こんな疑問にお答えします。
ちなみに私は、大学卒業後、一部上場企業の経理/財務部員として採用され10年以上実務に携わっている現役経理マンです。
職場の同僚、同業他社の経理マン、会計事務所や監査法人の知人などが多く、会計業界の情報に詳しいです。
というわけで、この記事を読めばこんなことが分かります。
- 簿記1級が持つ一番の価値
- 簿記1級の価値を活かせないパターン
- 簿記1級を取得する5つのメリット
それでは、見ていきましょう!
目次
簿記1級の概要
簿記1級と言えば、一般には「日商簿記1級」を指します。この検定試験を主催する商工会議所は、日商簿記1級を「極めて高度」な会計スキルと位置づけています。
公認会計士、税理士などの国家資格への登竜門。合格すると税理士試験の受験資格が得られる。
極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析ができる。
大学等で専門に学ぶ者に期待するレベル。
(出典:商工会議所)
これが本当かどうかは、合格率を見ると一目瞭然です。なんとおおむね10~12%の合格率で、年間を通して合格者が1,500~2,000人程度しかいません。
ちなみに簿記2級は合格率20~40%、合格者は年間20,000~30,000人もいます。簿記1級は、まさにケタ違いの難易度です。
ちなみに、簿記1級に受かっていると税理士試験の会計科目は8割ほど学習済になっています。税理士試験の会計科目より、簿記1級の方が難しいなんて話もあるぐらいです。
もはや、ただの検定試験とは言えないレベルの難易度なのです。この難易度の高さ・希少性こそが簿記1級の価値の源というわけです。
それでは、簿記1級の価値について見ていきましょう。
簿記1級が持つ一番の価値【生涯賃金に影響!】
就職や転職に役に立ちます。
これが簿記1級を取得する一番の価値です。要するに、生涯賃金にプラスにはたらく可能性が高いということです。
世の中にはたくさんの資格があります。
- 公認会計士・税理士のように、給料に大きく関係する資格
- 給料にはあまり関係しないけれど知っておくと役に立つ、自己啓発の資格
簿記1級は専門性が高い資格であり、①に近いといえます。
大学生なら就職に役立つ!上場企業へのパスポートになりうる
うちの職場には、毎年1~3名の新入社員が入ってきます。彼らは基本的には「簿記1級ホルダー」です。
- 人事部がおこなう1次面接
- 経理部がおこなう2次面接
いずれの面接においても、簿記1級は非常に高く評価されています。よほどコミュニケーション能力などに問題がない限り、書類選考や序盤の面接で落ちる可能性は低いです。
- 中小企業(資本金2,000万円未満)→371万円
- 中小企業~大企業(資本金5,000万円~1億円)→411万円
- 大企業(資本金10億円以上)→590万円
参照元:国税庁「平成29年度民間給与実態統計調査」
日商簿記1級レベルの知識があると「大企業の経理」が務まります。経理/財務以外に、企画部門での採用も十分にありえるでしょう。
大企業に入社できる可能性が高まる資格、それが簿記1級です。
ビジネスマンなら異動や転職に役立つ!キャリアチェンジの武器に
日商簿記1級は、転職市場でも十分に評価される資格です。この先輩社員のように
- 転職時の年齢が20代
- 職歴が経理関係
ということになると、中小企業から大企業へのステップアップも十分に狙えます。
彼曰く、簿記1級に合格して転職に成功したことで生涯賃金が数千万円アップしたんじゃないかということでした。
この先輩社員の他に、営業出身者で簿記1級を取得して異動してきた人がいます。彼は営業のノルマ・不規則な生活に嫌気がさして、内勤への異動を希望していました。
大学生の頃に少し簿記をかじったことがあったようで、簿記の勉強自体は苦痛なくできたようです。簿記1級合格→異動希望を出し続けて、最終的には内勤部門へ異動することができました。
簿記1級は、転職・異動にも力を発揮する資格です。
会計職(企業経理/会計事務所員)なら早期昇進に繋がる可能性もある
会計/税法は毎年のように改正があります。会計に携わるビジネスマンは、常に最新の知識にアップデートしながら実務に取り組む必要があります。要は、勉強嫌いには勤まらない職種なのです。
この経理部長さんは非常に勉強熱心な方で、簿記1級だけでなく中小企業診断士などの資格も持っています。会計職は勉強熱心であることが美徳とされますから、こういう資格を持っていると昇進などの際にも考慮されます。
簿記1級レベルの知識があれば、実務の世界で「そんなことも知らないのか」と言われるようなことはまずありません。実務家として十分な知識を持っているとみなされます。
簿記1級は、昇進にも考慮されるような有用性のある資格です。
要注意!簿記1級の価値を活かせないパターン
上記で見てきたように、簿記1級は年収にダイレクトに関係するような資格です。
- 大学生にとっては大企業へのパスポートへなりうる
- 転職で評価される可能性が高い
- 昇進にも関係する
ところが、このような資格にもかかわらず「簿記1級なんて意味がない、価値がない」という人が一定数必ずいます。これはどういうことなのでしょうか?
