【現役経理マンが教える】簿記とビジネス会計検定の4つの違い!こんな人にはこっちがおすすめ

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会計に興味がある人
会計資格について調べてたら、「簿記」と「ビジネス会計検定」っていう2つの資格があるのが分かった。何がどう違うのかな?どっちがおすすめ?

こんな疑問にお答えします。

私は、大学卒業後に一部上場企業の経理・財務部に配属され、10年以上のキャリアがある現役経理マン(@kobito_kabu)です。実務経験があるだけではなく、資格もたくさん持っています。

  • 日商簿記1級
  • ビジネス会計検定
  • 証券アナリスト
  • ファイナンシャルプランナー

この記事では、会計に興味がある方のために「簿記」と「ビジネス会計検定」の違いを解説します。

この記事を読むとこれが分かる
  1. 簿記とビジネス会計検定の4つの違い
  2. 簿記をおすすめできる人
  3. ビジネス会計検定をおすすめできる人

では、本題に入りましょう。

 

簿記とビジネス会計検定の4つの違い

サマリー

まずは結論から。一覧表で比較するとこんな感じです。

  1. 学習目的
  2. 知名度
  3. 難易度
  4. 教材費(受験費含む)

この4つの視点から、違いを見ていきましょう。

 

違い①学習目的

まず、学習目的が違います。

簿記とビジネス会計検定の学習目的は下記の通り。

学習目的の違い
  • 簿記:財務諸表を作成する技術を学ぶ
  • ビジネス会計検定:財務諸表を分析する技術を学ぶ

この2つの検定では、いずれも財務諸表に関する知識を学びます。

財務諸表というのは、企業の経営成績財政状態を表した一覧表のことです。

  • 経営成績…1年間で会社がどれだけの売上・利益をあげたのか
  • 財政状態…会社にいくらの資産があって、いくらの負債があるのか

財務諸表には、たくさんの利用者がいます。こんな感じですね。

  • 会社の経営者は、財務諸表を見ることで、経営がうまくいっているかどうかを判断
  • 取引先の銀行は、財務諸表を見ることで、その企業にお金を貸しても良いかどうか判断
  • 投資家は、財務諸表を見ることで、その会社の株式を買う(=投資する)かどうか判断

こうやって大勢の役に立つ財務諸表を作成するために必須の技術が、簿記という技術です。

簿記では財務諸表を作成するところまでしか学びません。どう分析するのかを知りたければ、ビジネス会計検定の学習範囲までカバーする必要があるということです。


(出典:TAC「ビジネス会計検定試験®対策講座」

テレビの作り方を知らなくてもテレビが見れるように、財務諸表の作り方を知らなくても財務諸表を分析することはできます(もちろん、作り方まで知っていた方が理解は深まります)。

目的に合わせて、興味のある方を学んでOKということです。

こびと株.com管理人
作り方を学びたければ簿記、分析の仕方を学びたければビジネス会計検定!

 

違い②知名度

次に、知名度についてです。

これは、圧倒的に簿記の方が有名です。ビジネス会計検定はマイナー資格です。受験者数の違いはこの通り。

受験者数の違い
  • 簿記3級…年間約30万人
  • 簿記2級…年間約20万人
  • ビジネス会計検定3級…年間約9,000人
  • ビジネス会計検定2級…年間約5,000人

なぜこれだけ簿記の受験者数が多いかと言うと、それだけ知名度があって役に立つからです。

  • 商業高校や、大学の商学部・経済学部では単位になる
  • ビジネスマンとして仕事をするうえで役に立つ
  • 就職活動や転職活動の際にも役に立つ

一方、ビジネス会計検定の方は、あまり人に知られている資格ではありません。資格が役に立つというよりは、学ぶ知識そのものが役に立つと考えてください。

コラム:アメリカの管理職層は数字に強い

アメリカは、超学歴社会です。

年齢・性別・人種などの要素で人を判断すると、差別主義者扱いされかねませんが、学歴で評価することは公正・公平だからです。

アメリカで高等教育を受けたビジネスマンは、MBAなどを取得する過程で必ず会計学や統計学といった数字に関する学問を学びます。だから、管理職層は当たり前のように数字に強いのです。

弊社の営業部課長が昔アメリカに海外出張した際、取引先のコントローラーに「こんな数字も分からないのか」と叱責されたという話をしていましたが、日本の管理職層の会計レベルは、そんなものです。

実は、アメリカで学ぶ会計学というのは「ビジネス会計検定」寄りです。作成技術より、分析技術に重点が置かれています

現時点では受験者数に圧倒的な差がありますが、受験者数が伸びているのはビジネス会計検定の方です。簿記は停滞気味。

10年前の受験者数はこんな感じ。

  • 簿記3級…約35万人(現在は約15%減少して30万人)
  • ビジネス会計検定3級…約3,000人(現在は3倍増の9,000人)

