こびと株.com(@kobito_kabu)がお送りする、毎月更新の定例記事です。
※データが多すぎて記事が重いです。すみませんm(_ _”m)
抽出時期 :各月末
対象市場 :東証一部、東証二部、東証JASDAQ
配当利回り:税引き前3.75%以上(税引き後3%)※復興特別所得税は無視
目次
サマリー
2020年3月31日時点
全体指標
- 日経平均:18,917.01円(前月比-2,225.95円)
- 日経平均PBR:0.92倍
- 日経高配当株50配当利回り:5.63%(前月比+0.86%)
- 円/ドル:1$=107.53円
配当利回りが3.75%(税引き後3%)以上の企業数
全部で782社。先月より217社増加しました。
- 一部上場 :538社(前月比+113社)
- 二部上場 :117社(前月比+ 53社)
- JASDAQ上場 :127社(前月比+ 51社)
日経平均株価と高配当株の推移は、次のとおり。
先月に引き続き、コロナショックで株価が急落。
阿鼻叫喚の相場のなかで、高配当株が激増しました。
先月の時点では、「こんなのまだまだバーゲンセールじゃないぜ」みたいなこと言ってましたが、今月は私にとっては間違いなくバーゲンセールでした。
※なお、この記事では「買い場」「バーゲン」「チャンス」といった浮かれた発言が散見されますが、あくまで私見です。今は「地獄の入り口」かもしれません。
全体感
2020年3月は、歴史に残る荒れ相場になりました。トピックは、これだけです。
- コロナショック
コロナウイルスの感染拡大に伴い、ショッキングなニュース・数字が次々と出てきました。
- 東京オリンピック延期
- 上場企業による利益予想の下方修正が相次ぎ、利益は1兆円以上減少
- 活動自粛で、日本国内の個人消費が約4兆円減少との試算
- 米製造業景況感指数は、リーマンショック以来の下げ幅
- 各金融機関のエコノミストが、4月ー6月の米国GDPが30%前後のマイナス成長に落ち込むと予測
- 米国における失業保険申請者が、過去最大の330万人を記録(1982年の記録69.5万人を5倍以上上回る)
- 中国の暦年GDPが44年ぶりにマイナスになる見通し
- 原油価格が暴落。一時1バレル20ドルを割り込み、18年ぶりの安値に
- 恐怖指数が82.6をつけ、2008年のリーマンショック以来の超高水準に
- わずか数日で10万人増加、世界の感染者数が85万人に…etc
世界の各国政府は、全力で金融政策・財政出動に取り組んでおり、「リーマンショック時を越える規模の対策プラン」を次々と発表しています。
こういった背景もあり、2020年3月の株式市場は歴史的な荒れ相場となりました。
3月の日経平均株価の動きは、この通り。
たった2週間で、21,719円⇒16,358円まで▲24.7%もの大暴落。
まさに、下り最速…!
(出典:2020/3/31日経新聞「日経平均株価、3月は10.5% 2225円下落」
19日の安値(16,358円)は、2016年11月以来およそ3年4ヵ月ぶりの水準。3年4ヵ月もかけて上がってきた株価が、たった2週間で振り出しに戻る。
無慈悲ですね。
あんなに毎日株価を見ていたのは初めてかもしれません。Twitterのツイート量も普段の5倍~10倍ぐらいになってましたね。なお、株価が戻るにつれて口数が減るのは、仕様です。
※Twitter上で「なんだか盛り上がってますね」と多くの方からお声がけ頂きました。お見苦しい姿をお見せして大変恐縮です。
さて、我らがNYダウ(5年チャート)はこの通り。
暴落前の約29,500ドル⇒3月の終値約22,000ドルまで、▲25.4%の大暴落です。こちらも、下り最速の超特急でしたね。
あんまり毎日暴落するものだから、
ブラックエブリデイ
なんて言われてました。サーキットブレーカーも発動しまくるし、異常な相場でした。
- ゴールドも
- 債券も
- REITも
換金売りで、何もかも売られまくる。すべてがとんでもないスピードで暴落するので、総悲観は売りという新しい格言まで飛び出したほどです(通常、総悲観は”買い”です)。
少しずつまともな値動きに戻ってきているように見えますが、果たして今後はどうなることやら。
こびと株メンバーは、下記想定のもと、株を買い集めております。
- 新型コロナウイルスの問題は、いつか収束する
- 企業業績・世界の景気は、いつか回復する
- 政府が刷りまくったお金は、いつかリスク資産に向かう
※問題は「いつか」というところなのですが、そこは読めません。ざっくり、
- ①は1年程度
- ②は1~3年程度
- ③株価の回復がいつになるかは、まったく分からない(予想もしない)
ぐらいでイメージしています。
とにもかくにも、こういった状況を想定している以上、今は絶好の買い場です。
中・短期的には含み損が増えるシーンもあると思いますが、気にせずどんどん株数を増やしていこうと思います。ある程度の減配も想定した配当利回りで、買い進めます。
配当利回りランキング(東証一部上場)
- ※エクセルオンラインのデータが表示されます
- 証券コードをクリックすると、Yahooファイナンスのページに飛びます
※1 「-」は、前月ランク外であった銘柄
※2 2017年1月以降で、月末の配当利回りが3.75%を超えていた月の数
本題に入る前に:高配当株の基準はそのままでいいの?