簡単にまとめると、こういうことです。
- 資格さえ取れば、なにもかもなんとかなると思っている
- すでに年齢が高い(30代後半~)
- 過去の職歴とのシナジーがない
資格さえ取れば、資格の力だけで全てがなんとかなると思っている人が必ずいます。ところが、実務の世界ではコミュニケーション能力やリーダーシップ、積極性などさまざまな特性が求められます。
簿記1級はあくまで求められるスキルの1つに過ぎないので、他のスキルが平均点未満ならもちろん評価は高くなりません(この場合、低いのは簿記1級の評価ではなく、その人そのものの評価です)。
年齢が高い人もキビシイです。これは日本の労働環境の構造的な問題です。
日本企業は新卒採用主義で、転職市場が欧米ほど活発ではありません。30代後半になると人材の流動性が激減します。いくら簿記1級ホルダーでも、これを逆転するのは難しいというわけです。
また、過去の職歴とのシナジーがない人もキビシイです。30歳でいきなり簿記1級に合格しても、経理経験がゼロだと転職活動では苦戦を強いられるでしょう。
- 30歳ー簿記2級ー実務経験5年
- 30歳ー簿記1級ー実務経験ゼロ
この2人の場合、①の人の方が採用される可能性が高いです。
必ずしも経理職である必要はありません。営業で売上・予算管理していたとか、事務部門で債権管理していたとか、そういう職歴をアピールしていく必要があります。
- 簿記1級は、あくまで自分のスキル(武器)のうちの1つ
- 20代~30代前半
- 予算管理・業績報告など数字を扱う仕事をしていた
簿記1級が活きるのは、こういうケースです。
すでに30歳前後になっているビジネスマンは、簿記1級にチャレンジする前に転職エージェントなどに相談して、自分の市場価値を確認しておくことをオススメします。
簿記1級を取得する5つのメリット
簿記1級を取得するメリットはたくさんあります。順番に見ていきましょう。
メリット①:資産形成に役に立つ(年収UP、投資などに役立つ)
資産形成に役立ちます。次の3つのスキルをバランスよく伸ばすことができます。
- 稼ぐ力(年収UP)
- 守る力(家計管理)
- 殖やす力(投資)
私は大学を卒業してすぐに「経理」として今の会社に就職しました。当時の年収は400万円ほど、貯金はゼロでした。それから10年、年収は650万円・運用資産は4桁万円ほどになっています。
簿記の知識は、株式投資だけでなく、不動産投資や事業運営にも役立ちます。
お金持ちを目指す人にとっては、まさに必修科目。お金で苦労したくないのなら、学んでおいて絶対にソンはないでしょう。
メリット②:専門分野を手に入れたという達成感・自信
日商簿記1級の知識レベルは、「極めて高度」な知識レベルです。これは大げさでもなんでもありません。
私は売上高が数千億円規模の大企業で働いていますが、日商簿記1級レベルの知識があればたいていの論点には対応できます(中小企業では明らかなオーバースペック)。
- 連結会計
- 退職給付会計
- 税効果会計
- 資産除去債務
- 減損会計etc…
こういった高度な論点に対応できるのは日商簿記1級ホルダーならではです。
実務で分からないことがあっても「自分が分からないのだから、他のほとんどの人も理解できないだろう」と思って問題ありません。100人に1人どころではない知識レベルですからね。
メリット③:会計士・税理士や中小企業診断士などの士業受験に役立つ
公認会計士試験の受験科目はこのようになっています。
- 財務会計論
- 管理会計論
- 監査論
- 企業法
- 租税法
税理士試験はこんな感じです。
- 簿記論
- 財務諸表論
- 税法3科目(法人税、所得税、相続税、消費税等)
簿記1級に合格済だと、財務会計論・管理会計論、簿記論・財務諸表論の学習範囲の大半をカバーしています。公認会計士の論文式試験は別としても、税理士試験の会計科目とは難易度にあまり差がありません。
日商簿記1級を足がかりにして、会計士試験や税理士試験に進む人は多いです。「ここまできたのなら、最高峰の資格を取っておきたい!」という思いが出てくるのでしょうね。
