こんにちは、こびと株(@kobito_kabu)です。
この記事では、サラリーマンという働き方の
- リスクとリターンについて
- リスク・リターンのバランスを壊す「長時間労働」について
考えてみたいと思います。
サラリーマンという働き方の特徴
サラリーマンは「組織の歯車」
サラリーマンという働き方は、「組織の歯車」という言葉が一番ピンとくるところかなと思います。
- 1つぐらい歯車に不備があっても組織全体としては回るし
- もし壊れたら交換すれば済むし
- ただの歯車なので、当然、機械(組織)が生み出した果実にはありつけません
サラリーマンの働き方を象徴するエピソード
私の元同僚に、「スーパー経理マン」と呼ばれた40代のプレイングマネージャーがいました。
職場みんなは
と言っていました。
でも、実際に、彼が異動になってみると、全くそんなことはありませんでした。
彼が異動した後も、まるで何事もなかったかのように組織は回ってしまったのです。
彼が「ま、サラリーマンなんて誰がいてもいなくてもあんまり変わらないんだよ。」と自嘲的に言ってのはとても印象的でした。
さらに言えば、いかに彼がスーパーな存在と言えど所詮はサラリーマン。
給料自体も、同年代のやる気のないサラリーマン達と大して変わりません。
サラリーマンのリスクとリターン
上記の通り、
- 承認欲求が満たされにくい(自分の貢献具合が分からない、自分の存在意義に疑問)
- おいしいところにはありつけない
という「所詮歯車」なところは、サラリーマンの大きなデメリットと言えます。
しかし、裏を返せば「歯車に過ぎない」ことはメリットでもあります。
なぜなら、自分の役割さえ最低限こなしていれば、特段大きな貢献をしなくとも給料・身分保障という安定が得られるからです。
サラリーマンのリターン
サラリーマンに「貢献に対する莫大な見返り」は無い
「所詮は歯車」なサラリーマンは、いくら組織に貢献しても、莫大なリターンを得ることはできません。
機械(組織)そのものの管理人である経営陣に対しては、
- 高額な役員報酬
- 多額の役員退職金
- ストックオプションなどの+αのインセンティブ
などが用意されていますが、彼らは歯車ではないので当然の待遇です。
※現在の法制では、1億円以上の役員報酬を得ている上場企業の役員は、その事実を有価証券報告書へ記載して開示する義務があります。高額報酬を受け取っている役員の会社名・氏名はオープンになっているということですね。
強すぎる責任感はサラリーマンには合わない
一般に、日本のサラリーマンは役職や給与の範囲を超える「(都合の良い)責任感」を押しつけられてしまいがちです。
でも、責任に見合う報酬を受け取れない歯車がそこまで頑張る必要があるのかは、”仕組的には”疑問です。
※チームワークや達成感といった、金銭以外の価値観ではまた別な意見もあると思います
もしそんなに頑張りたいのなら、サラリーマンを辞めて「やればやるだけリターンがある」ポジションに行く方が経済的には筋が通っていますよね。
「成果は私に!」というガッツのある人は、独立・起業して世界を目指せばいいということです。
会社組織というのは、
- 大発明をした研究者(会社員)に対する報奨金は、金一封程度
- その会社の役員や株主には、莫大な利益が転がりこむ
そういう仕組みです(有名な裁判がありましたね)。
サラリーマンのリターン
歯車の仕事は、決められた時間内に決められた役割を果たすこと。
その見返りは「安定」です。
※繰り返し強調しておきますが、あくまで「経済的には」です。一方、今の時代のサラリーマンは経済的にすら安定していないという厳しいご意見もあります…
サラリーマンのリスク
サラリーマンという「歯車」が故障するパターン
さて、機械が故障する原因について例をあげてみます。
歯車が不調をきたして機械が動かなくなるのは
- 歯車を回しすぎ(長時間労働の問題)
- 近くの歯車とのかみ合わせが悪い(職場の人間関係)
- そもそも歯車をはめる場所が違う(人材配置の問題)
- 機械自体の設計がおかしくて未稼働歯車が錆びた(組織設計の問題)
このような問題は、基本的には管理サイドの問題・責任です。
サラリーマンのリスク
一義的には、機械の故障は歯車の責任ではありません。
機械の故障について、自己修復を求められているとしたらそれは異常な状態と言わざるを得ないでしょう。
しかし、事実上それを要求されている人も多いのではないでしょうか。
このあたりが
- 年功序列
- 終身雇用
- 家族経営的
このような特徴を持つ日本企業に勤める会社員が抱えるリスクの1つなのかもしれませんね。
サラリーマンのリスク・リターンのバランスを崩壊させる長時間労働
長時間労働はリスク・リターンのバランスがおかしい
- 役割・責任以上の仕事
- 故障の自己修復
これらを行うためには通常の労働時間では足りません。必然的に長時間労働が発生することになります。
そして、この長時間労働というものは、極論を言えば見返りのないものに人生を捧げる行為です。
信じられないぐらい多くの、そして致命的なデメリットがあります。
- 家族と過ごす時間が減る
- 成長のための勉強時間を確保できない
- 生産性が下がり続ける
- いつか体調を壊し働けなくなる etc…
これらの重大なリスクに対して得られるリターンが残業代というわけです。
リターンのないリスクをとるサラリーマン
根本的な仕組みとして
- 会社が利益をあげればあげるほど、見返りがある→経営陣や資金提供者(株主や債権者)
- 契約上の義務さえ履行すれば、結果に関わらずフィーを得られる→労働者
です。
「自分は会社経営に対してどれだけリスクを負っているか?」
「その見返りとしてどれだけリターンを得られる立場にいるのか?」
ここを勘違いして、リターンのないところに人生を投入するのはバランス感に欠ける気がします。
最優先すべきなのは、企業との労働契約に基づく義務を履行すること。
それさえ守っていれば、サラリーマンの特権とも言える給料・身分保障が得られます。この安定こそがリターンそのものなのです。
逆に、経営陣や資金提供者(株主など)には給料・身分保障がありません。
まとめ:意味のある労働だけに注力!
サラリーマンの特権ともいえる給料・身分保障は、労働契約上の義務を履行している限りは守られます。
給料・身分保障という大きなメリットがある一方で、そのリターンは大きく抑えられています。
サラリーマンは「やればやっただけ見返りがある」立場にいるわけではありません。
スポーツ選手が結ぶ出来高契約のような契約ではないですから、長時間労働をしたところで得られるものはちょっとした残業代だけです。
長時間労働による
- 家族と過ごす時間が減る
- 成長のための勉強時間を確保できない
- 生産性が下がり続ける
- いつか体調を壊し働けなくなるetc…
といった新たなリスクの引き受けに対して、リターンは極端に低いのです。
不要な長時間労働などせずとも、サラリーマンとしてのメリットは既に受けられていることを自覚すべきだと思います。
※そして、こういった「生活残業」は企業の側から見てもデメリットしかありません。社員の生産性がひたすら低下していってしまうからですね。ムダな残業はlose-loseの関係を築きます
不要な長時間労働は、せっかく均衡しているリスク・リターンのバランスを崩壊させる行為です。
リスク・リターンのバランスを考えなければならないのは、金銭の投資だけではないということですね。
不利な取引を強いられることなく、自分らしい生活が送れるように頑張っていきましょう。
それではまたっ!
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