

こんな人のための記事です。
この記事を読むと、コミュニケーションが苦手でも経理としてならがんばれる!ということがわかります。
私こびと株、子どもの頃からかなり人見知りが強く、今でも「コミュニケーション能力」という言葉を聞くと逃げ出したくなります。
そんな私が新卒で経理部に配属になり、以来10年超経理として勤めて感じた、経理とコミュニケーションの関係について話したいと思います。
- 経理マンは、特にコミュニケーション能力が重要な職種というわけではない
- コミュニケーションが苦手な人は財務会計の専門家をめざそう!
- 経理部財務会計担当のコミュニケーションの特徴は
①機会は比較的少ない
②相手は限定的(お客さんに会うことは少ない)
③スタッフのうちは手段を選べることが多い

目次
経理マンとコミュニケーション

経理マンのコミュニケーションについて、2つの意見を耳にします。
- 経理はパソコンに向かって黙々とやる仕事でしょ。コミュ力なんていらないよね!
- 知ってるよー。①は勘違いなんだよね。経理はコミュ力超重要なんだって聞いた!
10年以上経理をやってきた私からみると、2つともあまり当たっていないように思います。
経理マンにコミュニケーション能力は「不要とは言えない」

「不要とは言えない」という表現が、一番実情に近いと思います。
経理マンも、サラリーマンです。サラリーマンとして働く以上、コミュニケーションがゼロということはありえません。
上司がいれば進捗くらいは報告する必要がありますし、同僚がいれば質問をしたりされたりする機会もでてきます。後輩ができれば、面倒をみてあげる必要もあるでしょう。
「経理にコミュニケーション能力は不要!」という人がいたら、それは、明らかに言い過ぎです。
しかし一方で「コミュニケーション能力こそが経理にとっての重要スキルなのだ!」という人も、やはり言い過ぎていると感じます。
そもそも、経理にとってのメインスキルは、あくまで「会計・税務」に関する知識やそれを現実の取引に落とし込む力です。
コミュニケーション能力は、「サブスキルのひとつ。もちろん無いよりは、あった方がいい」くらいの位置づけでしょう。
他の職種と比べて考えても、経理が「特にコミュニケーション能力の必要性が高い職種」ということはありません。
私自身、
- 人見知り
- プレゼンが死ぬほど嫌い
- 言葉がキツイ
ので、コミュニケーションが得意とはとても言えません。

私のことを「コミュニケーションスキルが高いよね」と評価する人はいませんが、だからといって「仕事ができないよね」と言われることもありません。
メインスキルである会計・税務の知識や、資料作成のスピードなど、コミュニケーション以外の面で一目を置かれているからです。

おすすめは財務会計担当
コミュニケーション能力に自信のない経理マンには、財務会計(決算業務等)を担当するのがおすすめです。財務会計担当のコミュニケーションには、以下のような特徴があるからです。
- 頻度・ボリュームが少ない(挨拶以外口を開かない日もある)
- 相手が限定的(主として部内。時々社内の他部署。たまに会計士・税理士など。顧客には会わない)
- スタッフレベルではコミュニケーションの方法について自由度が高い(メールか電話かface to faceか、選べることが多い)
これらは、コミュニケーションを苦手と感じる人にとっては、かなりストレスが軽減される要素になると思います。

反対に管理会計は、経理の中ではコミュニケーションスキルを求められる業務です。
- 経営層の意図を理解して、タックスプランニングの方針を決める
- 業績評価指標を作成し、関連各部署に説明する
- 予算策定にあたり、社内各部署と調整・交渉を行う
- CFOに現状を報告するため、定期的にプレゼンテーションを行う
といった仕事があるので、コミュニケーションスキルの重要性は低くありません。

経理マンとコミュニケーションまとめ:苦手でもなんとかなる!
- 経理にとってコミュニケーションは、特別に重要というわけではない
- 経理のコミュニケーションの特徴①:機会は比較的少なめ
- 経理のコミュニケーションの特徴②:相手は限定的(お客さんにはあんまり会わない)
- 経理のコミュニケーションの特徴③:スタッフのうちは手段を選べることが多い
- コミュニケーションが苦手な人は財務会計の専門家をめざそう!

おまけ:経理マンとしてのコミュニケーション能力をレベル別に解説!

