こんにちは、こびと株(@kobito_kabu)です。
よくこんな質問を頂くので、この記事でお答えしようと思います。
目次
一般論としては、USCPAは転職市場で評価される資格
一般論としては、USCPAは評価される資格です。
この記事に書いた通り、USCPAの難易度は決して低くありません。
- 4科目すべての合格率は20%~30%程度と予想され(各科目の合格率は40~50%)
- 学歴審査があり(会計単位やビジネス単位の認定が必要)
- 総額約100万円のコストをかけ、1,000時間近くの学習が必要
こんな資格です。
仕事に対する意識の高さや、ポテンシャルの高さを証明できる資格であることは間違いありません。
実際、USCPAを取得して外資への転職を成功させた先輩もいます。
とはいえ、これはあくまで一般論。
あなたがUSCPAを取った場合に、転職できるか?できないか?は分かりません。
ネットの中には答えは無いのです。
USCPAをとったら転職できる?できない?が分からない5つの理由
転職できるかできないか、分からない理由はこれです。
- 職歴が分からないから
- 学歴が分からないから
- 語学力が分からないから
- 年齢が分からないから
- 転職タイミングでの景気が分からないから
順番に見ていきます。
理由①:職歴が分からないから
まず、職歴が分かりません。
- 一貫して経理/財務の仕事をしてきたのか?
- 経理/財務のどのような分野で実務経験があるのか?
財務会計か?税務会計か?管理会計か? - 営業や人事など、様々な部署を渡り歩いてきたのか?
- 外資系企業での勤務経験があるのか?
日本企業オンリーなのか?
日本企業で10年間営業をやってきた人と、外資系企業で経理をやっていた人とでは、USCPA資格とのシナジーが全く異なります。
詳しい職歴を見ないことには、USCPAの取得によって転職が成功しそうか、失敗しそうかは分かりません。
そして、職歴というのは2人として同じ人がいない個別性の高いものです。
理由②:学歴が分からないから
次に、学歴が分かりません。
- 中卒なのか?高卒なのか?大卒なのか?
- 3流大学卒なのか?2流大学卒なのか?1流大学卒なのか?
- 日本の大学なのか?海外の大学なのか?留学経験はあるのか?
- 学士なのか?修士なのか?博士なのか?
一般に、日本も米国も学歴社会です。
※意外かもしれませんが、米国においてはよりその傾向が顕著です。高学歴であればあるほど有利です。
- 中卒のUSCPA
- ファイナンス修士のUSCPA
転職市場で価値が高いのは間違いなく後者です。
理由③:語学力が分からないから
語学力も分かりません。
これも意外なことかもしれませんが、USCPA合格者の語学力にはかなり差があります。
読めるけど喋れないという人は結構見かけますし、そういう人たちの話も聞きます(監査法人の知り合いから)
言うまでもないですが、英語の読み書き会話ができないUSCPAというのは、あまり評価されません。
ある程度英語が使えるのは前提として、問題はそれがどのレベルかということです。
- 日常会話レベルなのか?
- ビジネスレベルなのか?
- ネイティブレベルなのか?
外資系の大手転職サイト「キャリアクロス」を眺めれば、語学力が年収水準に関係していることはすぐに分かるでしょう。
理由④:年齢が分からないから
年齢も分かりません。
一般に、若ければ若いほど選択肢は広いです(もしくは、一定の年齢に達する前にマネジメント経験をしているとかなり有利になります。)
- 25歳 USCPA(経理経験なし)
- 30歳 USCPA(経理経験なし)
- 35歳 USCPA(経理歴10年/マネジメント経験あり)
- 40歳 USCPA(経理歴15年/マネジメント経験なし)
誰の市場評価が高そうですか?
②は①に勝てないでしょう。
④が③に勝つのも難しいですね。
残念ながら「手遅れ」の年齢でUSCPAを目指している人もいます。
自己啓発のための努力としてはまったく否定しませんし、むしろ経理マンとしては非常に立派な姿勢だと思います。
しかし、USCPA受験を「投資」だと考えた場合、金銭的リターンが得られないケースがあるのも事実です。
理由⑤:転職タイミングでの景気が分からないから
最後はこれです。USCPAに合格して転職するタイミングでの景気が分かりません。
米国におけるエンロン事件やワールドコム事件をきっかけに、内部統制というルールが整備されることになりました。
日本には2008年から運用が開始されています。
この時はUSCPAは特需状態になったと言われています。監査法人の人手が圧倒的に足りなくなったからです。日本の会計士だけでは採用が間に合わなかったのです。
USCPAというだけでBig4のような大手監査法人にバンバン採用されたと言います。
実際、私も勤め先で、「USCPA」という肩書を持った会計士が何人も監査に来ているのを目撃しました。
このように、景気さえ良ければ職歴・学歴・年齢に多少目をつむって貰える可能性があります。
一方、景気が悪ければスペックが高くても転職は厳しい可能性があります。募集自体が少ないからです。
まとめ:いくらネットで情報を探しても、USCPA資格で「あなたが転職できるか、できないか」は分からない
結局、USCPAがあなたにとって転職を成功させる資格になるかどうかは、次の5つの理由から分かりません。
- 職歴が分からないから
- 学歴が分からないから
- 語学力が分からないから
- 年齢が分からないから
- 転職タイミングでの景気が分からないから
もし、あなたが
- 一流企業での経理/財務の経験があって
- 慶応や早稲田のMBA(経営学修士)を取っていて
- ネイティブ並みの語学力があり
- 年齢が30代前半以下で
- 景気が良ければ
USCPAを取得して、転職が失敗する可能性は低いでしょう。
外資系企業のマネージャーポジションも狙えるし、CFO候補にもなれると思います。
どれかには自信があっても、どれかには自信がない。
こういう状態が普通です。
では、自分にとってUSCPAが転職に有利になる資格かどうかは、どうやって調べれば良いのか?