高配当株は、過去最高の583社。配当利回り5.0%超えの銘柄だけで223社あります。
こういう状況になると、私たちが決めている「高配当株=配当利回り3.75%超」という基準は、もはや低すぎるのでは??という意見もあると思います。
ですが、以下の観点から、この基準を維持します。
- 長期国債の利回りと比較してどうか?
- インフレ率と比較してどうか?
2016年以降、長期国債利回りはほとんど大きな変動がありません。
こちらが、長期国債(10年)の利回り推移になります。
(出典:SBI証券)
リスクフリーレート、つまり「リスクをとらずに確実に達成できる利回り」は、ほとんど0%だということです。
高配当株に魅力があるかどうかは、
- リスクフリーレート
- 配当利回り
この2つの利回りの「差の大きさ」で決まります。
もし、リスクの低い長期国債に投資して5.0%の安定インカムが得られるのなら、大きなリスクをとって配当利回り3.75%の株式に投資する意味はないですよね。
同じような考え方で、インフレ率が5.0%の国で、投資額の3.75%の配当金を貰っても無意味です。もらった配当金以上に物価が上がっており、実質的に購買力は低下しているからです。
長期国債とインフレ率には大きな関係がありますが、長期国債の利回りを見て分かる通り、日本のインフレ率はかなりの低水準にあります。
一般に、配当利回りは、リスクフリーレートから乖離すればするほどハイリスクと言えます。
相場の暴落につられて高配当株の基準を見直して、(たとえば)配当利回り5.0%以上の株式に投資対象を絞ることは、高配当株ポートフォリオのリスクを高めるだけ。
というわけで、引き続き「配当利回り3.75%」を一つの基準として、銘柄選定していきたいと思います。
今月の投資候補
コアに据えたい銘柄は、このあたりです。
- JT 7.72% ※16年連続増配ストップも、減配可能性低
- 三井住友FG 6.86% ※累進配当政策
- 三菱商事 5.76% ※累進配当政策
- CDS 4.85% ※リーマンショック時でも減配せず
- 三菱UFJリース 4.70% ※20年連続増配
- 蔵王産業 4.48% ※過去9年累進配当
- プロシップ 4.39% ※リーマンショック時でも減配せず
- 東京センチュリー 3.96% ※17年連続増配
- 兼松エレクトロニクス 3.82% ※過去10年累進配当
- インテージHD 3.81% ※リーマンショック時でも減配せず
- ユー・エス・エス 3.78% ※20年連続増配
- NTT(日本電信電話) 3.77% ※9年連続増配
- NTTドコモ 3.72% ※1998年以来、減配なし
- KDDI 3.69%※17年連続増配
- TAKARA&COMPANY 3.33% ※過去6年累進配当
- ニホンフラッシュ 3.17% ※過去15年累進配当(記念配除く)
- プラネット 2.99% ※18年連続増配
どれも、下記のいずれかに当てはまります。
- 連続増配中
- 累進配当(基本的に減配せず、配当維持or増配)
- 収益性・財務安定性が高く、不況で赤字にならない
なお、三井住友FGや三菱商事は、超景気敏感株です。累進配当政策を採用しているとはいえ、過去の不況時にはしっかり減配しており、100%安心できるわけではありません。
また、三菱UFJリースなどのリース会社は、航空機リースでそれなりに稼いでいます。航空業界の惨状を考えると、今回もリーマンショック時のように無風で乗り越えられるかどうかは未知数です。
上記をコアとしつつ、リスクをとって下記をトッピングする感じでしょうか。
- 三菱UFJ FG 6.20% ※金融
- 伊藤忠商事 3.79% ※総合商社
- コマツ 6.18% ※機械
- アビスト 5.82% ※サービス(自動車関係)
