こんにちは、こびと株(@kobito_kabu)です。
ある書籍の序文で、こんな文章を目にしました。
アメリカやヨーロッパ、日本などゆたかな先進国に生まれた幸運を活かすならば、誰でも億万長者になれる
(出典:1億円貯める方法をお金持ち1371人に聞きました)
誰でもなれるそうです。
どうやって?という質問には、実にシンプルに回答することができます。
目次
現実的に1億円貯める方法に関する3つの違和感
現実的に1億円貯める方法はこうだそうです。
- 生涯賃金3億円の2人が共働きして(総額6億円)
- そのうち10~15%を貯蓄する
- 貯蓄だけで6,000~9,000万円になるので、年率3%程度で運用すれば1億円超え
※これは名著「隣の億万長者」にも書いてあるような内容ですね。
- 生涯賃金3億円2人の共働きについて→無理くない?
- 10~15%の貯蓄率について→足りなくない?
- 年率3%の運用について→インフレ率考慮しましょう
順番に見ていきましょう。
①生涯賃金3億円2人の共働きについて→無理くない?
この想定が現実的かどうか、下記のデータを見ていきましょう。
- 生涯未婚率
- 生涯賃金
まず生涯未婚率について。
生涯未婚率は、増加の一途を辿っています。
国勢調査によれば、男性の生涯未婚率は1985年3.9%から2020年25.7%へ6.5倍、女性は4.3%から14.9%へ3.5倍になったことがわかった。
現在は、男性の4人に1人は結婚しません。
政府の社会保障・人口問題研究所による将来推計によると、今後2040年には29.5%(ほぼ3割)の水準に達することが予測されています。
女性の場合も、2040年には18.7%(2割弱)が生涯未婚と予測されています。
次に生涯賃金について。
独立行政法人労働政策研究・研修機構が2017年に発表したユースフル労働統計によると、2015年の大卒・大学院卒の生涯賃金は男性で2億7,000万円、女性で2億1,670万円とあります。
- 男性:2億7,000万円
- 女性:2億1,670万円
ちなみに、退職金と雇用延長に伴う収入を含めると、男性は3億2,000万円ほどになるそうです。
※この手の統計は割と種類があって、どれが信頼に足るものなのかイマイチ分からないというのが正直なところ。
日本では、女性は出産などで一度キャリアを離れてしまうと一気に待遇が悪くなってしまいます(最近は多少改善されつつあるようですが)。
退職金と雇用延長を含めた生涯賃金が3億2,000万円というなかで、男女ともに3億円稼ぐというのは「上位〇%」の世界という感じがします。
誰でも億万長者というのはピンとこないですね。
- 男性2.2億円(平均年収500万円×40年+退職金)
- 女性1.2億円(平均年収300万×40年)※総合職で就職後退職、パート転向、再就職など
このぐらいの方がまだ現実的だと思うんですが…
それに、仮に夫婦二人で1億円の財産を作れたとしても、それは夫婦共有の財産です。
つまり、1人あたりの資産はあくまでも5,000万円。
- 夫は、妻分の財産を自分のものだと思っている
- 妻は、夫分の財産を自分のものだと思っている
お互いが心の底でこういうことを感じていれば、気持ち的には「私の資産は1億円」になるわけですが、いざそれを全額自分のために使う段になったら、そんなことはお互いが納得しないでしょう。
②10~15%の貯蓄率について→足りなくない?
私の職業である「経理・財務」は、女性が多い職場です。
共働き家庭も多いのですが、
- 別に1億円貯めたいからというわけではなく
- 家計を支え、子供をしっかり育てるため
に頑張っている人がほとんどです。
子育てが終わったら、夫婦2人の老後が待っています。共働き家庭で高い貯蓄率を記録できたとしても
- それは子供の教育費のためであったり
- 自分たちの老後生活のためであったり
要するに「世帯人数が多いから」そのために用意しているお金であるということです。
そして、「誰でも現実的に億万長者になる方法」の致命的な欠陥は、税金が考慮されていないことですね。
6億円カップルの収入から、ざっくり25%の税金・社会保険料が控除されるとすると、
- 6億円カップル生涯賃金:6億円
- 6億円カップル生涯賃金:4.5億円
ここまで目減りします。収入の10~15%を貯蓄しても4,500万円~6,750万円です。
③年率3%の運用について→インフレ率考慮しましょう
気をつけたいのは「誰でも現実的に億万長者になる方法」ではインフレ率が考慮されていないことです。
見かけの利率が3%でも、インフレ率が3%だったら実態はトントンです。
- 1億もってればOK!
という単純な話ではありません。
ハイパーインフレで道路に紙幣がゴミのように転がっているような状況を見れば、インフレ率を考慮しない運用利回りは意味を持たないことが分かるでしょう。
まとめ:誰でも現実的に1億円貯める方法が、現実的に感じられなかった
- 生涯賃金6億円のカップルってそんなにたくさんいる?
- 税金考慮すると、収入もしくは貯蓄率が足りなさそう
- インフレ率を考慮すると、運用も結構リスクとる必要がありそう
じゃあ「現実的な案」を出してみて!と言われそうなのでざっくり書いてみます。(これも割と適当なイメージですが)
- 共働きで生涯賃金4億円カップルで
- 手取りは3億2,000万円(税率・社会保険料20%)
- 子供はひとり
- 貯蓄率は50%
- 生活費(教育費込み)は年間400万円(40年で1億6,000万円)
- 運用利回りはインフレ率+1~2%
これなら2人で2億円、つまり1人1億円残せそうですね。そうとうトガった家計ですw
あれ、やっぱり現実的じゃないですかねw
個人的には
- 共働きと独身では、蓄財のしやすさは一長一短だと思います(共働きの場合は配偶者の金銭感覚が重要)
- 1億円という数字にこだわらず、年間生活費×20年分を目指すとかの方が意味のある数字に感じます
- 倹約と資産運用は必須だけど、それだけでお金持ちになるのはやっぱり大変
- 上場株式だけではなくて、他のものにも投資が必要(自己投資、事業投資)
だと思います。
それではまたっ!
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