さて、ここからは、経理のコミュニケーションの様子を具体的にイメージしてもらうためのおまけコンテンツです。
財務会計担当の経理マンに必要なコミュニケーションについて、レベル分けして解説してみようと思います。経理ひとすじの私こびと株が、独断と偏見でレベル分けします!雰囲気を感じていただければ幸いです。
Lv1:経理マンとして、できないと困るコミュニケーション
Lv1は、「経理マンとして最低限のコミュニケーション」というレベルです。Lv1のコミュニケーションができないと、いくら専門知識等があっても、さすがに「困ったちゃん扱い」だと思います。

コミュニケーション①報告する
上司との日常のやりとりとして
- 仕事の進捗
- 抱えている業務の中で論点になる部分
- 他部署とのやりとり
などを報告しておくことは、サラリーマンとして最低限必要なことです。
経理では、このあたりの情報さえ上司が把握できる状況にしておけば、あとは放っておいてもらえることが多いと思います。
「一人で作業するのが好き」「できればあまり人と話したくない」という人は、
- 毎朝時間を決めて、10分間の報告タイムをつくる
- メールや日誌などのツールを使って情報伝達をする
などの手段で上司を安心させ、一人の時間を手に入れましょう♪
コミュニケーション②資料をやりとりする
経理では、決算処理を行うにあたって
- Xさんは、〇〇部からもらった資料Aを使って資料Bを作る
- Yさんは、資料Bをもとに資料Cをつくる
- Zさんは 資料Cをもとに資料Dをつくる
という、リレーのようなことがよくあります。
ですから、
- 必要な資料を、人に依頼する(どんな資料がいつまでに欲しいのかきちんと説明する)
- 受け取った資料の内容に疑問点があれば、作成者にヒアリングする
- 自分の作成資料がいつできるのか、後続処理の担当者に連絡する
- 提出した資料の内容を説明する
といったコミュニケーションがしばしば発生します。

Lv2:経理マンとして、できてほしいコミュニケーション
Lv2は、「ここまでできれば経理マンとして十分普通に生きていける」というレベルです。

コミュニケーション①相談する
経理マンとして担当業務を遂行するにあたって、しばしば悩ましい問題点にぶつかることがあります。
高度な会計・税務上の論点では、必ずしもひとりで確信をもった判断ができるわけではありません。また、会計・税務の世界には、「見解の相違」「解釈の違い」などが起こりうる複雑な論点が少なくありません。
そんなとき、専門家に相談するというコミュニケーションが必要になります。
- 税理士
- 会計士
- 証券マン
- 銀行マン
など、状況に応じて、適切な人に必要十分な情報を提供しつつ相談するというのがポイントです。

コミュニケーション②相談される
経理部には、社内各部署からの問い合わせがたくさん集まってきます。



といった具合です。
相談対応の大変なところは、会計・税務上、難しい質問も簡単な質問も、重要な論点もたいしたことない論点も、全部まぜこぜで突然ふってわくところです。
判断に必要な情報をなんとかヒアリングし、正確な回答をする…これが、経理マンに求められる「相談される」コミュニケーションです。

Lv3:経理マンとして、できると良いコミュニケーション
Lv3のコミュニケーションができれば、(コミュニケーション面では)「デキる経理マン」と言われるでしょう!

コミュニケーション①わかりやすく説明する
経理は英語で「アカウンタント」。語源は「account(説明する)」。その名の通り、説明を行う機会はしばしばやってきます。
- 新しい会計基準について、上司に説明する
- 先週のセミナーの内容について、同僚に説明する
- 消費税増税時の対応について、営業事務部に説明する
- 経理専用システムの機能に関する要望について、システム部に説明する(※)
※AIの発展やシステム化による効率化が注目される時代ですから、これからの経理マンはシステム部との協業が増えていくかもしれません。
ポイントは、専門知識を相手のレベルに合わせてわかりやすく説明すること。これが上手な経理マンは、部内外から頼られるようになります。
コミュニケーション②プレゼンテーションする
プレゼンテーションについては、「昇進すると必要になるコミュニケーション」と言えるかもしれません。
- 課内・部内での情報共有(例:「税制改正大綱の要点」「期末決算に向けて」)
- 社内他部署への教育(例:「交際費とは」「出張精算のルール」)
- 経営層への報告(例:「H30/3期 連結決算数値のご報告」「新会計基準の当社への影響」) …etc.
課長や部長の職に就くと、これらのプレゼンから逃れることは困難です。
一方、スタッフレベルであれば、プレゼンテーションの機会は多くありません。

経理で必要とされるコミュニケーション能力は「誰とでも仲良くなる」「初めての人にもどんどん話しかける」みたいな能力とは、少し違っています。
その違いや、必要なコミュニケーション能力の種類を、レベル別具体例から少しでもイメージしていただければ幸いです。

それではまたっ!
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