時間はかかるかもしれませんが、この知名度の差はどんどん縮まるかもしれませんね。

 

違い③難易度

お次に、難易度の違いです。

資格試験の難易度というのは、基本的にこの3つの要素で測れます。

難易度を測る3つの要素
  1. 受験資格
  2. 合格率
  3. 勉強時間

例えば、弁護士になろうと思ったら、

  • 数百万円の学費を払って法科大学院を卒業し、受験資格を得る
  • 合格率約20%の難関試験に挑み
  • トータルでは5,000~8,000時間もの勉強をする必要があります

文句なしの高難度資格ですね。

 

一方、簿記やビジネス会計検定では、受験資格はありません。年齢や学歴などは関係ありません。3級を飛ばして、いきなり2級や1級から受けることも可能です。

合格率はこんな感じです。

  • 簿記3級…約40%
  • 簿記2級…約20%
  • ビジネス会計検定3級…約60%
  • ビジネス会計検定2級…約40%

ビジネス会計検定の方が受かりやすいですね。

※最近、特に簿記2級は難しくなっています。直近3回の合格率は15%程度で、国家試験である宅建などと変わらない合格率です。ちょっと難しくなりすぎですね。

勉強時間は概ねこのぐらいです。

  • 簿記3級…約50~100時間
  • 簿記2級…約150~300時間
  • ビジネス会計検定3級…約30~100時間
  • ビジネス会計検定2級…約50~150時間

総じて、簿記の方が若干学習に時間がかかるイメージです。とはいえ、資格試験の合格までに必要な学習時間はかなり個人差があります。

ざっくり、1~4カ月ぐらい勉強すれば受かりますね。

  • 過去に会計を学んだことがあるか?(学校の授業や、ビジネス書籍など)
  • 独学か?スクール利用か?
  • テスト勉強が得意か?

あくまで参考程度にとどめて頂ければと。

 

受験資格、合格率、勉強時間をふまえたうえで、試験難易度を判定すると

  • やれば誰でも受かる

試験だと言えます。努力が無駄にならない、報われやすい試験です。

こびと株.com管理人
落ち続けて試験地獄にハマる、というリスクは低いのでご安心を!

 

違い④学習コスト(教材費+受験費)

最後に、学習コストの違いです。

結論から言うと、学習コストにはあまり大きな差はありません。同じ級なら、簿記もビジネス会計検定も、コストはほとんど変わりません。

教材費はこんなイメージです。

  • 3級試験…テキスト+問題集+過去問…約4,000円程度
  • 2級試験…テキスト2冊+問題集2冊+過去問…約7,000円程度

スクールを使うと、3級は1万円、2級だと3万円ぐらいが目安です。

※スクールを使うと、合格率は+20~30%ぐらい底上げできます。コスパはかなりいいです。

受検費は下記の通り。

  • 簿記3級…約3,000円
  • 簿記2級…約5,000円
  • ビジネス会計検定3級…約4,000円
  • ビジネス会計検定2級…約6,000円

安いですね。3級を独学でやるのなら、1万円もあれば足りてしまいます

たったこれだけのコストで一生モノのお金の知識が身につくなら安いものですね。私の場合、会計知識だけで何千万も稼いでいますから、本当に勉強して良かったと思っています。

 

結論!簿記とビジネス会計検定、どっちがおすすめ?

簿記とビジネス会計検定どちらがおすすめか?という話題にも触れておきましょう。

 

こんな人には簿記をおすすめ

簿記は、こんな人におすすめです。

こんな人におすすめ
  1. 財務・経理の仕事がしたい人
  2. ちゃんと数字を扱えるフリーランス・自営業者になりたい人

仕事として「経理・財務」の職に就きたいのなら簿記は必須です。2級まで持っていれば、就職・転職で十分にチャンスがあります。

今は経理人材が不足しており市況が良いので、20代・簿記2級・経理未経験ぐらいでも全然チャンスがあります。しかも上場企業で。

また、フリーランスとしてやっていく際にも、簿記の知識はあって困るものではありません。会計知識の有無と廃業率には相関関係があるというデータもあります。

基本的な帳簿づけから、財務諸表の作成。今後の資金繰り分析や事業計画の立案の際にも、きっと役に立つはずです。

こびと株.com管理人
会計知識はまさに実学。趣味としてではなく、実務で活きます

 

こんな人にはビジネス会計検定をおすすめ

ビジネス会計検定は、こんな人におすすめです。

こんな人におすすめ
  1. 数字の分かる管理職層になりたい人
  2. 就職活動で、就職先の財務状態を知りたい人
  3. 個別株への株式投資で資産運用したい人