ちなみに、中小企業診断士の試験科目にも会計科目がありますが、簿記1級の方が圧倒的に難しいです。簿記1級をとったあとで中小企業診断士にチャレンジすると、会計科目は満点が狙えるレベルの得意科目になるでしょう。
メリット④:経済ニュース・書籍の理解度が圧倒的に増す
簿記の仕組みを使っていない大企業はありません。簿記の技術を前提として企業活動を記録することを法的に求められているからです。
会計が「ビジネスの共通言語」と呼ばれることがあるのは、そういう理由です。
世の中の経済ニュース・経済本には、会計用語が頻繁に出てきます。日商簿記1級レベルの知識があれば、分からない専門用語はほとんどなくなります。
日経新聞や経済系の専門書籍の理解度が増すことは間違いありません。
メリット⑤:副業したり、独立してフリーランスになったり起業した時の経理処理が超余裕
最近は、副業解禁が話題ですよね。波にのって副業を始めた場合、事業所得として確定申告が必要になるケースがあります。
そのためには、毎月帳簿に記録をつけて、決算書を作らなくてはいけません。この作業、経理初心者にはなかなかの難易度です。
でも私たちの場合は、この作業が一瞬で済んでしまいます。経理の専門家なので当然ですね。
簿記1級レベルの知識があると、「帳簿のつけ方が分からない」ということはなくなります。自分1人の力で、たった数分~数十分で処理できるようになるのです。
簿記が分からない人は、色々なサイトや書籍を見ながら四苦八苦して、時にはお金をかけて外注したりしなくてはなりません。自分でサクッとできるのなら、時間もお金も圧倒的に節約できます。
これからは”複業”の時代です。「会社員+もう1つのビジネス」という働き方はどんどんと広がっていくでしょう。独立して自由に働き方を目指す人も確実に増えています。
こういう時、簿記は大きな力になります。
まとめ:簿記1級は価値のある資格!取る意味は大いにある!
まとめます!
日商簿記1級が持つ一番の価値は「生涯賃金がアップ」することにあります。
- 就職に役立つ
- 転職に役立つ
- 昇進に役立つ
ただし、①資格だけ取ればどうにかなると思っている人、②すでに年齢が高い人、③職歴と簿記にシナジーのない人はうまく活かすことができない可能性があります。
簿記1級レベルの知識があれば
- 資産形成に役立ちます(年収アップ・家計管理・投資)
- 専門分野を手に入れたという達成感・自信が得られます
- 会計士、税理士、中小企業診断士等の受験に役立ちます
- 経済ニュースや専門書籍の理解度が増します
- 副業・フリーランス・独立起業に役立ちます
本当にいいことだらけですね。
お金で苦労したくない人・お金が好きな人には圧倒的にオススメできる資格です。国内で受験できる資格の選択肢としてはトップレベルでおすすめです。
これだけの難易度の簿記1級、忙しい人が効率よく取得するには、資格スクール「クレアール」の利用がおすすめです。
- 試験範囲が膨大
- なのに試験時間は短め
- 科目ごとの合格最低点アリ
- 各回試験の難易度にかかわらず「7割正解」が求められる
など、若干クセのある試験なので、優良スクールのノウハウで勉強時間をグッと削減できるのです。
合格に必要な範囲だけを学習すれば、短い時間で重要論点がきっちり理解できます。クレアールのプログラムなら、
- 厳選された項目を
- 正しい理解で
学ぶことができるので、いちはやく「合格レベル」かつ「実務レベル」の知識を身に着けることができるでしょう。
※資料請求はもちろん無料。サンプル教材ももらえるので、とりあえず資料請求してみてください。
難易度についてはこちらにカンペキにまとめてあります。
基本的に独学はおすすめしません。
合格後のキャリアの描き方についてまとめています。
というわけで、以上「簿記1級は価値ある資格!5つのメリットを現役経理マンが教えます」でした!
それではまたっ!
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