こんにちは、こびと株(@kobito_kabu)です。
- 株式投資をするうえで、簿記の知識は必須なのか?
- 投資のために日商簿記3級などを取得するメリットはあるのか?
- 簿記は財務諸表を作成するための技術=過去の数値を扱う技術
- 投資で重要なのは”未来の情報”
- つまり、簿記の知識は株式投資で必須ではない
目次
株式投資に簿記の知識は必須か?
結論から言うと「必須ではありません」。。
簿記の知識というのは、株式投資に必要な情報のうち、ほんの一部の情報を理解するためにしか役に立たないからです。
簿記の知識だけで稼げるほど甘い世界ではありません。
投資に必要な情報を4種類に区分
次の表をご覧ください。株式投資に必要な情報を、
- 「過去、未来」といった時間的な要素
- 「文章、数値」といった内容面の要素
に区分したものです。
簿記の知識というのは、過去の数値を扱うための知識です。表の黄色の部分ですね。しかし、このエリアの重要性はそんなに高くないのです。
会計マニアほど、財務諸表をベースにした投資をしたがります(私もそうです)が、もし財務諸表を分析しただけで確実に稼げるなら、この世の会計士は全員億万長者になっているでしょう。
株式投資をするうえで最も重要なのは未来の情報
株価にもっとも影響を与える要素は、言うまでもなく「未来」の情報です。
例えば、中期経営計画では、その企業の今後3年程度の目標が掲げられています。中期経営計画が市場予想よりもかなり強気だった場合、株価にはプラスに影響する可能性があります。
1年ごとに発表される翌期業績予想についても同様です。経営陣が強気の予想を出せば、株価にはプラスに影響する可能性が高いです。
また、IRにおいて「開発中の薬が承認される可能性が高まった」や「今後、〇〇社、△△社を買収していくことを決定した」という発表がされても株価には大きく影響しますね。
なぜ将来予想の発表で株価が大きく動くかというと、経営陣と投資家の間には情報格差があるからです。経営陣の方が、会社の現況や将来の見通しについてたくさん情報を持っているということです。
※中期経営計画ってナニ?という方はこちらの例をご覧ください:伊藤忠商事の中期経営計画
株式投資で利益を上げたければ、
- 将来予想をより正確に行う能力(それこそ、企業よりも)
- 将来予想に対して他の投資家がどのような判断・行動をするか読む力
こういったものがより重要になります。
簿記は、過去の数値を扱うための知識
簿記は、財務諸表を作成するための技術です。
財務諸表とは、貸借対照表や損益計算書のことを指します。
貸借対照表は、ある一時点における企業の財政状態を示した資料です。損益計算書は、一定期間における企業の経営成績を示した資料です。いずれも、過去の数値をまとめたものに過ぎません。
過去の数値をいくら詳細に分析したところで、将来の予測にはあまり役に立ちません。過去と同じ業績が将来も続くなら、それこそ投資で損をする人は一人も生まれないでしょう。
より精度の高い将来予測ができるのは、私達個人投資家ではなく、様々な情報を持っている企業サイド(経営陣)や彼らに近い機関投資家です。
私たちの立場で、財務諸表の情報だけを頼りに投資の世界で戦うというのは、かなり難易度が高いと言えますね。
投資は総力戦。あらゆる知識・経験をフル活用して戦おう
とは言え、少し視点を変えて考えてみると、投資に役に立たない知識などありません。
投資は総力戦です。
自分が持っている知識・経験・感性など、あらゆる要素をもって「買うか」「売るか」難しい判断をしていくのです。
コスパの良い情報と悪い情報という区分はあると思いますが、まったく役に立たない知識はないと思います。
むしろ、「投資に役立つ知識」「投資で儲けられる知識」だけ効率的に学びたいと思っている時点で、熱心な投資家には勝てなくなる可能性が高いかもしれません。
早く成功したいなら、とにかく早く失敗を繰り返すことだ
という言葉がありますが、株式投資で成功したいと思ったら、とにかく貪欲にあらゆる知識を吸収していこうという姿勢が重要ですね。意外なところで意外な知識が役に立つものです。
不要なこと・効率の悪いことをしてしまうというムダは発生すると思いますが、そのムダの発生頻度が高ければ高いほど、逆に成功に近づいているとも言えます。
効率の良いことしかしたくない、と言っている人で突き抜けた成績を収めている人を見たことがありません。勝つ人は、やはりエネルギッシュで貪欲な勉強家です。
配当金投資の場合、会計の知識は役に立つ
さて、株式投資には様々なスタイルがありますが、そのなかで「配当金投資」という地味~な投資スタイルがあります。
高配当株・増配株に投資して、基本的に配当金のみで利益確定していくスタイルです。
- 短期間で金持ちになれるような大きな利益は期待できない
- 良くてインデックス投資(市場平均)と同じぐらいの成績
- 下落相場でもきっちり時価評価額が落ちる
- でも、配当金を軸にしたキャッシュフローだけは安定させられる
こんな感じの特徴があります。
資格試験の話で言えば、簿記よりもビジネス会計検定(財務諸表の”分析”を学ぶ検定)の知識ですけどね。
- 国際分散投資
- 株式、債券、REITなどへの分散投資
- インデックス投資
- 短期トレード
こういった投資では、会計知識の出番はほとんどありません。分散投資の理論的根拠をしっかり勉強したければ、証券アナリスト試験がおすすめですね。
※バリュー株の投資の場合、企業価値が「割安」に放置されていることに着目するため、多少なりとも会計知識が活きてくることはあるかもしれませんね。自分で企業価値を計算できないことには始まらないので。
まとめ:株式投資では簿記の知識は必須ではない。配当金投資には役立つ
株式投資をするうえでの簿記の位置づけについて、まとめです。
- 必須ではない
- 投資は総力戦なので、あって困る知識ではない
- トレードではなく、配当金狙いの長期投資ならそこそこ有効な知識
もしこの記事を読んでいるあなたが
- 短期売買が好きなトレーダー志向
- ハイリスク・ハイリターンな投資を求めている
- あらゆるアセットクラスに分散投資したい
- 国際分散投資したい
ということであれば、簿記の知識の重要性は低いと思います。
一方で、
- リスクを一定程度おさえつつ、安定したインカムゲインを獲得したい
このようなタイプの投資家であれば、簿記を学んで後悔することはないと思います。ファンダメンタルをしっかり見れることのデメリットはありません。
こういうスタイルの投資に役立つ簿記・ビジネス会計検定について、情報量が豊富なまとめ記事を作成してありますので、興味のある方は是非ご覧下さい。
それではまたっ!
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