- アマダHD 5.63% ※機械
- 武田薬品 5.44% ※医薬
- 三井物産 5.32% ※総合商社
- ブリヂストン 4.81% ※ゴム
- 第一生命HD 4.79% ※保険
- 東京海上HD 4.55% ※保険
- 旭化成 4.45% ※化学
いずれも、よりリスクをとってポートフォリオの利回りを高めるための銘柄です。ご覧の通り、景気敏感業種が多いです。
- 三井住友FGだけじゃイヤ→三菱UFJも混ぜる
- 三菱商事だけじゃイヤ→三井物産や伊藤忠も混ぜる
- もっとセクター分散したい→機械、ゴム、保険、化学なども混ぜる
こんな感じでしょうか。武田薬品はディフェンシブな医薬セクターですが、業績・財務不安があるので、バクチ枠です(笑)
上記の銘柄はいわゆる国際優良株ですが、景気後退時にはしっかり業績が悪化し、それなりの減配もあります。特に、機械、ゴム、化学といった業種は、今回手痛いダメージを受けることが予想されています。
また、第一生命HDは4/1に利益が92%減少する旨、業績下方修正のリリースを出しています。世界的な株価下落により、金融企業は多額の減損損失を計上するリスクがあります。
(※なお、リリースを見れば分かるとおり、株主還元の原資は傷んでおらず、減配はありません。あくまで会計上の利益が減少するという話です。このあたりは簿記・会計が分からないと理解が難しいところです。)
先月も書いたとおり、景気後退の入り口にあるこの時期に、景気敏感株をあえて掴みに行く必要があるかどうか悩ましいところではあります。とはいえ、景気の底がくるのをじっと待つというのも悠長な話です。
だいたいにして、景気の底は当てられません。これらの銘柄の業績が復活する頃には、株価は上がってしまっているでしょう。
そういう意味では、長期にわたる数回のナンピンを前提に、打診買いしておくというものアリかなという感じです。一気にたくさん買うのはナシですね。私的には。
なお、今月は下記3社を「新顔」として投資候補に入れました。
- ユー・エス・エス
- プロシップ
- プラネット
この3社についてもう少し詳しく知りたい人は、下記の記事をご参照ください。
▼ユー・エス・エス
▼プロシップ
▼プラネット
配当利回りランキング(東証二部上場)
- ※エクセルオンラインのデータが表示されます
- 証券コードをクリックすると、Yahooファイナンスのページに飛びます
※1 「-」は、前月ランク外であった銘柄
※2 2017年1月以降で、月末の配当利回りが3.75%を超えていた月の数
投資候補は、1社だけです。
- 日本ケアサプライ 3.75% ※リーマンショック時も黒字
日本ケアサプライは、車いすなどの福祉用具のレンタル会社ですね。リーマンショック時にも黒字を維持した、高収益・高財務の企業です。
福祉用具のレンタルビジネスということで、今回の騒動でも業績に大きなダメージを受けることはないと思いますが…どうなるでしょうか。
※少なくとも、某アメリカの某シェール企業のように、超短期間で業績が悪化していきなり倒産するというような会社ではありません。
配当利回りランキング(東証JASDAQ上場)
- ※エクセルオンラインのデータが表示されます
- 証券コードをクリックすると、Yahooファイナンスのページに飛びます
※1 「-」は、前月ランク外であった銘柄
※2 2017年1月以降で、月末の配当利回りが3.75%を超えていた月の数
投資候補は、下記の3社です。
- センチュリー21ジャパン 4.25% ※過去9年累進配当
- 日本エス・エイチ・エル 3.82% ※2004年以来、減配なし
- 沖縄セルラー 3.78% ※19年連続増配
鉄板の高収益・好財務企業ですね。
安心して、高配当を楽しめる銘柄だと思います。
まとめ:もしこびと株メンバーが今月から高配当株投資を始めるとしたら?
