくもありませんね。
※とはいえ、これほど悪評だらけでここまで事業規模を拡大するのは難しいので、顧客のニーズを満たせている部分もあるのかなとは思いますが。ネットの評判も、どこまで本当かは分かりませんし。
まとめ:日本ではお金のお医者さんは成立しません
「お金のお医者さん」は日本では成立しません。
なぜなら、専門的なアドバイスに対して報酬を払う文化があまりないからです。知識に対してフィーを出すことに慣れていないのですね。
だから「お金の相談」でビジネスとして成り立たせようとすると、基本的には「保険・投資信託」等を販売するしかありません。保険が売れれば
- 保険代理店は儲かります
- 保険会社も儲かります
- 不幸の宝くじに当たった少数派の加入者も儲かります
- ほとんどの人は、損して終わります
保険というのは商品です。だから、買えばメリットはあります(それが、コスパの良いものかどうかは別として)。
- たくさんの保障があって、お金がない人生を送るか
- 保障は薄いけれど、お金のある人生を送るか
私なら後者を選びますね。資産形成がうまくいけば、たいていのバッドイベントは貯金で乗り切れます。
どうしても乗り切れない大きなリスクに対してだけ、最低限の保険で備えれば十分というわけ。
- ベース:公的保険
- 自助努力:貯蓄
- どうしても備えきれない部分:民間保険
この3段構えでしょう。
一方、もしマネードクターに相談したら、こうなるんじゃないでしょうか。
患者「先生、教育費が心配なんです」
マネードクター「お薬(保険)だしておきますね~」
患者「先生、病気になるのが不安です」
マネードクター「お薬(保険)だしておきますね~」
患者「先生、老後が不安です」
マネードクター「お薬(保険)だしておきますね~」
患者「先生、私にもしものことがあったら家族はどうすれば…」
マネードクター「お薬(保険)だしておきますね~」
私は、お金のお医者さんのお世話にはなりません。
お金のことは、自分で勉強して、自分で考えましょう。無料相談ほど高くつくものはありません。
それではまたっ!
※関連記事です
Follow @kobito_kabu