高度経済成長期のように「作れば売れる」時代ではありません。日本企業は、どこも収益改善に必死になっています。

このような環境では、マネージャーや部長などの中間管理職から、取締役などの経営層にいたるまで、数字を扱う知識が必ず要求されます。昇進してからこういう知識を身に着けるのは大変です。

ポジションをあげていく過程で、ちゃんと身に着けておきたい素養ということです。昇進意欲のあるビジネスマンにとっては、必ずどこかで生きてくる知識です。

 

就職活動をする際にも役に立ちます。書類選考や面接で有利になる可能性は低いですが、何より自分の勤務先の財政状態を確認できることのメリットは計り知れません。

私がホワイト企業を選べたのも、財務諸表が読めたからです。もしノリと勢いで会社を選んでいたら、今のような生活はできていないでしょう。

 

また、ビジネス会計検定の知識は資産運用でも役に立つ可能性があります。日経平均やトピックスのような指数にまるっと投資するのではなく、個企業への投資を考える場合、やはり財務諸表は読めた方がベターです。

※こびと株.comのメンバーは、入念な財務諸表分析のうえで投資先を選定しています。その甲斐もあって、投資を始めたから数年間、ただの一度も株を売却することなく、長期にわたり含み益・配当金を享受できています。

こびと株.com管理人
昇進、資産運用などという言葉と相性が良い「数字の分析」にかかわる資格。簿記よりも意識が高い資格と言えるかもしれません。

 

まとめ:お金の苦労を減らしたいなら、どちらも学んで損はない資格

もう一度、簿記とビジネス会計検定の違いを一覧で見ておきましょう。

簿記は、財務諸表の作成に関わる資格です。

経理・財務職に就いたり、フリーランスとして自分で帳簿付けをする際に役に立ちます。圧倒的に実務に活きる資格です。

ビジネス会計検定は、財務諸表の分析に関わる資格です。

エリートビジネスマンとしての素養、資産運用の基礎といった感じで、いわゆるちょっと意識の高い資格と言えますね。

2つとも「お金・数字に関する資格」で、資本主義社会で生きるうえでは絶対にムダにならない知識です(強気に言い切る)。シナジーもありますので、余裕のある人には両方おすすめしたいというのが本音です。

 

試験の概要勉強方法など、この2つについてもっと詳しく知りたい!ということであれば、下記の記事を参考にして下さい。

簿記についてもっと詳しく知りたいなら、この記事

【日商簿記3級のすべて】難易度、勉強方法・勉強時間、合格率、おすすめテキスト・過去問集など

2019.11.26

日商簿記2級のまとめ(勉強方法・勉強時間、合格率・難易度、おすすめテキスト・過去問集など)

2019.11.26

 

ビジネス会計検定についてもっと詳しく知りたいなら、この記事

ビジネス会計検定3級のまとめ。内容、難易度(合格率)、勉強法や勉強時間など。

2020.11.17

ビジネス会計検定2級のまとめ。内容、難易度(合格率)、勉強法や勉強時間など。

2020.11.20

 

※ちなみに、経理の世界のリアルが知りたければ、このカテゴリの記事がおすすめです。

経理・秘伝の書(経理のリアル、経理のスキルアップ、経理の転職)

 

会計知識を身に着けてお金に強くなろう!

こびと株.comのメンバーが

  • 残業ほぼナシ・有給はしっかり取得
  • 年収650万円(30代前半。退職金は別)
  • 4桁万円の運用資産を作り
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お金に不安を抱えずに生活できているのも、すべては「会計知識」の賜物です。学生の頃に学んでおいたおかげで、かなり大きなメリットを得られていると感じています。

※資産運用に関しては、会計知識がなくても著名な投資本を読めば十分!という意見もあるかと思いますが、資本主義の発展は簿記が土台になって成り立っています。シナジーは、間違いなくあります。

とにもかくにも、今日が人生で一番若い日。お金で苦労したくないのなら、軽い気持ちで学び始めてみましょう。

ハマる人は絶対にいると思います。お金好きにとっては、ゲームみたいなものですから。

  • 1万円~4万円
  • 30~150時間

このコストが割に合うか合わないか、ご判断はお任せいたします(*ノωノ)個人的には、圧倒的におすすめしますけどね。

簿記の独学に自信がなければ、クレアールなどの優良スクールを使えば、安く、短期で合格することも可能です。無料で詳細資料・サンプル教材を取り寄せられるので、ぜひご検討くださいまし。

それではまたっ!

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ABOUTこの記事をかいた人

こびと株.comの管理人。一部上場企業での経理/財務の実務経験10年超、日商簿記1級、証券アナリスト、FP資格を有する「企業と個人のお金の専門家」。4つの財布(給与/配当/不動産/事業収入)を駆使して経済的自由を達成することを目標に奮闘中。