答えはどこにあるのか?
それについてお答えしたいと思います。
USCPAで転職できるかできないか、答えはリアルな転職マーケットの中に
- USCPAが転職を成功させてくれるのか
- USCPAをとっても転職は失敗に終わるのか
答えは、リアルな転職マーケットの中にあります。
自分にとってのUSCPAの価値を測る一番効果的な方法は、いますぐに転職活動をしてみることです。
USCPAの取得には
- 100万円以上のコスト
- 1000時間以上の時間が
かかります。だから、見切り発車はおすすめできません。
なんなら、転職エージェントと面談するだけ(30~60分)でも、かなりの情報がつかめるでしょう。
- 転職が微妙そうなら、今の職場に留まれば良い=ノーリスク
- 待遇の良い会社に転職できるなら、USCPAを取るより転職すれば良い=ハイリターン
- 「USCPAがあればイケたのに…!」という案件があったなら、USCPA合格を目指せば良い
意外に単純な話です。
重要なのは③。こういう実感が得られた人は、自身のキャリアのなかで、USCPAというパーツが意味を持つということです。
転職活動をすると、これだけのことが分かる
実際に転職活動をしてみると、分かることがたくさんあります。
- 自分の年収相場(=市場価値)
- 募集の多い業界・業種
- 募集の多い職種(財務会計?税務会計?管理会計?)
- 書類選考通過率/面接通過率
- 自分の経歴のなかで評価されるところ、評価されないところ
- 現在の景気の良さ・悪さ
仕事ができようができまいが、自然に給料が上がっていくからです。
同じ会社内で、出来る人が出来ない人の倍の給料を貰うことはありません。(基本的に、仕事が出来ない人の方がトクをする仕組みです。)
年収を上げたければ、年収水準の高い会社に移る必要があります。
自分の身を会社だけではなく「マーケット」において、常に自分の市場価値をチェックするのが賢い経理マンの姿です。
転職活動を通じて
- USCPAがないから書類選考に通らなかった…
- USCPAがないから面接に通らなかった…
- USCPAがないから応募できる案件が少なかった…(監査法人の応募とか)
という思いをすればするほど、あなたにとってのUSCPAの価値は高いということです。
身近にいる「USCPAにチャレンジして失敗している人」はこんな人
「USCPAをとれば(自分が)転職できる」という思い込みで見切り発車した人達です。
- USCPA合格と自分の職歴に、あまりシナジーがなくて失敗
- 自分の年齢でUSCPAを取ったが、すでに転職適齢期を過ぎていて失敗
言葉は悪いですが、いずれも行動力のない人たちです。
- セミナーに参加して、講師や受講者のリアルな姿を見たり
- 転職サイトに登録して転職エージェントに話を聞いてみたり
- USCPA合格者・外資系勤務の経理マンにヒアリングしてみたり
そういうふうに、「自分の足で」情報をとらなかった人たちです。
上記で説明してきたように、USCPAがあなたにとって役に立つ資格かどうか、答えはネットの中にはありません。
必ず、自分の足でリアルな情報を集めて下さい。
情報収集源について
- スクール
- 転職エージェント
これら2つについて、オススメを紹介しておきます。
USCPAのスクールのなかで、一番おすすめなのはアビタスです。
合格者実績No1なだけあって、評判も良いですし、身近にもアビタスを利用してUSCPAに合格した人が何人もいます。
資料請求すれば、試験の概要・資格の魅力・受験費用など、必要な情報が過不足なく手に入ります。
セミナーに参加すると、USCPA攻略本(定価1,080円)がタダで貰えてお得なのでおすすめです。リアルに色々聞けますしね。
プロアクティブやTAC、大原など、他のスクールにも興味がある人はこちらの記事を参考にして下さい。
転職エージェントは、「JACリクルートメント」が良いでしょう。
- ハイクラス向け
- 専門職向け
- 即戦力向け
- 外資系企業
の求人に強いエージェントなので、USCPAを取った場合の話をきくにはピッタリです。
色々な職種の転職サポートをしていますが、管理部門の転職サポート専門の部署の人が担当してくれるので、経理業務についてもしっかり話が通じます。
もちろん登録・相談には1円もかかりませんので、話してみて損はありません。USCPA取得に向けて大きな投資を始める前に、必ず情報収集をしてみて下さい。
7社の転職エージェントの利用経験がありますが、JACリクルートメントは安心しておすすめできます。
セカンドオピニオンが欲しい慎重派の人は、「MS-Japan」にも登録しておきましょう。
管理部門に特化した転職エージェントなので、経理についても詳細な情報を集めています。
USCPA資格があなたにとってどれくらい価値を持ちそうか、ストレートに相談してみても良いと思います。
まとめ:「自分が」USCPAで転職できるかできないかは、転職活動をしてみないと分からない
USCPAを取得する前に転職活動するなんて!
と思うかもしれませんが、これが一番リスクの低い確実な戦い方です。
リアルな転職マーケットの中にしか、答えはありません。
勝手な思い込みで行動することが一番ハイリスクです。
転職活動を通じて、自分の価値観も固まってきますしね。
- 結局、自分は何がやりたいのか?
- 重視しているのは年収か?ステータスか?仕事内容か?
- どのようなキャリアを積んでいって、最後はどうなりたいのか?
こういうのは、実際に動いてみないと分かりません。
行動力 is 正義です。
それではまたっ!
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