ランキングの解説は以上です。
最後に、2019年7月からシリーズ化を開始した「もしこびと株メンバーが今月から高配当株ポートフォリオを作るとしたら」というモデルを出して終わりにします。
※「私たちならこうする」という事例であって、下記銘柄への投資を推奨するものではありません。株式投資には元本割れのリスクがありますので、くれぐれも自己責任でお願い致します。
30万円で今月スタートならこんな感じにします。
厳選した30銘柄に分散して、ポートフォリオ全体の利回りは4.72%。かなりの高配当です。
※ピンクマーカーのところは、ある程度の業績悪化・減配を覚悟すべき銘柄(景気敏感株)です。全体の25%ほどなので、許容範囲でしょう。
逆に言えば、残り75%は減配懸念の小さい銘柄です。増配傾向にある銘柄も多く、仮に景気敏感株が減配してもこちらがクッションになってくれるはずです。
セクター割合は、この通り。
今後は、4月末~5月上旬にかけて行われる2020年3月期の決算発表が超重要です。
- 景気敏感株は、どれほどの業績ダメージを受けたか?
- 来期の業績予測・配当金はどうなるか?
この状況を見極めながら、少しずつリスクをとって景気敏感株も入れていくイメージになるかと。メンテ方法は下記をご参照ください。
いちどオリジナルファンドを組んだ後は、個々の株価の値動きにはこだわらず
- 全体として長期的に元本を割れなければOK
- 全体として長期的に配当金を出し続ければOK
そういうイメージでやっていきます。
10年経てば、配当金だけで40~50%近い投資回収を見込めます。各社の業績が向上しており、市況が良ければ評価額も伸びるでしょう。
日本株に年利何%のリターンを期待するか…ということですが、私はトータルリターンが5%ぐらい取れれば十分だと思ってやっています。
ちなみに、上記のような買い方をするには、低コストで単元未満株投資ができるSBIネオモバイル証券がおすすめです。
もし100株ずつ購入したら、数百万円はかかります。
SBIネオモバイル証券には、大手ネット証券(楽天証券やSBI証券)にはない圧倒的なメリットがあります。
- 1株から購入できる(NTTドコモやKDDIなどの注目している企業を3,000円前後から買える)
- 月額50万円までの投資なら、サービス利用料が固定で220円(税込)かかるが、毎月ネオモバ限定Tポイントが200pt貰える
- Tポイントを使って株が買える
※大手ネット証券を使って少額分散投資をすると、手数料負けします。
※SBIネオモバイル証券を使った高配当株投資の始め方はこちらの記事をどうぞ。
日本株の優良高配当株に数百円から分散投資したいなら、SBIネオモバイル証券は良い選択肢になります。
今は、まさにバーゲンセール。2番底をつけにいく可能性もありますが、今がこの10年でもっとも高配当株を探しやすい時期だということは間違いないでしょう。
2022年9月26日、
株式会社SBIネオモバイル証券は、株式会社SBI証券と経営統合することが発表されました。
これに伴い、SBIネオモバイル証券の新規口座開設は2022年10月7日をもって受付が停止されています。
- 最大手・国内株式個人取引シェアNo.1
- 口座開設・口座維持手数料無料
- 1株から購入可能(単元未満株の売買手数料無料)
ちなみに、米国株であればHDVやSPYDといった優れたETFがあるので、これらを活用すれば個別株への投資は不要です。圧倒的にラクですね。
※米国株市場の暴落に伴い、かなり良い利回りになっています。
- 日米の高配当株を中心に、よく分散された高配当株ポートフォリオを作る
- ①追加投資、②配当金再投資、③増配でひたすら配当金を増やし続ける
こうすることで、誰でも月10万円ぐらいの配当金は作れる可能性があるんじゃないかなと思っています。
月10万円あれば、
- 水道光熱費が払える
- 家賃が払える
- 通信費(スマホ代など)が払える
- 保険料が払える
といった感じで、独身なら固定費のほとんどを賄えるでしょう。
ちょっと働けば生きていける水準ですから、セミリタイアも視野に入ると思います。
あるいは、月10万円の配当金を趣味に使えば、相当遊び倒せるでしょう。サラリーマンのお小遣いの平均は3~4万円ぐらいですからね。
全部使っても老後は安泰ってのは良いですよね。
いずれにせよ、配当金は人生の選択肢を増やしてくれます。コツコツと配当金を増やして、生活を豊かにしていきたいですね。
それではまたっ!
Follow @kobito_kabu